経理パーソンとしては連結決算は大抵の人が避けては通れない道となりつつあります。そこで、この記事では連結決算の説明、そして対象となる会社、さらに意義やメリットを述べたうえで実務上の注意点を述べます。連結決算の概要を掴んで勉強に取り掛かりましょう。
経理パーソンとしては連結決算は大抵の人が避けては通れない道となりつつあります。そこで、この記事では連結決算の説明、そして対象となる会社、さらに意義やメリットを述べたうえで実務上の注意点を述べます。連結決算の概要を掴んで勉強に取り掛かりましょう。
そもそも連結決算とは、どういった決算なのでしょうか?
端的に言いますと親子関係のある会社を一つのグループとみなして、そのグループ自体の決算を行うことを指します。これとは逆に会社単一の決算を単体決算と言います。
グループ自体の決算をどうしてやらないといけないのでしょうか?一番の理由は、実際の会社の取引の実力を決算書に反映させることだと言えます。というのも、親子会社であれば親会社の単体決算の数値をよく見せるために親会社が子会社に指示して何でもできちゃいます。親会社が子会社に対して売り上げを上げることなんていくらでもできるわけです。そんな恣意的な売上ってそのグループの実力を反映しているとは、とても言えない状態であると言えます。
そういった恣意的な取引を排除してグループ全体の正当な実力を見るために連結決算という制度が存在するのです。
連結の対象となる会社はいくつもの判断基準があります。従って、親会社の経理担当者は子会社の資本関係や人事関係をしっかりと把握しておくことが大事です。
基本的な判断基準としては子会社の株式の50%超を握っていると、株主総会における議決権を動かせる実力を持っていることから、子会社を判断することが出来ます。では、逆に50%以下であればよいのかというとそんなことはありません。株式が50%未満であっても実質的に支配しているケースはいくつもあるためです。この実質的に支配しているかどうかで判断する基準を実質支配力基準と言います。
50%未満の所有でも株式を40%以上所有していれば子会社とみなされてしまうケースが5つほどあります。
①使用人もしくは役員で、株式を所有している会社の取締役会の過半数を占めていること
②重要な経営方針を拘束する契約が存在する場合
③資金の調達額の50%超について融資や債務保証などを行っている場合
④取締役会以外の意思決定機関を支配されていると思われる事実がある場合
⑤「緊密な者」と同意している者と合わせて議決権の50%超を保有している場合
「緊密な者」とは少し特殊な人たちのことを指します。緊密な者と共同して株式を所有していると子会社として判定されることもありますので、次節でそのケースを抑えておきましょう。
緊密な者とは、親会社と出資・人事・資金や技術・取引等などで緊密な関係を有しており親会社と同一の内容の議決権を行使することが考えられる者を指します。つまり、親会社と利害関係を有しており、親会社と同じ意見を有する人たちのことを指します。緊密な者と共同して子会社株を所有していると子会社として連結対象の会社となるケースがあります。
子会社の株式40%未満しか所有してなくとも緊密な者と合わせると50%以上を超える場合、つまり上記に記した⑤のケースですね。緊密な者と合わせて株式所有率が50%を超え、かつ以下の事項に該当していると子会社として判定されます。
①使用人もしくは役員で、株式を所有している会社の取締役会の過半数を占めていること
②重要な経営方針を拘束する契約が存在する場合
③資金の調達額の50%超について融資や債務保証などを行っている場合
④取締役会以外の意思決定機関を支配されていると思われる事実がある場合
連結決算を行う意義は、冒頭の内容と被るかもしれませんが、適切な財務情報を決算書に反映させることにあります。この意義は企業は様々な利害関係者を抱えており、その人たちに誤った認識をさせてはいけないという大前提を満たすことにあるわけです。例えばお金を貸してくれる銀行に親子会社関係を利用した偽取引を行って開示資料を出しては、後々その情報が偽りだと発覚しては信用失墜は免れないでしょう。連結決算を行う意義はこういった利害関係者と信頼性のある関係を維持することにもあるとも言えます。
また、上場している会社は連結決算が義務付けられています。株式を上場している以上、不特定多数の投資家に財務情報開示の面で責任を負っている以上、連結決算は必要不可欠になっているのです。
対して、上場していない会社は連結決算は任意で選択することができます。では、非上場の会社は連結決算は行わなくてもいいのでしょうか?しなくてもよいと言えますが、連結決算は行うと享受できるメリットもあるのでその点抑えておいて損はないでしょう。
非上場であれば連結決算は任意ですが、上場するとなると確実に連結決算は行わなければならなくなります。そのため、上場の準備期間として連結決算を根付かせる必要性があるのです。現在、上場していなくとも将来上場を考えている企業であれば、日ごろから連結決算を行う体制を整えていれば、上場がスムーズにできることは間違いないでしょう。
不正経理を防ぐことにおいて、内部統制の充実化を図ることが大切ですが、連結決算を行うことによって親子会社関係を利用した不正会計を防ぐことが出来るようになります。
現代の会社はもはや会社単体でなく会社集団のグループで成り立っていると言えます。そのため、経営の判断は親会社を飛び越え子会社の情報を含めて判断することになります。連結決算はそのような子会社の状態も決算書に含んで作成されますのでグループの経営状態を把握するには最適な決算方法です。
連結決算を行う上での注意点としては親会社が独自に動いても連結決算はできないということです。当然ながら子会社の情報が必要となりますが、適切に親会社へ子会社の情報を収集する必要があるのですね。連結決算を行うのでしたら、日ごろから子会社の経理担当と連結決算のスケジュールを示し合わせて、提出してもらう資料をしっかりと子会社に提示して段取りを踏んでおくことが大事です。
連結決算では、親子会社間の取引に該当するものは連結修正仕分けをしてグループの取引として修正する会計処理が伴います。しかし、この会計処理を適切に行うには親子会社間の取引を集計しておく作業が必要になるのです。これも子会社の経理担当者の協力も必要ですが親会社の方でも情報としては確認が取れますので月次決算を行う時点から集計をしておくことをおススメします。
親会社の経理担当者は親会社の会計処理ばかり着目しがちですが、子会社の会計処理にも目配せしておくべきです。連結決算を行う上では、同一性質の取引について親会社と子会社が行う会計処理の手続きに大きな乖離があってはならないのです。ただし、合理的な理由、例えば業態が全く違う、性格の違う固定資産を所有しているなどの理由があれば会計処理を統一しなくともよい場合もあります。
近年は、企業単体で事業を行うことはそうそうあるものでなくなってきています。また、これから経理を目指す人についても簿記二級で連結会計の問題が出題されるように連結会計の勉強は避けて通れません。覚える論点も多いですが、連結会計が出来るようになれば、その分だけ今の時代に通用できる経理パーソンとなることは間違いないでしょう。
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