1. 【最新版2022年4月〜】|育児介護休業法改正でどう変わる?
【最新版2022年4月〜】|育児介護休業法改正でどう変わる?

【最新版2022年4月〜】|育児介護休業法改正でどう変わる?

労務 更新日:
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育児休業制度については男性育休と女性育休の取得状況は依然開きがあり、取得率が80%を超えている女性に対して男性の取得率は漸く10%を超えた状況です。これは国際的な見地に立っても少ない状況であり、以前日本と同水準であったドイツは既に30%台に到達しています。

目次

今回の改正はより柔軟化された育児休業制度について、令和4年4月以降に順次施行される法改正にフォーカスをあててまいります。 

お母さんと赤ちゃん

1. 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化(2022年4月1日~)

育児休業の取得が進まない背景として労働者自身のためらいが挙げられます。特に男性であればそもそもの取得者が少ないこともあり、仕事を離れる後ろめたさや、どのような制度があるのかを知らないという声もあります。そこで、事業主として以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

(1)  育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
(2)  育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
(3)  自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
(4)  自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

上記4点となりますが、複数の措置を講じることが望ましいとされています。

例えば事業主が主体として(1)の研修の実施をすることで育児休業取得に対するためらいも一定程度軽減されると推察します。当然、一方的に研修を実施しただけでは前提知識が乏しい労働者であった場合、全てを理解することは困難です。よって、(2)の相談体制を整備することで研修時間内だけでは理解ができなかった内容が(相談窓口に相談することで)理解を深められることが挙げられます。

そして、(3)については、自社での過去の取得事例を収集し提供することで、おぼろげながらイメージを抱いた法律で定める制度の一般的な内容からより身近な例として実際の育児休業取得に向け考えるきっかけにもなるでしょう。特に、妊娠・出産が判明した時点でこれまでのライフサイクルとは全く異なる生活になることは想像に難くありません。雇用の流動化が進む現代においては有能な労働者により長く働いてもらうための施策は積極的に検討していくべきです。長く働くということはより多くの人生のイベント(例えば結婚や出産)を迎える可能性が高く、実質的に活用可能な制度が設けられていることは重要です。

また、妊娠が判明した女性労働者に限らずその配偶者であっても申し出があった場合、個別の周知・意向確認の措置を取る必要があります。当然、実質的に育児休業取得を控えるように仕向ける個別周知と意向確認は認められません。

周知事項

(1)  育児休業・産後パパ育休に関する制度
(2)  育児休業・産後パパ育休の申し出先
(3)  育児休業給付に関すること
(4)  労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

個別周知・意向確認の方法

(1)  面談
(2)  書面交付
(3)  FAX
(4)  電子メール等

上記のいずれかとなります。尚、「産後パパ育休」については施行年月日が令和4年10月1日となっていることから、同年月日以降から対象となります。 

パソコン

2. 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(2022年4月1日~)

現行の法律

有期雇用労働者が育児休業を取得する要件として以下の2つの要件があります。

(1)  引き続き雇用された期間が1年以上
(2)  1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

改正後

引き続き雇用された期間が1年以上の要件が撤廃され、「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでないのみとなります。

有給休暇と同様に有期雇用労働者であっても育児休業の取得は可能です。しかし、取得に際して一定の要件を課すことができていましたが、その要件が少なくなったということです。

本棚

 3. 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(2022年10月1日~)

これまでも産後8週間以内の限定的な期間に男性労働者が取得する育児休業を「パパ休暇」として、制度が設けられていました。なお、育児休業は原則として1回しか取得することができませんが、パパ休暇は1回にカウントされないことから、パパ休暇と併せて他の期間(例えば子供が生後半年になるタイミング)に取得することが可能でした。

改正後は産後8週間以内に最大4週間を分割して2回まで取得できる「産後パパ育休」が整備されます。産後は労働基準法上でも「強制就業禁止期間」とするなど、精神的にも肉体的にも(ママにとって)負荷の強い時期とされ、このような法整備がなされたと考えます。申し出期限は原則として休業の2週間前までとされていますが、雇用環境の整備などについて、今回の法改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合、1か月前までとすることが可能です。

尚、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で育児休業中に働くことも可能とされています。具体的な手続きの流れは以下のとおりです。

(1)労働者が働いてもよいという場合、事業主にその条件を申し出
(2)事業主は労働者が申し出た条件の範囲内で候補日、時間を提示(候補日がない場合はその旨)
(3)労働者が同意
(4)事業主が通知 

しかし、あまりにも多くの時間を働くことが可能となれば、法改正内容が形骸化してしまう恐れがあり、働くことができる可能な日等には以下の上限があります。

・休業期間中の所定労働日、所定労働時間の半分

・休業開始、終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

例えば所定労働時間が週5日勤務、1日8時間が所定労働時間の場合を検討しましょう。

育児休業が2週間で休業期間中の所定労働日が10日、育児休業期間中の所定労働時間が80時間の場合は、就業日数の上限は5日、就業時間の上限は40時間、休業開始、終了予定日の就業は8時間未満となります。

また、産後パパ育休期間中についてもハローワークから支給される育児休業給付金の支給対象となります。尚、休業中に働いている場合は働いた日数が10日(10日を超える場合は時間数が80時間)以下の場合は給付の対象となります。

メモ帳

4. 育児休業の分割取得(2022年10月1日~)

現行の育児休業制度は原則として分割取得が不可とされています。しかし、改正後は分割して2回取得することが可能となります。

更に、保育所に入園できなかった場合にママとパパの育児休業の交代について、改正前は開始時点が1歳または1歳6か月時点に限定されていました。しかし、改正後は限定がなくなり、より柔軟な取得が可能となります。

なお、月末時点で育児休業を取得している場合、その月の社会保険料は労使双方免除となり、年金額を計算するにあたっても社会保険料を支払った期間と同様の期間として扱われます。 

5. 育児休業取得状況の公表の義務化(2023年4月1日~)

従業員数が1,000人超の企業に限っての改正となりますが、年1回、育児休業の取得状況の公表が義務化されます。具体的な公表内容は男性の「育児休業取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」と厚生労働省令で定められる予定です。 

オフィス

最後に

育児休業の取得と併せて活用できる様々な助成金もあります。助成金は企業が支払った労働保険料が原資に充てられているものであり、活用できるタイミングが到来した場合は(適正な労務管理ができていることが前提ですが)活用したい制度です。助成金に関わらず、妊娠判明期から子供が小学校入学に至るまでには様々な社会保険制度が活用できます。労働者との信頼関係を構築する意味でも事業主からのタイムリーな情報発信、また、情報が不明瞭な場合は専門家の活用などハイブリッドに推し進めていきたい分野です。

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この記事の監修者

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社会保険労務士

蓑田真吾

社会保険労務士(社労士)独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は労務管理手法を積極的に取り入れ労務業務をサポートしています

資格
社会保険労務士
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