帳票とは?種類・保存期間から電子化のメリットまで経理担当者向けにわかりやすく解説

帳票とは?種類・保存期間から電子化のメリットまで経理担当者向けにわかりやすく解説

経理更新日:2026-07-16

ビジネスパーソンなら誰しもが必ず触れる「帳票」や「証憑」。本記事では帳票・証憑の種類や保存期間、2022年・2024年の電子帳簿保存法改正への対応、電子化のメリットや整理のコツまで、経理担当者向けにわかりやすく解説します。

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ビジネスパーソンなら誰しもが必ず触れる「帳票」や「証憑」。経理部以外の部署でも実はとても重要な書類です。今後リモートワークやペーパーレス化を進められるかどうかは、この帳票を上手く使いこなせるかによって成果が大きく変わってきます。

さらに近年は、2022年・2024年の電子帳簿保存法の改正により、帳票の「電子保存」が単なる効率化の手段ではなく、法令上の対応が必要なテーマになりました。今回はこの帳票および証憑の基礎知識から、最新の保存ルール、電子化のメリットと整理のコツまで詳しく説明していきます。

帳票について

「帳票」と「証憑」と聞いてなんとなく意味はわかるが、それぞれどのような書類を指すのか詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。まずは帳票と証憑の違いからみていきます。

帳票の区分

帳票とは、主に経理部で使用する「伝票」や「帳簿」などを指す会計用語です。広い意味では対外的な「証憑」も含まれます。帳票は一般に非常に広い意味で使われ、社内で使用した記録用の書類や一覧表などの社内文書から、取引先と締結する契約書などの対外的な正式文書までを意味します。

まとめると以下の通りです。

1. 伝票=商取引に関する金銭の流れを把握するための書類

2. 帳簿=作成した伝票をもとに集計した内容を把握するための書類

3. 証憑=商取引に関する契約や取引の証拠となる書類

上記の1~3を合わせて、一般的に「帳票」と呼びます。

帳票の区分

帳票の種類ごとの具体例

① 伝票

種類

説明

売上伝票

売上が発生した時点で起票する伝票

仕入伝票

仕入が発生した時点で起票する伝票

入出金伝票

現金の入出金が発生した時点で起票する伝票

振替伝票

上記3つのいずれにも属さない取引を起票する伝票

関連記事:企業会計における伝票の役割とは?3伝票制と5伝票制の違いについて解説!

② 帳簿

種類

説明

仕訳帳

日々発生する伝票を仕訳の形で集計した帳簿

総勘定元帳

仕訳帳を勘定科目ごとに集計し時系列でまとめた帳簿

現金出納帳

入出金伝票をまとめた帳簿

買掛帳

仕入伝票により発生した取引先ごとの買掛金を集計する帳簿

売掛帳

売上伝票により発生した取引先ごとの売掛金を集計する帳簿

固定資産台帳

費用計上できない金額の大きな資産を取りまとめた帳簿

関連記事:総勘定元帳とは?重要性と実務上の取り扱いについて徹底解説します!

関連記事:現金出納帳のボリュームダウンで経理を効率的に!目指せキャッシュレス化

③ 証憑

種類

説明

見積書

取引金額の見込み額を記載するための証憑

注文書

見積書をもとに取引先から正式に発注を受けたことを示す証憑

契約書

注文書の内容をさらに細かく落とし込み、取引先と正式に契約を結ぶための証憑

納品書

商品・サービスを納品したことを示す証憑

請求書

納品完了後に取引先へ代金を請求するための証憑

領収書

請求書の内容に基づき取引先が入金したことを示す証憑

関連記事:請求書と領収書にまつわる疑問を説明!書き方や保存方法は?

関連記事:【2023年導入】インボイス制度とはどんな制度?基礎知識を解説

補足:帳票・帳簿・証憑・書類の違い

「帳票」は伝票・帳簿・証憑をまとめた総称です。「帳簿」はそのうち集計された記録簿を指し、「証憑」は取引の証拠となる原始資料を指します。検索されることの多い「帳票と書類の違い」でいえば、“書類”はより広く一般的な文書全般を指す言葉で、“帳票”は会計・取引に関する定型的な文書群を指す、と整理するとわかりやすいでしょう。

帳票の保存期間

帳票の保存期間について

企業が取り扱う帳票にはさまざまな書類があります。次に、それぞれの保存期間を確認していきます。保存期間には、法人税法に基づくものと会社法に基づくものの2種類があります。一般的には税務調査に備えて書類を保管している企業が多いため、まずは法人税法に基づく保存期間を基本と考えて問題ありません。

原則は7年

法人税法上、総勘定元帳などの帳簿や、仕訳伝票・見積書・納品書といった書類の保存期間は、原則として7年間です。起算点は書類の発行日ではなく、「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日」である点に注意しましょう(法人の申告期限は通常、事業年度終了日の翌日から2か月後)。

赤字(欠損金)が出た年度は10年

注意すべきは、欠損金(赤字)が生じた事業年度の帳簿書類は10年間の保存が義務付けられている点です。かつては9年でしたが、税制改正により、平成30年(2018年)4月1日以後に開始する事業年度からは10年に延長されています。欠損金の繰越控除は、赤字を最大10年間繰り越して黒字と相殺できる制度で、その適用要件として帳簿書類の10年保存が求められます。赤字の年度のファイルには、後で分かるように印をつけておくとよいでしょう。

会社法では10年

一方、会社法では会計帳簿や計算書類(決算書)を10年間保存することが義務付けられています。法人税法(7年)よりも長いため、決算書や総勘定元帳などは会社法に合わせて10年間保管しておくのが確実です。実務上は「会計関連の重要書類は10年」と決めておくと迷いません。

保存を怠った場合のリスク

税務調査は数年に一度行われ、その際に過去の帳簿類の提示を求められます。もし紛失などで資料を提出できない場合、不利な課税(推計課税など)を受けるおそれがあります。さらに、大きな恩恵を受けられる「青色申告」の承認が取り消される可能性もあります。青色申告を取り消されると、青色申告特別控除や欠損金の繰越控除といった税制優遇が受けられなくなり、不要な税金を納める事態になりかねません。帳票の保存は単なる社内の問題ではなく、遵守しなければ会社に大きな不利益をもたらすものだと認識しておきましょう。

関連記事:発生主義、現金主義、実現主義の違いとは?青色申告する人必見!

永久保存すべき書類

最後に注意したいのが「永久保存」が望ましい書類です。定款、株主関連書類、官公庁への提出文書、登記・訴訟関連文書、知的財産に関わる書類などが代表例です。これらは会社が存続する限り保管すべき書類ですので、保管方法を社内で統一しておくことが大切です。

帳票の電子保存(電子帳簿保存法)

帳票の電子保存

帳票は紙での保管が長らく原則とされてきました。エクセルやワードは改ざんが容易なため、そのままでは証拠書類として認められないケースがあったためです。しかし、電子帳簿保存法(1998年施行)を活用すれば、一定の要件のもとで電子データによる保存が認められます。

かつては要件が複雑で事前承認も必要だったため運用が難しく、なかなか普及しませんでした。ところが近年の改正で状況は大きく変わっています。ここが古い情報のまま止まっている企業も多いため、最新のポイントを整理します。

電子帳簿保存法の3つの区分

電子帳簿保存法が定める電子保存は、次の3種類に分けられます。

区分

対象

対応

電子帳簿等保存

会計ソフト等で最初から電子的に作成した帳簿・書類(仕訳帳、総勘定元帳、自社発行の請求書控えなど)

任意

スキャナ保存

紙で受領・作成した書類をスキャン・撮影して保存(受領した請求書・領収書など)

任意

電子取引データ保存

メールやクラウド等で電子的に授受した取引情報(PDF請求書、Webでダウンロードした領収書など)

義務

2022年・2024年の改正ポイント

近年の改正で、特に押さえるべき点は次の通りです。

  • 事前承認制度の廃止:2022年1月から、電子帳簿等保存・スキャナ保存の事前届出・承認が原則不要になりました。準備が整えばいつでも開始できます。
  • 要件の緩和:タイムスタンプの付与要件や検索要件が緩和され、検索項目は「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目に絞られました。
  • 電子取引データ保存の義務化2024年1月1日以降、電子取引でやり取りした書類は、電子データのまま保存することが全事業者に義務付けられました。メールやPDFで受け取った請求書・領収書を「紙に印刷して保存するだけ」では要件を満たしません。所得税・法人税を申告するほぼすべての法人・個人事業主が対象です。

電子取引データ保存の要件

電子取引データを保存する際は、次の2つを満たす必要があります。

1. 改ざん防止措置:タイムスタンプの付与、訂正・削除の履歴が残るシステムの利用、または「事務処理規程」を定めて運用する、のいずれか(規程のひな型は国税庁が公開しています国税庁 参考資料)。

2. 検索機能の確保:「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できる状態にしておくこと。ファイル名を「20240115_○○商事_50000」のように統一する方法でも対応できます。

なお、システム対応が間に合わないなど「相当の理由」がある場合には、一定の条件下で猶予措置が認められます。ただし恒久的なものではないため、早めの対応が望まれます。freeeやマネーフォワード クラウドなどの会計ソフトには書類保存機能があり、これらを使うことで検索・改ざん防止・可視性の要件をまとめて満たせます。

関連記事:クラウド会計ソフト比較|料金・機能・AI活用・会社規模別の選び方を解説

帳票を電子化するメリット

ここからは、紙での保管から電子保存に切り替えることで得られるメリットを紹介します。法令対応と同時に、業務そのものを改善できる点が大きな魅力です。

コスト削減

日々使用している紙は、実はコストの塊です。紙自体の費用、印刷代、製本にかかる人件費、ファイリングの人件費、保管スペースの費用などが代表例です。これらは日常業務で少しずつ発生するため意識されにくいものの、一度やり方を変えてしまえば、大きなコストを継続的に削減できます。また電子化すれば、いつでもどこでもデータを閲覧でき、テレワークの大きなボトルネックも解消されます。

業務効率化

「探し物」に多くの時間を費やした経験は誰しもあるはずです。ビジネスパーソンが年間の探し物に費やす時間は膨大だといわれ、将来の検索を楽にするためのファイリングにかける時間も含めると、無視できないロスになっています。ファイルを電子化すれば、ファイル名検索はもちろん、OCR機能で中身の文字検索まで可能です。倉庫で段ボールを開けて書類を探すような無駄な作業から解放され、その時間を本業に充てられます。

関連記事:経理業務を効率化する方法|無駄な作業を減らす進め方・ツール活用を解説

業務可視化

電子保存にクラウドを活用すれば、さらに大きなメリットが得られます。書類をクラウド上にアップロードすることで、「紙をPDF化してメール送付する」「FAXで拠点間のやり取りをする」といった無駄な業務がなくなります。ダウンロード権限に制約を設けたり、アクセスログを取得したりできるため、セキュリティ面でも安心です。

帳票電子化の業務可視化

属人化の排除

業務がブラックボックス化し、特定の人しか中身を理解していない状態を「属人化」と呼びます。属人化は、担当者の急な退職時に引き継ぎができないなどのリスクを招きます。書類管理でも、特定の人のフォルダにしかデータがない状況では、そもそもアクセスできず属人化を解消できません。電子化を導入した企業では、全員が一か所に保存して進捗を共有することで属人化を防いでいる例もみられます。特定の人に情報が集中しすぎないよう、オープンな環境づくりを常に意識しましょう。

電子化した帳票の整理方法

紙の書類は社内ルールに従うのが望ましいですが、問題は電子ファイルの整理方法です。電子化されているからと思いつきでファイル名を付けて保存すると、後で見返すときに非常に見づらくなります。ファイル名の付け方について、社内ルールや部署ルールを作っておくことをおすすめします。以下は、これから新たにルールを作る方向けの例です。

電子化した帳票の整理方法

階層分けを行う

ファイル整理は、階層の分け方で7割方決まると言っても過言ではありません。基本は年度など大きな枠からツリー状にぶら下げていきますが、年度で分ける必要のない書類はいきなり担当者ごとに分けるのも有効です。事情は会社ごとに異なるため、自社に合わせてしっかり検討しましょう。

名前付け

ファイル名には、必ずキーとなるキーワードを入れましょう。ポイントは「他の誰かが検索することを意識して名前を付ける」ことです。自分だけがわかっていても、他の人が検索できなければ意味がありません。会社内で一定のルールを作ることが重要です。

一例として、「会社名を正式名称で必ず入力するといった」方法があります。

・(修正前)(株)サンプル社

・(修正後)株式会社サンプルホールディング社

こうすると名前順に並べたときに見やすくなり、統一感が出て検索性が高まります。

なお、電子取引データ保存では前述のとおり「取引年月日・取引金額・取引先」での検索性が求められます。ファイル名を「20240115_株式会社○○商事_50000」のように統一しておけば、整理と法令対応を同時に満たせるため一石二鳥です。

日付入力

「どのファイルが最新なのか一目でわからない」という経験はありませんか。更新日時で判別することが多いですが、更新日時が新しいから最新とは限りません。ファイルを更新した際は、社内ルールに従って日付を記しましょう。

一例として、ファイル名を「○○社シミュレーション_20200101」のように日付8桁で入力して保存する方法があります。こうすれば上書き保存にならず、過去の内容を簡単に見返せます。複数人で同じエクセルを使う際に特に効果を発揮します。

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会社名

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公式サイト

https://remoba.biz/accountant

まとめ

ここまで、帳票の基礎知識から保存期間、電子帳簿保存法への対応、電子化のメリット、整理のコツまで解説してきました。

かつては「紙で保管しているから困らない」と考える方も多くいました。しかし、2024年1月以降は電子取引データの電子保存が義務化され、“対応しない”という選択肢は実質的になくなっています。同時に、電子化は属人化の排除やコスト削減、業務効率化といった大きなメリットももたらします。

法令遵守とスマートな働き方の両立に向けて、まずは小さな部分から電子化を進めていきましょう。すべてのメンバーが自由にデータへアクセスできる環境は、一人では気づけなかった改善点にも気づかせてくれるはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。保存期間や電子帳簿保存法の要件は税制改正により変更される場合があります。最新の情報は国税庁の公表資料をご確認ください。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

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