【令和8年度版】労務単価とは?公共工事設計労務単価の仕組み・推移・積算活用法を解説

【令和8年度版】労務単価とは?公共工事設計労務単価の仕組み・推移・積算活用法を解説

労務更新日:2026-04-10

労務単価(公共工事設計労務単価)の意味と人件費・労務費との違い、令和8年3月適用の最新ポイント、都道府県別・職種別の単価一覧、歩掛を使った積算・見積の計算方法、民間工事・下請取引における注意点と2026年の最新制度まで網羅的に解説します。

まず結論:労務単価とは何か・いくらか

労務単価とは、公共工事の予定価格を積算するために国土交通省・農林水産省が毎年公表する、都道府県別・職種別の1人1日(所定労働時間内8時間)あたりの賃金基準です。

令和8年3月適用の最新ポイントは以下のとおりです。

指標

数値

全国全職種加重平均値

25,834円

全国全職種単純平均の伸び率

前年度比+4.5%

連続引き上げ

14年連続(平成25年度改定以来)

特記事項

加重平均値が初めて25,000円を突破

有効工事件数

10,031件(令和7年10月調査)

有効標本数

85,670人

ただし、この単価には事業主が負担すべき法定福利費・安全管理費等の必要経費は含まれていません。労務単価が25,834円の場合、事業主が1人を雇用するために必要な経費の合計は38,234円(148%)になります(国土交通省参考公表値)。

労務単価(公共工事設計労務単価)とは

定義と正式名称

「労務単価」の正式名称は公共工事設計労務単価といい、国土交通省と農林水産省が毎年実施する「公共事業労務費調査」の結果をもとに公表しています。この調査は1970年(昭和45年)から継続して行われており、長い歴史に裏打ちされた信頼性の高い指標です。

重要な前提として、労務単価は公共工事の予定価格を積算するための基準値です。日給制の労働者が受け取る日当よりも広い概念であり(法定福利費の個人負担分も反映されます)、事業主が雇用に必要な全コストとは異なります。国土交通省の資料では「労働者本人が受け取るべき賃金を基に、日額換算値(所定内労働時間8時間)として設定したもの」と定義されています。

単価は都道府県別・職種別に51職種分設定されており、全国一律ではありません。毎年3月に更新されるため、常に最新の数値を参照することが積算精度の維持に直結します。

人件費・労務費・労務単価の違い

項目

人件費

労務費

労務単価

対象

全従業員

工事直接従事者

積算の基準値

範囲

管理部門含む全コスト

工事原価に計上する労働コスト

1人1日あたりの賃金ベース

性質

固定費も含む

工事量に応じた変動費

国公定の指標値

使用場面

財務・経営管理

工事原価計算

公共工事の積算・設計金額算出

建設業においては、外注費であっても「工種・工程別の工事完成を約する契約でその大部分が労務費であるもの」は、労務外注費として労務費に分類されます。一般的な製造業とは費用の分類が異なる点も覚えておく必要があります。

労務単価の決まり方・更新サイクル

公共事業労務費調査の仕組み

労務単価は、農林水産省と国土交通省が共同で実施する「公共事業労務費調査」の結果をもとに決定されます。

調査から適用までの流れは以下のとおりです。

  1. 毎年10月:調査対象月に公共工事に従事した建設技能者の賃金を、労働基準法に基づく「賃金台帳」から転記して調査
  2. 都道府県別・職種別に集計:所定労働時間内8時間あたりの有効標本を集計
  3. 翌年2〜3月:集計結果をもとに新たな単価を決定・公表
  4. 毎年3月から適用(建築保全業務労務単価は4月から)

令和8年3月適用分の算定に用いた令和7年10月調査では、有効工事件数10,031件・有効標本数85,670人という大規模サンプルをもとにした信頼性の高い数値となっています。建設労働者は地域間で移動しにくく賃金水準に差が生じやすいため、都道府県単位での細かい調査が必要とされています。

単価に含まれるもの・含まれないもの

区分

内容

含まれる

基本給相当額(個人負担の法定福利費を含む)

含まれる

基準内手当(通常の作業条件・内容に対する手当)

含まれる

臨時の給与(賞与等)

含まれる

実物給与(食事等)

含まれない

法定福利費(事業主負担分)

含まれない

時間外・休日・深夜労働の割増賃金

含まれない

安全管理費・研修費等の現場管理費

含まれない

一般管理費等の諸経費

事業主負担の法定福利費や安全管理費等は、積算上は「現場管理費」に別途計上されます。この構造を理解していないと、事業主が実際に負担するコストを大幅に下回る見積りを作ってしまうリスクがあります。

【令和8年最新】公共工事設計労務単価一覧

主要12職種の全国平均単価(令和8年3月適用)

以下は、国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(令和8年2月17日公表)に基づく主要12職種の全国平均値です。

職種

全国平均値

令和7年3月比

特殊作業員

28,111円

+4.3%

普通作業員

23,605円

+3.0%

軽作業員

18,605円

+2.9%

とび工

30,780円

+4.0%

鉄筋工

31,267円

+4.6%

運転手(特殊)

29,442円

+4.8%

運転手(一般)

25,275円

+2.9%

型わく工

31,671円

+5.0%

大工

30,331円

+3.1%

左官

30,508円

+4.1%

交通誘導警備員A

18,911円

+5.8%

交通誘導警備員B

16,749円

+6.7%

主要12職種 加重平均

24,095円

+4.2%

全職種 加重平均

25,834円

+4.5%(単純平均)

※全職種加重平均の伸び率+4.5%は単純平均値より算出。各職種・各地域の上昇率はこの数値と異なります。

都道府県別・主要職種の単価(令和8年3月適用)

出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価」(令和8年2月17日公表)。単位:円。

土木系主要職種

都道府県

特殊作業員

普通作業員

とび工

電工

鉄筋工

北海道

26,000

21,500

30,000

29,100

30,200

宮城県

30,300

23,600

34,000

29,900

39,200

東京都

30,700

27,000

33,100

34,300

33,800

神奈川県

30,900

26,800

33,100

31,500

31,600

愛知県

29,800

25,200

32,400

28,200

31,000

大阪府

27,800

23,800

29,600

28,100

29,000

兵庫県

25,100

24,100

28,300

26,600

27,200

福岡県

29,000

24,100

29,900

28,900

29,900

沖縄県

28,500

23,300

35,100

23,700

33,200

建築系主要職種

都道府県

型わく工

大工

左官

配管工

内装工

北海道

28,200

※未設定

30,900

26,700

28,600

東京都

33,000

30,600

33,800

30,100

34,400

神奈川県

32,700

30,400

32,800

28,400

34,800

愛知県

34,400

34,000

31,100

27,700

36,300

大阪府

33,400

29,300

30,100

28,200

32,600

兵庫県

31,400

29,200

28,600

25,400

32,600

福岡県

28,200

29,200

29,000

26,500

30,900

沖縄県

32,300

※未設定

31,800

23,500

26,300

交通誘導警備員

都道府県

交通誘導警備員A

交通誘導警備員B

北海道

18,700

15,500

東京都

20,500

18,700

愛知県

22,400

17,800

大阪府

18,200

15,900

福岡県

18,200

16,300

沖縄県

16,800

14,300

※未設定:有効標本数が確保できず、当該調査において単価設定に至らなかった職種を示します。全47都道府県・51職種の完全な単価一覧は国土交通省の公式資料(PDF)でご確認ください。

過去からの推移

平成24年〜令和8年の推移

年度

全国加重平均

前年比(単純平均)

平成24年

13,072円

-

令和5年

21,454円

+5.2%

令和6年

22,764円

+6.1%

令和7年

23,600円

+5.9%

令和8年(前年度)

24,852円

+6.0%

令和8年3月適用

25,834円

+4.5%

※金額は加重平均値。令和8年3月適用(25,834円)は平成24年比で伸び率+94.1%となり、約1.98倍の水準に達しています。平成25年に法定福利費相当額の加算措置が行われて以降、14年間で連続して引き上げが続いています。

単価が上昇し続ける背景

(1)建設業の人手不足

少子高齢化の進行により熟練技能者の引退が加速し、建設業では慢性的な人手不足が続いています。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用(「建設業の2024年問題」)されたことで、実質的な労働力の供給がさらに制約される構造になりました。人材確保のために賃金水準を上げざるを得ない状況が、単価上昇の根本にあります。

関連記事:残業時間のアラート機能におけるメリット・デメリットを多角的に検証

(2)政府の賃上げ方針と業界連携

毎年、「建設業4団体との賃上げ等に関する意見交換会」が開催され、建設技能者の処遇改善に向けた目標が設定されています。単なる市場メカニズムにとどまらず、政策として業界全体の賃金底上げが図られている点は、他業種との大きな違いです。

今後の見通し

構造的な人手不足と賃上げ政策の方向性は変わっていないため、引き続き上昇傾向が見込まれます。ただし、改定率は毎年の調査結果・需給状況・政策判断によって変動します。次年度の正確な単価は、毎年2〜3月の国土交通省公表を確認することが不可欠です。

積算・見積への活用方法

「歩掛(ぶがかり)」と組み合わせた計算式

労務単価は1人1日あたりの賃金基準であり、実際の積算では「歩掛」と組み合わせて使います。

歩掛とは、特定の作業を行うのに必要な手間を数値化したもので、「単位作業量あたりに必要な人工数」として表されます。国土交通省が発行する「土木工事標準歩掛」で職種・作業内容ごとに定められています。

計算式は次のとおりです。

労務費 = 労務単価(円/人日) × 歩掛(人日/単位量) × 作業数量

具体例:コンクリート打設の場合

  • 普通作業員の労務単価:23,800円(大阪府・令和8年3月適用)
  • 歩掛:0.80人日/m³
  • 作業数量:50m³
  • 計算結果:23,800円 × 0.80 × 50 = 952,000円

標準歩掛が存在しない作業については、過去の実績や専門家の判断をもとに設定することになります。

事業主が実際に負担するコストとの差

国土交通省は令和8年3月適用の公式資料において、必要経費を含む実際のコストを以下のとおり参考公表しています。

項目

金額・割合(加重平均25,834円を基準)

労務単価

25,834円(100%)

法定福利費(事業主負担分)

約16%相当

労務管理費等

約29%相当

現場作業にかかる経費(安全管理費等)

約19%相当

事業主が必要な実コスト合計(参考値)

38,234円(148%)

※この参考値は全国調査をもとに試算した値であり、工種・工事規模等の条件によって変動します。労務単価は事業主が雇用に必要な全コストを表しているものではないため、積算書全体を通じたコスト把握が重要です。

割増賃金の計算方法

時間外・休日・深夜労働が発生する場合、公共工事設計労務単価とは別に、割増賃金を見込んで積算します。
公共工事設計労務単価は所定労働時間内8時間あたりの単価であり、時間外・休日・深夜労働の割増賃金は含まれていません。そのため、割増分は別途計算が必要です。
国土交通省の積算資料では、割増賃金は1時間当たり割増賃金係数 K を用いて整理されており、考え方は次のとおりです。

労務費(総額)= 労務単価 + 労務単価 × K × 割増すべき時間数
K = 割増対象賃金比 × 1/8 × 割増係数

(注)ここの「労務費(総額)」は工事全体の総額ではなく、公共工事設計労務単価(8時間当たり)に時間外・深夜等の割増分を加えた1人・1日当たりの労務費を指します。

つまり、単純に「労務単価 × 割増率 × 時間数」で計算するのではなく、8時間単価を1時間換算する考え方を含めて処理する必要があります。
なお、割増対象賃金比は職種ごとに異なり、割増係数は時間外・深夜・休日などの区分に応じて設定されます。

関連記事:【労働基準法改正】2020年4月〜|残業代請求等の変更点を総合的に解説

下請代金と民間工事への適用

下請代金における注意事項

国土交通省は、労務単価の運用に関して重要な注意事項を明示しています。

事業主が負担すべき必要経費分(法定福利費・安全管理費等)を下請代金に計上しない、または下請代金から値引くことは不当行為とされています。

元請企業が下請企業に対して必要経費分を含まない単価での契約を強いることは、建設業法上の問題となるだけでなく、行政指導の対象にもなりえます。標準見積書を活用し、法定福利費を内訳として明示した見積書を取り交わすことが業界全体で推進されています。

2026年以降に押さえたい「労務費に関する基準」との関係

建設業法(昭和24年法律第100号)第34条第2項に基づき、中央建設業審議会から勧告された「労務費に関する基準」において、公共工事設計労務単価は重要な役割を担っています。この基準では、すべての建設工事の請負契約において確保されるべき「通常必要と認められる労務費(適正な労務費)」の計算の基礎となる水準として公共工事設計労務単価が位置づけられており、公共・民間工事を問わず、下請取引を含め、適正な労務費が確保されるべきとされています。

つまり、公共工事設計労務単価の役割は、2026年時点では「公共工事の積算ツール」にとどまらず、民間工事における労務費交渉・適正取引の基礎水準としても機能しています。

労務単価の種類(公共工事関連)

種類

主な適用場面

適用開始

公共工事設計労務単価

建設工事の積算(51職種)

毎年3月

建築保全業務労務単価

国有施設の清掃・警備・設備管理等

毎年4月

設計業務委託等技術者単価

設計・調査・測量等の委託業務

毎年3月

電気通信関係技術者等単価

電気通信工事の技術者・作業員

毎年3月

鋼橋積算基準の直接労務単価

鋼橋の工場製作に従事する作業員

毎年3月

よくある質問(FAQ)

Q. 労務単価は実際に払う賃金と同じですか?

A. いいえ。公共工事積算用の基準値です。事業主負担の法定福利費や安全管理費等の必要経費は含まれておらず、令和8年度の単価25,834円の場合、事業主の実コストは38,234円(148%)が参考値とされています(国土交通省公表値)。

Q. 労務単価はいつから有効になりますか?

A. 公共工事設計労務単価は毎年3月から適用されます(建築保全業務労務単価は4月から)。毎年10月の調査結果をもとに翌年2〜3月に公表され、3月から新単価が適用されます。

Q. 民間工事でも労務単価を使いますか?

A. 法的な義務ではありませんが、建設業法第34条第2項に基づく「労務費に関する基準」において、公共工事設計労務単価が適正労務費の計算の基礎となる水準として位置づけられています。民間工事・下請取引においても、この水準をもとに適正な労務費を確保することが求められています。

Q. 地域によって単価は違いますか?

A. 労務単価は都道府県別・職種別に設定されているため、地域によって大きく異なります。たとえば令和8年3月適用の電工では、東京都34,300円、沖縄県23,700円で、10,600円の差があります。

なお、こうした地域差は、まず都道府県別単価そのものの違いによって生じます。そのうえで、個別工事では、時間的制約、特殊条件による作業、山間へき地・離島などの施工条件に応じて、別途補正や割増しが行われる場合があります。

Q. 割増賃金はどう計算しますか?

A. 労務単価に「割増対象賃金比」(職種によって80〜96%程度)を掛けた割増対象労務単価に、労働基準法第37条に基づく割増率を掛けて算出します。この割増額を基本の労務単価に加算して総労務費を求めます。割増対象賃金比は国土交通省ホームページで確認できます。

Q. 令和9年度の労務単価はいつ確認できますか?

A. 令和8年10月の調査結果をもとに、令和9年2〜3月に公表・3月適用の見込みです。国土交通省のウェブサイト(建設産業・不動産業ページ)で最新情報を確認できます。

Q. 51職種の一覧はどこで見られますか?

A. 国土交通省が毎年公表する「公共工事設計労務単価」の資料(PDF)に全職種の単価一覧が記載されています。特殊作業員・普通作業員・軽作業員から始まり、電工・鉄筋工・型わく工・配管工・交通誘導警備員A・Bまで51職種が都道府県別に掲載されています(令和7年10月調査では建築ブロック工が単価設定に至らず)。

まとめ

この記事では、公共工事設計労務単価(労務単価)の仕組みから最新データ、積算への活用方法、最新制度の動向まで解説しました。

要点をまとめると以下のとおりです。

  • 労務単価は、国土交通省・農林水産省が毎年3月に公表する公共工事積算のための賃金基準値
  • 令和8年3月適用の全国加重平均は25,834円(全国全職種単純平均の伸び率+4.5%)。14年連続の引き上げで初めて25,000円を突破
  • 単価には事業主負担の法定福利費・安全管理費等は含まれず、実際の雇用コストは単価の約148%(38,234円)が参考値(国土交通省公表値)
  • 積算では「歩掛」との組み合わせが必須であり、単価そのままを労務費として使うことはできない
  • 「労務費に関する基準」の策定により、民間工事においても公共工事設計労務単価が適正労務費の基礎水準として機能するようになっている
  • 必要経費分を下請代金に計上しない・値引く行為は不当行為となる

労務単価の継続的な上昇は、建設工事における原価管理の難易度を高めています。積算業務や労務管理の業務量が増す中で、バックオフィス全体の効率化が経営課題になっている企業には、労務アウトソーシングの活用も一つの選択肢です。

関連記事:【2025最新版】人事労務アウトソーシングおすすめ11選比較


※参考資料:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(令和8年2月17日公表)、同「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価」(単価表・参考公表)、中央建設業審議会「労務費の基準」

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士

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