2022年4月1日以降、中小企業にもいわゆる「パワハラ防止法」が施行されました。大企業については2020年6月1日から施行されていますが、言うまでもなく大企業と同じ取り組みを行うのは難しいと考えるのが妥当です。今回は中小企業が取り組むべきパワハラ防止法への対応について、条文と罰則を確認したうえで解説します。
この記事の結論 Q. パワハラ防止法に違反すると、中小企業はどうなるのか?
刑事罰(罰金・懲役)はありません。 ただし助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表 されます(労働施策総合推進法33条2項)。また、報告徴収に応じない・虚偽の報告をした場合は20万円以下の過料 が科されます(同法36条1項・41条)。
実務上より重いのは、損害賠償(民法709条・715条)、安全配慮義務違反(労働契約法5条)、労災認定 という民事・行政のリスクです。 中小企業も2022年4月1日から義務の対象 です。猶予期間はすでに終了しています。さらに2026年10月1日に改正法が施行 され、カスハラ対策・就活セクハラ対策が新たに義務化されます。今回は中小企業の猶予措置がありません。 パワハラ防止法とは 正式名称と位置づけ 「パワハラ防止法」という名前の法律は存在しません。2019年(令和元年)の労働施策総合推進法 (正式名称:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)の改正で、職場のパワハラ防止措置を事業主に義務づける規定(30条の2〜30条の8)が追加され、この部分が実務上「パワハラ防止法」と呼ばれています。
それまでパワハラは、セクハラ(男女雇用機会均等法)やマタハラ(育児・介護休業法等)と違って法律上の措置義務がなく、民事の損害賠償で事後的に争われるのが中心でした。この改正により、「起きてから対応する」から「起きないよう体制を整える」へ と企業に求められるものが変わりました。
なお、パワハラの定義や6類型、調査の進め方については別記事で詳しく解説しています。
関連記事: パワハラの定義とは?相談された時や発生時の対応、事例、調査方法
中小企業はいつから義務化されたか 対象
時期
内容
大企業
2020年6月1日
パワハラ防止措置が義務化
中小企業
2020年6月1日〜2022年3月31日
努力義務(猶予期間)
中小企業
2022年4月1日
パワハラ防止措置が義務化
すべての事業主
2026年10月1日
カスハラ・求職者等セクハラ対策が義務化/パワハラ指針も改正
「中小企業」の範囲 猶予期間は終了しているため、現在は企業規模による義務の差はありません。ただし助成金や支援制度の対象判定で使われるため、定義は押さえておくと便利です(資本金・出資総額または 常時使用する従業員数のいずれか を満たせば中小企業)。
業種
資本金・出資の総額
常時使用する従業員数
小売業
5,000万円以下
50人以下
サービス業
5,000万円以下
100人以下
卸売業
1億円以下
100人以下
その他(製造業・建設業・運輸業等)
3億円以下
300人以下
パワハラ防止法に罰則はあるのか 措置義務違反そのものに刑事罰はない 30条の2が定める措置義務に違反しても、罰金や懲役といった刑事罰の規定はありません。 ここだけを見て「罰則がないなら後回しでよい」と判断する中小企業がありますが、リスクは別の形で存在します。
中小企業が実際に負うリスク リスク
根拠
内容
助言・指導・勧告
労働施策総合推進法33条1項
厚生労働大臣(委任を受けた労働局)による行政指導
企業名の公表
同法33条2項
勧告に従わない場合。採用・取引への影響が大きい
20万円以下の過料
同法36条1項・41条
実施状況の報告を求められて報告しない、または虚偽の報告をした場合
損害賠償(行為者)
民法709条
不法行為責任
損害賠償(会社)
民法715条
使用者責任。会社が被告となる
安全配慮義務違反
労働契約法5条、民法415条
相談を受けながら放置した場合に問われやすい
労災認定
精神障害の労災認定基準
2023年の改正で「パワーハラスメント」が独立の出来事として明記
過料20万円より重いもの 過料の金額そのものより、企業名公表と損害賠償、そして採用難や離職という形で跳ね返るコスト の方が、中小企業にとっては圧倒的に重いというのが実務的な評価です。
企業名公表は、労働局の指導に対して「対応しない」という選択をした事実が公になることを意味します。求人を出しても応募が来ない、取引先の審査で引っかかるといった影響は金額に換算しにくい一方で、長期間続きます。
また、安全配慮義務違反は「パワハラがあったこと」ではなく「相談を受けたのに適切に対応しなかったこと」 で成立します。窓口を作らない、作っても機能させないことが、そのまま会社側の敗因になり得るという点は押さえておくべきです。
条文はどうなっているか 30条の2(雇用管理上の措置等) 第1項は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう 、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない、と定めています。
第2項は、相談したこと、事実確認に協力したことを理由とする不利益取扱いの禁止 です。解雇、有期契約の更新拒否、降格などが「不利益取扱い」にあたります。この第2項が、相談窓口を実際に使える窓口にするための法的な裏づけになっています。
30条の3(国・事業主・労働者の責務) 研修の実施などにより労働者の関心と理解を深めること、事業主自身(法人の場合は役員)も自らの言動に必要な注意を払うこと 、労働者も他の労働者への言動に注意を払うことが、それぞれ努力義務として定められています。
事業主・役員自身も名宛人になっている点は見落とされがちです。トップの一言がそのまま現場の基準になる中小企業では、ここが実質的に最も効きます。
33条(助言・指導・勧告および公表) 厚生労働大臣は事業主に対し助言・指導・勧告を行うことができ、勧告に従わない場合は企業名を公表できます (33条2項)。刑事罰がない代わりに、この公表制度が実効性を担保する仕組みになっています。
【2026年10月1日施行】改正で何が変わるか 2025年6月11日に公布された改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号) により、2026年10月1日から職場のハラスメント対策が強化されます。
新たに義務化される2つの対策 カスタマーハラスメント(カスハラ)対策 顧客・取引先など外部からの著しい迷惑行為について、事業主に雇用管理上の措置義務が課されます。これまで指針上「望ましい取組」とされていたものが、法律上の義務に格上げされました。求職者等に対するセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)対策 採用面接やOB・OG訪問など、雇用関係に入る前の求職者に対するセクハラについても防止措置が義務づけられます。パワハラ防止指針も改正されている 2026年2月26日、カスハラ防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)と求職者等セクハラ防止指針(同第52号)が公布され、あわせて既存のパワーハラスメント防止指針も改正されました。 3つの指針はいずれも2026年10月1日から適用されます。
つまり「パワハラ対策は2022年に対応済み」という企業も、改正指針に沿って社内規程と相談窓口の運用を見直す必要があります。
今回は中小企業に猶予がない パワハラ防止措置のときは中小企業に約2年の猶予がありましたが、今回の改正に経過措置はありません。 労働者を1人でも雇用していれば、個人事業主も含めて2026年10月1日から一律に義務の対象です。
カスハラ対策とパワハラ対策は、「方針の明確化・周知」「相談体制の整備」「事後の迅速・適切な対応」という骨格が共通しています。別々の制度として二重に作るのではなく、既存のパワハラ相談窓口をハラスメント全般の窓口に拡張する のが、リソースの限られる中小企業には現実的です。
事業主からの方針等の明確化と周知・啓発 まずは事業主自らが先頭に立ち、パワハラを根絶する旨の方針を明確に示すことが求められます。これは大企業であっても必要な取り組みですが、大企業の場合、事業主があまりにも遠い存在であるケースが多く、むしろ中小企業の方が事業主を身近に感じられるケースが多く、プラスに働くことが期待されています。
また、単に周知するだけでなく、継続的に啓発活動も続けていくことが求められます。例えばポスターの掲示などが一例として挙げられますが、パワハラの難しい部分として、パワハラ行為者自身が業務上の必要性を重んじ、パワハラを行っているという自覚すらない ことです。パワハラ行為は決して褒められる行為ではなく、無用な離職や休職者を出さない為にも根絶すべきですが、前提として行為者に意識を変えてもらう意味でも継続的な啓発活動が求められます。
職場におけるパワハラの内容の周知・啓発 一概にパワハラと言っても、職種によってある程度の線引きはやむを得ないと考えます。特に一つのミスが人命に直結するような医療業などはある程度の強い叱責はやむを得ないと考えますが、いくら業務上の必要性があるとはいえ人格を否定するような発言は必要性に疑問符がつきます。ここからがパワハラという線引きは難しいものの、最低限のルールとして、指導と称した「人格否定」など、明らかに業務とは関係性のない部分の指摘については差し控える旨の周知 が求められます。
中小企業の場合、大企業と比べて業務の線引きをすることが難しく、一時的に慣れない業務を代わりに行うというケースも少なくありません。その場合、業務を依頼した方としては旧来と比べて仕事のスピードや精度が落ち、感情的な対応をしてしまうこともありますが、そもそも大企業と同じように業務が回ることの方が稀です ので、前提として上長等から先行的に指導しておくべき内容です。
行為者に対する厳正に対処する旨の周知・啓発 明らかに業務上の必要性を超えた指導があったことが(通報等を含めて)確認された場合、当該行為者に対して厳正に処分をする旨の周知をすることが求められます。また、必要に応じて就業規則の変更 も必要です。例えば懲戒処分を科すとしても、就業規則に何も定めがない状態では実際に懲戒処分することは難しいのが現状です。また、実際に懲戒処分に至ることは多いとは言えず、「抑止力」としての期待も込めて 当該周知をすることの必要性が挙げられます。
大企業であれば就業規則の作成・変更について専門の部門を設けているケースがありますが、中小企業の場合、そこまで人的リソースがないことが一般的です。すなわち、通常業務と並行せざるを得ないケースがほとんどですが、問題が起きる前に整備しておくことが有用です。
相談体制の確保 パワハラ被害者目線でも、一度強い叱責を受けただけでパワハラと自覚するケースは多いとは言えません。複数回同じようなケースに遭遇するとなればパワハラの議論のフェーズに移行しますが、その時には既に医学的に職業生活や日常生活に支障をきたしている というケースがあります。それを早い段階で抑止する意味でも相談体制の確保が求められます。
関連記事: ストレスチェックの義務化とは?50人未満にも適用されたのはいつから?
相談窓口の設置と周知 実際に相談窓口を設置しただけでは意味がありませんので、労働者に周知することが求められます。この点、大企業との相違点として、相談窓口の相談対応者が「元上司」となると、むしろ最も相談しづらい相談相手となってしまう ことがあります。大企業であれば人員も豊富でそのような確率は低くなりますが、中小企業の場合は大企業のようにはいきません。しかし、それを理由に設置しないのは本質的でなく、窓口があることで抑止力としての効果も期待できます。
万が一、どうしても社内の人員では窓口担当者としての本来の役割が期待できないという場合、外部の専門家(社会保険労務士等)に相談窓口担当としての役割を担ってもらう などの選択肢があります。外部の専門家に依頼するメリットとして、様々な事例を経験しており、その中から自社で起きている事案に近い助言をもらえることや、特段、社内の人員と懇意な関係性をもっていないため、客観的な意見をもらえることが挙げられます。
関連記事: 労務と人事の違い|労務担当者の役割と求められる能力とは
また、大企業であれば定期的に親会社等からの外部監査等を経て実効性のある運営ができているのでしょうが、中小企業ではそこまで対応できているケースは稀ですので、大企業以上に専門家の活用が望まれる と言えます。
相談窓口担当者の相談内容に応じた対応 前提として、まずはプライバシーの保護を約束し、相談者の話を傾聴することが求められます。余程の事情がなければ、わざわざ相談窓口に足を運んでまで虚偽の申告をする必要性も乏しいため、性善説を前提に話を聞く 必要があります。次に、単に話を聞いただけでは被害が解消されるケースはほとんどありません。注意点として、対応が後手に回ったことで相談者の被害が深刻化すること と、二次被害を誘発させてしまうこと です。
相談終了後の事後対応 まずは事実関係を正確に聴取することが求められます。そして確認する内容として、相談があった旨を(所属長等に)開示して良いのか否か、また、調査を進めていくにあたり匿名を希望する場合、調査に時間を要する点を話しておく必要があります。
上長に話がいくことで不利益な取扱いをすることはあってはなりませんが、必要以上に配慮されることを嫌がる場合があります。 その背景には、そのような限度を超えた配慮をきっかけに相談したことが周囲に分かってしまうことを危惧する従業員がいるということです。
なお、第三者からの聴取を含む具体的な調査の進め方については別記事で解説していますが、中小企業の場合、聞ける人数にも限界がある ため、大企業と比べて速やかな調査が可能な反面、実効性のある第三者の選抜と、物理的にも被害者等のプライバシーの保護がどこまで可能かが鍵 となります。
関連記事: パワハラの定義とは?相談された時や発生時の対応、事例、調査方法
事実確認後の行為者に対する措置 懲戒処分を科す場合、就業規則に規定を設けておく必要があります。 刑法に触れるような悪質なケースは議論すべきですが、一般的に「初犯」でいきなり懲戒解雇することは難しい と言えます。懲戒解雇の他には諭旨解雇、降格、出勤停止、減給、譴責、戒告等があります。被害の内容によっては、一時的に行為者を出勤停止として、更なる社内調査をするケースもあります。
関連記事: 懲戒処分とは?懲戒の種類や程度、目的をわかりやすく解説
中小企業の場合、大企業と比べて過去の処分事例等は少ない点が否めません。よって、判断に迷う場合には積極的に行政機関や専門家へ助言をもらうことが重要 です。行為者に対して過度な対応をしてしまうと、今度はそのことが問題となるケースがある為です。
再発防止のための措置 行為者への措置が終了しただけでは対応として十分ではありません。行為者への措置以上に重要な点として、再発防止努力です。社内で実際に起きた事例を公表することについては抑止力へも繋がるとの見方もできなくはないですが、まずは被害者に確認すべきです。実務上、被害者の精神衛生上も詳細まで公表することは控えるべきです。
再発防止の為の措置は事実確認ができなかった場合も行うべきです。 今回たまたま1件のパワハラ行為が明るみにでただけで、実際には氷山の一角にすぎないというケースもあり得ます。再発防止の為の措置は、初動対応が適正であったかの精査や、そもそも未然に防ぐことは不可能だったのかも含めて議論すべきです。
中小企業の場合、再発防止のための委員会を結成する場合、大企業と比べてメンバーも少数化する傾向にあり、常に欠席者がいるという状態は回避しやすく、メンバー間の意思の疎通は、むしろ大企業以上に取りやすい傾向にあります。
その他併せて講ずべき措置とは 窓口設置等を進めてもプライバシーの保護が十分でなければ、利用者目線として相談窓口としての機能を果たすことは難しくなります。また、パワハラ行為者であっても、相談があった段階ではパワハラ認定ができていないために、行為者も含めてプライバシーの保護が求められます。
研修の実施 研修を実施することでパワハラを自分事として感じてもらうよう、研修を実施する企業が増えています。この点、大企業であれば外部講師等を積極的に登用できるのでしょうが、中小企業となれば、そもそも研修機会の確保も難しい場合が想定されます。しかし、年間を通して全く実施しないのと1度であっても実施するのでは全く違います。
また、研修の実施をすることでパワハラに対して過敏になり、パワハラの相談が増えて業務に支障をきたしているという声もあります。全く相談がなく、被害者の状態が医学的に重篤な状態となってから発覚するのも問題ですが、研修を実施することでかえって相談件数が増えることは中小企業に限った話ではありません。
相談にあたってプライバシーの保護が求められるのはパワハラに限った話ではなく、相談時に話が波及し、性的指向や性自認、病歴等に話が及んだ場合もプライバシー保護の領域に含まれます。 実際に業務時間中にどの程度配慮すべきかについては企業によって異なりますが、少なくとも本人の同意なく暴露する行為は精神的なダメージが大きく、社会的にも行ってはなりません。
関連記事: 職場の安全衛生とは?衛生管理者や産業医の選任、健康診断を解説
相談したことをきっかけに不利益な取扱いをしない旨の周知 相談窓口を設けたものの実際に相談がないという企業の場合、この点が十分に周知されていないケースが散見されます。パワハラ被害者はパワハラを受けると自分自身の中で塞ぎ込むことがあり、また、その状態が「通常の状態」と錯覚する ことがあります。「通常の状態」となれば、もはや相談するという行動を起こすことができなくなり、会社としての対応が遅れてしまいます。
そのため、相談したことをきっかけに解雇や降格処分、不明瞭な人事異動などをしない旨を周知することで、相談に対するハードルを下げることができます。これは30条の2第2項が定める不利益取扱いの禁止そのものであり、周知することが法律上求められている事項です。
もちろん、実際にパワハラ行為者と被害者が同じ部署の場合で事態が深刻な場合、速やかに双方を引き離す等、何らかの対応をすべきですが、中小企業の場合、配置異動するにしても物理的な限界があり、実効性を担保出来ない措置に終わってしまう ことも少なくありません。しかし、それを理由に何も対応しないということはできず、パワハラ行為者の経過的観察を経て、次の対応を決めることが有用です。
2026年10月1日に向けた準備スケジュール 時期
やること
〜2026年8月
現行のパワハラ対応体制の棚卸し(就業規則・窓口・周知状況)/改正パワハラ指針との差分確認
2026年9月
ハラスメント防止規程の改定(カスハラ・就活セクハラを追加)/相談窓口をハラスメント全般に拡張/窓口担当者への説明
2026年10月1日
改正法・3指針の適用開始。 方針の周知、対応マニュアルの運用開始
施行後
従業員向け研修の実施と記録化/相談対応の振り返り
外部窓口の委託を検討する場合、契約と担当者の引き継ぎに時間がかかるため、逆算して早めに動くことをおすすめします。
よくある質問 Q. パワハラ防止法に違反すると罰金を科されますか? A. 措置義務違反そのものに刑事罰はありません。ただし助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表されます(33条2項)。また、実施状況の報告を求められて報告しない、または虚偽の報告をした場合は20万円以下の過料が科されます(36条1項・41条)。
Q. 中小企業もパワハラ防止法の対象ですか? A. 対象です。2022年3月31日までは努力義務でしたが、2022年4月1日から中小企業にも措置義務が適用 されています。現在、企業規模による適用除外はありません。
Q. 従業員数が少なくても相談窓口を設置する必要がありますか? A. 必要です。社内で中立性を確保できない場合は、社会保険労務士等への外部委託が現実的な選択肢になります。
Q. 就業規則にパワハラの規定がないと懲戒処分はできませんか? A. できません。懲戒処分を科すには就業規則に懲戒事由と処分の種類を定めておく必要があります。問題が起きてから整備するのでは間に合わないため、平時のうちに点検しておくべき項目です。
Q. 2026年10月の改正で、パワハラ対策も見直しが必要ですか? A. 必要です。カスハラ・就活セクハラの指針と同時にパワーハラスメント防止指針も改正され、2026年10月1日から適用されます。既存の規程・窓口運用を改正内容に沿って点検してください。中小企業への猶予措置はありません。
Q. カスハラ対策は中小企業も対象ですか? A. 対象です。今回の改正に経過措置はなく、労働者を1人でも雇用していれば、個人事業主も含めて2026年10月1日から一律に義務の対象となります。既存のパワハラ相談窓口をハラスメント全般に対応できる窓口へ拡張しておくのが現実的です。
最後に パワハラ防止法は一朝一夕に効果を実感できるものではなく、それぞれの中小企業にとって継続的に運用可能な制度 を盛り込むことが重要です。報道等で大企業の先行事例が取り上げられており、大いに参考にできる部分はありますが、現実的に今月はできても半年後にできないような制度であれば制度の形骸化を招く要因にもなるため、留意が必要です。