「経理」と「会計」はどう違う?業務内容から分かる大きな違いとは

「経理」と「会計」はどう違う?業務内容から分かる大きな違いとは

経理更新日:2025-03-05

経理と会計の違いを明確に理解しているという方は多くないでしょう。お金に関する仕事だということは分かっていても、違いの説明は難しいのではないでしょうか。そこでこの記事では経理と会計の違いについて解説していきます。業務内容の違いから、経理・会計についての理解を深めましょう。

経理と会計の違い

まず結論から述べてしまうと、「経理」と「会計」は「会社経営における資金の流れを管理・記録する」という点で共通していますが、それぞれの言葉が意味するところは大きく異なります。「経理」は「日々の金銭の流れを記録するための業務」を指し、一方で「会計」は「幅広い金銭の流れを管理するための業務」を意味します。つまり「経理」は「記録すること」を、「会計」は「管理すること」を主な目的としています。会社においては二つを同じ部署で担うこともあり、経理業務は会計業務の一部とされることも少なくありません。しかし言葉の指し示す意味が異なるように、経理と会計には明確な違いがあるのです。

経理とは?

経理とは「経営管理」の略称です。「経営」を「管理」する、つまり会社の経営状況を示す数字を取り扱い、分かりやすくまとめることを意味します。

業務内容

経理の主な業務は以下のとおりです。

  • 売上や支払への各種対応、現金及び預貯金の残高管理
  • 伝票や領収書、書類の整理・管理
  • 現金出納帳や総勘定元帳といった帳簿類への記入・管理
  • 買掛金・未払金の支払、売掛金・未収金の回収、それぞれの管理
  • 給与の計算・支払及び税金の支払

業務の流れ

経理業務は日次業務と呼ばれる毎日の細かい仕事の積み重ねから成り立っています。主な日次業務は以下のとおりです。

・経費の精算
経費精算とは旅費・交通費や交際費など営業活動によって発生した経費を、領収書と引き換えに社員に支払うことをいいます。まず社員が旅費・交通費を立て替えて、領収書を受け取ります。その後領収書を受け取った経理担当者は内容を確認し、未払金として計上します。最後に立て替えた分の代金が社員に支払われ、未払金が現金で支払われた旨の仕訳をして終了です。

・伝票や書類の整理
様々な取引により発生する伝票や書類の整理も経理業務の一つです。伝票や書類が整理されていないと後述する帳簿への記録作業がスムーズに行えません。また経理に関する書類は法律によって保存期間が定められています。貸借対照表、損益計算書などの決算書や現金出納帳などの帳簿は10年、領収書や預金通帳、請求書などは7年の保管が義務付けられています。誤って重要な書類を捨てることがないように、スクラップブックやインデックス、ファイルなどの事務用品を使用して適切なファイリングを心がけましょう。

・帳簿への記録
毎日発生する取引を出納帳とよばれる帳簿に記録して、資金の流れを分かりやすくします。現金での取引は「現金出納帳」に、預金通帳の残高に変動があった場合は「預金出納帳」に、それぞれ金額が合うように記録していきます。

また毎日ではなく1ヶ月単位で発生する月次業務もあります。主な月次業務は以下のとおりです。
・買掛金・未払金の管理と支払
商品を購入した際に後から支払う費用を買掛金、商品以外の家賃などを後から支払う費用を未払金といい、それらを滞りなく支払っているのかを確認します。残っている買掛金及び未払金がある場合は速やかに支払の手続きを行います。

・売掛金・未収金の管理と回収
商品を売却した際に後から支払われる代金を売掛金、車両や備品などの固定資産を売却した際に後から支払われる代金を未収金といい、それらが滞りなく支払われているかを確認します。支払われていない売掛金及び未収金がある場合は速やかに回収の手続きを行います。

・給与計算及び発生する税金の支払
社員に支払う給与の計算をし、給料日にきちんと支払われるよう手配します。給与計算はまず各種手当や社員の勤怠状況を確認し、総支給額を算出するところから始まります。次に社会保険料や税金といった控除額を計算し、先ほど算出した総支給額から差し引きます。残った金額が手取り額として社員に支給されます。この後に賃金台帳や給与明細の作成などの事務処理を行い、所得税や住民税といった税金の支払も同時に行います。給与が適切に支払われないと社員の労働意欲に著しい影響を与えますから、細心の注意を払うようにしてください。

最後に一年間の業務の流れを3月決算の会社にあてはめて紹介します。まず4~5月に決算書類を作成し、6月や11月には賞与計算を行って振り込み処理を行います。そして12月ごろから従業員に調書を配ってその結果をもとに1月に年末調整を行い、決算の準備を2~3月から始めます。

このように経理業務は地道な作業の連続です。後述の会計業務と重なっている部分も多いため、経理業務を行うのと同時に会計的業務も遂行していると考えるとよいでしょう。

経理業務が必要な理由

会社の経営状況を可視化する経理業務が滞ると経営活動が立ち行かなくなる可能性もあるため、経理は会社にとってなくてはならない存在だといえるでしょう。また後述する決算書の作成には、日次業務のような細かい作業が必要不可欠です。決算書は経営者が経営状況を分析するために欠かせない書類です。経理担当者が日々の取引をチェックし、数字を正確に帳簿へ記録する。その正確な帳簿を元に決算書が作られるので、経理業務は非常に重要な役割を果たしているといえるでしょう。会社の規模が大きくなるほど経理業務も膨大になるので、中小企業以上の会社では経理部や経理担当者を設置しているのが一般的です。

会計とは?

会計は経理と同じく会社の経営状況を管理・記録するものですが、経理が日々の資金の流れを扱うのとは異なり、会計は月単位・年単位での資金の流れを取り扱います。

業務内容

会計は「財務会計」と「管理会計」の2つに分けられます。

・財務会計
会社の営業活動の成果を財務諸表にまとめて利害関係者に開示することを目的にした会計方法です。株主などの外部の人間が対象となるので、決められた書式で資料を作成する必要があります。また財務会計には2つの機能があります。株主、銀行などが投資や貸付、融資といった行動をとる際に指針となる情報を示す「情報提供機能」と会社の利益をどういった割合で利害関係者に分配・提供するのか取り決める「利害調整機能」です。

・管理会計
会社の社長や役員が経営状態を把握するためのものであり、経営方針を決めるために重要な資料となる会計方法です。社長や役員といった内部の人間が対象となるので、特定の書式に当てはめる必要はなく、どの情報を報告すれば最適かを考えて臨機応変な対応が求められます。また管理会計には2つの役割があります。あらかじめ決められた予算と実際の売上を比べて、予算の改善を目的とする「予算管理」と基準となる原価を算出して実際にかかるであろう金額を比べて、コストの改善を目的とする「原価管理」です。
財務会計はどの企業にも必要ですが、管理会計は必ず設けるよう決められていないので、設置するかは会社ごとに異なります。また管理会計においても「予算管理」はすべての企業において必須ですが、「原価管理」は製造業などを中心に導入されています。

業務の流れ

会計業務は主に月次業務と年次業務に分けられます。主な月次業務は以下のとおりです。


・試算表の作成
年度末の決算にむけて、1ヶ月ごとの試算表を作成します。毎日の売上や支払、給料などに至るまで全ての取引を集計した表のことです。試算表を元にして決算書を作成します。試算表を作ることで、その月の取引がきちんと行われているかが把握できます。このとき、売掛金がきちんと支払われているか確認しておきましょう。1ヶ月~2ヶ月など時間のかかる取引になるので、入金されていなかったという事態にもなりかねません。請求書どおりの金額が振り込まれているかまで見るようにしましょう。また怪しい資金の動きがないのかも入念に確認するように心がけましょう。

そして主な年次業務は以下のとおりです。
・決算書の作成
財務状況を株主や銀行など外部に示すための決算書を作成します。決算書は上記の試算表の数字を全て合計して作られます。この書類には財務状況が網羅されているため、決算書を見れば一年間の利益や現在の経営状況がすぐに分かるようになっています。作成された書類は監査法人による監査を受けます。内容は正確か、情報の不備がないかなどについて一つずつ確認されます。その後に株主総会が開かれ、承認を受ければ報告が完了します。また決算書を作成したら税務署へ申告して適切な所得税を納める必要があります。

・減価償却費の計上
減価償却とは購入した設備などの費用をその年にまとめて経費計上するのではなく、分割して1年ずつ計上することをいいます。その計上が決算時に行われます。高額な設備を購入した場合、費用を一度に計上してしまうと利益と経費の合計金額がおかしくなってしまい、正確な財務状況が分からなくなってしまいます。そのため減価償却は会社の経営状況を正しく伝えるために大切な業務であるといえるでしょう。

このように年次業務特有の業務も多いので、会計業務には専門的な知識が必要になります。また期末決算だけではなく、中間決算や四半期決算を行うケースもあります。

会計業務が必要な理由

会社の経営は全て金銭のやりとりによって行われるので、月単位や年単位という広い視点で資金の流れを管理する会計業務は経営活動に必要不可欠といえるでしょう。会計担当者がいなければ、取引が適切に行えない可能性もでてきてしまうのです。また会計は金銭の管理全般を指し示す非常に範囲の広い概念です。そのため経理業務と内容が重複することも多く、経理部や経営企画部といった部署を設立し会計業務を行っている会社がほとんどです。

Remoba経理

Remoba経理

会計ソフト導入から経理業務まで一任できる、オンライン型の経理アウトソーシングサービス。実務経験豊富なプロフェッショナルな経理チームがサポートし、業務効率化と経理体制の最適化を実現します。

サービス概要

Remoba経理は、クラウド会計ソフトを使ってプロワーカーに経理をアウトソーシングできるサービスです

売上・支払・経費管理、月次決算、確定申告補助まで、ルーティン業務をまるごと外注でき、クラウドソフト未導入のお客様には選定支援なども行います。

クラウド会計運用経験者など、実務経験豊富なアシスタントがチームとなり、日々オンラインで業務を進行。会計士や税理士が監督するため、導入済みのソフトはもちろん、部署をまたぐクラウドソフトとのSaaS連携も提案可能。運営会社は、IPaaSツール開発もしており、システム連携のノウハウが豊富です。経理を含むバックオフィスのデータを一元化し、業務効率化や経理体制の最適化を実現します。

主なポイント

  • コンサルタント主導で、最適なクラウド会計ソフトの導入・運用をサポート経理業務の外注に精通したコンサルタントが現状をヒアリングし、クラウド会計システムの選定・導入・運用までトータルでサポート。現行のクラウド会計システムを使う方法はもちろん、業務圧迫が課題なら「システム連携で効率化」を、帳簿管理の精度向上には「最適な会計ソフトを選び」など、業務内容や課題に合わせて解決策を提案します。システム設計に必要な要件定義策定や、導入までのWBS作成準備も不要なため、クラウド会計ソフトに不慣れでも安心です。運用を見据えて、業務フローやルールのマニュアル化、従業員説明会で社員教育を実施して、顧客側の社内体制づくりも支援します。
  • 専門家が監督のもと、一任した経理業務をチームで正確に遂行様々な経理プロとアシスタント達が専門チームを構築。実際の作業は、経理部門立ち上げや会計ソフト導入などの実務経験を持つ、優秀なリモートアシスタントが担当。売上やキャッシュフローなどの財務状況は、クラウド会計ソフトからいつでもチェック可能です。安心して月末・年度末の帳簿管理や確定申告の補助を任せられるため、コア業務に注力できます。実務の実行を行う上、経費申請後、内容のチェックから振込データ作成や、売上確認の消込みまで管理体制としてもご依頼いただけます。退職による業務停滞や横領などの不正会計といった、属人化に伴うリスクを防止できます。
  • 部署をまたぐクラウドソフト連携も支援し、経理を含めバックオフィス業務を効率化IPaaSサービスの開発経験をもとに、複数のクラウドソフト連携にも対応。メーカーを問わず、労務、営業支援、人事、給与管理システム連携など、部署をまたぐデータの一元化が可能です。経理を含むバックオフィス業務全体を可視化することで、業務効率化やビジネスにおける迅速な意思決定を支援します。
項目内容

サービス名

Remoba経理

会社名

(株)Enigol

公式サイト

https://remoba.biz/accountant

まとめ


経理と会計の違いについてお分かりいただけたでしょうか。会計と違って経理は地味で細かい仕事ばかりでモチベーションが上がらない、という方もいるかもしれません。日々の仕事が会社にどのように貢献しているのか分からない、という場合もあると思います。しかし経理業務は会社の経営状況を分かりやすく示すための非常に重要な仕事だといえます。経理と会計の業務内容を理解したうえで、適切な業務を行うようにしましょう。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
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