借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
売掛金 | 10,000 | 売上 | 10,000 |
会計取引において欠かせないのが伝票処理です。伝票は帳簿上に記載される会計情報を記録するものであるため、正しく取り扱うことが求められます。本項では、会計処理における伝票について詳しく解説していきます。会計処理の大きな味方である伝票のことを知り、会計処理をスムーズに進めていきましょう。
会計取引において欠かせないのが伝票処理です。伝票は帳簿上に記載される会計情報を記録するものであるため、正しく取り扱うことが求められます。本項では、会計処理における伝票について詳しく解説していきます。会計処理の大きな味方である伝票のことを知り、会計処理をスムーズに進めていきましょう。
企業会計を行うにおいて、伝票は非常に便利なアイテムです。
会計処理は複雑な取引の連続であり、管理をするのが大変です。会計処理の手順をひとまとめにしたものが伝票。伝票を扱うことで、複雑な会計処理をある程度簡略化することができます。
会計取引における伝票とは、会計上の取引内容をまとめた書類のことです。
通常、会計帳簿を付ける際は取引ごとに内容を記録した帳簿をつけます。この帳簿を一定のルールで統一して管理するために伝票は使用されます。
例をあげると、取引先の売上を管理する時に売上伝票として記録されます。売上伝票として一元化された情報で管理された帳簿を保管することにより、売上という会計データをひとまとめにして管理することが可能になるのです。
伝票には取引先の名称、取引金額、取引内容など会計上に関連されたあらゆる情報が記録されるため、後で伝票を見直したときに誰でも客観的に会計取引がわかるよう記録することを目的として記録されます。
伝票を使用して会計処理を行うことで取引の記録が1連の取引でまとまっているため、後から見返したときに分かりやすいというメリットがあります。
例えば、売上に関連する伝票を1連の束にまとめることで、売上の集計を行いやすくなります。
また、伝票ごとにまとまったルールが存在するため、簿記の知識について詳しくない従業員も簡単に起票できるというメリットがあります。通常、会計仕訳を起票するにおいては、借方や貸方などの複式簿記のルールを厳密に規定する必要があります。伝票処理においては、相手方の勘定である情報などを記載すればいいため、会計処理について詳しくない人でも会計上の処理を行うことができるのです。
売上伝票に記載されるものは、全て売上の記録として使用されます。このように、全ての従業員にとって使いやすく、分かりやすいということが伝票を使うメリットといえます。
伝票にはどのような種類があるでしょうか。
企業会計で扱う伝票は大まかに5つの種類があります。入金伝票、出金伝票、売上伝票、仕入伝票、振替伝票というように役割ごとにひとまとめで管理できるように大別が可能です。それぞれの伝票についてどういう役割があるのか、詳しくみていきましょう。
入金伝票は入金を管理する伝票です。企業にお金が入ってきたことをトリガーに入金伝票を起こします。
企業がお金を取り入れる時は、売上など利益を伴う方法と負債などにより資産が増加する方法の2通りがあります。
売上の対価が入金されることにより入金伝票を起こす場合は、当期の営業成績として管理することになります。一方で、負債などを伴って入金伝票を起こす場合は、将来的に返済を伴うものとして管理しなければなりません。銀行からの融資により資金を借り入れた場合などが代表的な例です。
入金伝票においてはお金が入る方法や、取引先の名称なども記載して入金を管理します。単にお金が入ることを記録するだけでなく、お金の入り方を管理するのが入金伝票の役割です。
入金伝票に記載される項目は「日付、入金先、勘定科目、金額、摘要」などです。入金伝票に起票される取引は全て入金が関連づけられるため、改めて入金の記録を残す必要がありません。
出金伝票はお金の支払いを管理する伝票です。企業がお金を支払うケースとしては、主に仕入れや経費の支払いによって対価となる現金を流出することが挙げられます。
卸売業の場合は、仕入れに関する出金が多くなるでしょう。仕入先への支払いで現金を流出する場合に出金伝票を起こすことになります。
その他、従業員へ給与を支払うときも出金伝票を起こします。仕入れコストや賃金コストなど、費用を伴う際の現金支出が出金伝票と関連付けられることになるのです。
出金伝票に記載される項目は「日付、出金先、勘定科目、金額、摘要」などです。
売上伝票とは、売上の取引を記載した伝票です。記載内容としては、売上をあげた際の企業情報や取引金額などです。
売上は事業が利益をあげるための最も代表的な手段であり、売上伝票をつけることで企業の営業成績を適切に管理できるようになるのです。
売上伝票に記載された取引は、以下のように会計帳簿に記入されます。全ての伝票に売上の記録をされますが、対照となる勘定は取引内容によって売掛金であったり現金であったり様々な状況に応じて変更されます。
【例:A社に10,000円の商品を売り上げて、代金は掛け払いとした場合】
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
売掛金 | 10,000 | 売上 | 10,000 |
仕入伝票とは、仕入の取引を記載した伝票です。記載内容としては、仕入をした際の取引先の名称、取引金額、支払日などです。
仕入伝票に記載された取引は、以下のように会計帳簿に記入されます。
【例:B社から4,000円の商品を仕入れて、代金は掛け払いとした場合】
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
仕入 | 4,000 | 買掛金 | 4,000 |
振替伝票とは、会計仕訳を振り返るための伝票です。上記にあげた4種類の伝票で管理できない伝票と考えるといいでしょう。
例えば、売掛金と買掛金を相殺する場合は、資産と負債の仕訳になるため、上記にあげた4種類の伝票で処理しません。そのため、特殊な振替伝票を起こすことによって会計仕訳に対応するのです。
【例:A社への売掛金10,000円とA社からの買掛金10,000円を相殺する場合】
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
買掛金 | 10,000 | 売掛金 | 10,000 |
3伝票制とは、伝票を「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」に分類する方法です。
お金の管理が主な目的であるため、企業会計に重要なお金の管理をするという目的を果たすことができます。
3伝票制を採用する企業の例としては、飲食店など現金の取引が多い業態があげられます。売上や仕入の情報は現金の出入によって管理出来ることが多いため、現金の流通制が高い業態などにおいて3伝票制は多く用いられるでしょう。
5伝票制とは、3伝票制に「売上伝票」「仕入伝票」を加えた5種類の伝票で管理する方法です。お金の管理と共に売上や仕入など、営業成績も反映することができるため、企業の状態をより明確にすることができます。
5伝票制を採用する企業の例として、掛け取引が主流の業態が挙げられます。掛け取引とは、企業間の信用に基づき、サービスの対価を後日行う取引形態です。
【例:1月15日に売上取引があり、1月31日に代金が支払われる場合】
日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
1/15 | 売掛金 | 10,000 | 売上 | 10,000 |
1/31 | 現金 | 10,000 | 売掛金 | 10,000 |
このように、売上を起こすタイミングと売上の対価が現金として入るタイミングにラグがあるため、2つの時点において伝票がおこされることになります。したがって、入金伝票と売上伝票というように、伝票を5つの種類に分割して管理することが望まれるのです。
3伝票制と5伝票制どちらを選ぶべきか、BtoB事業やBtoC事業かで大別することができるでしょう。
BtoC事業は法人と個人の取引であり、取引は基本的に現金で即時払いになります。そのため、現金の流れを追うことで事業成績が分かりやすい3伝票制が求められます。
一方で、BtoB事業は法人同士の取引であり、掛け取引が基本になります。掛け取引の場合は売上の成果と入金にタイムラグが生じるため、必ずしも現金の流れを追うことで営業成績を反映するとは限りません。そのため、現金の流れと営業成績を明確に分けることになる5伝票制が求められます。
このように、企業が3伝票制と5伝票制どちらを選ぶべきかは、事業の形態によって分けて考えるべきでしょう。
企業会計のほとんどで複式簿記が採用されており、伝票は複式簿記で会計を進めるにおいて必須のツールになっています。
複式簿記とは、企業会計を記帳する時に借方と貸方という具合に2種類の科目で起票することにより、資産や負債など純資産の増減と、売上や費用などの損益科目を一元的に管理できる会計手法です。
伝票性を採用することにより、簡略的な会計処理ができるうえに複式簿記の作成という実務にも役立てることができます。
伝票は企業の会計取引をひとまとめにしたものであり、会計帳簿を作成するのに役立ちます。企業会計は決算をする際に、決算書を作成するために帳簿をつけることになります。総勘定元帳を記載するためには、伝票の作成が必要です。伝票を適切に管理することが、適切な決算処理につながることにもなるのです。
ITが発展していくにつれて、会計システムへの記入もどんどん自動化の流れが進んでいます。
かつては紙による管理が一般的であったため、伝票を記録したものは帳簿による管理が行われていました。伝票で管理された会計取引を集計し、「総勘定元帳」などの帳簿に転記されるのです。
会計システムの登場により、こういった集計や管理の多くが自動的に処理されるようになりました。手作業でまとめられていた集計作業もシステム的に自動集計されるため、伝票の管理が大いに効率化されることでしょう。
しかし、作業が自動化されたといっても、伝票の管理をするのはやはり人間です。伝票を扱う人間が伝票のルールを把握していなければ、会計システムによる自動集計にも対応できません。
システムは便利なものでありますが、伝票の仕組み自体を知っておくことが求められるでしょう。
法律に基づき、伝票は一定の保存期間が定められています。伝票は企業の会計状態を表すための商標であるため、長期間の保存期間を求められるのです。適切に管理して、伝票を保存するようにしましょう。
会社法の規定により、法人には10年間の伝票や帳簿の保存義務があります。法律的に罰せられる可能性があるので、必ず保存しておく必要があるのです。
1度決算が済んだから用済みでは決してなく、将来的にもしっかりと保管していく必要があります。
保存する際は、後から見つけられやすいように整理整頓しておくことが必要です。伝票ごとに分類する、取引年月日ごとに並び替えるなどの対策が求められるでしょう。
個人事業主の場合は会社法による規定はありませんが、所得税法の定めによって伝票や帳簿の保存が義務付けられています。青色申告の場合は7年間、白色申告の場合は5年間という期間の保存が必要です。
事務処理に関して、中々注意が向けられないかもしれませんが、法律の要請により保存が義務付けられています。
会計システムなどによってクラウド上にデータを保存できることも可能なので、ITの力を駆使して伝票の保存を行っていきましょう。
書面で保存すると、確保場所が必要になってしまいます。そのような場合は電子媒体で保存するといいでしょう。電子媒体による管理だとデータベース上で管理を行うため、取り出しもスムーズになるというメリットもあります。
電子媒体による管理の注意点としては、サーバー上に保管スペースを確保しなければならない、セキュリティ上のリスクがある、データ紛失の恐れがあるという点です。電子による保管方法を選ぶ際は、これらの課題をクリアした保管方法を選ぶ必要があるでしょう。
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