1. 消耗品と備品の違いは?適切な勘定科目も分かりやすく解説
消耗品と備品の違いは?適切な勘定科目も分かりやすく解説

 個人事業主の方や会社の経理担当者にとって消耗品費と備品は線引きの難しい勘定科目のひとつです。財務諸表上、消耗品費は損益計算書の経費項目へ計上し、備品は貸借対照表の資産項目へ記載するのが正しい会計処理です。今回は消耗品と備品の違いについて、適切な勘定科目の使い方を含めて詳しく解説します。

目次

消耗品と備品の違い

「消耗品」「備品」と言うと業務で使用する比較的少額のものといったイメージがあるかもしれません。どちらも日常的によく用いられる用語なので紛らわしいことがありますが、会計上では発生主義の原則に基づく明確な違いがあります。決算書上の違いを見てみましょう。

決算書には「消耗品」や「備品」という勘定科目はなく、正確には「消耗品費」と「工具・器具・備品」と記載されています。消耗品費は損益計算書の経費項目であるのに対して、工具・器具・備品は貸借対照表の資産項目です。ここからは、決算書の定義に合わせて消耗品と備品を解説していきます。

iPadと文房具

消耗品費とは? 

損益計算書の経費の項目には「消耗品費」という勘定科目があります。この消耗品費とはどのような定義なのでしょうか?国税庁の説明では以下の通りです。

消耗品費

・帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
・使用可能期間が1年未満か取得価格が10万円未満の什器備品の購入費

取得価格が10万円未満であるかどうかは、税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算出した金額によります。

参考:【確定申告書等作成コーナー】-消耗品費 (nta.go.jp) 国税庁Website

言い換えれば、消耗品費とは事業活動を行う上で必要であり、繰り返し消費されるものと言えるでしょう。具体的には、文房具・伝票・コピー用紙・インク・トナーなどの事務用品、机・椅子・本棚などの工具や機器、パソコンソフトウェア・USBメモリ・CD-ROM・マウス・キーボードなどのコンピュータ周辺機器、食器類・石鹸・洗剤・タオル・ティッシュペーパー・電球・電池などの日用品、その他、ガソリン・灯油なども含め、取得価格が10万円未満のものがあてはまります。

例えば、パソコン(取得価格15万円)とプリンタ(取得価格3万円)を同時に購入した場合を考えてみましょう。パソコンは取得価格が10万円以上ですから「工具・器具・備品」の勘定科目へ資産計上します。一方、プリンタはたとえパソコンと同時に購入したとしても取得価格が10万円未満ですから消耗品費に計上します。

また、自動車の取得価格はほとんどの場合10万円以上ですから固定資産として計上しますが、それに付随するガソリンは消耗品費として経費計上となります。

パソコンとメガネ

備品とは?

ここでの備品は、貸借対照表の「工具・器具・備品」の勘定科目であると定義しましょう。消耗品費で前述のとおり、使用可能期間が1年未満か取得価格が10万円未満の什器備品の購入費については、消耗品費の勘定科目で経費計上することになります。一方、使用可能期間が1年以上かつ取得価格が10万円以上のものについては資産計上し、それぞれの耐用年数に応じて減価償却を行うことが定められています。

国税庁から減価償却資産の耐用年数が示されていますので、その主なものを見ていきましょう。

減価償却資産の耐用年数(器具・備品)の主なもの

事務机、事務いす、キャビネット
・主として金属製のもの   15年
・その他のもの         8年

応接セット
・接客業用のもの        5年
・その他のもの         8年

電子計算機
・パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く) 4年
・その他のもの         5年

(参考)国税庁Website:

【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(器具・備品)(その1) (nta.go.jp)

【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(器具・備品)(その2) (nta.go.jp)

このように使用可能期間が1年を超えるものや取得価格が10万円以上のものについては、資産計上し耐用年数に応じて減価償却するのが正しい会計処理です。貸借対照表の資産の部「工具・器具・備品」の勘定科目に計上しましょう。また、器具・備品によって耐用年数が定められているため、減価償却費の計算をする際には誤りのないよう注意が必要です。

ハサミと工具

消耗品費と備品、会計処理上の注意点

消耗品費と備品の定義が明確になったところで、次に実務を行うにあたり会計処理上の注意点について説明していきます。

10万円の判断は税込み?税抜き?

取得価格が10万円未満であれば消耗品費に計上しますが、この場合の金額基準の判断は税込みと税抜きのどちらで行うのでしょうか。この判断は各々の会社の経理方式によるというのが結論です。国税庁の説明を引用すれば、「税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算出した金額による」ということになります。

事業者は、税抜経理方式又は税込経理方式のどちらを選択してもよいこととされています。それぞれのメリットとデメリットを理解しておくとともに、お勤めの会社がどちらの経理方式を採用しているのかを理解しておくことが必要です。

(参考)国税庁Website:No.6375 税抜経理方式又は税込経理方式による経理処理|国税庁 (nta.go.jp)

10万円の基準、複数購入の場合は単価・合価のどちらで判断?

例えば、1台6万円の事務用机を2台購入した場合を考えてみましょう。単価では6万円未満のため消耗品費に該当しますが、合価では10万円以上となるため工具・器具・備品に資産計上すべきなのか迷います。この場合は単価で判断するのが一般的です。事務用机は1台1台が独立して機能する性質であるためです。

それでは、応接セットの場合はどうでしょうか。ソファーやテーブルのそれぞれ単体では10万円未満ですが合わせると10万円以上となる場合です。このケースではセット価格で判断しなければなりません。ソファーやテーブル単体では接客としての役割をなさず、セットとなって初めてその価値が見いだされるためです。

最後に、コンピューターにインストールされたソフトウェアの場合を見てみましょう。もし該当ソフトウェアがなければコンピューターが稼働しないなど機能的に一体となっている場合は、コンピューター本体とソフトウェアの合計価格で判断することになります。一方、すでに稼働中のコンピューターに、10万円未満の新たなソフトウェアをインストールする場合は、消耗品費に該当します。

以上のように、単価・合価の判断については、その役割を考慮することによって比較的迷うことなく判断できるでしょう。

お金

会計期間中に使わなかった消耗品の会計処理

例えば、年度初めに2万円分のコピー用紙を購入し、該当会計年度が終わった時点で半分を消費し半分は未使用だった場合の会計処理を考えてみましょう。会計では発生主義の原則に基づいて該当会計年度に使用した分のみ経費として計上するため、半分の1万円を消耗品費に計上、残りの1万円を資産計上しなければなりません。この場合の勘定科目は「貯蔵品」と呼ばれる資産項目に計上するのが一般的です。

これを実現する具体的な会計処理方法は2通りあります。1点目は購入時に全て消耗品費に経費として計上し、決算時に未使用分を貯蔵品として資産計上する方法。そして2点目は購入時に全て貯蔵品に資産計上し、決算時に使った分だけ消耗品費へ経費計上する方法です。どちらも結果は同じであるため、両者どちらの方法を採用しても構いません。

勘定科目は「消耗品費」と「雑費」どちらを使う?

経費に関して、どの勘定科目で計上するのか迷うケースは多いのではないでしょうか。特に消耗品費と雑費はその代表例と言えるでしょう。しかしながら雑費を使う際には注意が必要です。そもそも雑費とは「事業上の費用で他の経費に当てはまらない経費」と定義されています。

(参考)国税庁Website:【確定申告書等作成コーナー】-雑費 (nta.go.jp)

正しい勘定科目が不明だからといって安易に雑費で処理することは望ましくありません。雑費を使う場合の実務上の注意点として以下の2点が挙げられます。

1. 会社の経費分類の確からしさ
2. 税務上の透明性

同様の分類に属する経費はいつも同じ勘定科目に計上し分析できるようにしておくべきであり、こうした経費分類の確からしさは会社経営にとって重要な役割のひとつです。また、むやみに雑費を使わず適切な勘定科目に計上することは税務監査での透明性にもつながります。

以下、消耗品費と雑費の具体例を挙げます。

【消耗品費の具体例】
・事務用品(文房具・伝票・コピー用紙・インク・トナーなど)
・日用品(食器類・石鹸・洗剤・タオル・ティッシュペーパー・電球・電池など)
・什器備品(机・椅子・本棚など)
・パソコン用品(パソコンソフトウェア・USBメモリ・CD-ROM・マウス・キーボードなど)
・その他(ガソリン・灯油など)

【雑費の具体例】
・各種手数料(振込手数料、引越手数料、各種キャンセル料金など)
・年会費(クレジットカード年会費など)
・その他(ゴミ処分費用、少額の違約金など)

このように通常業務の中で日常的に繰り返し購入するものは消耗品費に該当するケースが多いことが分かります。一方、雑費に該当する費用は他の勘定科目に該当せず、少額で一時的に発生する経費といえるでしょう。

正しい会計処理を行うために、それぞれの勘定科目で計上すべき経費の内容をきちんと理解しておくことをおすすめします。

たくさんの資料

備品を経費計上する3つの方法

次に備品の会計処理、特に償却の方法について解説します。前述のとおり、使用可能期間が1年以上かつ取得価格が10万円以上のものについては資産計上し、それぞれの耐用年数に応じて減価償却を行うのが一般的な会計原則ですが、国税庁はこれに加えて「一括償却資産」と「少額減価償却資産の特例」の会計処理も認めており、事業主はこれら3つの方法から選ぶことができます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1.減価償却

事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。減価償却資産は「定額法」や「定率法」などの償却方法で減価償却を行います。

>>減価償却は何故必要か?減価償却の基本と会計処理をわかりやすく解説

2.一括償却資産

一括償却資産とは、取得価格が10万円以上20万円未満の減価償却資産について、耐用年数に関わらず3年間に渡り均等額を経費化することを認めた会計処理です。減価償却と比べて経費化する計算が簡便であることや、3年で取得価格の全額を損金算入できる点でメリットがあるといえるでしょう。

一括償却資産とは(国税庁)

取得価格が10万円以上20万円未満の減価償却資産(国外リース資産やリース資産、少額な減価償却資産を除きます。)については、減価償却をしないでその使用した年以降3年間の各年分において、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、一括した減価償却資産の取得価格の合計額の3分の1の金額を必要経費にすることができるものです。

(参考)国税庁Website:【確定申告書等作成コーナー】-一括償却資産とは (nta.go.jp)

パソコンを見る女性

3.少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例とは、取得価格が10万円以上30万円未満の資産の全額を経費として計上することを認めた特例です。ただし以下の要件を満たしている必要があります。

・青色申告法人である中小企業者又は農業協同組合等で、従業員数が1,000人以下の法人
・対象資産は平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得したものが対象
・少額減価償却資産が複数ある場合は適用を受ける事業年度ごとに300万円が上限
・確定申告書等に少額減価償却資産の取得価格に関する明細書を添付して申告する

(参考)国税庁Website:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁 (nta.go.jp)

青色申告されている個人事業主の方にとっては1案件あたり30万円までを損金参入できる特例ですので、該当する場合は活用を検討されてはいかがでしょうか。

まとめ

【消耗品費】

  • 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
  • 使用可能期間が1年未満か取得価格が10万円未満の什器備品の購入費 

【備品】

  • 使用可能期間が1年以上かつ取得価格が10万円以上のもの

以上のように、消耗品や備品は、その使用可能期間や取得価格によって「消耗品費」の勘定科目で経費計上する場合と、貸借対照表の「工具・器具・備品」の勘定科目に資産計上する場合とに区分されます。消耗品費については、決算時に未使用分を貯蔵品として資産計上する必要がある点、注意が必要です。

また、消耗品費と雑費のどちらの勘定科目を使うべきなのかについても考え方をきちんと理解しておきましょう。特に雑費は「他の勘定科目に該当せず、少額で一時的に発生する経費」と理解しておいてください。

最後に、備品を経費計上する方法には3つの選択肢があることもポイントです。耐用年数に応じて減価償却を行うのが一般的な会計原則ですが、現在国税庁は3年均等償却を行う「一括償却資産」と、30万円未満の資産を全額経費計上できる「少額減価償却資産の特例」についても条件付きで認めています。

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

辻田 和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士
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