年末調整を税理士へ依頼する際の費用目安を、従業員数別に紹介します。基本料金や1人あたりの加算額、対応範囲、追加費用が発生する項目、依頼時期、税理士以外の委託先まで、比較前に確認したいポイントをまとめました。

年末調整を税理士へ依頼する際の費用目安を、従業員数別に紹介します。基本料金や1人あたりの加算額、対応範囲、追加費用が発生する項目、依頼時期、税理士以外の委託先まで、比較前に確認したいポイントをまとめました。
年末調整の時期が近づくと、税理士に任せるべきか自社で対応すべきか、判断に迷う担当者も少なくありません。書類の確認や税額の計算は年に一度しか行わない業務であり、毎年のように税制改正も行われるため、制度内容を確認しながら対応しなければならない負担があります。 この記事では、年末調整を税理士に依頼した場合にどこまで対応してもらえるか、費用相場はいくらか、依頼する際の流れまで解説します。近年の税制改正で押さえておきたいポイントと、税理士以外に依頼できる選択肢も併せて紹介します。
税理士に年末調整を依頼すると、書類内容の確認から税額計算、源泉徴収票や法定調書の作成・提出まで、幅広い業務を任せられます。
年末調整は、従業員から提出された申告書の内容確認、扶養控除や保険料控除の計算、所得税額の算出、必要書類の作成と提出という複数の工程で構成されています。自社で対応する場合、担当者が1件ずつ内容を確認しながら計算を進めることになり、従業員数が多いほど作業量は膨らみます。税理士に依頼すれば、税額計算や各種書類の作成・提出など、多くの業務を任せられます。
従業員から集めた扶養控除等申告書や保険料控除申告書の内容確認は、税理士が代行できる業務のひとつです。
書類の記入漏れや添付漏れがないかを1件ずつ点検する作業は、担当者にとって大きな負担になりがちです。税理士に依頼すれば、この確認作業を任せられるため、初期段階の労力を大幅に減らせます。不備が見つかった場合の従業員への確認まで対応する事務所もあります。
従業員ごとの所得税額計算と、会社全体の税額集計は、税理士に依頼できる中心的な業務です。
給与や賞与の総額、各種控除額をもとに年間の所得税額を算出し、毎月源泉徴収してきた金額との過不足を精算します。控除の種類が多く、家族構成や保険の加入状況によって計算内容が変わるため、経験の少ない担当者にとっては、正確に処理することが心理的・時間的な負担となることも少なくありません。
源泉徴収票と法定調書合計表の作成・提出まで、税理士にまとめて任せられます。
源泉徴収票は従業員への交付が必要なうえ、給与の支払金額が一定額を超える役員や従業員の分は税務署への提出義務もあります。法定調書合計表は、こうした法定調書をまとめた集計表で、提出枚数や支払総額を正確に集計しなければなりません。
給与支払報告書は提出先が市区町村ごとに分かれるため、税理士に任せると仕分けの手間を省けます。
給与支払報告書とは、 従業員が1月1日時点で住民票を置く市区町村へ、翌年度の住民税を計算するために提出する書類です。税理士は、こうした地方税関係書類の作成・提出代行も担えます。従業員数が多い会社ほど提出先が分散し、仕分け作業だけでも相応の時間がかかります。
年末調整で生じた所得税の過不足は、納付書に反映して精算します。
還付または追加徴収の金額を従業員ごとに計算し、会社全体の納付額に反映させる作業です。12月分の給与で調整するか1月分で調整するかによって納付スケジュールも変わるため、事前に税理士とすり合わせておくと安心です。
年末調整を税理士に依頼する費用は、一般的には基本料金1万円から3万円程度に加え、従業員1人あたり1,000円から3,000円程度としている事務所が多く見られます。
基本料金は事務所によって幅がありますが、1万円から3万円程度に設定しているケースが多くあります。従業員規模が大きい会社ほど基本料金も高くなる傾向がありますが、クラウド給与計算ソフトの普及により、1万円台の基本料金を設定する事務所も増えています。
基本料金に加えて、従業員1人あたり1,000円から3,000円程度の手数料を設定している事務所が少なくありません。ただし料金体系は事務所によって差が大きく、1人あたり1,000円を下回る事務所や、逆に一式いくらという料金設定の事務所、顧問契約に年末調整費用が含まれる事務所もあります。年末調整では家族構成や保険の加入状況によって確認内容が従業員ごとに異なるため、人数が増えても1人あたりの単価は下がりにくい傾向があります。
基本料金と加算料金の目安をもとに、従業員数別の費用感を試算すると次のとおりです。事務所や契約内容によって差が出るため、あくまで目安として参考にしてください。
従業員数 | 基本料金の目安 | 加算料金の目安 | 合計費用の目安 |
|---|---|---|---|
10名前後 | 1万円〜3万円 | 1万円〜3万円 | 2万円〜6万円 |
20名前後 | 1万円〜3万円 | 2万円〜6万円 | 3万円〜9万円 |
30名前後 | 1万円〜3万円 | 3万円〜9万円 | 4万円〜12万円 |
上記はあくまで一例であり、法定調書合計表や給与支払報告書の作成費用が別途発生する場合があります。実際に依頼する際は、年末調整業務のどこまで対応してもらえるのかも含めて、見積もり内容を確認しておくことが大切です。
顧問契約を結んでいる税理士に年末調整を依頼する場合、スポット依頼と比べて費用を抑えられることがあります。 顧問料に一定の年末調整業務が含まれる契約もあれば、別途オプション料金が発生する契約もあるため、契約内容を事前に確認しておく必要があります。法定調書合計表や給与支払報告書の作成が別料金となる事務所もあるので、依頼前に業務範囲と費用の両方をすり合わせておきましょう。

年末調整を税理士に依頼する最大のメリットは、業務負担と計算ミスのリスクの軽減につながる点です。
小規模な会社では、労務専任の担当者を置かず、経営者や総務担当者が給与計算と年末調整を兼務しているケースも珍しくありません。年末調整の時期になると通常業務に加えて対応が必要となり、担当者の負担が一時的に増加します。税理士に依頼すれば、会社側の対応は必要書類の回収や、年末調整の結果を給与へ反映する作業など一部の業務に限られるため、 本来の業務に集中しやすくなります。
年末調整の手続きは複雑なうえ、税制改正によって毎年のように控除の要件や提出書類の様式が変わります。税務の知識が乏しいまま担当者だけで進めると、本来受けられるはずの控除を見落としてしまうこともあります。税理士に依頼すれば、最新の税制を踏まえた計算により、適用漏れや記載ミスを防ぎやすくなります。ただし、提出資料の不足や申告内容の誤りなど会社側の事情によっては、適用漏れや記載ミスが生じる可能性もあります。
給与や税金の計算は従業員の生活に直結するため、誤りがあると会社への不信感につながりかねません。特に副業収入がある従業員や、2か所以上から給与を受けている従業員は、源泉徴収票をもとに確定申告を行います。記載に誤りがあれば、従業員自身の申告にも影響が及びます。正確な年末調整を行うことは、従業員が安心して働ける環境づくりにもつながります。
従業員数が少ない会社や、年末調整の実務に慣れている担当者がいる会社は、税理士に依頼せず自社で対応できる場合があります。
具体的には、次のようなケースが挙げられます。
これらに該当する場合は、自社対応でも十分に処理できる可能性があります。ただし、従業員数が少なくても、年に一度の業務であるため手続きに時間がかかることも少なくありません。書類を早めに回収し、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
年末調整では、基礎控除や扶養親族に関する所得要件の見直しなど、近年の税制改正内容を踏まえた対応が必要になります。
所得税の基礎控除の引き上げや給与所得控除の最低保障額の見直し、扶養親族等の所得要件の改正など、近年は年末調整に影響する税制改正が行われています。改正内容によって適用時期や対象者が異なるため、自社にどのような影響があるかを事前に確認しておくことが重要です。
基礎控除申告書をはじめとする年末調整関係書類は、税制改正に合わせた様式や記載項目が 変更される場合があります。詳細な様式や運用については、国税庁から公表される最新情報を確認したうえで、年末調整を依頼する税理士とも早めに情報を共有しておくと安心です。
関連記事:【繁忙期】経理はいつが忙しい?業務内容は?|決算・年末調整
年末調整を税理士に依頼する場合、10月頃までに依頼の意思を伝えると準備がスムーズに進みます。
従業員から回収した扶養控除等申告書や保険料控除申告書などを税理士に提出します。会社が準備すべき書類に不足がないよう、事前に税理士から案内をもらえる事務所も多くあります。
提出した書類をもとに、給与と賞与の総額、各種控除額、所得税額などを税理士が算出します。年末調整の結果を12月分の給与に反映するか、1月分の給与に反映するかは、事前にすり合わせておきましょう。
税理士が各種法定調書を作成し、税務署や市区町村へ提出します。それをもとに、会社は確定した税額に応じて従業員へ還付または追加徴収を行い、年末調整の業務が完了します。
年末調整の依頼先は税理士に限らず、経理代行やバックオフィスアウトソーシング会社という選択肢もあります。
税理士は税務申告や節税相談まで幅広く対応できる専門家ですが、年末調整だけを依頼したい場合や、給与計算から一連の事務作業までまとめて任せたい場合は、経理代行会社やアウトソーシング会社も候補になります。年末調整の対応先の違いを整理すると、 次のとおりです。
対応先 | 対応範囲 | 向いている会社 |
|---|---|---|
税理士 | 年末調整に加え税務申告・節税相談まで対応可能 | 顧問契約を結び税務全般を相談したい会社 |
経理代行・アウトソーシング会社 | 年末調整を含む給与計算や記帳業務全般に対応 | 経理業務全体を継続的に外部委託したい会社 |
自社対応 | 社内担当者が書類確認から計算まで実施 | 従業員数が少なく年末調整に対応できる担当者がいる会社 |
税理士は税務の専門家として節税アドバイスまで期待できる一方、経理代行やアウトソーシング会社は、年末調整の前後にある日常的な記帳や給与計算も含めて一括で委託しやすい点が特徴です。 年末調整だけを単発で依頼したいのか、日常の経理業務ごと外部に任せたいのかによって、適した依頼先は変わります。
なお、年末調整における税額計算や税務書類の作成は、税理士のみが行える業務が含まれる場合があります。 経理代行会社やアウトソーシング会社に依頼する場合も、データ入力や給与計算の補助を担いながら、提携する税理士と連携して対応しているケースがあります。依頼前に、どこまでを自社で行い、どこからを税理士が担うのかを確認しておくと安心です。
関連記事:経理代行のメリット・デメリット完全解説|導入前に知っておくべき7つの注意点
Q. 年末調整を税理士に依頼するタイミングはいつがよいですか。
10月頃までに依頼の意思を伝えておくと、必要書類の案内から余裕を持って進められます。すでに顧問契約を結んでいる場合でも、年末調整の対応範囲や追加費用の有無について毎年確認しておくと、 認識のずれによるトラブルを防げます。
Q. 顧問税理士がいなくても、年末調整だけをスポットで依頼できますか。
顧問契約を結んでいない会社でも、年末調整だけをスポットで受け付けている事務所も少なくありません。 ただし、繁忙期に依頼が集中すると追加料金が発生する場合があるため、早めの相談が安心です。
Q. 年末調整を税理士に依頼する際、会社が用意するものは何ですか。
従業員から回収した扶養控除等申告書や保険料控除申告書、各種控除証明書に加え、給与台帳や給与データなど会社側で管理している資料が必要です。中途入社した従業員がいる場合は、前職の源泉徴収票も準備しておきましょう。
年末調整を税理士に依頼すると、書類確認から税額計算、源泉徴収票や法定調書の作成・提出まで、年末調整に関する幅広い業務を任せられます。これにより、担当者の業務負担や計算ミスのリスク軽減にもつながります。 費用は基本料金1万円から3万円に、従業員1人あたり1,000円から3,000円程度が加算される事務所が多く見られ、従業員数や契約内容に応じて総額が変わります。近年は基礎控除や扶養親族等に関する制度改正など、年末調整に影響する税制改正も行われているため、自社への影響を確認しながら、依頼する税理士と早めに認識を共有しておくことが大切です 。また、年末調整の依頼先は税理士に限らず、経理代行やアウトソーシング会社という選択肢もあります。自社の従業員数や担当者の状況、委託したい業務範囲を踏まえ、最適な方法を検討してみてください。