中小企業・個人事業主向けにスマホ対応の勤怠管理アプリを比較。無料5選・有料12選を就業形態・操作性・コスト・連携の4軸で選び方を解説。法改正対応や36協定管理など、システム導入の判断に役立てます。

中小企業・個人事業主向けにスマホ対応の勤怠管理アプリを比較。無料5選・有料12選を就業形態・操作性・コスト・連携の4軸で選び方を解説。法改正対応や36協定管理など、システム導入の判断に役立てます。
タイムカードの集計に毎月何時間かかっていますか。紙やエクセルで管理している会社ほど、月末になると担当者が残業して計算作業に追われるという状況が起きがちです。
この記事では、スマホ対応の勤怠管理アプリを無料から本格クラウドまで比較しながら12選を紹介します。自社の規模や働き方に合ったツール選びの基準も解説しているので、導入前の検討材料としてお役立てください。
スマホを使った勤怠管理アプリは、従来のタイムカードに代わる新しい仕組みとして注目されています。この章では、紙やエクセルを使った従来の方法にどのようなリスクがあるのかを整理した上で、スマホで管理する際の2つの形式について解説します。
これまで多くの中小企業で使われてきた紙のタイムカードや、エクセル、ラインを使った手動の勤怠管理には、見落とされやすいリスクがあります。
よくある問題として、タイムカードをなくしてしまったり、他の従業員に代わりに押してもらう不正な打刻が起きたりすることが挙げられます。また、集計するときに管理者が手で書き写したり計算したりするため、間違いが起こりやすいのもデメリットです。
さらに、エクセルへの自己申告入力やラインを使った勤務報告は、客観的な記録として認められない場合があります。
労働基準監督署などの国による調査が入ったときに、正しい記録ではないと判断されてしまうリスクがあるため注意が必要です。
管理者が手作業で一人ひとりのデータを照らし合わせ、残業代や割増賃金を計算する手順は、毎月多くの時間がかかります。これらは担当者への負担が大きいだけでなく、法律違反になってしまうリスクも常に抱えています。
スマホを使った勤怠管理の仕組みには、スマホに専用のプログラムをダウンロードして使う「専用アプリ型」と、インターネットの閲覧画面からアクセスする「ブラウザ型」の2つがあります。
専用アプリ型は、スマホの機能としっかり連動できるのが特徴です。出退勤の時間を忘れないように通知を送ったり、GPSで位置情報を記録したり、顔認証やカメラを使ったりすることが得意です。画面の動きもスムーズですが、スマホのシステムが新しくなるたびにアプリも新しく対応させる必要があります。
一方でブラウザ型は、アプリをわざわざダウンロードする手間がかかりません。スマホの機種を選ばずに同じ画面で使える点がメリットです。しかし、毎回ログインし直す必要があったり、電波の届かない場所ではうまく動かなかったりするという技術的な制限があります。
スマホを使った勤怠管理に変えることで、会社にはさまざまな変化が生まれます。ここでは、実際に働くスタッフ、毎月の計算を行う管理者、そして会社全体の3つの視点から、どのような効果があるのかを紹介します。
スマホを使った打刻は、建設の現場や介護の訪問先、または自宅でのリモートワークなど、いろいろな場所で働くスタッフにとって、便利な仕組みです。
スタッフは自分のスマホからボタンを一度押すだけで、その場ですぐに出退勤を記録できます。これまでは、出勤や退勤の記録をつけるためだけにわざわざ事務所へ戻らなければならないこともありました。スマホがあれば無駄な移動や手間がなくなり、日々の業務がスムーズになります。
また、スタッフ自身が自分のスマホの画面から、これまでの労働時間やシフトの予定をいつでもすぐに確かめられるのも大きなメリットです。自分の勤務実績が目に見えることで、安心して働ける環境にもつながります。
関連記事:テレワークの労務管理は?注意点や対策を徹底解説します
総務や人事の担当者にとって、月末に全員のタイムカードを集めたり、エクセルに数字をまとめたりする実務は大きな負担になりがちです。
スマホに対応したクラウド型のシステムを導入すると、全員が打刻したデータがインターネットを通じて一瞬で本部に集まります。働いた時間や残業、深夜の勤務、有給休暇といった項目がその場で自動的に計算される仕組みです。
これにより、手作業での書き写しや計算の間違いをなくすことができます。
月末の忙しい時期に行う集計にかかる時間を大幅に減らし、担当者が本来の業務に集中できる環境をつくります。
さらに、打刻の忘れや書類の出し忘れがある人へ、システムから自動で確認の連絡を送ることもできるため、催促の手間もなくなります。
スマホのGPS機能と組み合わせることで、打刻ボタンが押された場所の位置情報や住所を同時に記録できるようになります。
さらに、スマホのカメラを使った顔写真の確認や、手のひらの静脈といった生体認証の仕組みを一緒に使うことも効果的です。
これらを利用することで、他の人が代わりにボタンを押す「なりすまし」の行為をしっかりと防ぐことができます。
会社全体のルールを守る意識が高まり、労働時間の記録に対する信頼性も向上します。また、パソコンの起動時間や動きの記録と照らし合わせる機能を持つシステムもあり、本人が気づかないうちに行ってしまう「隠れ残業」や「サービス残業」を見つける手助けにもなります。これにより、会社としての正しい労務管理が守られます。
数多くの勤怠管理アプリの中から、自社に最も合うツールを見つけるためには、いくつかの重要な基準があります。単に「人気があるから」「料金が安いから」という理由だけで選んでしまうと、導入した後に現場が混乱したり、必要な計算ができなかったりするトラブルが起こります。ここでは、中小企業や個人事業主がツールを選ぶときに必ずチェックすべき4つの比較ポイントを解説します。
勤怠管理アプリを選ぶときに一番大切なのは、自社の就業規則やスタッフの働き方にシステムが正しく対応できるかどうかです。
会社によって、正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、さまざまな雇用形態の人が一緒に働いているケースは少なくありません。また、日によって勤務時間が変わるシフト制や、外回りの多い直行直帰、在宅勤務など、それぞれの働き方に合わせたルールが細かく決まっています。
もし導入したアプリがこれらの複雑なシフトパターンや変形労働時間制に対応していない場合、一部のスタッフだけを手作業やエクセルで別管理しなければならなくなります。これでは、せっかくアプリを入れても業務を効率化する効果が半分になってしまいます。
そのため、自社にあるすべての就業ルールをシステム上で漏れなく再現できるかを事前にしっかりと確認することが不可欠です。
機能が充実していても、毎日の操作画面が分かりにくければ現場に定着しません。
特に毎日の出退勤を入力するスタッフ側の画面は、スマホの操作に不慣れな人でも迷わずワンタップで打刻できるような、シンプルで直感的なデザインである必要があります。打刻の仕方が分かりにくいと、押し忘れや入力ミスが頻繁に発生し、結局は管理者がその都度修正する実務に追われることになり、かえって負担が増えてしまいます。
また、スタッフ側だけでなく、データを管理する側の画面の使いやすさも同じように重要です。初期設定の手順や、日々の勤務データの確認、承認の手続きがスムーズに行えるかどうか、導入前に管理者と従業員の双方が無料トライアルなどを活用して実際の画面を触って確かめておくことをおすすめします。
勤怠管理アプリの料金体系は、登録する人数や利用したい機能の範囲に応じて金額が変わる従量課金制が一般的です。
「無料で使える」と書かれているアプリであっても、実際には利用できる人数に上限があったり、過去の勤務データを保存できる期間が短かったりするなどの制限がついていることがほとんどです。そのため、会社の規模が大きくなってスタッフが増えたときや、より高度な機能を使いたくなったときに、将来的にどれくらいの月額料金が発生するのかをあらかじめ計算しておく必要があります。
初期費用やサポートを受けるための追加料金、専用の打刻機械を買う費用など、表面上の月額費用だけでは見えにくい「実質的なトータルコスト」をしっかりと見極め、自社の予算内に無理なく収まるツールを選ぶことが大切です。
アプリで自動集計された勤怠データは、最終的に毎月の給与計算に反映させる必要があります。
そのため、自社で現在使っている主要な給与計算ソフト(freeeやマネーフォワード、弥生給与など)に対して、集計データをボタン一つで直接連携(API連携)できたり、スムーズにCSV形式で取り込めたりする製品を選ぶことが重要です。
データの手入力や書き換えがなくなれば、転記の手間だけでなく、重大な計算ミスを防ぐことができます。
さらに、社内でSlackやTeams、LINE WORKSなどのビジネスチャットを使っている場合は、それらのチャット画面から直接打刻や修正の申請、上司の承認ができる機能がついていると、操作の手間を大きく減らせます。日常のコミュニケーションツールの中で実務が完結するため、打刻の忘れを防ぐのにも大きな効果があります。
関連記事:給与計算の手順をわかりやすく解説!計算の注意点やよくあるミスとは?
コストを抑えて手軽にスマホでの勤怠管理を始めたい場合、無料で使えるアプリやシステムは魅力的な選択肢です。しかし、市場にあるアプリの中には、すでに新しくダウンロードできなくなっているものや、法人での管理には向かない個人向けのものも混ざっています。ここでは、最新の調査結果をもとに、それぞれの特徴とリアルな利用状況を整理しました。
アプリ名 | 無料対象 | 主な打刻方法 | 法人向け |
|---|---|---|---|
ハーモス勤怠 | 30名以下 | PC・スマホ・ICカード・Slack | ○ |
スマレジ・タイムカード | 30名以下 | PC・スマホ・タブレット・笑顔認証 | ○ |
勤務ろぐ | 基本無料 | Android・ワンタップ | △ |
タイムシート | 基本無料 | iOS | △ |
レッドカードアップ | 無料 | Apple Watch | △ |
ハーモス勤怠(HRMOS勤怠)は、働くスタッフの人数が30名以下であれば、基本的な勤怠管理の機能をすべて無料で使い続けられるクラウドシステムです。
初期費用もかからず、パソコンやスマートフォンでの打刻はもちろん、手持ちのICカードやSlackなどのチャットツールを使った打刻にも幅広く対応しています。
ただし、無料プランのままだと画面にバナー広告が表示されたり、過去のデータを見られる期間に制限があったりします。また、操作で困ったときに個別のオンラインサポートが受けられない点には注意が必要です。
お店のレジシステムで有名なスマレジが提供する「スマレジ・タイムカード」は、スタッフ数が30名以下の小さな店舗やオフィスにぴったりのアプリです。
出退勤の記録に特化したシンプルなプランが無料で用意されており、スマホのカメラを使った「笑顔認証」など、お店で楽しく使えるユニークな打刻方法が選べます。
アカウントを作ってから最初の2か月間(60日間)は、有料プランの便利な機能(シフト管理や給与計算など)をすべて無料でお試しできます。期間が終わっても自動で有料になることはなく、そのまま無料プランとして使い続けることができるため安心です。
「勤務ろぐ(勤務ろぐFree.)」は、Androidスマホで使える基本無料の打刻記録アプリです。
スマホの画面から勤務パターンを選んでワンタップするだけで、日々の出退勤時間をスマホの中に保存できます。残業時間や深夜勤務の自動集計にも対応しています。
ただし、このアプリはインターネット上のサーバーでデータを共有する仕組みではなく、個人のスマホの中にだけ記録が残る「スタンドアロン型」です。そのため、複数のスタッフの勤務状況を管理者がリアルタイムにまとめて確認する、といった法人向けの使い道には適していません。
「タイムシート - IS - 出退勤管理」は、iPhoneなどのiOS端末に向けて配信されている、個人のための勤務記録アプリです。
自分の時給や休憩時間をあらかじめ登録しておけば、毎日の出社・退社ボタンを押すだけで、働いた時間や今月の給料の予想を自動で計算してくれます。
集計したデータをCSV形式にしてメールでパソコンに送ることができるため、フリーランスの方の稼働管理や、アルバイト個人が雇い主へ今月の勤務実績を報告するためのツールとして役立ちます。
「レッドカードアップ(RedCardApp)」は、主にApple Watchからの打刻に対応した、個人向けの残業代計算・勤務記録アプリです。
スマホを開かなくても手首のスマートウォッチから手軽に出退勤を記録できるのが特徴で、記録した結果はPDFファイルなどにして簡単に送信できます。
そのため、会社に提出する簡易的な勤務報告のメモとして、あるいは個人が自分の残業時間を正しく把握しておくための自己管理用ツールとして利用するのに適しています。
無料の勤怠アプリやシステムを会社で導入するときには、法律上の重要なリスクを必ず知っておく必要があります。
一番大きな問題は、労働基準法によって「タイムカードなどの労働関係書類は5年間保存しなければならない」と決まっている点です。
例えば、先ほどご紹介したハーモス勤怠の無料プランでは、データがシステム内に残る期間は「1年間」だけと制限されています。
そのため、無料のまま法律を守るためには、管理者が毎年手作業で全員のデータをパソコンにダウンロードし、自社で5年間確実に保管し続けるというアナログな手間が発生します。また、スタッフが増えて上限の30名を超えた途端に、システムが使えなくなったり月額料金が発生したりする点にも事前の注意が必要です。
従業員が増えてきたり、シフト管理や有給休暇の管理をしっかり行いたくなったりした場合は、有料の本格的なクラウド勤怠管理システムの導入が必要です。有料システムは、法改正への自動対応や、給与計算ソフトとのシームレスなデータ連携など、無料アプリにはない強力な機能を備えています。ここでは、中小企業や個人事業主が本当に使いやすい12のサービスを、自社の課題に合わせて比較できるよう「低コスト」「統合型」「チャット特化」「実力派」の4つのタイプに分けて詳しく解説します。
タッチオンタイムは、手軽なコストで本格的な就業管理を始められる人気のクラウドシステムです。
独自の打刻端末のほか、手持ちのパソコンやスマートフォン、タブレットなど、会社の環境に合わせた多彩な打刻手段が用意されているのが大きな特徴です。
利用料金は使った人数分だけの従量課金制になっており、無駄な初期投資を抑えながら自社の現場にぴったり合う打刻環境を整えたい中小企業に向いています。
KING OF TIMEは、多くの企業での導入実績を持つ市場トップクラスの勤怠管理システムです。
スマホのGPS機能を使った位置情報付きの打刻をはじめ、顔認証や指紋認証などの生体認証、手持ちのICカード、日常のチャットツールとの連動など、豊富な打刻オプションが揃っています。
法改正に合わせた自動アップデート機能や、36協定違反を防ぐためのアラート通知機能も備わっており、低コストながら盤石な労務管理の基盤を築くことができます。
マネーフォワード クラウド勤怠は、同社が提供している給与計算ソフトや会計ソフトなどのバックオフィス製品と強く連携できるシステムです。
スマホで打刻されたデータをもとに、残業手当や深夜労働の集計結果をワンクリックで給与計算に引き渡すことができます。
データの二重入力や書き写しの手間がなくなるため、毎月の締め作業にかかる実務の時間を大幅に短縮できます。
楽楽勤怠は、すっきりとした操作画面と、導入時の手厚いサポート体制が強みのシステムです。
特に、同じシリーズの「楽楽精算」や「楽楽明細」などをすでに会社で利用している場合、操作の仕方が統一されているため、スタッフも管理者も迷わずすぐに使いこなすことができます。
社内の独自の就業ルールに合わせた柔軟な設定も可能で、バックオフィス業務の一元管理を進める上で有力な選択肢となります。
ジンジャー勤怠(Jinjer)は、人事、就業、給与明細、ワークフローといった人事労務に関するすべての情報を、ひとつの共通データベースでまとめて管理するシステムです。
スタッフの入社や異動に伴う情報の更新がリアルタイムで全機能に反映されるため、複数のシステムで同じ情報を何度も書き換える必要がありません。
データが常に一元化されているため、毎月のデータ照合にかかる労力を大きく減らすことができます。
ジョブカン勤怠管理は、シリーズ累計の導入実績も豊富な定番クラウドシステムです。
出退勤管理、シフト管理、休暇申請管理、工数管理という4つの機能の中から、自社に必要な機能だけをモジュール式に組み合わせて利用できる柔軟さが最大の特徴です。
必要な機能だけを絞って選ぶことで無駄なコストを抑えることができ、主要な給与計算ソフトとの連携にも対応しています。
バクラク勤怠は、Slackなどのチャットツールとの強固な連携が特徴のシステムです。
日常的に使っているチャットの画面上で、毎日の打刻から勤務時間の修正申請、上司による承認作業までを完結させることができます。
パソコンの起動ログから実際の勤務時間とのズレを見つけ出す機能や、36協定超過を防ぐアラート機能なども備わっており、労務コンプライアンスを自動で守る仕組みとして優れています。
キンコンは、交通系ICカード(SuicaやPASMOなど)を使った打刻に強みを持つシステムです。
スマホやタブレットにICカードをかざすだけで、出退勤の打刻と同時に電車の乗車履歴データを読み込むことができます。
そのまま交通費精算のデータとして抽出・連携できるため、外回りや社外への移動が多い組織において、日々の精算実務の手間を大幅に減らす効果があります。
MINAGINE勤怠管理(ミナジン)は、人事労務のコンサルティング経験が豊富な会社が提供する、コンプライアンス強化に特化したシステムです。
社労士の監修に基づいた設計になっており、労働基準法に沿った正しい勤怠管理が行えます。
専任のサポートチームが初期設定を支援してくれるため、自社の複雑な就業規則をどのようにシステムに反映させればよいか分からない企業でも、安心して導入を進められます。
キンタイミライは、ホテル、飲食、小売、物流など、スタッフ数が多く勤務形態が複雑な業界で広く選ばれているシステムです。
「複数店舗へのヘルプ時の人件費集計」や「独自の休日管理」といった現場ごとの特殊なルールにも柔軟に対応できます。
専任のコンサルタントが自社の運用に合わせてシステムを調整してくれるため、現場の使いやすさにフィットさせることが可能です。
コレクトタイムナビは、「手のひら静脈認証センサー」を利用した、生体認証に特化した勤怠管理システムです。
機械に手をかざすだけで、約1秒で出退勤を自動記録します。
ICカードの貸し借りによるなりすまし打刻を物理的に防ぐことができるため、同じ時間に大勢のスタッフが出退勤する工場や倉庫、店舗など、厳格な管理を行いたい現場に高い効果を発揮します。
WiMS勤怠/SaaSは、自社独自の高度な就業管理にも対応できるクラウドサービスです。
フレックスタイム制や変形労働時間制、時差勤務、テレワークなど、多様化する働き方に柔軟に対応できる機能を備えているのが特徴です。
システムの提供にとどまらず、丁寧なコンサルティング・サポートが受けられるため、自社の特殊な運用ルールや勤務形態にフィットさせた就業管理体制を整えたい組織に向いています。
これまでは会社やチームで従業員を管理するためのシステムを中心に紹介してきましたが、ここでは働くスタッフが「自分個人のため」に日々のシフトや労働時間をスマホに記録したい場合に役立つアプリを2つ紹介します。パート・アルバイトの給与計算や、フリーランスの作業時間管理に活用できます。
シフトボードは、アルバイトやパートタイムで働いている人から人気を集めている個人用のシフト管理アプリです。
複数のアルバイト先を掛け持ちしている場合でも、すべてのスケジュールをひとつのカレンダーにまとめて色分け管理できます。それぞれの勤務先ごとに時給や深夜時給、交通費、休憩時間などを細かく設定しておくことで、登録したシフトに応じた月々の給料の目安を自動で計算してくれます。
さらに、稼いだ累計金額をリアルタイムで把握できるため、税金の扶養控除の枠(いわゆる103万円の壁など)を意識しながらスケジュールを調整したい場合に役立ちます。
Toggl Trackは、フリーランスや個人事業主、ビジネスパーソンが「どの業務や案件に、どれだけの時間を使ったか」をワンタップで計測・記録するための時間管理専用アプリです。
スマホアプリだけでなく、パソコンの画面やインターネットブラウザともリアルタイムでデータを同期させることができます。
どのクライアントの作業にどれだけの時間を費やしたかがグラフのレポートとして確認できるため、個人の作業効率を振り返る分析や、クライアントへの請求書作成時の時間証明のデータとしても役立ちます。
個人向けのアプリや簡易的な無料システムは、少人数のうちは手軽で便利ですが、会社が成長するにつれて徐々に管理の限界を迎えることになります。ここでは、組織が大きくなるタイミングで直面する課題と、打刻の先にある「労務まわりの実務全体」をどのように効率化していくべきか、具体的な次のステップを解説します。
働くスタッフの人数が増えてきたり、正社員のほかにパートやアルバイトなど異なる雇用形態の人が混ざってきたりした段階が、簡易的なスマホアプリによる管理から切り替えを検討すべき段階です。
人数が増えると、スタッフごとに異なる有給休暇の付与日(入社してから半年後の自動付与など)や、それぞれの消化日数を手作業で追いかけることが難しくなります。また、個々のシフト調整や突発的な勤務変更をすべて管理者が目視でチェックしていると、書類の出し忘れや確認漏れといった人為的なミスが起こりやすくなります。
無料ツールの人数上限を超えてしまう前に、組織の成長に合わせたより確実な管理方法への切り替えを検討することが大切です。
関連記事:勤怠管理システムおすすめ17選|人事労務BPO視点で選び方を解説
組織が大きくなったタイミングでは、単に出退勤の時間を記録するだけでなく、労務に関する一連の手続きをすべてシステム上でつなげることがコンプライアンスを守る上で重要になります。
具体的には、残業や休日出勤を事前にスタッフが申請し、上司がスマホからボタン一つで承認できる「ワークフロー機能」や、法律で義務づけられている「年次有給休暇管理簿」の自動作成、残業時間が法律の基準を超えそうになったときに自動で警告を出す「36協定アラート機能」などを網羅した仕組みが欠かせません。
これらの手続きが一つにまとまることで、管理者が個別に注意喚起や催促をする手間がなくなり、法律に沿った健全な労働環境をシステムが自動で守ってくれるようになります。
関連記事:残業時間のアラート機能におけるメリット・デメリットを多角的に検証
高機能なクラウドシステムを導入しても、データの確認や給与計算への反映、入退社手続きといった日々の実務は、どうしても人の手が必要です。
社内の担当者が少ない、または他業務と兼務しているといった状況では、システムを導入するだけでなく「誰が回すか」を同時に考えることが重要です。
実務そのものを外部のプロに委託するという選択肢もあります。「Remoba労務」のような労務代行サービスでは、勤怠データの集計や給与計算、入退社手続きなどのバックオフィス実務をリモートで代行しています。MoneyForward・freee・KING OF TIMEをはじめとした主要な労務クラウドにも対応しており、現在利用しているツールに合わせた運用体制を整えやすくなります。
関連記事:【2026年最新版】人事労務アウトソーシングおすすめ11選比較
スマホ対応の勤怠管理アプリやシステムを新しく導入するにあたって、多くの経営者や労務担当者の方が迷いやすいポイントをよくある質問としてまとめました。法律に関わる重要な注意点もありますので、導入前の最終チェックとしてぜひ参考にしてください。
理論上は従業員が少ない企業であれば可能ですが、会社の成長や日々の運用管理の手間を考えると、早い段階で有料システムへ移行する方が現実的です。
無料プランの多くは、登録できる人数に「最大3人まで」「10人まで」といった制限が設けられています。そのため、スタッフが急に増えたタイミングで管理ができなくなったり、急に有料プランへの切り替えを迫られたりするリスクがあります。
また、操作画面に広告が表示されて実務の邪魔になったり、トラブル時に頼れるカスタマーサポートが付いていなかったりするケースがほとんどです。トラブル対応にかかる時間や、将来的な人数制限の壁を考えると、最初から月数百円の有料システムへ投資しておく方が、管理者の時間を無駄にせずに済みます。
一番大きな違いは、「法律を守るための管理をシステムが自動でやってくれるか、それとも管理者の手作業でカバーしなければならないか」という点にあります。
有料のクラウドシステムであれば、法改正に合わせたシステムの自動アップデート、過去の勤怠データの長期保持、36協定の時間を超えそうなスタッフへの自動アラート通知など、労務リスクを未然に防ぐための機能が標準で備わっています。操作で困ったときに専門スタッフにすぐ相談できるサポート体制もあります。
無料アプリでは、これらのリスク管理や法改正への対応を管理者が自分の知識と手作業で行わなければならないため、目に見えない実務コストが大きくなってしまいます。
無料アプリの多くは、毎日の打刻と勤務時間の合計計算に絞られているため、法改正にともなう細かい労働時間のチェックや、有給休暇の管理をシステム上で行うのは困難です。
特に時間外労働の上限規制(36協定)に違反した場合、会社に対して「30万円以下の罰金」などの罰則が科されるリスクがあります。スタッフごとの残業時間を常に正確に把握し、有休の取得状況も含めて簡易的な無料アプリだけで管理し続けるのは人為的なミスにつながりやすく、防衛ラインとしては不十分です。
会社を法的なリスクから守るためには、残業時間の上限が近づいた際のアラート機能や有休の管理機能がついた有料のクラウドシステムを利用するのが確実な選択肢となります。
関連記事:【労働基準法改正】2020年4月〜|残業代請求等の変更点を総合的に解説
スマホを活用した勤怠管理は、直行直帰やリモートワークなど柔軟な働き方を支え、バックオフィスの生産性を大きく向上させる手段です。
今回の重要なポイントを改めて振り返りましょう。
まずは無料プランや体験期間を活用して、実際の画面を触ってみることから始めましょう。自社に最適なシステムが見つかれば、毎月の集計にかかっていた無駄な時間をなくし、本来のコア業務に集中できる環境をつくることができます。
また、システムの選定や日々の運用チェック、給与計算などの実務そのものを一括して効率化したい場合は、「Remoba労務」のような外部プロへの委託もぜひ視野に入れてみてください。