経理アウトソーシングの費用・相場は?自社雇用との比較と見積もりの注意点を解説

経理アウトソーシングの費用・相場は?自社雇用との比較と見積もりの注意点を解説

経理更新日:2026-04-25

経理アウトソーシングの費用相場は、一部業務のみの委託なら月5〜15万円程度、月次決算まで含むと月15〜30万円程度、業務設計込みのフル委託では月20〜50万円程度が目安です。この記事では、自社雇用との比較方法や、見積もりで確認すべき注意点を解説します。

この記事は、中小企業やスタートアップの経理体制構築を支援してきた公認会計士・税理士が、実務に基づいて解説します。

経理アウトソーシングの費用相場

まず押さえたいのは「どこまで任せるか」で費用が変わること

経理アウトソーシングの費用は、単に「経理を外注する」というだけでは決まりません。実際には、どこまでの業務を委託するかによって大きく変わります。

たとえば、仕訳入力や給与計算などの一部業務だけを切り出して依頼する場合と、月次決算まで含めて任せる場合、さらに情報収集や業務フロー設計まで含めて委託する場合とでは、必要な工数も求められる体制もまったく異なります。

関連記事:経理アウトソーシングとは?記帳代行との違いと向いている会社を解説

そのため、費用相場を見る際は、まず委託範囲別の目安を押さえたうえで、次に業務別の内訳を見るのがわかりやすいです。

委託範囲別の費用目安

自社に近い費用感をつかみやすいよう、まずは委託範囲ごとの目安を整理します。

委託範囲

内容のイメージ

費用目安

一部業務のみ委託

記帳、給与計算、請求書発行、支払管理などの一部業務を切り出して依頼

月5〜15万円程度

月次決算まで委託

日常経理に加えて月次の締め・試算表作成・顧問税理士連携などを含む

月15〜30万円程度

業務設計込みのフル委託

情報収集ルールの整備、運用フロー設計、月次決算まで一連で支援

月20〜50万円程度

上記はあくまで一般的な目安です。実際の費用は、取引量、従業員数、部門管理の有無、クラウド化の状況、既存フローの整備状況によって上下します。

特に、「月次決算まで含むか」「業務設計やフロー構築が含まれるか」で金額差が大きくなりやすいため、単純な月額比較は避けたほうが安全です。

業務別の相場

次に、個別業務ごとの相場を見ていきます。なお、実務上は会社ごとに切り出し方が異なるため、以下はあくまで一般的な目安です。

業務

費用目安

費用の決まり方

月次決算(記帳含むことが多い)

月3〜10万円程度〜

取引量、部門管理の有無、締めスピードで変動

給与計算

月1〜2万円程度〜(基本料金)+従業員1人あたり500〜1,500円前後

従業員数、勤怠の複雑性、社保対応範囲で変動

売上管理・請求書発行

月1〜5万円程度〜

請求件数、請求パターン、入金管理の有無で変動

支払管理

月1〜5万円程度〜

支払件数、承認フロー、銀行データ連携の有無で変動

源泉事務

月数千円〜数万円程度

支払先数、対象取引数、納付事務の有無で変動

決算対応

7〜25万円程度

売上規模、整理状況、顧問税理士との役割分担で変動

ここで注意したいのは、「記帳」と「月次決算」を名称のみで判断するとわかりにくくいことです。実際には、名称が重要ではなく、どこまでやってくれるのかの実質が重要です。月次決算サービスの中に記帳が含まれているケースも多く、逆に「月次決算対応」と書かれていても実態は記帳(データ入力)中心にとどまる場合もあります。そのため、見積もりを確認する際は、名称だけで判断せず、どこまで含まれているのか、BS/PLの作成とチェックは誰がどのように行うのかを具体的に確認してください。

委託先の種類と費用感の違い

委託先によっても、費用感と対応範囲は異なります。

税理士事務所
個人事業主・小規模企業向け。記帳から税務申告までワンストップで対応しやすく、税務顧問・決算申告とセットで提供されることが多いです。一方で、日常の経理業務設計や業務フロー整備は対応範囲外のケースもあります。費用目安は月3〜10万円程度です。

オンライン型アウトソーシング会社
中小企業・スタートアップ向け。クラウド会計ソフトを活用したリモート対応が中心で、業務設計から実務代行まで対応できる会社もあります。費用目安は月15〜50万円程度です。

常駐型アウトソーシング
社内に担当者が常駐するタイプです。情報共有がしやすい反面、コストは高くなります。大企業や、対面連携が多い業務に向いています。

会社規模別の費用感

自社の規模やフェーズに応じた費用感の目安は次のとおりです。

個人事業主・従業員10名未満の小規模事業者
取引量が少なく業務がシンプルな場合は、記帳代行または税理士事務所への依頼が現実的です。月1〜5万円程度で対応できるケースが多いです。

従業員10〜50名の中小企業
月次決算、請求支払管理、給与計算などを部分委託するケースが増えます。月10〜30万円程度が目安になります。

急成長中のスタートアップ・取引が複雑な会社
業務設計込みの経理アウトソーシングが有効なフェーズです。情報収集から月次決算まで一連で委託する場合、月15〜50万円程度が目安になります。

自社雇用との正しい比較方法

費用を比較する際に多くの会社が陥るのが、「アウトソーシングの月額」と「経理担当の月給」だけを比べてしまうことです。自社雇用の真のコストを正しく把握しないと、判断を誤ります。

自社雇用の「見えているコスト」

経理担当を中途採用する場合の目安は以下のとおりです。

項目

目安

給与

月30万円程度

社会保険(会社負担)

給与の十数%程度(健康保険料率や加入条件により異なる)

採用コスト

求人媒体中心なら数十万円台、人材紹介を使うとより高額になることも

採用コストは採用手法によって大きく異なります。求人媒体中心なら数十万円台で済むケースもあれば、人材紹介会社を使うと紹介料が高額になるケースもあります。固定値で見積もるのではなく、自社の採用手法に応じて試算することが重要です。

自社雇用の「見えていないコスト」

さらに見落とされがちなのが、以下のコストです。

マネージャーコスト
経理事務担当者は日々の入力や処理はできますが、月次締めの進行管理、顧問税理士との連携、証憑回収ルールの設計、科目や部門ルールの整備といった「経理マネージャーロール」は別のスキルが必要です。このロールを担える人材は、一般的な経理事務職より採用難易度・人件費ともに高くなりやすく、中小企業では採用が難しいケースが多いです。

結果として、「経理担当はいるが、経営に使える数字が出てこない」「月次が遅い」という状態が続くことになります。

その他の見えないコスト

  • 教育・OJTコスト
  • 立ち上がりコスト(採用しても1〜3ヶ月は業務理解と引き継ぎが必要)
  • 退職時の業務断絶リスクと再採用コスト
  • 繁忙期の残業代・工数増加

自社雇用 vs アウトソーシング 比較表

なお、以下は一般的な中小企業を想定した比較です。実際の費用や体制は、業務範囲、社内体制、委託先のサービス内容によって異なります。

項目

自社雇用

アウトソーシング

月額コスト(事務担当)

給与+社保で月35万円前後〜

月15〜30万円程度〜(対応範囲による)

採用コスト

採用手法により数十万円〜(再発生リスクあり)

不要

マネージャー機能

別途採用・兼任が必要(採用難易度が高い)

含まれる場合あり(要確認)

退職・業務断絶リスク

あり

相対的に低い(委託先変更・契約終了リスクはある)

立ち上がり速度

1〜3ヶ月程度

比較的早い

法改正対応

自社または顧問税理士等で対応が必要

契約範囲に含まれる場合は支援あり

なお、社内に経理責任者がいて業務フローも整っている会社では、自社雇用のほうが運用しやすいケースもあります。機密性の高い業務や頻繁な対面連携が必要な場合は、常駐や内製のほうが適することもあるため、一律にアウトソーシングが優位というわけではありません。

「安い見積もり」の落とし穴

見積もりが安い場合落とし穴があります。業務範囲に業務設計が入っていない、追加料金が多く発生する、契約期間の縛りが厳しい

業務設計・フロー構築が含まれていない

見積もりが安い場合、多くは「作業実行のみ」のサービスです。仕訳入力や帳簿作成はしてくれても、情報をどうやって集めるか、どのように整理するかというフロー設計は含まれていないケースがあります。売上をこのエクセルに入力してください、経費をこのエクセルに入力してくださいと、クライアント側の業務負荷が逆に増えていくことになりかねないです。

社内に経理プロセスをディレクションできる人がいない場合、安く見える見積もりでも課題の本質は解決しません。結果として、「お金を払っているのに負荷が減らない」「数字が経営判断に使えない」という状態が続くことがあります。

追加料金・対応範囲の確認が重要

パック料金や基本プランの名称だけを比較しても、含まれる業務範囲は各社で異なります。以下のようなケースで追加費用が発生しやすいため、事前に確認しておくことが重要です。

  • 仕訳数が基本プランの上限を超えた場合
  • 社会保険手続きや年末調整をオプション扱いにしている場合
  • 初期の業務設計・現状調査を別途請求する場合
  • 紙証憑が多くデジタル化対応が必要な場合
  • 過去データの修正・整理が必要な場合

契約期間にも注意する

月単位で契約できるスポット型から、6ヶ月・1年単位の契約が前提のサービスまでさまざまです。短期間だけ試したい場合や、急な体制変更が想定される場合は、最低契約期間の確認が必要です。

見積もり比較チェックリスト

複数社の見積もりを比較する際は、以下の項目をそろえて確認すると判断しやすくなります。

確認項目

会社A

会社B

会社C

月額費用

初期費用

含まれる業務範囲

月次決算まで含むか

業務設計・フロー構築が含まれるか

クラウド会計ソフト対応

顧問税理士との連携体制

担当体制(専任か共有か)

定例ミーティングの有無

最低契約期間

追加料金が発生する条件

費用を左右する主な要因

同じ「経理アウトソーシング」でも、以下の要因によって費用は大きく変わります。

月間取引量・仕訳数
取引が多いほど日常経理の工数が増えます。月間取引量が多い会社は相場の上限に近くなりやすいです。

従業員数
給与計算は従業員数に比例します。人数が多い会社は給与計算部分だけでコストが上がります。

委託する業務の範囲
一部業務のみか、月次決算までか、業務設計まで含むかで費用は大きく変わります。

業務設計の必要性
既存のフローが整っていない会社では、初期の業務設計・整理に工数がかかるため、初期費用または月額に反映されます。

クラウド化の度合い
紙の書類が多い会社は、デジタル化の工数が別途発生しやすいです。クラウド会計ソフトをすでに活用している会社のほうが、立ち上げがスムーズで費用を抑えやすい傾向があります。

部門管理・管理会計の有無
単純な記帳だけでなく、部門別損益や事業別管理、予実管理まで求める場合は、通常の経理代行よりも高度な体制が必要になります。

よくある質問

Q:初期費用はかかりますか?

サービスによって異なります。業務設計、現状調査、システム設定などに初期費用を設定している会社もあります。契約前に初期費用の有無と内容を確認してください。

Q:途中で業務範囲を変更できますか?

多くのサービスで対応可能ですが、範囲の拡大・縮小に応じて月額が変わります。会社の成長に合わせて段階的に委託範囲を広げていくケースも多いです。

Q:記帳代行より高いですが、何が違いますか?

記帳代行は仕訳入力中心のサービスです。一方で経理アウトソーシングは、情報収集、確認整理、月次決算、業務設計まで含められる場合があり、対応範囲が広い点が異なります。会社の成長とともに記帳代行のみだと限界を迎えるケースも多いです

関連記事:海外取引×卸売×店舗経営。複雑な経理業務をfreeeと伴走型BPOで一気に効率化

Q:個人事業主・小規模企業でも使えますか?

取引量が少なくシンプルな業務の場合は、記帳代行や税理士事務所への依頼のほうがコストパフォーマンスが高いケースが多いです。事業規模が拡大し、取引量や複雑性が増してきた段階でアウトソーシングへの移行を検討するのが現実的です。

Q:何社くらい比較すればよいですか?

最低でも3社の見積もりを取ることをおすすめします。月額だけでなく、含まれる業務範囲、追加料金の条件、担当体制を比較してください。前述の比較チェックリストも活用しやすいです。

まとめ

経理アウトソーシングの費用を正しく判断するには、月額だけでなく、「どこまで任せるか」「何が含まれているか」を合わせて比較することが重要です。

まずは、一部業務のみの委託なのか、月次決算まで任せたいのか、業務設計込みで体制ごと見直したいのかを整理すると、自社に近い費用帯が見えやすくなります。

そのうえで、自社雇用と比較する際は、給与や社会保険だけでなく、採用コスト、教育コスト、立ち上がりの遅れ、マネージャー機能の不足まで含めて総合的に判断してください。

見積もりを取る際は、「月次決算まで含まれるか」「業務設計・フロー構築が含まれているか」「追加料金の条件は何か」を必ず確認することをおすすめします。

費用感を把握したうえでサービスの違いを整理したい方は、以下の記事もご参照ください。

関連記事: 経理アウトソーシングとは(とは記事リンク)

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

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