消耗品と備品の違いは?適切な勘定科目も分かりやすく解説

消耗品と備品の違いは?適切な勘定科目も分かりやすく解説

経理更新日:2026-08-08

備品とは、取得価額が10万円以上で使用可能期間が1年以上の物品のことをいいます。個人事業主の方や会社の経理担当者にとって消耗品費と備品は線引きの難しい勘定科目のひとつです。財務諸表上、消耗品費は損益計算書の経費項目へ計上し、備品は貸借対照表の資産項目へ記載するのが正しい会計処理です。今回は備品とは何かという定義から、消耗品との違い、適切な勘定科目の使い方、仕訳の例までを含めて詳しく解説します。

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消耗品と備品の違い

「消耗品」「備品」と言うと業務で使用する比較的少額のものといったイメージがあるかもしれません。どちらも日常的によく用いられる用語なので紛らわしいことがありますが、会計上では発生主義の原則に基づく明確な違いがあります。決算書上の違いを見てみましょう。

決算書には「消耗品」や「備品」という勘定科目はなく、正確には「消耗品費」と「工具・器具・備品」と記載されています。消耗品費は損益計算書の経費項目であるのに対して、工具・器具・備品は貸借対照表の資産項目です。ここからは、決算書の定義に合わせて消耗品と備品を解説していきます。

一覧にすると、両者の違いは次のように整理できます。

消耗品

備品

勘定科目

消耗品費

工具・器具・備品

決算書上の区分

損益計算書の経費項目

貸借対照表の資産項目

取得価額

10万円未満

10万円以上

使用可能期間

1年未満

1年以上

経費になる時期

購入・使用した年度に全額

耐用年数に応じて減価償却

具体例

文房具、コピー用紙、洗剤、ガソリン

パソコン(15万円)、応接セット、複合機

つまり、使用可能期間が1年未満か、取得価額が10万円未満か、そのどちらかに当てはまれば消耗品費、両方を超えたときにはじめて備品になるということです。

備品とは?

「備品」という言葉は、一般的には事業で使うために備え付けておく物品を広く指します。デスクやチェア、パソコンから文房具やティッシュペーパーまで、社内で使うものをまとめて「備品」と呼んでいる会社も多いのではないでしょうか。しかし会計上の備品はもっと限定的で、社内の呼び方とは範囲が異なります。

ここでの備品は、貸借対照表の「工具・器具・備品」の勘定科目であると定義しましょう。後述する消耗品費のとおり、使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費については、消耗品費の勘定科目で経費計上することになります。一方、使用可能期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上のものについては資産計上し、それぞれの耐用年数に応じて減価償却を行うことが定められています。

国税庁から減価償却資産の耐用年数が示されていますので、その主なものを見ていきましょう。

減価償却資産の耐用年数(器具・備品)の主なもの

事務机、事務いす、キャビネット

・主として金属製のもの 15年

・その他のもの 8年

応接セット

・接客業用のもの 5年

・その他のもの 8年

電子計算機

・パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く) 4年

・その他のもの 5年

(参考)国税庁Website:

【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(器具・備品)(その1)

【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数(器具・備品)(その2)

このように使用可能期間が1年を超えるものや取得価額が10万円以上のものについては、資産計上し耐用年数に応じて減価償却するのが正しい会計処理です。貸借対照表の資産の部「工具・器具・備品」の勘定科目に計上しましょう。また、器具・備品によって耐用年数が定められているため、減価償却費の計算をする際には誤りのないよう注意が必要です。

なお、会計ソフト上で「備品」という科目名を使っている場合も、決算書では「工具・器具・備品」に集計されます。同じ机であっても金属製かどうかで耐用年数が倍近く変わりますので、資産として登録する段階で細目まで確認しておくと安心でしょう。

関連記事:固定資産とは?いくらから計上する?減価償却・仕訳・固定資産税まで経理向けにわかりやすく解説

消耗品費とは?

損益計算書の経費の項目には「消耗品費」という勘定科目があります。この消耗品費とはどのような定義なのでしょうか?国税庁の説明では以下の通りです。

消耗品費

・帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費

・使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費

取得価額が10万円未満であるかどうかは、税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算出した金額によります。

参考:【確定申告書等作成コーナー】-消耗品費 国税庁Website

言い換えれば、消耗品費とは事業活動を行う上で必要であり、繰り返し消費されるものと言えるでしょう。具体的には、文房具・伝票・コピー用紙・インク・トナーなどの事務用品、机・椅子・本棚などの工具や機器、パソコンソフトウェア・USBメモリ・CD-ROM・マウス・キーボードなどのコンピュータ周辺機器、食器類・石鹸・洗剤・タオル・ティッシュペーパー・電球・電池などの日用品、その他、ガソリン・灯油なども含め、取得価額が10万円未満のものがあてはまります。

例えば、パソコン(取得価額15万円)とプリンタ(取得価額3万円)を同時に購入した場合を考えてみましょう。パソコンは取得価額が10万円以上ですから「工具・器具・備品」の勘定科目へ資産計上します。一方、プリンタはたとえパソコンと同時に購入したとしても取得価額が10万円未満ですから消耗品費に計上します。

また、自動車の取得価額はほとんどの場合10万円以上ですから固定資産として計上しますが、それに付随するガソリンは消耗品費として経費計上となります。

なお読み方は、消耗品が「しょうもうひん」、備品が「びひん」、什器が「じゅうき」です。「什器備品」という言い方をすることもありますが、これは業務で使う器具や家具類をまとめて指す言葉で、会計上は金額に応じて消耗品費と工具・器具・備品に分かれることになります。

消耗品費と備品、会計処理上の注意点

消耗品費と備品の定義が明確になったところで、次に実務を行うにあたり会計処理上の注意点について説明していきます。

10万円の判断は税込み?税抜き?

取得価額が10万円未満であれば消耗品費に計上しますが、この場合の金額基準の判断は税込みと税抜きのどちらで行うのでしょうか。この判断は各々の会社の経理方式によるというのが結論です。国税庁の説明を引用すれば、「税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算出した金額による」ということになります。

事業者は、税抜経理方式又は税込経理方式のどちらを選択してもよいこととされています。それぞれのメリットとデメリットを理解しておくとともに、お勤めの会社がどちらの経理方式を採用しているのかを理解しておくことが必要です。

例えば本体価格9万8,000円の物品であれば、税抜経理方式では10万円未満のため消耗品費ですが、税込経理方式では10万7,800円となり工具・器具・備品として資産計上することになります。10万円前後の買い物では結論が逆転しますので、自社がどちらの方式なのかは必ず確認しておきましょう。

(参考)国税庁Website:No.6375 税抜経理方式又は税込経理方式による経理処理|国税庁

10万円の基準、複数購入の場合は単価・合価のどちらで判断?

例えば、1台6万円の事務用机を2台購入した場合を考えてみましょう。単価では6万円未満のため消耗品費に該当しますが、合価では10万円以上となるため工具・器具・備品に資産計上すべきなのか迷います。この場合は単価で判断するのが一般的です。事務用机は1台1台が独立して機能する性質であるためです。

それでは、応接セットの場合はどうでしょうか。ソファーやテーブルのそれぞれ単体では10万円未満ですが合わせると10万円以上となる場合です。このケースではセット価格で判断しなければなりません。ソファーやテーブル単体では接客としての役割をなさず、セットとなって初めてその価値が見いだされるためです。

最後に、コンピューターにインストールされたソフトウェアの場合を見てみましょう。もし該当ソフトウェアがなければコンピューターが稼働しないなど機能的に一体となっている場合は、コンピューター本体とソフトウェアの合計価格で判断することになります。一方、すでに稼働中のコンピューターに、10万円未満の新たなソフトウェアをインストールする場合は、消耗品費に該当します。

以上のように、単価・合価の判断については、その役割を考慮することによって比較的迷うことなく判断できるでしょう。

判断に迷いやすい品目の考え方

実務では、そもそも消耗品費なのか備品なのかを判断しにくい品目もあります。よく問い合わせを受けるものを挙げてみましょう。

消耗品費で処理することが多いもの

・マウス、キーボード、USBケーブルなどの周辺機器

・乾電池、電球、トナー、インクカートリッジ

・ブックエンド、ファイルボックスなどの小物

・トイレットペーパー、洗剤、タオルなどの日用品

・10万円未満の観葉植物(レンタルの場合は賃借料)

・業務専用の制服、作業服(福利厚生費とする場合もあります)

工具・器具・備品として資産計上することが多いもの

・10万円以上のパソコン、タブレット、スマートフォン本体

・複合機、業務用冷蔵庫、シュレッダー

・ソファーとテーブルの合計が10万円以上となる応接セット

・本体代金と据付工事費用の合計が10万円以上となるルームエアコン

別の勘定科目を使うもの

・10万円以上のソフトウェア……「ソフトウェア」(無形固定資産)

・建物に組み込んで設置する業務用空調……「建物附属設備」

・切手、収入印紙……「通信費」「租税公課」(未使用分は貯蔵品へ)

エアコンの例のように、取得価額には本体代金に加えて設置工事などの付随費用も含めて判断する点に注意しましょう。判断に迷ったときは、それ単体で役割を果たせるかどうかを基準に考えると整理しやすくなります。

会計期間中に使わなかった消耗品の会計処理

例えば、年度初めに2万円分のコピー用紙を購入し、該当会計年度が終わった時点で半分を消費し半分は未使用だった場合の会計処理を考えてみましょう。会計では発生主義の原則に基づいて該当会計年度に使用した分のみ経費として計上するため、半分の1万円を消耗品費に計上、残りの1万円を資産計上しなければなりません。この場合の勘定科目は「貯蔵品」と呼ばれる資産項目に計上するのが一般的です。

これを実現する具体的な会計処理方法は2通りあります。1点目は購入時に全て消耗品費に経費として計上し、決算時に未使用分を貯蔵品として資産計上する方法。そして2点目は購入時に全て貯蔵品に資産計上し、決算時に使った分だけ消耗品費へ経費計上する方法です。どちらも結果は同じであるため、両者どちらの方法を採用しても構いません。

ただし税務上は例外が認められています。毎期おおむね一定数量を取得し、かつ経常的に消費している事務用消耗品などについては、継続して購入時に損金算入している場合にはその処理が認められています(法人税基本通達2-2-15、所得税基本通達37-30の3)。毎月一定量を購入して使い切っているコピー用紙などは、実務上そのまま消耗品費で処理して差し支えないということになります。

とはいえ、これはあくまで重要性の範囲内で認められる取扱いです。決算期末の直前に大量に購入した場合や、期末在庫の数量が期によって大きく増減する場合には、原則どおり貯蔵品として資産計上する必要がありますので注意しましょう。

勘定科目は「消耗品費」と「雑費」どちらを使う?

経費に関して、どの勘定科目で計上するのか迷うケースは多いのではないでしょうか。特に消耗品費と雑費はその代表例と言えるでしょう。しかしながら雑費を使う際には注意が必要です。そもそも雑費とは「事業上の費用で他の経費に当てはまらない経費」と定義されています。

(参考)国税庁Website:【確定申告書等作成コーナー】-雑費 (nta.go.jp)

正しい勘定科目が不明だからといって安易に雑費で処理することは望ましくありません。雑費を使う場合の実務上の注意点として以下の2点が挙げられます。

1. 会社の経費分類の確からしさ

2. 税務上の透明性

同様の分類に属する経費はいつも同じ勘定科目に計上し分析できるようにしておくべきであり、こうした経費分類の確からしさは会社経営にとって重要な役割のひとつです。また、むやみに雑費を使わず適切な勘定科目に計上することは税務監査での透明性にもつながります。

以下、消耗品費と雑費の具体例を挙げます。

【消耗品費の具体例】

・事務用品(文房具・伝票・コピー用紙・インク・トナーなど)

・日用品(食器類・石鹸・洗剤・タオル・ティッシュペーパー・電球・電池など)

・什器備品(机・椅子・本棚など)

・パソコン用品(パソコンソフトウェア・USBメモリ・CD-ROM・マウス・キーボードなど)

・その他(ガソリン・灯油など)

【雑費の具体例】

・各種手数料(振込手数料、引越手数料、各種キャンセル料金など)

・年会費(クレジットカード年会費など)

・その他(ゴミ処分費用、少額の違約金など)

このように通常業務の中で日常的に繰り返し購入するものは消耗品費に該当するケースが多いことが分かります。一方、雑費に該当する費用は他の勘定科目に該当せず、少額で一時的に発生する経費といえるでしょう。

なお、会社によっては「事務用品費」「備品消耗品費」「消耗什器備品費」といった勘定科目を設けている場合もあります。いずれも消耗品費と同じ性質の費用科目で、社内の科目体系に合わせて名称が異なるだけと考えて差し支えありません。大切なのは、同じ性質の経費を毎期同じ科目に計上し続けることです。

正しい会計処理を行うために、それぞれの勘定科目で計上すべき経費の内容をきちんと理解しておくことをおすすめします。

関連記事:複合仕訳とは?諸口・相手勘定科目の意味と仕訳例をわかりやすく解説

仕訳の例で確認してみましょう

ここまでの内容を踏まえて、実際の仕訳を見ていきましょう。

文房具3,000円を現金で購入した場合

(借)消耗品費 3,000 / (貸)現金 3,000

15万円のパソコンを購入した場合

(借)工具・器具・備品 150,000 / (貸)普通預金 150,000

耐用年数4年・定額法で1年間使用した場合の決算時の仕訳は次のとおりです。

(借)減価償却費 37,500 / (貸)減価償却累計額 37,500

18万円の備品を一括償却資産として処理する場合

購入時:(借)一括償却資産 180,000 / (貸)普通預金 180,000

決算時(3年間、毎期同額):(借)減価償却費 60,000 / (貸)一括償却資産 60,000

2万円分のコピー用紙のうち半分が未使用だった場合

決算時:(借)貯蔵品 10,000 / (貸)消耗品費 10,000

翌期首:(借)消耗品費 10,000 / (貸)貯蔵品 10,000

帳簿価額3万円の備品を廃棄した場合

(借)固定資産除却損 30,000 / (貸)工具・器具・備品 30,000

備品は資産として固定資産台帳に残り続けますので、使わなくなった時点で除却の処理をしないと帳簿から取り除くことができません。決算前に現物と台帳を突き合わせる習慣をつけておくとよいでしょう。

備品を経費計上する3つの方法

次に備品の会計処理、特に償却の方法について解説します。前述のとおり、使用可能期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上のものについては資産計上し、それぞれの耐用年数に応じて減価償却を行うのが一般的な会計原則ですが、国税庁はこれに加えて「一括償却資産」と「少額減価償却資産の特例」の会計処理も認めており、事業主はこれら3つの方法から選ぶことができます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

先に取得価額別の全体像を整理しておくと、次のようになります。

取得価額

勘定科目

選べる処理

10万円未満

消耗品費

購入した年度に全額を経費計上

10万円以上20万円未満

工具・器具・備品

減価償却/一括償却資産/少額減価償却資産の特例

20万円以上40万円未満

工具・器具・備品

減価償却/少額減価償却資産の特例

40万円以上

工具・器具・備品

減価償却

※少額減価償却資産の特例の上限は、令和8年4月1日以後に取得した資産は40万円未満、令和8年3月31日までに取得した資産は30万円未満です。

1.減価償却

事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。減価償却資産は「定額法」や「定率法」などの償却方法で減価償却を行います。

関連記事:減価償却は何故必要か?減価償却の基本と会計処理をわかりやすく解説

2.一括償却資産

一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産について、耐用年数に関わらず3年間に渡り均等額を経費化することを認めた会計処理です。減価償却と比べて経費化する計算が簡便であることや、3年で取得価額の全額を損金算入できる点でメリットがあるといえるでしょう。

一括償却資産とは(国税庁)

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産(国外リース資産やリース資産、少額な減価償却資産を除きます。)については、減価償却をしないでその使用した年以降3年間の各年分において、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1の金額を必要経費にすることができるものです。

(参考)国税庁Website:【確定申告書等作成コーナー】-一括償却資産とは (nta.go.jp)

もうひとつ見落としやすいメリットとして、一括償却資産として処理した資産は償却資産に係る固定資産税(償却資産税)の対象にならないという点が挙げられます。一方で、途中で売却や除却をしても3年間の均等償却を続けなければならず、未償却残高を一括して損金にできない点は理解しておく必要があるでしょう。また、貸付け(主要な事業として行われるものを除く)に使う資産は対象外とされています。

3.少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例とは、中小企業者等が取得した一定額未満の資産について、その全額を経費として計上することを認めた特例です。この特例は令和8年度税制改正によって内容が見直され、令和8年4月1日以後に取得した資産については取得価額の上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。あわせて適用期限も令和11年3月31日まで延長されています。

適用を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。

・青色申告書を提出する中小企業者又は農業協同組合等であること

・常時使用する従業員数が400人以下の法人であること(令和8年3月31日までに取得した資産については500人以下)

・対象資産の取得価額が40万円未満であること(令和8年3月31日までに取得した資産については30万円未満)

・平成18年4月1日から令和11年3月31日までの間に取得し事業の用に供したものが対象

・少額減価償却資産が複数ある場合は適用を受ける事業年度ごとに300万円が上限

・確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告する

・貸付け(主要な事業として行われるものを除く)に使う資産は対象外

(参考)国税庁Website:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

ここでいう「常時使用する従業員」にはパートやアルバイトも含まれます(役員は除きます)。従業員数が400人前後の企業では、令和8年4月1日以後の取得分から適用の可否が変わる可能性がありますので、あらためて確認しておきましょう。

青色申告されている個人事業主の方にとっては1案件あたり40万円までを損金算入できる特例ですので、該当する場合は活用を検討されてはいかがでしょうか。なお、この特例を使って全額を経費処理した資産は固定資産台帳に記載する必要があり、償却資産税の課税対象となる点にはご注意ください。同じ10万円台の資産であっても、一括償却資産を選ぶか少額減価償却資産の特例を選ぶかで、翌年以降の固定資産税に差が出ることになります。

関連記事:少額減価償却資産の特例の改正内容と経理部門の対応を解説

似ている用語との違い

備品や消耗品には、意味の近い言葉がいくつもあります。混同しやすいものを整理しておきましょう。

什器……業務で使う器具や家具類の総称です。会計上は金額に応じて消耗品費か工具・器具・備品に分かれます

日用品……生活用・衛生用に日常的に使うものです。事業で使うものであれば基本的に消耗品費に該当します

予備品……故障や不足に備えてストックしておく物品です。使用するまでは貯蔵品、使用した時点で消耗品費とするのが原則です

用度品……社内で使う事務用品や消耗品をまとめて指す社内用語で、会計上の勘定科目ではありません

消耗材……製造現場などで使われる呼称ですが、消耗品とほぼ同じ意味です。会計上は消耗品費になります

貯蔵品……期末に未使用のまま残っている消耗品を資産として計上するときの勘定科目です

なお「消耗品の対義語」を挙げるとすれば、長期間にわたって使い続ける耐久財や固定資産が近い概念といえるでしょう。

よくある疑問

Q.9万8,000円のパソコンは備品になりますか?

A.自社の経理方式によって変わります。税抜経理方式であれば10万円未満のため消耗品費、税込経理方式であれば10万7,800円となり工具・器具・備品として資産計上することになります。

Q.10万円未満のパソコンを10台まとめて購入した場合はどうなりますか?

A.パソコンは1台ずつ独立して機能しますので、単価で判断します。1台あたり10万円未満であれば消耗品費で処理して差し支えありません。

Q.消耗品をまとめ買いすれば節税になりますか?

A.期末に使い残した分は貯蔵品として資産計上する必要があるため、単純なまとめ買いは節税にはなりません。毎期おおむね一定量を購入し経常的に消費している場合に限り、購入時の経費計上が認められています。

Q.備品を購入すると固定資産税がかかりますか?

A.償却資産として固定資産税の対象になります。ただし一括償却資産として処理した資産は対象外です。また市町村内の償却資産の合計額が免税点に達しない場合は課税されません。なお令和8年度税制改正により、償却資産に係る免税点は150万円から180万円に引き上げられ、令和9年度以後の固定資産税から適用される予定です。

まとめ

【消耗品費】

  • 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
  • 使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費

【備品】

  • 使用可能期間が1年以上かつ取得価額が10万円以上のもの
  • 貸借対照表の「工具・器具・備品」に資産計上し、耐用年数に応じて減価償却する

以上のように、消耗品や備品は、その使用可能期間や取得価額によって「消耗品費」の勘定科目で経費計上する場合と、貸借対照表の「工具・器具・備品」の勘定科目に資産計上する場合とに区分されます。消耗品費については、決算時に未使用分を貯蔵品として資産計上する必要がある点、注意が必要です。

また、消耗品費と雑費のどちらの勘定科目を使うべきなのかについても考え方をきちんと理解しておきましょう。特に雑費は「他の勘定科目に該当せず、少額で一時的に発生する経費」と理解しておいてください。

最後に、備品を経費計上する方法には3つの選択肢があることもポイントです。耐用年数に応じて減価償却を行うのが一般的な会計原則ですが、国税庁は3年均等償却を行う「一括償却資産」と、少額の資産を全額経費計上できる「少額減価償却資産の特例」についても条件付きで認めています。少額減価償却資産の特例は令和8年度税制改正によって上限が40万円未満に引き上げられ、適用期限も令和11年3月31日まで延長されましたので、最新の要件で判定するようにしてください。

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

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公認会計士
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