1. クラウドでの労務管理のメリット|重要な12のポイント
クラウドでの労務管理のメリット|重要な12のポイント

クラウドでの労務管理のメリット|重要な12のポイント

労務 更新日:

労務管理と聞くとプラスのイメージが湧く人は多くはないでしょう。しかし、適正な労務管理なくして会社の発展は困難であり、会社の発展だけが独り歩きしたとしてもそれは長続きしないことが多いのが現状です。そこで、労務管理とはどのようなもので、また、時代に合った労務管理とはどのようなものかを確認していきましょう。

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社会保険労務士

蓑田真吾

社会保険労務士(社労士)独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は労務管理手法を積極的に取り入れ労務業務をサポートしています

資格
社会保険労務士

目次

クラウド管理がお薦め

これは、Withコロナ時代の管理と親和性が高いということです。そもそもエッセンシャルワーカーを除き、対面一択の労務提供はむしろ珍しい時代となっています。そこで、離れて働くことが一般化している時代においては、クラウドを使いこなした労務管理が時代に合っているということです

そこで、クラウドでの労務管理を導入するメリットは以下のとおりです。

サーバー購入費用の節約

サーバーを購入しなくても良い点が大きなメリットです。自社でサーバーを整備し、管理をしていくとなると、メンテナンスなどのランニングコストが膨大であり、時代の流れであるテレワークとも親和性が低いと言えます。

システム構築の時間を短縮できる

自社で一からシステムを構築すると膨大な時間がかかりますが、そのような心配がありません。それはクラウド提供会社が行うべき部分であり、それを利用するに過ぎないためです。

メンテナンスが不要

クラウド提供会社がメンテナンスを行うことから、自社としては利用するだけということです。当然、使い方は日々学んでいく必要がありますが、メンテナンスにかける時間が節約できるということです。

データ消滅のリスクが極めて低い

クラウドの最大の恩恵はデータの消滅を最大限防ぐことが可能である点です。これは、PCやUSBなどの物理的な記憶媒体に頼っている場合、経年劣化による破損や外的な衝撃による破損でデータが消滅してしまうリスクを孕んでいます。消滅してしまうとテンプレートの使用ができなくなることはもちろんのこと、個人情報の再取得(当然、信頼関係に亀裂が生じる)も必要となります。

入退社の手続き

採用内定者は常態として職場内にいないことから、在職者と比べて情報の取得に時間がかかります。よって、記憶が途切れがちとなります。労務担当者としては複数の採用内定者に対応したとしても、対応された側としては何度も同じことを聞かれると情報管理に疑念を抱きかねません。よって、慎重に対応する必要があり、イレギュラーな案件でもない限り何度も同じ情報を確認することは適切な対応とは言えません。そこで、クラウドを利用することで、紙管理と比べて紛失するリスクが少なく、必要な情報を検索する際のスピード、記憶の正確性などが圧倒的に優れています

実務的な労務管理

労働契約書

労働基準法第15条では、使用者が労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。そして「厚生労働省令で定める方法」によって明示しなければなりません。厚生労働省令で定める方法とは書面で通知することが求められていましたが、平成31年4月1日より一定の場合にはFAXやSNS等による通知が可能となりました。尚「一定の場合」とは、労働者が希望した場合で、かつ、出力して書面を作成できるものに限られます。

労働条件の明示事項(労働基準法第15条)
・労働契約の期間
・有期労働契約の更新の基準
・就業場所
・従事すべき業務
・始業および終業時刻、所定労働時間超えの労働の有無
・休憩時間、休日、 休暇、2交代制等に関する事項
・賃⾦の決定、計算、⽀払⽅法、賃⾦の締め切り、⽀払時期
・退職(解雇を含む)に関する事項
・その他(退職手当が適用される労働者の範囲等)

また、令和2年4月1日施行のパートタイム・有期雇用労働法では、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者の間の不合理な待遇差が禁止されるとともに、労働基準法第15条で規定する事項以外のものを文書の交付等で明示しなければなりません。具体的には昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口等です。

また、そもそも労働契約書が交付できていない場合は、違法であるのはもちろんのこと、労働者自身がどのような状態で雇用されているのかが理解できていない状態と言えます。そのような状態では労使間の信頼関係に疑問符がついていることもあるでしょう。 

法定三帳簿

法定三帳簿とは、労働者名簿出勤簿賃金台帳のことを指します。法定三帳簿は労働基準監督署の臨検の際に提出が求められることがあり、また、企業を助ける助成金申請の際にも必要です。また、未整備の場合には処罰の対象となり、備え付けて管理していくことは最低基準と言えます。

就業規則

常時雇用する労働者が10人以上の場合には就業規則の作成、届出の義務が生じます。就業規則は作成に当たり、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者への意見聴取、所轄労働基準監督署への届出、その後の周知が必要です。尚、労働者の過半数を代表する者への意見聴取については同意までは不要とされています。

そして、就業規則を管理していくにあたっての注意点として、法改正がある度に就業規則を見直す必要があるということです。平成31年4月施行の時間外労働上限規制や年次有給休暇5日取得義務の際の時期指定など、法改正に併せて就業規則の条文を変更する必要があります。この部分は外部の専門家を活用するなどして対応すべきでしょう。 

また、就業規則はその会社の憲法であり、かつ、その会社の労働条件の「最低基準」となります。よって、企業規模に比べてあまりにも運用が困難な規定(例えば福利厚生)を整備してしまうと後で苦しくなってしまいます。よって、自社の体力を考慮した内容で作成(その後の変更を含めた管理)するという視点も重要です。

社会保険・労働保険加入

社会保険と労働保険への加入要件は全く異なります。社会保険とは端的には健康保険と厚生年金のことを指します。また、労働保険とは労災保険と雇用保険を総称したものですが、場合によっては、労災保険のみが対象で雇用保険および社会保険が対象外というケースもあります。そこでどのように管理すべきか併せて確認しましょう。

社会保険

まず、社会保険については、令和4年10月から更に拡大される改正が行われますが、現状の法律から確認していきましょう。

以下に該当する場合は社会保険の被保険者にはあたりません。

1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満または1月間の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満の場合です。例えば正社員で週40時間労働の会社で週20時間のアルバイトの場合は(4分の3未満であることから)社会保険の適用除外ということです。

しかし、平成28年10月1日以降は上記に該当し、適用除外となっていた場合でも以下の全ての要件を満たしている場合は、社会保険に加入させなければならなくなりました。

・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・継続して1年以上働くことが見込まれる
・報酬の額が88,000円(通勤手当や残業代を除き)以上であること
・学生でないこと
・従業員数が501人以上の会社であること

また、令和4年10月には上記要件の501人以上の要件が101人となり、令和6年10月には51人以上となり、適用範囲は年々広くなっていくということです。

当然、法改正施行に併せて管理していくことが重要です。そして、実務担当者でもなければ対象となる労働者が法改正の内容を既に知っているとは断言できないために説明も行っていく必要があるということです。これは、労働者の給与から毎月保険料を徴収する必要があることが最も大きな理由です。

労働保険

次に労働保険について整理しましょう。

まず、労災保険については、日雇い労働者であっても、労働者である限り労災保険の対象となります。しかし、雇用保険については、以下のいずれの要件を満たさなければ被保険者とはなりません。

・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込み

また、令和4年4月からは65歳以上の労働者が複数の会社で働き「合算して」1週間で20時間以上となる場合も労働者の申し出により被保険者となる改正が行われます。また、現在は65歳以上と限定されていますが、これは「試行的に」行われており、将来的に年齢要件が撤廃される可能性も否定できません。 

言うまでもなく、自社内の労務管理だけでも煩雑であるにも関わらず、他社の状況も加味する必要が出てくるとなると労務管理担当者の負担は大きくなると言わざるを得ません 

秘密保持

業種によっては、社内の情報が競合他社等に漏洩してしまうことで、競争力の低下ひいては企業の存続を脅かす可能性も否定できません。そこで秘密保持契約を締結することも妥当です。

 

競業避止義務

競業避止義務とは、例えば退職後に競合他社へ転職しないように予め合意を締結しておくことです。しかし、複数の判例上でも明らかですが、取締役などの高い地位であった場合を除き、通常の一般社員であった場合には「職業選択の自由」もあり、競業避止義務事項を明記してあったとしてもその必要性が問われます。そして、地域的な制約や禁止する期間などあまりにも退職者の職業選択の自由が脅かされるような規定であった場合、違法と判断される可能性があります。もし、競業避止義務を設け、将来的に管理していく場合は、対象範囲を著しく広げないことが重要です。

マイナンバー管理

マイナンバーは「特定」個人情報と言い、個人情報保護法に規定する「個人情報」よりも厳格な保護措置を設けなければなりません。例えば、利用目的、再委託、第三者への提供に関する制限等についても要件を満たさなければなりません。

施錠管理を行うことはもちろんのこと、取り扱い担当者を決め、偶発的にであっても取り扱い担当者以外が見えるような状態は是正していく必要があります。

マイナンバーに限った話ではありませんが、情報漏洩は信頼回復までに多大な時間を要します。そもそも漏洩しようのない環境を構築していくことが重要です。

裁判所の印象

多くの企業が当てはまるとは言えませんが、万が一、労働者等から提訴された場合には長期間、人的及び時間的リソースを注がなければなりません。裁判所の印象として、当たり前のことが出来ていないと非常に印象が悪いです。例えば書類の保存などが代表例ですが、日々の労務管理が非常に重要ということです。

時効期間

労務管理において各法律で定められた消滅時効期間はおさえておく必要があります。例えば残業代計算の根拠となる出勤簿や賃金台帳は3年であるのに対し、企業を助ける助成金の根拠資料については5年間保管しておく必要があります。よって、誤って廃棄することのないようにしなければなりません。 

安全配慮義務

労働契約法第5条に「安全配慮義務」が明記されています。これは、労働契約に伴い労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮を求められています。尚「生命、身体等の安全」には心身の健康も含まれており、時代の流れでもある心の病の防止に向けた労務管理も無視できません。

労働者の満足度と帰属意識の向上

企業の目的は慈善事業でない限り、利益追求は重要です。しかし、外部にばかり目を向けてしまい、外部への顔と内部へ向けられた顔があまりにも釣り合っていない場合、労働者の満足度と帰属意識が希薄なってしまいます。まずは、内部環境から誇れる組織でないと生産性が上がってこないこともあり、(営業などで)努力した割に数字が上がってこないという事態にも繋がりかねません。

休職やメンタル不全の兆候をキャッチ

労務管理においては「事前法務」という考え方が重要です。事が起こる前に可能な限り兆候をキャッチし、予防をしていきましょうとの発想です。多くの場合、事故となる前には何らかの兆候があります。例えば明らかに有給休暇の申請が増えた労働者がいるなど、全く情報がなかったとは言えないでしょう。そこで「人」を主たる業務として扱う労務担当者を筆頭に事業の健全な発達を目指していくことが重要です。

最後に

時代は脱ハンコ、リモート、電子化促進など簡素化合理化の波が押し寄せています。当然、誰もが対応できるとは言えませんが、少なからず組織として時代の流れをくみ取り、運営していく必要があります。そこで、労務担当者としてキャッチアップした情報を融合させていくことが長く栄える会社を創っていくことにも寄与していきます。

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