項目 | 内容 |
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サービス名 | Remoba労務 |
会社名 | (株)Enigol |
公式サイト | https://remoba.biz/hr |
2020年民法改正に伴い旧来から多くの企業で使用されていた身元保証書について変更する必要性が出てきました。身元保証書は多くの場合、実際に使われることは少なく、注目度は高いとは言えません。しかし、旧来から同じ運用で進めていくとなると実効性が確保できないことから法改正に即した労務管理が必要となります。
2020年民法改正に伴い旧来から多くの企業で使用されていた身元保証書について変更する必要性が出てきました。身元保証書は多くの場合、実際に使われることは少なく、注目度は高いとは言えません。しかし、旧来から同じ運用で進めていくとなると実効性が確保できないことから法改正に即した労務管理が必要となります。
今回は民法改正に伴う身元保証書について解説してまいります。
身元保証書とは従業員が不祥事を起こして会社に損害を与えた場合、身元保証人が本人とともに賠償することを求める書類です。
しかし、実態としてはそのような事態が発生する頻度は多いは言えず従業員に対して「責任ある行動を促す」ことが主目的となっていると考えます。
労働基準法第16条では賠償予定の禁止として以下の条文が規定されています。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならないとされています。本条文の趣旨は、このような違約金制度や損害賠償額予定の制度が強制労働の発端となり、労働者の自由意思を不当に拘束することを防止することにあります。
また、使用者が労働者の親権者や身元保証人との間で親族又は身元保証人が当該労働者の行為について違約金又は損害賠償額の支払義務を負担する契約を締結することも禁止されています。尚、本条に違反した場合、使用者は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。
違約金とは労働者が労働契約を守らない場合に使用者に損害が発生しなくても予め約束しておいた金額を取り立てることができるということです。賠償予定とは債務不履行の場合に賠償すべき損害額を実際に発生した損害額に関わらず一定の金額として定めておくことです。この契約を定めておけば実際に損害が発生した場合にその都度損害額を証明せずとも予定された金額を請求できてしまうことになります。一般的な契約ではむしろ予定することは通常ですが、労働契約では損害賠償の予定をすると労働者が委縮してしまい、円滑な労務の提供が困難になり、場合によっては実際の損害額よりも多くの額を支払うこともあり得ます。そこで、労働契約では賠償予定の禁止がなされています。
尚、労働基準法第16条は金額を予定することを禁止するのであり、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止しているわけではありません。
2020年4月民法改正により、旧来から多くの企業で採用されてきた身元保証書について新たな対応が必要となりました。旧来までは極度額を定めずに身元保証契約が成立していましたが、2020年4月から極度額の上限を決めておかなければ無効となります。
極度額とは損害が発生した場合に責任を負う額の上限であり、法律上、極度額の具体的な金額について定めはありません。当然、業種や企業規模等にもよって異なることから、画一的な議論は馴染みません。しかし、あまりにも高額な極度額を定めてしまうと身元保証人が見つからなくなる点は想像に難くありません。
また、金銭的な面だけでなく、従業員自身に対して責任ある行動を促すという道徳的な側面もあることから、企業としての極度額の設定は経営層等を含めて議論すべきでしょう。
採用時の必要書類として身元保証書がありますが、法律上は必ず提出しなければならないものではありません。企業の採用面接では少ない選考時間の中で細部までは見極めることは困難なことから、採用する人物の信頼性を確認する意味で取得するという企業もあります。
また、それだけでなく、あってはなりませんが従業員の行為により会社に対して損害賠償が生じた場合に身元保証書を取得しておくことで従業員および身元保証人に対して損害賠償を請求することができます。例えば新卒従業員では多くの場合支払い能力がありませんので、そのような場合は身元保証書を取得する典型例と言えます。よって、身元保証人自体も支払い能力がある人物(新卒で入社の場合は親等)が相応しいと言えます。
身元保証はあくまで従業員がトラブルを発生させた場合に責任を負うこととなるので、そのようなトラブルが全くなければ身元保証書の身元保証人に対して企業が働きかけをすることはほとんどありません。また、損害賠償を求める以外においては、従業員が出勤してこなくなり、かつ連絡がつかない場合に身元保証人に連絡を取り、従業員の動向を聞くことなどもあり得ます。
また、企業にも管理責任があることから、身元保証を結んだからと言って画一的に身元保証人に対して全ての責任を負わせられるとは言えません。
保証期間については書面に期間を記載していない場合は原則として3年となります。しかし、保証期間を設定しておくことで、最長5年まで設定可能です。また、更新(更新をする場合も更新後の期間のみで5年を超えることはできない)をする場合にはその旨の記載をしておく必要があります。また、従業員の現住所、氏名、生年月日並びに身元保証人も同様の内容の記載を求め、かつ、従業員との関係も含めておくことが適切です。
正社員はもちろんのこと、パートやアルバイトであっても、高額商品等を扱う場合は締結する企業は多くあります。この場合はパートやアルバイトの責任ある行動を促すことが挙げられます。
企業の書式によっては、身元保証書の提出時に印鑑証明書の提出を求める場合があります。これは、身元保証人が偽りでないことの確認をするためなどの目的がありますが、必須ではありません。
まずは、支払能力があるかが重要です。新卒学生が入社する場合に学生である弟や妹が身元保証人となっている場合、親などに比べて支払い能力があるとは言えない場合が多いでしょう。また、年齢的な観点も持ち合わせておくべきです。例えば身元保証は数年後にトラブルが発生した場合に既に身元保証人が高齢のために他界しているというケースも想定されます。
身元保証書の提出を義務として課せるのかという論点については、企業の定めに委ねられることとなりますので、義務として課すこと自体は問題ありません。企業目線でも従業員がトラブルを引き起こした場合の「保険」として、取得しないことによるデメリットは大きいと言えます。
そこで、就業規則や入社前の説明として就職承諾書と身元保証書の提出を(事実上)義務化する企業は少なくありません。当然、履歴書と同様に詐称した場合は企業との信頼関係に亀裂が生じることから退職勧奨や解雇にまで発展する可能性もあります。
元従業員が所属していた企業と競合関係にある企業に就職することや、自ら競合関係となる企業を設立する行為を禁じ、それを遵守することを義務としていることです。
実質的には会社の利益を保護するために競業避止義務を課すこととなります。まず、競業避止義務を定める場合は対象者を特定する必要があります。例えば取締役と開発者に限るなどが挙げられます。これは一般の従業員まで画一的に含めてしまうと憲法で保障する「職業選択の自由」があることから、その必要性にも疑問符がつきかねません。
よって、定める場合は禁止期間、職種、地域的範囲を就業規則等に明文化し、代償措置として一定の手当を支給するなどが想定されます。また、競業避止義務違反(労働者が就業規則に反して同業他社に就職した場合)のため、退職金を没収・減額された場合において支給すべき退職金の支給額を自己都合退職の半額と定めることも退職金が功労報償的な性格を併せ有することも鑑みれば合理性のない措置とは言えないとされています。
身元保証書と同じタイミングで提出を促すことが多い書面である誓約書について確認しましょう。
これは、在職中に知り得た情報について使用または第三者に開示、漏洩しないことなどを誓約させる書面です。他には履歴書等の記載事項は事実に相違しないこと、就業規則等を遵守し誠実に勤務すること、会社が指示する健康診断やその後の再検査への受診、報告を行うこと、社員としての品位を損なう行為をしないこと、故意または重大な過失により会社に損害を与えた場合は賠償をすること(身元保証書の取得により身元保証人にもその義務を課す)などが規定されています。
従業員が業務上、背信行為を行った場合、身元保証人に責任が生ずる場合等は会社として身元保証人へその旨の通知をする必要があります。会社が通知を怠っていた場合、身元保証人の責任が軽減し、または、責任を求めることができない場合もあります。
身元保証人が従業員の職務が変わったことにより身元保証人を辞退したい旨の申し出をしてくることがあります。
例えば従業員の職務の形態が現場労働から経理業務に異動したことにより金銭に触れる機会が多くなったことから身元保証人を辞退したいというケースです。一度身元保証人になったからといって企業が辞退を拒む権利まではありません。また、従業員が私的な交際費を経費と偽って請求し、戒告処分にし、身元保証人に責任は及ばなかったが今後も同様の行為が予想されることから、辞退したいとのケースも想定されます。また、目の行き届く勤務地であったことから身元保証人を受け入れたが、地方へ転勤となった場合には責任を全うできないことから、辞退したいとのケースもあるでしょう。
労働基準法上の書類の保存期限は3年間とされていますが、身元保証は期限を設定しておくことで最長5年となることから、当該期間は保存しておく必要があります。
また、身元保証書には身元保証人の連絡先等の記載もあり、個人情報にあたることから、その取り扱いは慎重に行わなければなりません。
身元保証書を取得する際には極度額を設定しない場合、無効となることから身元保証人のなり手が見つからず、採用時に提出書類が揃わないなどの問題が生じ得ます。そこで、あえて身元保証書の取得を求めず、緊急連絡先程度を取得しておくことに留めるという労務管理もあります。
その場合、身元保証人は存在しないために、従業員が損害を発生させた場合にその負担を身元保証人に求めることはできないために、企業が損害を被ることはあり得ます。そこで、管理職研修や社員教育に力を入れてそもそもトラブルを発生させない企業運営に舵を切るという発想もあります。
身元保証書を金銭や高額商品を扱う労働者に限定して取得するという管理もあります。当然画一的に管理するよりも事務負担は軽減することから人事労務担当者としての負担は少なくなりますが、人事異動が発生した時にそのタイミングで取得するかといった問題も生じ得ます。
身元保証人は必ず一人でなければならないということはありません。念のため複数名の設定をする企業もあります。一人の場合は他界した場合や病気療養中の場合に実効性がなくなってしまうということもありえるため、複数名の方が企業としての「保険」はあると言えます。
しかし、複数名の場合はそもそも身元保証人のなり手が揃わない(片親の労働者など)といった事態も想定されます。
身元保証書の提出が拒否された場合に採用内定を取り消すことが可能かという議論も起こり得ます。この場合は、地裁判決ではあるものの「身元保証書を提出しなかったことは従業員としての適格性に重大な疑義を抱かせる重大な服務規律違反又は背信行為というべき」として、解雇有効の判例があります。
しかし、判例はその会社にとっての判決であり、全ての会社で同一の対応をしたとしても全く結果が同じとは言えません。業務の特殊性(例えば金銭を扱う業務)によっては、身元保証書に占める重要性は高いと言えることから、企業ごとに異なった対応になるのが通常です。
身元保証書は多くの場合、実際に使われることは少なく、残業時間の上限規制などと異なり、注目度は高いとは言えません。しかし、旧来から同じ運用で進めていくとなると実効性が確保できないことから法改正に即した労務管理が必要となります。また、書式についても他社のフォーマットをそのまま転用するのではなく、自社の実態に即した形(特に極度額の設定)に修正するなどして、実効性のある運用が望まれます。
サービス概要
Remoba労務は、労務クラウドサービスの導入・運用をオンラインワーカーが担うアウトソーシングサービスです。
人事・労務の実務経験者を中心とした、オンラインワーカーのチーム制で、労務を丸ごと代行します。入退社の手続きや勤怠管理、給与計算、年末調整、健康診断の案内など、幅広くカバー。業務は独自マニュアルや管理ツールで可視化されるため、属人化やミスを防止して品質を確保しながら、業務効率化が可能です。
複数のクラウドサービスを活用してWeb上で資料回収・提出を行うため、データのやり取りもスムーズ。リモートワークをはじめとした、柔軟な働き方ができる職場環境の構築も支援します。
チーム体制で実現する低コスト・ハイクオリティな労務アウトソーシングサービス
入社手続き、給与計算、勤怠管理、健康診断の案内など、広範な労務業務を労務を丸ごと代行。経験豊富なアシスタントがオンラインで業務を担当し、品質管理が徹底されています。Remoba労務のアシスタントはITリテラシーが高く、普段ご利用のコミュニケーションツールで対応可能です。アシスタントチームが必要だけど社員が行わなくてもよい労務ルーティーンの仕事実作業を担うことで、労務業務の属人的な処理を排除し、リスクを低減。そして、労務コストの削減が可能で、経理体制の最適化を実現します。
クラウドサービスで労務管理を効率化:Remobaの中立コンサルティングと一元化ソリューション
クラウドサービスを活用することで、業務効率化を強力にバックアップ。MoneyForwardクラウドや人事労務freee、SmartHRなど、様々なクラウドサービスに登録された従業員情報や給与情報といった従業員マスタを一元化できます。
さらに、Remobaはクラウドシステムと労務管理のコンサルティングを提供しており、中立の立場から最適なクラウド設計・導入のノウハウを提案します。これにより、効率的な労務管理とシステムの統合が実現します
独自マニュアルと可視化ツールで実現する業務最適化とリスク管理
独自マニュアルを整備することで、アウトソース後の業務標準化を実現。担当者の退職リスクや業務のブラックボックスに伴う属人化を防止し、業務品質を高められます。
業務の進捗は、業務プロセスの可視化タスク管理ツールを用いて管理。プロセスの全体像やTodoを明確化することで、ミスや抜け漏れを削減しながら、スムーズな業務遂行を可能にします。
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株式会社Enigol
株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。