勤怠管理システムの入退室管理機能とは?仕組み・メリット・選び方を解説

勤怠管理システムの入退室管理機能とは?仕組み・メリット・選び方を解説

労務更新日:2026-07-11

勤怠管理システムの入退室管理機能とは何か、仕組みやメリット、選び方を解説します。打刻時刻と入退室記録のズレ確認、在室時間の扱い、導入時の注意点、社内に残る労務業務まで実務目線で整理します。導入前に確認したい企業向けです。

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勤怠の打刻時刻と、オフィスへの入退室時刻が大きくずれている場合、労務担当者はその理由を確認する必要があります。 労働時間の客観的な記録が求められるなか、こうした課題への対策として入退室記録を勤怠確認に活用する方法があります。

入退室の記録を勤怠記録と照合すると、実際に会社にいた時間と申告された勤務時間のズレを確認しやすくなります。 一方で、在室時間がそのまま労働時間になるわけではないため、運用時には注意が必要です。

本記事では、勤怠管理システムの入退室管理機能の仕組みとメリット、選び方や導入時の注意点を実務目線で整理します。あわせて、導入後も社内に残る確認業務についても取り上げます。

勤怠管理システムの入退室管理機能とは

勤怠管理システムと入退室管理を連携すると、建物や部屋への出入りの記録を、勤怠記録の確認に活用できます。勤怠記録と入退室記録を照合し、時刻に大きな差がある場合に確認しやすくなる仕組みです。

ICカードや顔認証などでオフィスに入退室した記録を、勤怠管理システムへ取り込みます。入退室記録を勤怠記録と照らし合わせることで、打刻漏れや時刻の大きな差に気づきやすくなります。ただし、入室時刻と始業時刻、退室時刻と終業時刻は必ずしも一致しません。

入退室記録を勤怠記録の確認に活用する仕組み

入室時と退室時の時刻を記録し、勤怠管理システムの打刻時刻と照合します。

ドアのリーダーにICカードをかざす、または顔認証で入退室すると、その時刻が記録されます。製品や設定によっては、入退室時の操作を出退勤の打刻として連携できる場合もあります。

勤怠システム内蔵型と入退室管理システム連携型

入退室管理機能には、勤怠システムに内蔵されたものと、入退室管理システムと連携するものがあります。自社の状況で選び方が変わります。

これから両方を整える場合は、入退室連携に対応した勤怠管理システムを選ぶ方法があります。すでに入退室設備がある場合は、その入退室管理システムと勤怠管理システムをAPIなどで連携させる方法が向きます。

入退室管理機能を勤怠管理に使うメリット

入退室管理を勤怠管理と連携すると、勤怠記録の確認、時刻の乖離への気づき、打刻漏れの確認、複数の記録の照合といったメリットがあります。ここでは代表的な4つを整理します。

勤怠記録を確認するための客観的な記録を増やせる

入退室記録は、勤怠記録を確認するための客観的な記録の一つとして活用できます。打刻時刻と大きな差がある場合に、その理由を確認するきっかけになります。

労働時間は、客観的な方法での把握が求められています。入退室のログは、いつ会社にいたかを示す記録として、勤怠の裏づけに使えます。ただし、把握方法が自社の状況に合っているかは、就業規則や社会保険労務士に確認してください。

打刻時間と在室時間の乖離を確認できる

打刻した時刻と入退室の時刻を照らし合わせると、両者の乖離を確認できます。申告された勤務時間と在室時間に大きな差がある場合に、その理由を確認しやすくなります。

打刻の後も長く在室している、入室より遅く出勤打刻している、といったズレに気づけます。乖離が見つかった場合は、実態を本人に確認して労働時間を整理します。こうしたチェックは、長時間労働や打刻の誤りを確認する際の補助的な記録になります。

連携方法によっては打刻操作をまとめられる

製品や設定によっては、入退室時の認証を出退勤の打刻として連携できる場合があります。別途の打刻操作を減らせるため、打刻忘れの抑制につながります。

ただし、入退室時刻をそのまま労働時間として扱わず、実際の勤務状況を確認できる運用にしておくことが重要です。打刻や集計など勤怠管理を効率化する方法を見直すと、入退室機能の効果も引き出しやすくなります。

関連記事:勤怠管理を効率化する方法7選|打刻・集計・給与連携の自動化ポイント

セキュリティと勤怠の記録を確認しやすくなる

入退室管理と勤怠管理を連携すると、セキュリティと勤怠の記録を照らし合わせやすくなります。

入退室と勤怠を別々に管理していた職場では、複数の記録を照合する負担を減らせる場合があります。

入退室記録の活用は、誰がいつどの場所へ出入りしたかを確認する必要がある職場と相性があります。たとえば、複数のエリアで立ち入り権限を分けるオフィスや工場、医療・介護施設、研究施設、夜間勤務や複数拠点のある職場です。

一方で、外出や直行直帰、テレワークが多い職場では、入退室記録だけで勤務状況を確認できないため、勤怠記録とあわせて運用する必要があります。

入退室管理機能を使うときの注意点

入退室管理機能では、在室と労働時間の違い、機器やコスト、個人情報の取り扱い、連携の可否に注意します。メリットだけでなく前提の確認が欠かせません。

ここでは、導入前に確かめておきたい4点を整理します。

在室時間はそのまま労働時間ではない

在室していた時間が、そのまま労働時間になるわけではありません。休憩や私用の時間も含まれるためです。

会社にいても、休憩や私用など、業務に従事していない時間が含まれる場合があります。入退室の記録は労働時間の目安になりますが、そのまま労働時間として扱うのではなく、実態に沿って整理します。判断に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

機器の設置・コストと記録漏れのリスク

入退室管理では、認証端末や電気錠などの機器が必要になる場合があるため、導入コストや記録漏れのリスクも考えておく必要があります。

ドアへのリーダー設置や、場合によっては電気錠の工事が必要です。停電や通信障害、機器の故障が起きると入退室の記録が抜けることもあるため、記録漏れ時の対応も決めておきます。非常時の避難や解錠方法についても、導入前に確認しておくことが重要です。

入退室ログ・個人情報の取り扱いを決める

入退室ログは従業員ごとの行動履歴を含むため、取り扱いのルールを決めて運用します。利用目的の説明も欠かせません。

入退室の記録をどの目的で使い、誰が見られるようにするかを決めておきます。利用目的を従業員へ説明し、個人情報の取り扱いは自社の規程や個人情報保護のルールに沿って進めます。退職者や異動者については、必要に応じて入退室権限の変更・削除を行う運用も決めておきましょう。

既存システムと連携できるか・就業規則の整備

既存の入退室設備や勤怠システムと連携できるかを確認し、運用ルールも整えます。連携できない場合は、複数の記録を手作業で照合する負担が残ることがあります。

いま使っている勤怠管理システムや入退室設備と連携できるかは、事前の確認が必要です。打刻と入退室の扱いや、乖離が出たときの対応は、就業規則や社内ルールへ反映しておきましょう。

入退室管理機能の選び方

入退室管理機能は、勤怠システム内蔵か連携認証方式や自社設備との相性で選びます。自社の状況に合わせて検討しましょう。

入退室に対応した製品は複数あるため、自社の運用に合うかを整理してから比べると選びやすくなります。主な管理方法の特徴は次のとおりです。

管理方法

特徴

向いている職場

勤怠システム内蔵の入退室連携

打刻と入退室を同じシステムで扱える

これから勤怠と入退室をまとめて整える職場

入退室管理システムと連携

既存の入退室設備を活かして勤怠システムとデータ連携する

すでに入退室設備がある職場

勤怠と入退室を別々に管理

連携せず個別に運用し、乖離は手作業で確認する

小規模・拠点が限られ、まず勤怠から始める職場

勤怠システム内蔵か、入退室システムと連携かで選ぶ

勤怠と入退室をこれからまとめるのか、既存設備を活かすのかで、選ぶ方向が変わります。導入の手間とコストが異なります。

両方をこれから整えるなら、入退室連携に対応した勤怠管理システムが候補になります。すでに入退室設備がある場合は、連携できる勤怠管理システムを選ぶと、設備を活かせます。

認証方式と自社の設備に合うかを確認する

ICカード、顔認証、暗証番号、スマホなど、認証方式が自社の設備に合うかを確認します。設置環境との相性も重要です。

本人確認を重視する場合は生体認証、既存の社員証を活用できる場合はICカードなど、自社の目的や設備に合わせて選び分けます。既存の社員証や電気錠を活かせるかも、あわせて確認しましょう。

関連記事:勤怠管理システムの選び方|人事労務BPO視点で選び方を解説

入退室管理機能を導入しても残る労務業務

入退室管理機能を導入しても、乖離の確認や給与計算前の照合、従業員対応といった労務業務は社内で対応する必要があります。システムだけでは完結しません。

入退室機能は、記録を集めるしくみです。その後の確認や判断は、引き続き人が担います。

打刻と入退室の乖離の確認は残る

打刻と入退室の時刻にズレが出たときの確認は、人が行います。乖離の理由は記録だけでは分かりません。

在室が長い、打刻と入室の時刻が合わないといった場合、本人への確認が必要です。残業なのか、私用や休憩なのかを確認し、必要に応じて勤怠記録を修正します。

給与計算前の照合・最終確認は必要

給与計算の前に、勤怠データが正しく確定しているかを照合しましょう。記録の誤りは給与に影響するためです。

残業時間や有休の取得状況などを、締めの前に見直します。ただし、元の記録に誤りがあれば給与計算にも影響するため、最終確認はなくなりません。勤怠データと給与計算の連携方法を確認したい場合は、関連記事も参考にしてください。

関連記事:勤怠管理システムと給与計算の連携方法|自動化で二重入力・ミスをなくす

従業員からの問い合わせ・修正対応

入退室や勤怠に関する従業員からの問い合わせ・修正対応は、引き続き人が担います。やり取りは自動では終わりません。

「入室が記録されていない」「時刻を直したい」といった連絡への対応は残ります。担当者が少ない職場では、こうした対応が特定の人に集中します。

社内だけで勤怠・労務が回らない場合の選択肢

社内だけで勤怠の確認や給与計算前の作業が回らない場合は、労務業務を外部に任せる選択肢があります。特定の担当者への集中を和らげられるでしょう。

入退室機能で記録を整えても、乖離の確認・修正・問い合わせ対応といった運用は残ります。担当者が1〜2名の職場では、締めの時期にこれらが一点へ集まりがちです。

勤怠確認や給与計算を外部に任せる方法

勤怠データの確認や給与計算前の作業は、外部の労務支援に任せることもできます。社内の負担が偏る状態を見直せます。

勤怠データの確認、修正依頼のやり取り、給与計算前の照合などを、社外の担当者と分担する方法があります。締めの時期に業務が集中する職場ほど、負担を分散しやすくなります。

Remoba労務という選択肢

Remoba労務は、勤怠データの確認や給与計算、社会保険手続きなどの労務業務をオンラインで支援します。社内に残る運用業務を社外と分担できます。

勤怠内容の確認や申請のチェック、給与計算前の作業といった運用を、社外の担当者と分けられます。社内の担当者が少ない場合や、締めの時期に業務が集中している場合に検討しやすいでしょう。

まとめ

勤怠管理システムと入退室管理を連携すると、勤怠記録を確認するための情報を増やせます。一方で、入退室記録と労働時間は同じではないため、運用設計が重要です。在室と労働時間の区別や運用の設計が導入のカギになります。最後に要点を整理します。

  • 入退室管理を勤怠管理と連携すると、入退室記録を勤怠記録の確認に活用できます。
  • 勤怠記録と入退室記録を照合すると、時刻の大きな差や打刻漏れに気づきやすくなります。
  • 在室時間はそのまま労働時間ではないため、実態に沿って整理する運用が必要です。
  • 機器の設置やコスト、記録漏れのリスク、入退室ログの個人情報の取り扱いも、事前に確かめておきます。
  • 制度に関わる部分は、自社の就業規則や社会保険労務士に確認しながら運用ルールを整えます。
  • 導入後も乖離の確認や給与計算前の照合は残るため、社内で回らない場合は労務アウトソーシングも選択肢になります。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

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