1. 【繁忙期】経理はいつが忙しい?業務内容は?|決算・年末調整
【繁忙期】経理はいつが忙しい?業務内容は?|決算・年末調整

経理の仕事をやってみたい人や経理課に配属された人にとって、経理業務がどのくらい忙しいものなのかは気になりますよね。常に仕事に追われることになるのか、残業ばかりで全然休めないのかなど、知りたいことがたくさんあるのではないでしょうか。そこでこの記事では経理の繁忙期はいつなのか、どのような仕事内容になるのかを解説します。

目次

繁忙期は3月~6月、12月~1月

経理業務の繁忙期は3~6月及び12月~1月とされています。理由は3月を決算期と定めている企業が多いためです。決算の準備が始まる3月、実際に決算業務を進める4~5月、決算報告のため株主総会が開催される6月は仕事量が増えて忙しくなります。また所得税などの税金額を調整・確定する年末調整及びその後の処理を行う12月~1月も書類作成・提出といった業務が多くなります。

経理は業務内容によって日次、月次、年次といった3つの業務に分けられます。日次業務とは領収書の整理入力帳簿への記録経費精算など日々ルーティーンのように行われる業務のことです。月次業務とは給与計算買掛金売掛金処理請求書作成など毎月行わなければいけない業務を指します。年次業務は先述したとおり決算処理年末調整など、一年間のうち決まった時期に発生する業務です。これら3つの業務を並行して行う時期がやって来ると、経理業務は非常に多忙になるといえるのです。

年次業務は決算処理と年末調整の他にもいくつかあります。経理業務の一年間を3月決算会社を例に簡易的に示すと以下のようになります。

時期 業務
4月~5月     決算処理
6月 株主総会
7月 各種保険手続き、賞与支払    
12月~1月 年末調整、賞与支払
3月 棚卸し

以上のことから分かるように、決算処理や年末調整が行われない7月~11月、年末調整後の1月~2月は比較的業務が落ち着く傾向にあるようです。

なお決算処理については会社の規模によって月次決算中間決算四半期決算を行う場合があります。

月次決算…月末を決算期末と定めて1ヶ月間の収入・支出を計算し、利益または損失を算出します。日次業務に加えて決算処理を行わなければいけないので忙しくなりますが、毎月正確な数字を算出することによって、年に一回必ず行われる本決算時にかかる負担を軽減する狙いがあります。

中間決算…6ヶ月に一回決算処理を行います。事業開始から6ヶ月を迎える企業は法人税の中間申告を求められます。中間申告には前年度の決算時に納付した金額を基礎として納付額を計算する予定申告と、6ヶ月を1事業年度とみなして仮の決算を行い、所得金額と納付額を算出する仮決算による申告の2つがあります。どちらの方法で法人税を納付するのかを決めるため、中間決算では納付額や今後の資金繰りに問題がないかを確認する必要があります。

四半期決算…3ヶ月に一回決算処理を行います。事業年度から3ヶ月の期間を第1四半期、次の3ヶ月間を第2四半期、その次の3ヶ月間を第3四半期、本決算時の3ヶ月間を第4四半期といいます。四半期決算においては決算書を45日以内に公表しなければいけないという取り決めがあります。3月決算の企業の場合、4~6月は本決算処理に株主総会の準備、さらに7~8月は第1四半期決算がありますので、4~8月の経理業務は多忙を極めるといえるでしょう。

また決算処理には単独決算連結決算という2つの決算方法があります。

単独決算…1つの企業によってのみ行われる決算のことです。通常、決算という場合はこの単独決算を指します。子会社を持つ企業が単独決算を行ってしまうと、正しい数字が算出されなくなるため、次に述べる連結決算が望ましいとされています。

連結決算…親会社を中心として子会社や関連会社などグループ全体の業績もまとめて行う決算のことです。連結決算は子会社や関連会社から財務諸表などが提出されるのを待ち、それから集計作業に入るので大変手間と時間がかかります。しかしグループ全体の業績を明確にすることで今後の経営方針を決めやすくなるので、非常にメリットの多い決算方法だといえるでしょう。

決算処理

決算とは企業の一年間における経営活動の収入と支出を計算、算出した利益または損失を決算書とよばれる書類にまとめることをいいます。しかし、なぜ損益を確定させる必要があるのでしょうか。決算処理を行う目的は以下の3つだといわれています。

  1. 納税のため…法人は決算時に税金の申告及び納税をしなければなりません。そのため損益の数字を確定し正確な税金額を算出する必要があります。
  2. 株主や銀行への情報提供のため…株式会社は必ず株主総会を開き、業績の報告をしなければなりません。また銀行から融資を受ける際には審査のために決算書などの書類を求められるので、作成しておく必要があります。
  3. 経営状況把握のため…決算処理を行えば、自社の経営状況を数字で把握できます。客観的な情報があれば今後の経営方針を決めやすくなるなど、意思決定の判断材料になるでしょう。また正確な情報を外部に提示することで、経営の不透明な部分を解消し企業の信頼性向上にもつながります。

続いては決算の流れについて解説していきます。決算処理は以下のとおりに行われます。

1. 決算書作成に必要な書類を揃える
2. 残高を確定する
3. 決算書を作成する
4. 申告書を作成する
5. 株主総会が開催される
6. 申告書を提出する

ここからはそれぞれの項目について説明します。

①決算書作成に必要な書類を揃える

決算書を作成するためには、企業の資金の流れを示す資料が必要になります。決算書作成のための書類は以下のとおりです。

  • 証憑綴り…証憑(しょうひょう)とは、領収書や請求書など支払を証明する書類のことです。領収書から分かる取引内容を帳簿に書き写すことで、日々の資金の流れが記録されていきます。領収書や請求書が整理されていないと帳簿への転記がスムーズに行われなくなり、正確な決算書が作成できない可能性も出てきます。そのため、領収書や請求書などの書類はしっかりと整理・管理されなければなりません。

>>帳票とは。書類の電子化を活用し、経理業務の属人化を排除しよう!

  • 総勘定元帳…仕訳帳と同様に主要簿と呼ばれる総勘定元帳は、企業が行った全ての取引や処理を勘定科目ごとに記録するものです。取引を日付ごとに記録する仕訳帳の内容を転記することで総勘定元帳が作られていきます。仕訳帳に記録された日付順の取引だけでは、企業の正確な経営状態を把握できません。しかし取引が勘定科目ごとに記録されていれば、現時点で「借入金」がいくらあるのかなど、対応する勘定科目を参照することにより容易に確認できます。こういった日々の取引に関する詳細な情報が、正確な決算書を作成するために必要になってくるのです。

>>総勘定元帳とは?重要性と実務上の取り扱いについて徹底解説します!

  • 勘定科目明細書…各勘定科目の残高をより詳細に記載したものです。預貯金、売掛金などの内訳を記載する欄があり、期末残高の内訳を把握できます。また勘定科目明細書は全ての法人に対して税務署への提出が義務付けられています。内容に不審な点があると税務署の調査対象となるので、作成には特に注意が必要です。

②残高を確定する

決算書作成に必要な書類を用意したら、次は決算残高を確定するための業務に移ります。必要な業務は主に2つあります。

  • 棚卸し…棚卸しとは商品の在庫を数えて、在庫の金額がどれだけあるか計算することを指します。商品や製品だけでなく、原材料や消耗品、印紙や切手なども棚卸しの対象となります。決算日における棚卸しのことを特に「期末棚卸」といい、計算された残高は「棚卸表」によって管理されます。棚卸しは企業の一時点における各勘定残高を把握するために必要な作業です。

>>棚卸しについての疑問を徹底解説!意味は?目的は?やり方は?

  • 減価償却…減価償却とは固定資産などの購入費用を、その後の一定の期間にわたって、一定の割合で経費計上することをいいます。減価償却は企業の損益を正確に把握するために必要です。例えば高価な備品を購入した場合にその費用を1年目に全て計上してしまうと利益が大幅に減少しているように見えます。しかし翌年には購入費の計上はされないため、その分だけ利益が増加しているように見えてしまいます。これでは正確な経営状態が判断できないため、減価償却を行うことでより適切な損益額を確定する必要があるのです。

>>減価償却は何故必要か?減価償却の基本と会計処理をわかりやすく解説 

③決算書を作成する

必要な書類を用意し、期末残高を確定したらいよいよ決算書の作成に入ります。決算書は正式には「財務諸表」といい複数の書類で構成されますが、その中でも貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つを「財務三表」と呼びます。

  • 貸借対照表…企業の財政状態を示す書類です。書類を左右に分け、左に現金、預金などの「資産」を、右上に支払手形、買掛金などの「負債」、右下に株主からの出資金など返す必要のない「純資産」を記載します。

>>貸借対照表の見方・書き方をチェック!損益計算書との違いは?

  • 損益計算書…企業の利益と損失を算出して業績を表すための書類です。記載される内容は「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つに分けられ、収益と費用、及び利益や損失がどのくらい発生したのかを確認できます。

>>損益計算書(PL)とは?見方や書き方、役割をていねいに解説

  • キャッシュフロー計算書…主に現金を用いた取引について記録され、資金の流れを読み取る書類です。買掛、売掛の取引が発生していると帳簿上と手元のキャッシュの金額に差異が出ることがあります。そういった貸借対照表や損益計算書だけでは分からない取引を補助する役割を果たすのがキャッシュフロー計算書です。

>>キャッシュフロー計算書の読み方は?基本構造をわかりやすく解説

④申告書を作成する

決算書が完成したら、次は法人税納付のための申告書を作成します。申告書にもいくつか種類がありますが、主なものは以下のとおりです。

  • 法人税申告書

  • 消費税申告書

  • 法人事業概況説明書

  • 勘定科目内訳明細書

  • 地方税申告書

 法人税の申告及び納付は決算日から2ヶ月以内と定められているので、3月決算の場合は5月末までに書類を作成するといった流れになります。

⑤株主総会が開催される

株主への業績報告は決算日から3ヶ月以内と決められており、3月決算の場合は6月末までに株主総会を開かなければなりません。そのための準備も確定申告と同様5月末までに行われます。株主総会開催に関する書類も以下のようにいくつかあります。

  • 招集通知…株主総会の開催日時、開催場所などが記載された通知です。

  • 計算書類等…計算書類と事業報告書及び事業報告の付属明細書を招集通知に同封します。株主は計算書類等を読み込み、疑問点など聞きたいことを株主総会で質問します。

  • 想定問答集…株主総会において株主からの質問に回答するのは社長であるケースが大半ですが、どんな質問がくるのか分からない状態では的確な回答はできません。そこで事前に想定される質問を予測してまとめておく必要があります。そのために必要なのが想定問答集です。

株主総会では計算書類(決算書)の書類を提出し、承認を受けて一連の流れが終了します。

⑥申告書を提出する

最後は法人税の申告と納付です。確定申告は5月末までと定められていますが、一方で申告に必要な決算書は株主総会で承認を受けたものでなければならないと決められています。

しかし株主総会の開催は6月に行われることがほとんどのため、これでは決算日から2ヶ月以内の5月末までに確定申告ができません。このような場合には、法人税の申告期限の延長が認められています。そのため株主総会が終了する6月末までの延長が可能となり、期限の延長をしているか否かで申告のスケジュールが異なります。

年末調整

次は年末調整について解説していきます。年末調整とは、企業が従業員の給与から源泉徴収した所得税と、本来支払うべき所得税の金額を比較して過不足を調整する業務のことです。本来であれば所得税は一年間の所得額に応じて課税されますが、所得額が変動する可能性を考慮して毎月の給与からは概算で計算された金額が差し引かれています。一年の終わりには収入が確定し正確な所得税額を求められるので、仮に差し引かれていた税金と比較します。払い過ぎていた場合には還付金が発生し、不足していた場合にはさらに納税しなければなりません。正確な納税額を算出し、仮に計算された所得税と実際に支払うべき所得税との差異をなくすために必要なのが年末調整です。では、年末調整はどのように進められるのでしょうか。年末調整の流れは以下のとおりです。

1. 控除書類を集める
2. 源泉徴収票を作成する
3. 税務署に提出する書類を作成する

1.控除書類を集める

所得税は年末に確定した所得額全てに課税されるのではなく、所得額から一定の金額を差し引いて計算されます。この「一定の金額を差し引く」ことを「控除」といい、まずは従業員から控除に関わる資料を集めて課税される所得金額を確定する必要があります。控除に関わる書類には以下のものがあります。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告の概要
  • 生命保険料控除証明書
  • 地震保険料控除証明書
  • 住宅借入金等特別控除申告書及び控除証明書
  • 国民年金保険料控除証明書、国民年金基金保険料証明書
  • 小規模企業共済掛金払込証明書
  • 前職分の源泉徴収票

上記の書類を全従業員分集めて管理しなければいけないので、企業の規模によって年末調整は非常に時間と手間のかかる作業になるといえるでしょう。

2.源泉徴収票を作成する

控除書類を集めたら次に必要になるのが本来の税金額の計算と、源泉徴収票の作成です。所得税額の差異により還付金が生じた場合には従業員へ支給するよう手配します。源泉徴収票は従業員への交付、税務署への提出、市区町村へ提出する給与支払報告書としての3つを作成する必要があります。

3.税務署などに提出する書類を作成する

最後に税務署などへ提出するために以下の4つの書類を作成します。

  • 支払調書…企業が支払った内容や金額について記載された書類です。従業員への給与だけではなく、弁護士・税理士への報酬や広告宣伝費なども含まれます。
  • 法定調書合計表…税務署に提出する法定調書の内容を集計した表のことです。法定調書とは「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「報酬、料金、契約及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」などから構成されています。
  • 源泉徴収票…従業員へ交付した源泉徴収票と同様に、税務署にも提出します。支払調書、法定調書合計表、源泉徴収票は年末調整後の1月末日までに税務署へ提出しなければなりません。
  • 給与支払報告書…給与支払報告書は次年度の住民税額を決める書類です。「個人別明細書」と「総括表」の2種類から構成されています。給与支払報告書も上記3つの書類と同じく1月末日までに提出する必要がありますが、税務署ではなく市区町村への提出が求められます。

 所得税の計算、必要書類の交付・提出を終えると年末調整業務も完了です。全ての年次業務が遂行されたことになります。

まとめ

ここまで経理の繁忙期について説明してきました。いつ、どの程度忙しくなるのかイメージしやすくなったのではないでしょうか。経理業務は月次業務と年次業務を並行して行わなければならず、定期的に繁忙期が訪れます。主な年次業務は3月~6月にかけて行われる決算処理と、12月~1月にかけて行われる年末調整でしたね。多忙になる時期を把握し、スケジュールに合わせてスムーズに仕事をこなしましょう。人手が足りない、必要な作業が多いなどの要因で業務に支障が出る場合には、経理代行サービスの利用や経理業務のアウトソーシング化などを検討してみてください。

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この記事の監修者

辻田 和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田 和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士
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