損益計算書は、これらの項目の大きさや、それぞれの差し引き・足し戻しによって計算された各利益の金額が、直観的につかめるような構造となっています。
各勘定科目の並び順
例えば、売上金額を「●●売上」「○○売上」などのように売上内容によって分けている場合の科目や、販売費および一般管理費の中の諸勘定科目など、各表示区分の中にはさまざまな科目が存在します。
それらの科目の並べ方ですが、各項目の順番さえあっていれば、科目の並び順に特別な決まりはありません。例えば「衣類売上高」と「アクセサリー売上高」という2つの売上があるとして、これらが「売上高」ではなく「営業外収益」に表示されていたら問題となります。ですが、「売上高」の中に表示されている分には、科目の位置関係には特に決まりはありません。
ただ、売上高については、メインとなる事業の売上を上位に表示する傾向が強いとはいえます。
損益計算書の作り方
損益計算書の作り方ですが、基本的には日々の仕訳や記帳が土台となります。それまでに入力した損益取引をもとに各科目の金額を集計し、損益計算書に記載していきます。最近では会計ソフトに入力することがほとんどだと思いますが、会計ソフトに入力した場合、入力内容をもとにソフトが自動的に集計・損益計算書の作成までしてくれます。
逆に言うと、会計ソフトは入力した情報からしか損益計算書の作成ができません。入力漏れや誤りがあった場合でも、それらをもとに作成されてしまうので、結果として正確とはいえない損益計算書ができてしまうことになります。
正しい損益計算書を作るということはすなわち、正しい仕訳入力・正しい記帳をすることだと言えるでしょう。
貸借対照表との違い
損益計算書は財務諸表の1つです。そして、同じく財務諸表である貸借対照表とセットで扱われることが多い書類でしょう。
そこで、貸借対照表と損益計算書の違いや、それぞれの持つ役割について説明します。
損益計算書
損益計算書は先述した通り、1年間といった特定の期間における会社の経営成績を表す書類です。ストックとフローにおけるフローの部分にあたります。会社の活動によって発生した収益や費用、それらから計算される損益の額を表示します。損益計算書からは、会社が何にお金を使ったのか、どのようにして収入を得たのか、特に大きい費用はいったい何なのか等、経営に関するさまざまなことを分析できます。
損益計算書の内容についてはすでに記載しており重複となってしまうため、詳細は割愛します。
貸借対照表
一方で貸借対照表は、プラスの財産である資産や、マイナスの残高である負債、それから株式等の純資産の残高等、いわゆる会社の財務状況を表す書類です。ストックとフローにおけるストックの部分にあたります。英語では「Balance sheet」といい、略して「B/S」と呼ばれることもあります。
貸借対照表は「資産の部」「負債の部」「純資産の部」という3つの区分から成り立っており、左側に資産、右側に負債と純資産が表示されます。
左側である「資産の部」には、現金や現金同等物、商品、固定資産、投資資産等のように、会社の所有する資産が記載されます。会社の資金がどのような形態で運用されているのかを表したものです。一方で、右側の「負債の部」「純資産の部」は資金の調達方法を表したものです。他人から調達したお金が負債、株主からの出資や利益の積立により調達したお金が純資産として表示されます。「負債の部」には買掛金や借入金、各種引当金等、「純資産の部」には資本金や資本準備金、繰越利益剰余金等が記載されます。
このように、会社の持つ資産や資産の調達方法を表示し視覚的に把握するための書類が「貸借対照表」です。
損益計算書は会社の「経営成績」を、貸借対照表は会社の「財政状態」を表示しているというのが、2つの書類の大きな違いといえます。