原価率とは?計算方法・出し方と業種別の目安をわかりやすく解説

原価率とは?計算方法・出し方と業種別の目安をわかりやすく解説

経理更新日:2026-07-26

原価率とは、売上高に占める原価の割合を示す指標です。本記事では原価率の意味、計算方法(出し方)、飲食店・小売・製造など業種別の目安、原価率が高い・低い場合の見方、原価率を下げる方法までを具体例つきでわかりやすく解説します。

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「原価率」は、商売の利益を左右する最も基本的な指標のひとつです。特に飲食業や小売業では、原価率を数%改善するだけで利益が大きく変わります。一方で、「計算方法がうろ覚え」「原価率は高い方がいいの?低い方がいいの?」と迷う方も少なくありません。

この記事では、原価率とは何かという基本から、計算方法(出し方)、業種別の目安、原価率が高い・低い場合の意味、そして原価率を下げる方法まで、具体例つきでわかりやすく解説します。

関連記事:原価計算とは?種類・目的・計算方法をわかりやすく解説

原価率とは?

原価率とは、売上高に占める原価(売上原価)の割合を示す指標です。売上に対してどれだけコストがかかっているかを表し、収益性を判断する材料になります。

たとえば売上100円の商品の原価が30円なら、原価率は30%です。残りの70円が粗利益(売上総利益)で、この割合を「粗利率(原価率と足して100%になる)」と呼びます。

原価率(%)+ 粗利率(%)= 100%

原価率と利益率・粗利率の違い

原価率と混同されやすいのが「粗利率」や「利益率」です。関係を整理しておきましょう。

指標

意味

計算式

原価率

売上に占める原価の割合

原価 ÷ 売上高 × 100

粗利率(売上総利益率)

売上に占める粗利益の割合

売上総利益 ÷ 売上高 × 100

利益率

売上に占める各利益の割合(営業利益率・経常利益率など)

各利益 ÷ 売上高 × 100

原価率と粗利率は表裏一体で、「原価率 + 粗利率 = 100%」の関係にあります。たとえば原価率が60%なら粗利率は40%です。一方、「利益率」は販管費やその他コストまで含めた最終的な利益の割合を指すことが多く、原価率より広い概念です。商品ごとの採算を見たいときは原価率・粗利率、会社全体の収益力を見たいときは利益率、と使い分けます。

原価率と粗利率の関係を示す図。売上高100%に対して原価率30%、粗利率70%の構成と、売値1000円・原価300円の例を示している

原価率は高い方がいい?低い方がいい?

結論から言うと、原価率は基本的に「低い方が」利益率が高くなります。

原価率が低いほど、売上のうち手元に残る利益の割合が大きいためです。

ただし、原価率が低ければ良いとは一概に言えません。原価率を下げるために品質を落とせば、顧客満足度や販売数が下がる可能性があります。逆に、あえて原価率を高くして「価値ある商品」を打ち出し、集客やリピートにつなげる戦略もあります。原価率は利益と価値のバランスで判断するのが実務的な考え方です。

一方で、原価率が想定より高い場合は、仕入価格の高騰、ロス(廃棄・過剰在庫)、値引きのしすぎ、盗難などが疑われます。原価率は「異常の発見」にも役立つ指標です。

原価率の計算方法・出し方

計算式

原価率は、次の式で求めます。

原価率(%)= 原価(売上原価)÷ 売上高 × 100

具体例

例1:1商品で計算する

売価:1,000円/原価:300円

原価率 = 300 ÷ 1,000 × 100 = 30%

例2:期間全体で計算する

月間売上高:5,000,000円/月間売上原価:1,750,000円

原価率 = 1,750,000 ÷ 5,000,000 × 100 = 35%

例3:在庫から売上原価を求めて計算する

期間全体の原価率を出すには、まず売上原価を確定させる必要があります。売上原価は「期首棚卸高+当期仕入高−期末棚卸高」で求めます。

期首棚卸高:200,000円/当期仕入高:1,300,000円/期末棚卸高:300,000円

売上原価 = 200,000 + 1,300,000 − 300,000 = 1,200,000円

当期の売上高が3,000,000円なら、原価率 = 1,200,000 ÷ 3,000,000 × 100 = 40%

このように、仕入額そのものではなく「実際に売れた分の原価(売上原価)」を使う点がポイントです。売れ残った在庫(期末棚卸高)は売上原価から除かれます。

このとき、売上原価そのものの求め方(期首棚卸+当期仕入−期末棚卸)は、次の記事で詳しく解説しています。

関連記事:売上原価とは?計算方法・求め方をわかりやすく解説

原価率から販売価格を逆算する

原価率は、販売価格を決める(値決め)ときの逆算にも使えます。目標とする原価率が決まっていれば、次の式で売価を求められます。

販売価格 = 原価 ÷ 目標原価率

たとえば、原価が350円の商品を「原価率30%」で売りたい場合は、350 ÷ 0.3 = 約1,167円が目標売価になります。仕入価格が変動したりメニューを見直したりするたびにこの逆算を確認する習慣を持つと、赤字価格を避けられます。

原価率の目安|業種別

適正な原価率は業種によって大きく異なります。まず、飲食業で一般的に語られる目安は次のとおりです(いずれも経験則としての水準)。

業種

原価率の目安(一般的な水準)

飲食店(全体)

30%前後

居酒屋

30%前後(ドリンクは低く、フードは高い)

ラーメン店

30〜35%程度

カフェ・喫茶

25〜30%程度

飲食店では特に「FLコスト(Food=原価+Labor=人件費)」を売上の60%以内に抑えることが、経営の一つの目安とされています。

原価率だけでなく、人件費とあわせて管理するのがポイントです。

公的統計で見る業種別の原価率(卸売・小売業)

より客観的な水準として、総務省・経済産業省「2024年経済構造実態調査」の結果を見てみましょう。この調査では、卸売業・小売業について「商品売上原価が年間商品販売額に占める割合」(=商品販売にかかる原価率)が公表されています(2023年の数値)。

区分

原価率(商品売上原価 ÷ 年間商品販売額)

卸売業・小売業(計)

約80.1%

卸売業

約84.8%

小売業

約69.6%

同じ小売業でも業態差は大きく、機械器具小売業が約79.7%と高い一方、織物・衣服・身の回り品小売業は約48.5%と低くなっています。卸売業では、各種商品卸売業が約98.0%と特に高い水準です。

このように、卸売業・小売業では原価率が7〜8割超と高いのが通常で、飲食業で目安とされる30%前後とは前提がまったく異なります。

原価率は業種横断で比較しても意味がなく、必ず同業種・同業態の水準と比べて判断することが重要です。

なお製造業は、材料費・労務費・製造経費など多くのコストが原価に含まれるため、原価率(原価÷売上)は高めになりやすい傾向があります。

原価率が高くなる主な原因

原価率が目安より高い場合、次のような原因が考えられます。原因を切り分けることが、改善の第一歩です。

  • 仕入価格の高騰:原材料の相場変動や仕入先の条件悪化
  • ロス(廃棄・過剰在庫):発注・在庫管理の甘さによる廃棄や売れ残り
  • 値引きのしすぎ:安売りで売価が下がり、相対的に原価率が上昇
  • 歩留まりの悪さ:仕込み・製造工程でのムダが多い

原価率を品目ごとに管理する

飲食店を例にすると、ドリンクは原価率が低く(利益率が高く)、フードは原価率が高くなりがちです。原価率の低いメニューと高いメニューを組み合わせて、店舗全体の平均原価率を目標内に収めるという考え方が有効です。メニューごとの原価率を把握することが、利益改善の第一歩になります。

原価率を下げる(改善する)方法

原価率を適正な水準に近づけるための代表的な方法は次のとおりです。単に「安い仕入先に変える」だけでなく、複数の打ち手を組み合わせるのが効果的です。

1. 仕入の見直し

最も基本的な打ち手が仕入コストの見直しです。長年同じ仕入先に頼っている場合でも、複数社から相見積もりを取り、品質を保てる範囲でより条件のよい取引先へ切り替えられないか検討します。発注量をまとめてボリュームディスカウントを引き出す、旬・産地を工夫して単価の低い時期に仕入れる、といった方法も有効です。

2. ロス(廃棄・過剰在庫)の削減

仕入れても使われずに廃棄されれば、その分が原価を押し上げます。需要予測にもとづく適正発注、先入先出の徹底、在庫の定期的な棚卸によって、廃棄・過剰在庫・売れ残りを減らします。廃棄率を把握し、原因(過剰仕入れ・仕込みすぎ・オペレーションの問題)を切り分けることが改善の起点になります。

3. 商品・メニュー構成の最適化

原価率は商品ごとに異なります。原価率の低い商品(利益率の高い商品)を主力に据えたり、原価率の高い商品と低い商品をセットにして販売したりすることで、全体の平均原価率を目標内に収められます。どの商品が利益を生み、どれが圧迫しているかを可視化することが前提です。

4. 適切な価格設定(値決め)

安易な値引きは売価を下げ、相対的に原価率を押し上げます。競合を意識しつつも、価値に見合った価格を設定することが重要です。前述の「原価 ÷ 目標原価率」で売価を逆算し、原材料価格が変動したタイミングで価格を見直す仕組みを持つとよいでしょう。

5. 歩留まり・オペレーションの改善

仕込みや製造工程でのムダを減らし、使える割合(歩留まり)を高めることも原価率改善につながります。調理・製造手順の標準化や、端材の再利用なども有効です。

いずれの打ち手も、まずは正確な原価率の把握が出発点です。

品目別・期間別に原価率を可視化できて初めて、どこを改善すべきかが見えてきます。

原価率を計算・管理するときの注意点

原価率を正しく活用するために、実務では次の点に注意しましょう。

  • 売上と原価の期間をそろえる:売上は当月分なのに原価は前月の仕入を含んでいる、在庫評価が古いまま、といった状態では正確に比較できません。売上・仕入・在庫を同じ期間で締めて計算します。
  • 棚卸の精度を保つ:原価率の分子である売上原価は、期末在庫(棚卸高)に左右されます。棚卸がずさんだと原価率が毎期ぶれ、改善の判断ができなくなります。
  • 単発でなく継続的に見る:原価率は一度計算して終わりではなく、月次・週次で推移を追うことで、仕入高騰やロス増加などの異変に早く気づけます。
  • 業種・業態の水準と比較する:前述のとおり、原価率の適正値は業種で大きく異なります。自社の数値は必ず同業種の水準と照らして評価します。

原価率の管理を効率化するには

原価率を継続的に管理するには、日々の仕入・売上データの集計と、正確な棚卸が欠かせません。手作業では手間がかかり、ミスも起きやすくなります。

POS・在庫管理システムや会計システムを使えば、原価率をリアルタイムに把握しやすくなります。また、集計や記帳の負担が大きい場合は、経理業務のアウトソーシングで数値管理の精度と効率を高める方法もあります。

関連記事:経理アウトソーシングの費用・相場は?自社雇用との比較と見積もりの注意点を解説

原価率に関するよくある質問(FAQ)

原価率は高いとどうなる?

原価率が高いほど、売上のうち原価が占める割合が大きく、手元に残る利益(粗利益)は少なくなります。売上が伸びていても原価率が高ければ収益性は低く、経営を圧迫する要因になります。ただし、原価率が高い商品は品質・価値が高い場合もあり、集客やリピートにつながることもあるため、一概に「悪い」とは言えません。

原価率は低いほどいい?

利益率の面では、原価率は低いほど有利です。ただし、下げすぎて品質やボリュームを落とすと、顧客満足度や販売数が下がり、かえって売上・利益を損なうことがあります。適正な原価率は、利益と提供価値のバランスで判断します。

原価率の平均・目安はどのくらい?

業種によって大きく異なります。飲食業では30%前後が一つの目安とされる一方、公的統計では卸売業が約84.8%、小売業が約69.6%(2023年)と、業種が変われば「適正」の水準はまったく変わります。自社の数値は必ず同業種の平均と比較してください。

原価と原価率の違いは?

「原価」は費用の金額そのもの、「原価率」はその原価が売上に占める割合(%)です。同じ原価300円でも、売価1,000円なら原価率30%、売価1,500円なら原価率20%と、売価によって原価率は変わります。

原価率と粗利率の関係は?

原価率と粗利率(売上総利益率)は表裏一体で、「原価率+粗利率=100%」の関係にあります。原価率が下がれば粗利率は上がり、収益性が高まります。

まとめ

  • 原価率とは、売上高に占める原価の割合。原価率+粗利率=100%
  • 計算式:原価率(%)= 原価 ÷ 売上高 × 100
  • 高い・低い:基本は低い方が利益率は高いが、品質・価値とのバランスで判断する
  • 業種別の目安:飲食は30%前後が経験則。統計では卸売業84.8%・小売業69.6%(2023年)と業種差が大きく、必ず同業種で比較
  • 改善方法:仕入見直し・ロス削減・商品構成の最適化・適切な価格設定

原価率は、日々の経営判断に直結する指標です。まずは正確に把握できる仕組みを整え、継続的に管理していきましょう。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

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