経理アウトソーシングとは?記帳代行との違いと向いている会社を解説

経理アウトソーシングとは?記帳代行との違いと向いている会社を解説

経理更新日:2026-04-25

経理アウトソーシングとは、記帳代行と異なり情報収集から仕訳まで一連のプロセスを外部に委託できるサービスです。月次が遅い、担当者の退職リスクがある、部門別損益が見えないといった会社では、検討価値が高いでしょう。この記事では、自社に必要かどうかを判断するための視点とチェックリストを解説します。この記事は、中小企業やスタートアップの経理体制構築を支援してきた公認会計士・税理士が、実務に基づいて執筆しております。

経理アウトソーシングとは

定義と呼称の整理

経理アウトソーシングとは、自社で行っている経理業務の一部または全部を、専門性の高い外部企業に委託することです。「経理代行」「経理BPO」「経理業務委託」などと近い意味で使われることがありますが、各社によって対応範囲や定義は異なります。特に「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」は、単なる作業代行ではなく、業務プロセス全体の設計・運用まで含む意味で使われることもあるため、契約前に対応範囲を確認することが重要です。

なお、後述するように「記帳代行」は経理アウトソーシングとは異なるサービスです。混同して契約してしまうと、期待していた課題が解決しないケースがあるため、区別して理解しておくことが重要です。

経理アウトソーシングで委託できる主な業務

アウトソーシングできる業務の範囲はサービスによって異なりますが、一般的には以下のような業務が対象となります。

日次・月次業務

  • 仕訳・記帳
  • 請求書発行・管理
  • 入金確認・消込
  • 支払申請・振込データ作成
  • 経費精算処理
  • 月次試算表作成

管理・設計業務

  • 部門別・事業別損益管理
  • 経理フロー・業務プロセスの整備
  • 会計ソフトの運用・設定

年次業務

  • 年末調整対応
  • 決算対応(税理士との連携)

なお、税務申告書の作成・税務相談・税務代理は税理士の独占業務です。既に顧問税理士がいるか、アウトソーシング会社に税理士が在籍しているか、または顧問税理士との連携体制があるかを事前に確認してください。

経理アウトソーシングと記帳代行の違い

比較表

項目

記帳代行

経理アウトソーシング

主な対応範囲

仕訳入力・帳簿作成が中心

情報収集〜記帳〜運用設計まで

向いている会社

小規模・取引が単純

成長企業・業務が複雑

社内の整理負担

残りやすい

減らしやすい

月次早期化

改善に限界がある

改善しやすい

費用感

比較的抑えやすい

対応範囲に応じて変わる

一般に、記帳代行は「帳簿作成中心」で費用を抑えやすい一方、経理アウトソーシングは「情報収集・運用設計・継続的な改善支援」まで含むため、対応範囲に応じて費用も変わります。詳しい相場は関連記事で解説します。
関連記事:経理アウトソーシングの費用・相場は?自社雇用との比較と見積もりの注意点を解説

記帳代行が担う範囲

経理業務は大きく次の3つのプロセスに分けられます。

① 情報収集:領収書・請求書・通帳など仕訳に必要な情報を集める段階

② 確認・整理:証憑の保管先確認、支払・入金アクションの判断、仕訳に必要な情報の確認・整理

③ 仕訳・記帳:会計ソフトへの入力

記帳代行は一般に③と②の一部を担うサービスであり、対応範囲はそこにとどまることが多いです。情報をどうやって集めるか、どのように整理して渡すかという①と②の前半部分は、自社で行う前提のサービスです。

経理アウトソーシングが記帳代行と本質的に異なるのは、この①〜③を一連のプロセスとして設計・運用できる点にあります。

情報量・複雑性が増えると起きやすい問題

取引が少なくシンプルな段階では、記帳代行でも大きな問題は起きません。しかし事業が成長し、情報量や複雑性が増してくると、以下のような問題が顕在化してきます。

  • 記帳代行業者への受け渡しのための整理が社内の手間になる
  • 社内システムとの二重入力が発生する
  • 「この支払は何ですか」といった確認QAが繰り返し発生する
  • 数字ができあがるまでに時間がかかり、経営判断が遅れる
  • 部門別損益の正確な計算ができず、経営に使える数字が出てこない

これらの問題の多くは、①の情報収集段階で「仕訳に必要な情報を最初から持たせる設計」をすることで削減できます。しかし記帳代行では、その設計自体をサービスの対象としていません。

実例|記帳代行から切り替えて改善したケース

海外取引・卸売・店舗運営が混在するあるアパレル企業では、在庫・売上・会計データが分断され、日々の集計や確認に多くの時間がかかっていました。Remoba経理では、現状の業務フローを調査したうえで、freeeを軸に情報収集から記帳までの流れを再設計。導入後は月次業績をリアルタイムで把握しやすい体制へ移行しています。

※詳細は導入事例をご覧ください

経理アウトソーシングのメリット・デメリット

メリット

コア業務への集中
経理業務を委託することで、経営者や社員が本来注力すべき事業・営業・企画に時間を使えるようになります。

採用難への対応
経理担当者の採用は年々難しくなっています。アウトソーシングを活用することで、採用・育成コストを抑えながら経理体制を維持できます。

属人化・退職リスクの解消
特定の担当者しかわからない状態を解消し、担当者が退職しても業務が止まらない体制をつくれます。

月次決算のスピードアップ
業務フローを整理することで、月次の試算表が出るまでの時間を短縮できます。数字が早く出ることは、経営判断のスピードに直結します。

法改正への対応
電子帳簿保存法やインボイス制度など、経理に関わる法改正への対応を専門家に任せられます。

デメリット

導入初期に情報整理の負担がある
業務フローの設計や情報共有のために、導入初期は社内側の対応工数が発生します。「委託すれば自動的に解決する」ものではありません。

丸投げでは機能しない
社内にアウトソーシング会社と連携できる窓口がいないと、初期のフロー設計が難しくなります。ある程度、社内でプロセスを把握・管理できる人材が必要です。

紙中心の運用とは相性が悪い
アウトソーシングはデータの流れを設計することで効率化を実現します。紙の書類が業務の中心になっている場合、デジタル化を先行させる必要があります。

サービスの品質・対応範囲に差がある
業者によって対応できる範囲が大きく異なります。「業務設計・フロー構築」が含まれているかどうかを必ず確認してください。

経理アウトソーシングが向いている会社

ここまで見てきたように、経理の課題は単純な入力作業の問題だけではありません。自社にアウトソーシングが必要かを判断するには、業務プロセスだけでなく、社内で不足している役割(ロール)を整理して考える必要があります。

経理の2つのロール

経理事務ロール
領収書を受け取って仕訳入力まで行う、日常的な経理作業を担うロールです。ただし、情報をどうやって集めるかという業務フローの設計や、組織全体を巻き込んだコミュニケーションは、経理事務ではカバーできないケースが多いです。

経理マネージャーロール
何をどう管理するか仕組みをどのように作るか、どの数字を見るべきかを判断し、経営層に必要な情報を提供するロールです。仕組みづくりと数字に基づいた経営判断をサポートします。

どちらのロールが不足しているかを見極めることが、アウトソーシング導入の判断において重要です。

アウトソーシングが有効なケース

以下のような状況では、経理アウトソーシングが有効に機能するケースが多いです。

  • 取引量が増え、部門別管理や複数サービス・複数拠点の管理が必要になってきた会社
  • 急成長中で、経理事務・マネージャーの両ロールが不足しているスタートアップ
  • 経営者が支払承認や数字確認の対応に時間を取られている
  • 月次が遅く、資金繰り判断が後ろ倒しになっている
  • 会計ソフトはあるが運用が定着していない
  • 証憑の提出ルールを決めるなど、外部と連携しながらフロー整備を進められる会社

経理アウトソーシングの効果が出にくい会社

一方で、次のような状況では、経理アウトソーシングを導入しても期待した効果を得にくいことがあります。

紙での業務が多すぎる場合

請求書や領収書、申請書類などが紙中心で運用されている場合、まずはデジタル化や業務フローの見直しを優先したほうがスムーズです。アウトソーシング会社のなかにはデジタル化の支援から対応できるところもありますが、紙運用をそのまま引き受けられるサービスは多くありません。

外部パートナーと一緒に業務整理を進める体制がとれない場合

経理アウトソーシングでは、現状の業務プロセスが整っていなくても、委託先と一緒に整理・改善しながら運用を立ち上げることができます。ただし、必要な情報提供や確認対応など、社内で最低限の協力体制がとれない場合は、改善が進みにくく、期待した効果につながらないことがあります。

経理アウトソーシングを導入する前のチェックリスト

次のチェックリストは、「今の経理体制に無理が出ていないか」を確認するための簡易版です。すべてを一度に満たす必要はありませんが、複数当てはまらない場合は体制の見直し余地があります。

<経理アウトソーシング導入前チェックリスト>

当てはまらない項目が多いほど、体制の見直しサインです

□ 月次決算が翌月10日以内に出ている

□ 請求書・領収書の処理が発生から3営業日以内に完了している

□ 資金繰り表が常に最新の状態で把握できている

□ 部門別・事業別の損益が把握できている

□ 試算表を見て、異常値にすぐ気づける状態になっている

□ 経費精算のルールが明文化されており、全員が守っている

□ 経理担当が退職・休職しても業務が止まらない体制がある

□ 経理業務のマニュアルが整備されている

□ 経理担当者が繁忙期でも残業が月20時間以内に収まっている

□ 会計ソフトへの入力は自動仕訳・連携機能を活用できている

□ 経費精算・請求書処理にクラウドツールを使っている

■ 判定の目安
・9〜11個 → 概ね健全。部分的な改善で対応可能
・6〜8個  → 要注意。アウトソーシング導入で改善できる余地あり
・5個以下 → 経理機能として機能不全のリスクあり。早急な体制見直しを検討

よくある質問

Q:記帳代行とどう違いますか?

記帳代行は仕訳入力中心、経理アウトソーシングは情報収集や運用設計まで含められる点が違います。取引量が少なくシンプルな段階では記帳代行で十分ですが、複雑性が増してきた場合はアウトソーシングへの切り替えを検討する余地があります。

Q:税理士との役割分担はどうなりますか?

税務申告書の作成・税務相談・税務代理は税理士の独占業務です。日常の経理業務をアウトソーシング会社が担い、税務申告を顧問税理士が担うという役割分担が一般的です。アウトソーシング会社と顧問税理士が連携している体制かどうかを確認してください。

Q:紙の書類が多いですが大丈夫ですか?

紙が中心の業務フローのままでは、アウトソーシングの効果を十分に得ることは難しいです。まずデジタル化・クラウド化を先行させることをおすすめします。アウトソーシング会社によっては、デジタル化の設計から支援してくれるところもあります。

Q:社内に経理担当がいなくても大丈夫ですか?

社内にアウトソーシング会社の窓口になれる人がいることが望ましいです。経理の専門知識は必要ありませんが、情報を集めて共有する、確認事項に答えるといった対応ができる担当者がいないと、初期のフロー設計が難しくなります。

Q:個人事業主・小規模企業でも使えますか?

取引量が少なくシンプルな業務の場合は、記帳代行の方がコストパフォーマンスが高いケースがほとんどです。事業規模が拡大してきた段階でアウトソーシングへの移行を検討するのが現実的です。

Q:社内でプロセスの整理ができていない状態でも依頼できますか?

依頼自体は可能です。ただし、プロセスの整理・設計からサポートしてもらえるアウトソーシング会社を選ぶ必要があります。「作業代行のみ」のサービスでは、フロー設計が含まれないため注意が必要です。

まとめ

まず自社の課題が「記帳作業の負担」なのか、「経理プロセス全体の停滞」なのかを切り分けてみてください。そのうえで、経理事務ロールとマネージャーロールのどちらが不足しているかを整理することが、アウトソーシング成功の第一歩です。

費用の目安を知りたい方・サービスを比較したい方は、以下の記事をご参照ください。

関連記事:【2026最新版】経理アウトソーシングおすすめ14選比較

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

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