損益計算書(PL)とは?見方・勘定科目の並び順・書き方まで図解

損益計算書(PL)とは?見方・勘定科目の並び順・書き方まで図解

経理更新日:2026-07-17

損益計算書(PL)とは、会社の経営成績を表す財務諸表です。本記事では、5つの利益の見方、勘定科目の並び順、書き方までを図解でわかりやすく解説。貸借対照表(BS)との違いや、月次推移表の活用法も紹介します。

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損益計算書は、会社が「どれだけ儲かったのか、あるいは損をしたのか」を表す財務諸表です。売上からさまざまな費用を差し引き、最終的な利益にたどり着くまでの過程が、上から段階的に記載されています。

この記事では、損益計算書(PL)の意味や読み方といった基本から、サンプルを使った見方、勘定科目の並び順、書き方までを図解でわかりやすく解説します。貸借対照表(BS)との違いや、月次推移表の活用法もあわせて紹介します。

損益計算書(PL)とは?意味・読み方・何の略

損益計算書とは、一言でいえば「会社の経営成績を表した書類」です。一定期間(通常は1年間や1か月間)にどれだけの収益を上げ、そのためにどれだけの費用がかかり、結果としていくら儲かったのか、あるいは損をしたのかを示します。

英語では Profit and Loss statement といい、その頭文字をとって「PL(読み方:ピーエル)」または「P/L」と略されます。経理や会計の現場では、損益計算書とPLはほぼ同じ意味で使われます。

損益計算書は、貸借対照表(BS)・キャッシュフロー計算書(CF)とあわせて「財務三表」と呼ばれる、企業の基本的な決算書類の一つです。3つの書類はそれぞれ役割が異なります。

書類

略称

何を表すか

損益計算書

PL

一定期間の経営成績(どれだけ儲かったか)

貸借対照表

BS

ある時点の財政状態(どんな資産・負債があるか)

キャッシュフロー計算書

CF

一定期間の現金の増減(お金の流れ)

このうち損益計算書は、会社の「もうけの流れ」を表す書類だと理解しておくとイメージしやすいでしょう。一番上に売上高が記載され、そこから原価や販売費、管理費といった費用が段階的に差し引かれ、最終的な利益にたどり着きます。

損益計算書のイメージ

損益計算書の見方【サンプルで上から順に読む】

損益計算書は、上から順に読むのが基本です。売上高からスタートし、費用を差し引きながら、5種類の利益が段階的に姿を現します。ここでは、簡単なサンプルを使って読み方を見ていきましょう。

上から順に、次のように読み解いていきます。

  1. 売上高(10,000) … 本業で得た収益の総額。すべての出発点です。
  2. 売上原価(6,000)を引く → 売上総利益(4,000) … いわゆる「粗利(あらり)」。商品やサービスそのものから得られたもうけです。
  3. 販売費及び一般管理費(2,500)を引く → 営業利益(1,500) … 本業で稼いだ利益。給与や家賃、広告費などを差し引いた後の金額です。
  4. 営業外の損益(+200、−300)を反映 → 経常利益(1,400) … 本業以外の損益も含めた、会社の通常の実力を示す利益です。
  5. 特別損益(+100、−500)を反映 → 税引前当期純利益(1,000) … 臨時的な出来事も含めた、税金を引く前の利益です。
  6. 法人税等(300)を引く → 当期純利益(700) … 最終的に会社に残るもうけです。

このように、上から下へたどるだけで「どの段階で、いくらの費用がかかり、いくら利益が残ったのか」がひと目でわかります。

損益計算書の見方

原価率・利益率で経営状態を読む

損益計算書の数字を使えば、経営状態を測る重要な比率も計算できます。先ほどのサンプルで見てみましょう。

  • 原価率 = 売上原価 ÷ 売上高 = 6,000 ÷ 10,000 = 60%
  • 売上総利益率(粗利率) = 売上総利益 ÷ 売上高 = 4,000 ÷ 10,000 = 40%
  • 営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 = 1,500 ÷ 10,000 = 15%

これらの比率を同業他社や過去の自社と比較することで、「原価が高すぎないか」「本業でしっかり利益を出せているか」といった課題が見えてきます。損益計算書は、単なる金額の羅列ではなく、経営を分析するためのツールでもあるのです。

関連記事:営業利益と経常利益と純利益の違いは?損益計算書の見方を解説!

損益計算書の構造と勘定科目の並び順

損益計算書がなぜ「上から順に読める」のか。それは、収益・費用が決まった区分で、決まった順序に並んでいるからです。ここが損益計算書の理解の要になります。

5つの区分と5つの利益

損益計算書は、大きく次の順序で構成されています。収益・費用の区分と、それによって計算される利益が交互に並ぶイメージです。

順序

区分・利益

計算方法

売上高

本業の収益

売上原価

①から差し引く

売上総利益

① − ②

販売費及び一般管理費

③から差し引く

営業利益

③ − ④

営業外収益・営業外費用

⑤に加減する

経常利益

⑤ + 営業外収益 − 営業外費用

特別利益・特別損失

⑦に加減する

税引前当期純利益

⑦ + 特別利益 − 特別損失

法人税等

⑨から差し引く

当期純利益

⑨ − 法人税等

このように、「収益・費用を計上 → 差し引いて利益を出す」を5回くり返すのが損益計算書の骨格です。5つの利益(売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益)は、それぞれ意味が異なります。

利益

内容

売上総利益

売上高から売上原価を引いた「粗利」。商品・サービスそのものの収益力を示します。

営業利益

売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた、本業のもうけです。

経常利益

営業利益に営業外損益(受取利息・支払利息など)を加減した、会社の通常の実力を示す利益です。

税引前当期純利益

経常利益に特別損益(固定資産の売却損益や災害損失など臨時のもの)を加減した、税引き前の利益です。

当期純利益

税引前当期純利益から法人税等を差し引いた、最終的に会社に残る利益です。

各勘定科目の並び順のルール

この5つの区分の順序は必ず守る必要があります。たとえば、営業外収益であるはずの受取利息を「売上高」に含めてしまうと、本業の収益が実態より大きく見えてしまい、正しい経営成績を表せません。区分をまたぐ並べ替えはできない、と覚えておきましょう。

一方で、同じ区分の中での科目の並び順には、厳密な決まりはありません。たとえば「衣類売上高」と「アクセサリー売上高」という2つの売上がある場合、どちらを先に書いても、どちらも「売上高」の区分内にある限り問題ありません。ただし慣習として、金額の大きいメイン事業の売上を上位に置くことが一般的です。

勘定科目の並び順

勘定科目の並び順の覚え方

5つの利益の順番は、次のようなイメージで覚えると忘れにくくなります。

売上(総利益)→ 本業(営業利益)→ 通常(経常利益)→ 税引前 → 最終(当期純利益)

「本業のもうけ(営業利益)」から少しずつ範囲を広げていき、最後に税金を引いて「手元に残る利益(当期純利益)」にたどり着く、という流れをつかんでおくと、細かい科目に迷っても全体像を見失いません。

損益計算書の勘定科目一覧

損益計算書に登場する主な勘定科目を、区分ごとに整理しました。実際の科目は業種によって異なりますが、代表的なものは次の通りです。

区分

主な勘定科目

売上高

売上高、製品売上高、商品売上高、役務収益 など

売上原価

期首商品棚卸高、当期仕入高、期末商品棚卸高、材料仕入、外注加工費 など

販売費及び一般管理費

給与手当、法定福利費、地代家賃、減価償却費、広告宣伝費、旅費交通費、支払手数料、通信費、消耗品費 など

営業外収益

受取利息、受取配当金、受取家賃、雑収入 など

営業外費用

支払利息、雑損失 など

特別利益

固定資産売却益、投資有価証券売却益 など

特別損失

固定資産売却損、災害損失、減損損失 など

科目がどの区分に属するかを押さえておくと、前章の「並び順」の理解がより確実になります。売上に直接ひもづくものか、本業の経費か、本業以外か、臨時のものか——この4つの視点で分類すると整理しやすいでしょう。

損益計算書の書き方・作り方

損益計算書は、次の3ステップで作成します。基本となるのは、日々の仕訳・記帳です。

  1. 日々の取引を仕訳する … 売上・仕入・経費などの取引を、その都度正しい勘定科目で記録します。ここが土台です。
  2. 勘定科目ごとに金額を集計する … 一定期間の取引を科目ごとに合計します。
  3. 区分・順序に沿って損益計算書に記載する … 前章の①〜⑪の順に金額を並べ、各利益を計算します。

会計ソフト・エクセルの活用

現在では、会計ソフトに取引を入力すれば、集計から損益計算書の作成までを自動で行ってくれるのが一般的です。手作業で集計するより、はるかに速く正確です。

ただし注意したいのは、会計ソフトは入力された情報からしか損益計算書を作れないという点です。入力漏れや誤りがあれば、それをもとに不正確な損益計算書ができてしまいます。エクセルのテンプレートで作る場合も同様で、元となる数字が正しくなければ意味がありません。

正しい損益計算書を作るということは、正しい仕訳・正しい記帳を積み重ねることにほかなりません。毎日の地道な経理業務こそが、信頼できる決算書の土台になります。

関連記事:クラウド会計ソフト比較7選|料金・機能・AI活用・会社規模別の選び方を解説

貸借対照表と損益計算書

損益計算書と貸借対照表(BS)の違い

損益計算書とセットで扱われることが多いのが、貸借対照表(BS)です。2つの違いを表で整理します。

比較項目

損益計算書(PL)

貸借対照表(BS)

表すもの

経営成績(もうけ)

財政状態(資産・負債の状況)

対象

一定期間の動き(フロー)

ある時点の残高(ストック)

主な内容

収益・費用・利益

資産・負債・純資産

損益計算書が「一定期間にどれだけ儲けたか」という流れ(フロー)を表すのに対し、貸借対照表は決算日という一時点で「どんな資産をどれだけ持ち、どうやってその資金を調達したか」という残高(ストック)を表します。

貸借対照表は「資産の部」「負債の部」「純資産の部」の3区分からなり、左側に資産、右側に負債・純資産が並びます。左側は資金の運用形態を、右側は資金の調達方法を表しています。

要するに、損益計算書は会社の「経営成績」を、貸借対照表は会社の「財政状態」を表す——これが2つの書類の最も大きな違いです。

貸借対照表の構造

関連記事:貸借対照表の見方・書き方をチェック!損益計算書との違いは?

月次損益計算書・推移表の活用

損益計算書の作成義務があるのは、あくまで1年間(会計年度)分です。しかし、月ごとに損益計算書を作成し、それを年間で横に並べた「推移表」を作ると、経営分析の精度が大きく上がります。

推移表があれば、売上や売上原価、各種経費が月ごとにどう変動しているかをひと目で確認できます。前後の月と大きく違う数字や、通年で見て目立つ項目があれば、その理由を掘り下げることで、経営課題の早期発見につながります。年次の損益計算書だけでは見えない「変化の兆し」を捉えられるのが、月次・推移表の強みです。

まとめ

損益計算書(PL)は、会社が一定期間にどれだけ儲けたのかを、上から段階的に示す財務諸表です。売上高から費用を差し引きながら5つの利益を計算していく構造を理解すれば、「上から順に読む」だけで経営成績の全体像がつかめます。

  • PLとは … 会社の経営成績(もうけの流れ)を表す書類。Profit and Loss statement の略
  • 見方 … 売上高から当期純利益まで、上から順に。原価率・利益率で分析
  • 並び順 … 5つの区分の順序は固定、同じ区分内の科目の順序は自由
  • 書き方 … 正しい仕訳・記帳の積み重ねが、正しい損益計算書につながる

損益計算書は経営判断の土台となる重要な書類ですが、その品質は日々の経理業務の正確さに大きく左右されます。地道な記帳と仕訳の積み重ねが、信頼できる決算書を生み出すのです。

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この記事の監修者

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辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

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