1. 帳票とは。書類の電子化を活用し、経理業務の属人化を排除しよう!
帳票とは。書類の電子化を活用し、経理業務の属人化を排除しよう!

帳票とは。書類の電子化を活用し、経理業務の属人化を排除しよう!

経理 更新日:

ビジネスパーソンなら誰しもが必ず触れる「帳票」や「証憑」。経理部以外の部署でも実はとても重要な書類です。今後リモートワーク化を進められるかどうかはこの帳票を上手く使いこなせるかによって大きく成果が変わってきます。今回はこの帳票及び証憑に関して詳しく説明していきます。

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株式会社Enigol

辻田 和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士

目次

帳票について

 帳票と証憑と聞いてなんとなく意味はわかるが、それぞれどのような書類を指すのか詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。まずはこの帳票と証憑の違いについてみていきます。

帳票の区分

 帳票とは主に経理部にて使用する「伝票」や「帳簿」などを指す会計用語です。また、広い意味では対外的な「証憑」も指します。帳票は一般的に非常に広い意味で使用され社内で使用した記録用の書類や一覧表等の社内文書から取引先と締結する契約書等の対外的な正式文書までを意味します。

まとめると以下の通りとなります。

1、 伝票=商取引に関する金銭の流れを把握する為の書類

2、 帳簿=作成した伝票を元に集計した内容を把握する為の書類

3、 証憑=商取引に関する契約や取引の証拠となる書類

上記の1~3までを合わせて一般的には「帳票」と呼びます。

帳票の種類毎の具体例

  伝票

売上伝票 売上が発生した時点で起票する伝票

仕入伝票 仕入が発生した時点で起票する伝票

入出金伝票 現金の入出金が発生した時点で起票する伝票

振替伝票 上記3つのいずれにも属さない取引を起票する伝票

  帳簿

仕訳帳 日々発生する伝票を仕訳の形で集計した帳簿

総勘定元帳 仕訳帳を勘定科目ごとに集計し時系列でまとめた帳簿

現金出納帳 入出金伝票をまとめた帳簿

売掛帳 売上伝票により発生した取引先毎の売掛金を集計する帳簿

買掛帳 仕入伝票により発生した取引先毎の買掛金を集計する帳簿

固定資産台帳 費用計上することのできない金額の大きな資産を取りまとめた帳簿

  証憑

見積書 取引の金額の見込み額を記載する為の証憑

注文書 見積書を元に取引先から正式に発注を受けたことを示す為の証憑

契約書 注文書の内容を更に細かく落とし込み取引先と正式に契約を結ぶ為の証憑

納品書 契約書に基づき提供した商品及びサービスに関して納品が完了したことを示す為の証憑

請求書 納品が完了した後に取引先に対して代金を請求する為の証憑

領収書 請求書の内容に基づき取引先が入金した内容を示す為の証憑

書類の写真

帳票保存期間について

 これまでご説明してきた通り、企業が取り扱う帳票には様々な書類があります。次はそれぞれの書類の保存期間を確認していきます。まず、保存期間に関しては、法人税法に基づくものと会社法に基づくものの2種類があります。一般的には税務調査に備えて書類を保管している企業が多いと思いますので、法人税法に基づく保存期間を基本と考えて頂ければ問題ありません。

税法上は、総勘定元帳などの決算関係書類や細かな仕訳伝票等の帳票の保存期間は7年です。また、見積書や納品書といった帳票の保存期間は5年です。区別するのはまた手間がかかると思いますので、長い方の7年に合わせて保管していけば税務調査にも対応できるはずです。但し、注意すべきは欠損金が発した年度に関しては9年保管が義務付けられている点です。欠損金が発生した際はファイルに印をつけるなどの対応をしておきましょう。

会社に数年に一度税務調査が来ますが、その際に求められるの直近3年分の決算書等の帳票類ですので、直近3年分の帳票類は手元に常に置いておきすぐに対応できるようにしましょう。仮に税務調査の際に過去の資料を紛失している等で資料を提出できない場合は、不利な課税を受けるなど会社にとって不利益なペナルティが課される場合が多いです。また、税務調査だけではなく、大きな恩恵を受けられる「青色申告」に関しても取り消しされます。青色申告を取り消されると税額控除や欠損金の繰越制度を使用することができず、不要な税金を納めなければならない事態となります。このように帳票の保存は単に社内の問題ではなく、しっかりと保存期間を遵守して保管しなければ会社に大きな不利益をもたらします。

最後に注意すべきなのは「永久保存」の帳票等です。会社の中でも特に重要な定款、株主関連書類、官公庁への提出文書、登記・訴訟関連文書、知的財産に関わる関係書類等が代表的な書類としてあげられます。これらの書類は会社が存続する限り保管すべき書類ですので、保管方法に関しては社内にて統一しておくことが大事です。

帳票保存方法(電子化)

 帳票はすべて紙での保管が原則になります。エクセルやワードなどでは改ざんが容易な為、証拠書類として認められません。振替伝票等もすべて紙で印刷して保管する必要があります。原則と申しましたが、これは1998年より施行されている電子帳票保存法を活用すれば、電子データでの保管も認められます。但し、電子帳票保存法は複雑な要件とタイムスタンプでの使用を前提としている為、現実的には非常に運用が難しい設計となっており、なかなか普及していないのが現実です。近年ではテレワーク等が普及することに備え、電子帳票保存法が時代に即して内容を見直すべきであるとの声を受け、一部要件が緩和される動きが起きています。

ここでは紙での保管から電子保存することで得られるメリットをいくつか紹介していきます。

コスト削減

 まず、皆様が日々使用している紙はコストの塊です。紙自体の費用、印刷代、製本に関わる人件費、ファイリングに関わる人件費、紙の保管代等が代表的なコストです。これらのコストは日々の業務で発生するものなので、あまり意識が向きませんが、一度仕事のやり方を変えてしまえば、あまり手間をかけずに大きなコストを削減することが可能です。

また電子化することで、いつでもどこでもそのデータを閲覧することが可能です。テレワーク等、今後の働き方を柔軟にする上で大きなボトルネックとなりうるのがデータの電子化です。コスト削減の観点から社内で紙の廃止を積極的に進めることができれば自分達の働き方の改善につながるという意識をもって、一度検討されてみてはいかがでしょうか。

業務効率化

 ビジネスパーソンならば、探し物で多くの時間を費やしてしまったという経験を1度はしたことがあるのではないでしょうか。ビジネスパーソンの年間の探し物に費やす時間は150時間と言われるほど、探し物は多くの無駄を生み出します。また、将来の探し物の時間を短縮する為に綺麗にファイリングを行うなどの時間も結局は無駄な時間となっています。

一方でファイルを電子化してしまえばファイル名での検索はもちろん、フェイルの中身でもOCR機能等で文字検索を行うことのできるソフトがあります。これらのファイルを使用すれば、倉庫に行って段ボールを空けて一から書類を探すという無駄な作業から解放されます。この無駄な時間を本業にあてれば大きな業務効率化を実現できることでしょう。

業務可視化

 帳票等を電子保存するにあたりクラウドを活用すれば、更に大きなメリットを得られます。電子化した書類をクラウド上にアップロードすることで、「紙の書類をPDF化してメールで送付する」「FAXで拠点間のやり取りを行う」などの無駄な業務から解放されます。また、クラウド上の書類をダウンロードできる権限に制約を設けたり、ダウンロードのログを取れれば、書類のセキュリティ面でも安心です。

属人化排除

 業務がブラックボックス化し、特定の人しか業務の中身を理解していないことを「属人化」と呼びます。この属人化は企業運営にあたり特定の人が急に退職した際に引き継ぎができていない等の事態を招きかねないため、大きなリスクと言えます。書類管理の業務に関しても、特定の人のフォルダにしかデータが保存されていないなどの状況であれば、そもそもデータにアクセスすることができず、属人化を解消できません。属人化を排除する為に電子化を導入した企業では、すべての人が一か所に保存し進捗を共有することで属人化を排除している例もみられます。特定の人に情報が集中しすぎないように注意し、よりオープンな環境作りを常に意識しましょう。

 

整理方法

 紙での書類の整理方法に関しては、社内にてルールがあるかと思いますので、そちらに従うのが望ましいと思います。問題は電子化されたファイルの整理方法です。電子化されているからといって思いつきでファイル名を付け、保存しては後で見返すときにあまりにも見づらくなってしまいます。ファイル名の付け方に関しても社内ルール、もしくは部署ルールを作成しておくことをオススメいたします。以下のファイル名の付け方の例になりますので、今から新たにルールを作成される方は参考にしていただければと思います。

階層分けを行う

 ファイルの整理方法としては、階層の分け方で7割方決まると言っても過言ではありません。基本は年度等の大きな枠からツリー上にぶら下げていくことが基本ですが、年度毎に分ける必要のない書類はいきなり担当者毎にわけるのもオススメです。階層分けは個社毎に事情が異なることが多いので、個社ごとにしっかりと話し合い検討しましょう。

 名前付け

 ファイルの名前付けの際は、必ずキーとなるキーワードをいれましょう。キーワードを入れる際に注意したいのは、他の誰かが検索することを意識して名前を付けることです。自分だけがわかっていても他の誰かが検索できなければ意味がありません。会社内で一定のルールを作るということが重要になってきます。その会社内のルールの一例として、オススメしたいのが、「頭文字を一文字半角カナで入力」することです。具体的には以下のようなイメージになります。

「見積書」フォルダ内

(修正前)サンプル社

(修正後)サ-サンプル社

このようにすることで、名前順に並べた際に非常に見やすくなります。頭文字に半角カナを入れることで統一感が出て検索する際に見え方が明らかに違ってきます。一度試して頂ければ効果を実感していただけます。

 日付入力

 エクセルを使用していて「どのファイルが最新なのかが一目でわからない」ということはありませんか?この現象に陥った場合、更新日時等で判別することが多いですのが、必ずしも更新日時が新しいからといって一番最新のファイルとは限りません。ファイルを更新した際は、会社内のルールに従って日付を記すようにしましょう。その一例にファイル名を「〇〇社シュミレーション_20200101」と日付8桁で入力し保存することがあります。こうすることで過去の内容のエクセルなどの見返したいときも上書き保存していないので簡単に当時の様子を見返すことができます。この技は複数人で同じエクセルを使用している際に大きな効果を発揮します。

まとめ

 ここまで帳票とはという基本的な部分から、電子保存する際にポイント等を書いてきました。ここまで読まれてきて、自分は今まで紙で保管してきたから特段困らないと思ってらっしゃる方もいらっしゃると思います。そのような方々は一度会社の為には属人化を排除することがいかに重要か考えてみてください。すべてのメンバーが自由にデータにアクセスすることができれば自分ひとりでは気付かなかった改善点にも気づかせてくれるかもしれません。これからは社会全体が必ず電子化の方向に向かっていくことでしょう。その波に取り残されないためにも、小さな部分から電子化を進めてよりスマートな会社を目指しましょう。

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