「経理アウトソーシングを検討しているが、実際に導入してどうなったのか知りたい」——そんな方のために、本記事では実際の導入事例をもとに、経理アウトソーシングで何が解決できるのかを具体的に解説します。

「経理アウトソーシングを検討しているが、実際に導入してどうなったのか知りたい」——そんな方のために、本記事では実際の導入事例をもとに、経理アウトソーシングで何が解決できるのかを具体的に解説します。
「経理アウトソーシングを検討しているが、実際に導入してどうなったのか知りたい」そんな方のために、本記事では実際の導入事例をもとに、経理アウトソーシングで何が解決できるのかを具体的に解説します。
導入事例を読む際に大切なのは、「自社の課題に近い事例かどうか」を見極めることです。本記事では、事例を課題の性質ごとに「速さ・精度・構造」の3パターンに整理しています。まず自社の課題がどのパターンに近いかを確認することだできます。
経理アウトソーシングとは、記帳・月次決算・給与計算・請求書管理・支払管理など、自社の経理業務の一部または全部を外部の専門会社に委託するサービスです。記帳代行との違いや委託できる業務の詳細・フルアウトソーシングと部分委託の使い分けについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事: 経理アウトソーシングとは?記帳代行との違いと向いている会社を解説
本記事では「実際に導入した企業が何を解決できたか」に焦点を当て、事例を課題パターン別に整理して紹介します。
経理アウトソーシングの導入事例を読む前に、まず自社の悩みがどのケースに近いかを確認します。当てはまるケースの事例から読むと、自社に必要な解決策が具体的に見えてきます。
担当者が少ない、または繁忙期と決算が重なるなど、処理キャパシティの問題が根本にあります。「入力を外に出せば解決する」と思いがちですが、請求書の収集フローなど前工程を変えないと根本解決にはなりません。月次決算が遅くなる原因の詳しい解説は以下にあります。
関連記事:月次決算が遅い原因とは?データ確定の遅れ・作業負荷に分けて解説。
経理は回っているように見えても、経営者が欲しい情報が得られていないケースです。記帳代行と管理会計の整備は必要な専門性が異なるため、事業者選びの基準が変わります。
業務フローやルールが特定の人に依存しており、外からブラックボックスに見える状態です。一時的な穴埋めではなく、仕組みごと変える視点で委託先を選ぶ必要があります。属人化の解消ステップはこちら、担当者が退職した際の緊急対応はこちら
関連記事:経理担当が退職したらどうする?今すぐ取るべき対応と再発防止策を徹底解説。
平田倉庫株式会社では、株主への報告スケジュールに合わせて月次決算を第5・6営業日に締める必要がありました。しかし、月初の5日間のうち大半が「請求書を集める作業」に費やされていました。
請求書は紙が中心で、取引先ごとにフォーマットがバラバラ。1社で100枚を超えることもあり、集め終わるのが4日目という状況では、そこから入力して締めることは現実的ではありませんでした。
さらに問題だったのが社内への催促のしにくさです。同じ会社の人間には強く言いにくく、その遠慮が積み重なって毎月の収集が後ろ倒しになっていました。
導入後は、第5営業日に締めるための逆算スケジュールを設計し、請求書データの格納日と処理納品日をあらかじめ月ごとに固定しました。
また、「外部の業者に渡す締め切りがある」という事実が、社内への依頼の言い訳として機能するようになりました。「自分が欲しいから」ではなく「外部業者に渡さなければいけない」という理由は、社内でも動いてもらいやすい。これは導入前には想定していなかった副次効果でした。
記帳をアウトソーシングしたことで、管理課が入力作業に追われる時間がなくなりました。これまで締め日までに終わらせることで精一杯だったところから、出てきた数字に対して「なぜこうなったのか」を考える時間が取れるようになっています。
処理の品質とスピードも月を重ねるごとに改善されており、仕訳の判断に迷う箇所があっても、わかる部分から先に進めながら確認を取るという進め方で、全体のスピードが落ちない仕組みができています。
金属部品の製造を手がけるA社では、経理担当者が1名体制でした。通常月は問題なく回せていましたが、3月の決算と年度末の受注ピークが重なる時期になると、請求書処理・給与計算・決算対応が一気に重なり、残業が常態化していました。
「もう1名採用する」という選択肢も検討しましたが、繁忙期が年に2〜3ヶ月程度であれば、通常月に仕事が余ってしまう。採用コストと人件費を考えると、判断に踏み切れないまま毎年同じ問題を繰り返していました。
選んだのは、月ごとに利用時間を増減できる従量課金型のアウトソーシングサービスです。決算月は多めに、落ち着いた月は少なめに調整できるため、コストと業務量のバランスが取りやすい点が決め手になりました。
繁忙期は記帳・請求書処理をまるごと委託し、社内担当者は確認・承認業務に集中する体制にしました。
初年度の決算期から残業がほぼゼロになりました。担当者からは「毎年この時期がつらかったが、気持ちが全然違う」という声があり、定着率の向上にもつながっています。
採用費と通年人件費を試算すると、スポット利用のコストは年間で採用コストの半分以下に収まる見込みとなり、翌年度以降も継続利用を決定しました。
神奈川・東京・千葉を中心に26院以上を展開するALBAグループでは、急速な拠点拡大に伴い、管理体制のさらなる強化が求められていました。
従来の運用では、複数の院にまたがる経費を含む請求書について、売上比率で院別に按分する処理をしていました。これは一定の合理性はあるものの、概算値であることは避けられず、「どの院が本当に稼いでいるか」「どの院に広告費をかけるべきか」という判断に必要な精度には届いていませんでした。
さらに、他社に「規模が大きすぎる」と委託を断られ続けていたことも課題でした。26院規模に対応できるBPO事業者を探すこと自体が難しい状況でした。
導入後は、請求書1枚ごとに中身を精査し、どの院・どの費目に帰属するかを明細レベルで振り分ける処理に切り替えました。
あわせて、freeeの品目・部門マスタを26院規模の管理会計に耐えられる設計に再構築し、店舗別売上集計からGASで仕訳を自動生成する仕組みを整備しました。これにより月20時間分の作業を自動化しています。
導入の相談から約2ヶ月という厳しいスケジュールでしたが、週次ミーティングで細かく認識をすり合わせながら、申告に間に合う形で立ち上げを完了しました。
毎月、26院それぞれの損益をタイムリーかつ精緻に把握できるようになりました。どの院で広告費がかかっているのに売上に反映されていないか、院ごとの投資対効果の分析が可能になっています。
「より前倒しのスケジュールで、精緻な月次の利益率が出せるようになった」という言葉が象徴するように、数字の性格が「報告のための数字」から「次の手を考えるための数字」に変わっています。
人材マッチングSaaSを運営するB社では、顧問税理士がTKCを利用していました。税務申告の対応は問題なく行われていたものの、月次の会計データをリアルタイムで確認する手段がなく、自社での経営判断に1〜2ヶ月のタイムラグが生じていました。
毎月の経営会議では「今月の数字はまだ出ていない」という状態が常態化しており、意思決定のスピードに課題を感じていました。資金調達の準備が始まると、投資家から求められるデータへの対応にも遅れが出るようになっていました。
freeeへの移行支援から記帳の代行までをセットで依頼しました。移行にあたっては過去の仕訳ルールを整理し、B社の業務フローに合わせた運用設計を行ったうえで、記帳業務を継続的に担当してもらう体制を構築しました。
顧問税理士との役割分担も整理し、記帳・月次はBPO、税務申告は税理士という体制に切り替えました。
freee上の会計データが翌営業日には確認できるようになり、月次会議で最新の数字をもとにした議論が可能になりました。投資家への月次報告も、これまでより2週間以上早く対応できるようになっています。
海外のデザイナーやブランドを支援するアパレル企業では、海外仕入れ・国内卸・店舗運営を並行して展開していました。これほど複雑な業務構造を持つ企業では、経理・在庫・売上データがそれぞれ別のシステムで管理されており、突き合わせは手作業でした。
為替処理・関税・消費税の計上も複雑で、どの取引がどの仕訳に反映されているかを追うだけで時間がかかる。在庫データはExcel、会計データは税理士のシステム、POS売上は各店舗で別集計——この断絶が業務全体を重くしていました。
代表と幹部社員が管理業務に時間を取られ、本来集中すべき商品開発・営業・経営判断に十分なリソースを割けない状態が続いていました。
まず2週間で現状調査を実施し、過去3期分の総勘定元帳・仕訳データを分析。輸入・販売・在庫・会計までのデータの流れを図式化し、ボトルネックを特定しました。
その後、freeeを中心としたデータ基盤を構築。POS・店舗データのリアルタイム連携、在庫管理システムのfreee連携を見据えた設計を行いました。
BPO化した業務は、請求書の受領・整理、支払データの作成、請求書発行・入金確認、freeeでの記帳・仕訳登録です。「一度作って終わり」ではなく、新しい取引や商流の変更に合わせて随時オペレーションを調整する伴走型の運用としています。
代表・経理担当者の業務時間が月30時間以上削減されました。会計データが翌営業日に可視化され、経営会議では最新の数字をもとに議論が可能になっています。
決算書の提出スピードが向上し、金融機関との交渉もスムーズになりました。「単に経理を外注するだけでなく、在庫管理ソフトの選定・導入まで支援してもらえた」という声に表れているように、業務フローの再設計が経営全体の変革につながった事例です。
日用雑貨の小売業を営むC社では、5年勤務の経理担当者が急に退職することになりました。引き継ぎ期間はわずか2週間で、仕訳ルールや取引先ごとの処理方法はその担当者の頭の中にしかありませんでした。
社長が自ら経理を見ようとしたものの、会計ソフトの操作からわからない状態で、月次の締めが1ヶ月近く止まりそうになりました。
アウトソーシングサービスに相談し、退職者のわずかな引き継ぎメモと過去の仕訳データをもとに、5日以内に記帳代行を開始しました。
並行して、取引先ごとの仕訳ルール・勘定科目・摘要の書き方をスプレッドシートで一覧管理し、誰が担当しても同じ処理ができるマニュアルを整備しました。
後任の経理担当者を採用した後も、整備されたマニュアルと仕訳ルールをもとにスムーズに業務を引き継ぐことができました。現在はアウトソーシングと社内担当者の役割分担を明確にし、確認・承認は社内、入力・集計は外部という体制で運用しています。
「あの退職がなければ、ずっと属人化したままだったと思う」という社長の言葉が示すように、ピンチが体制強化のきっかけになった事例です。
人材関連のサービスを手がけるスタートアップD社では、創業から2年間、CEOが経理を兼任していました。売上規模が小さいうちは問題ありませんでしたが、シリーズAの資金調達フェーズに入ると、投資家から求められる財務データの整備・報告対応が経営時間を大きく圧迫するようになりました。
月次の試算表作成、キャッシュフローの管理、投資家向け月次レポートの作成など、これらをCEO自身がこなしながら事業開発・採用・営業を並行させることは、現実的ではありませんでした。
経理業務全体をBPOに委託し、CEOの経理関連業務をほぼゼロにしました。月次の試算表と投資家向けレポートのフォーマットも委託先と共同で設計し、毎月決まったタイミングで受け取れる体制を構築しています。
経理業務から解放されたCEOは、事業開発と調達活動に集中できるようになりました。投資家への月次報告も期日通りに対応できるようになり、信頼関係の構築にもプラスに働いています。
「経理を外に出したことで、初めて自分が本当にやるべきことだけに時間を使えるようになった」という言葉が、スタートアップや中小企業の共通のよくある課題を解決した事例になります。
関連記事:スタートアップ向け経理アウトソーシング徹底解説|導入タイミング・費用・選び方
7社の事例を整理すると、課題のパターンや業種を超えて共通する成功要因が3つ見えてきます。なお、導入後によくある失敗パターンと回避策については別記事で詳しく解説しています。
関連記事: 経理アウトソーシングで失敗しないためには?よく起こる失敗例
成功している事例に共通するのは、「どのタイミングで誰が請求書を格納するか」「月ごとのスケジュールをどう設計するか」という前工程まで含めて委託先が動いている点です。
平田倉庫の事例では、格納スケジュールの逆算設計から社内への催促の仕組みづくりまでをセットで整えたことで、月次が安定して回るようになりました。
入力だけを外に出しても、前工程が変わらなければ根本解決にはなりません。
自社の業務フローを一緒に変えてくれる事業者かどうかを、選定の基準に加えてください。
最初から完璧に動くアウトソーシングはありません。取引先ごとに特殊な処理がある、勘定科目の判断が難しいケースが出るなど、実運用では必ず調整が必要な場面があります。
平田倉庫の事例では「処理の速度もクオリティも、月々良くなっている」という言葉が示すように、フィードバックを受けながら改善を重ねられる体制があることが長期的な成果を生みます。初回の打ち合わせで、改善サイクルの仕組みがあるかを確認しておくことをおすすめします。
ALBAグループが選定の決め手として挙げたのは「単なる記帳代行ではなく、管理会計まで見据えた提案をしてくれた」点でした。
自社の課題を正確に理解している事業者かどうかが、長期的な成果を左右します。
複数社に見積もりを依頼する際は、価格だけでなく「課題をどこまで理解して提案してくれるか」を比較軸に加えてください。
事例を読んで「自社に近い課題がある」と感じたら、次のステップは事業者選定です。費用相場の詳細な比較・自社雇用との費用比較・見積もりの注意点については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事: 経理アウトソーシングの費用・相場は?自社雇用との比較と見積もりの注意点を解説
関連記事: 経理代行サービス・経理アウトソーシングおすすめ比較14選
事業者を選ぶ際に、事例から見えた視点で追加しておくべきチェックポイントが1つあります。
費用・対応範囲・実績といった一般的な比較軸に加えて、「自社の課題をどこまで理解したうえで提案してくれるか」を必ず確認してください。
初回の打ち合わせで「入力を外に出せばコスト削減できます」という提案しか出てこない事業者より、「御社の場合、前工程の請求書収集フローを変えないと根本解決にならないと思います」と言える事業者のほうが、長期的なパートナーになれます。提案資料の品質の見極め方については以下の記事も参考にしてください。
関連記事; 提案資料だけでは分からない、経理代行の運用品質の見極め方
本記事では、経理アウトソーシングの導入事例を「速さ・精度・構造」の3パターンに整理し、7社の具体例を紹介しました。
最後に、各パターンのポイントをまとめます。
「月次が遅い・入力が追いつかない」悩みを抱えている企業は、月次スケジュールの逆算設計と請求書収集の仕組みづくりを含めて提案してくれる事業者を探してください。入力代行だけを依頼しても、前工程が変わらなければ根本解決にはなりません。
「数字は出るが経営判断に使えない」悩みを抱えている企業は、クラウド会計の運用設計力と管理会計への理解を持つ事業者を選ぶことが重要です。記帳代行と経営数字の整備は、別の専門性が必要です。
「属人化・担当者が辞めたら止まる」悩みを抱えている企業は、一時的な穴埋めではなく「仕組みごと変える」視点を持つ事業者との連携が必要です。属人化の解消は、業務マニュアルの整備と役割分担の再設計がセットで必要になります。
自社の課題がどのパターンに近いかを整理したうえで、複数の事業者に相談してみてください。初回の打ち合わせで「課題への解像度が高い」と感じた事業者が、長期的なパートナーになる可能性が高いです。