顔認証による勤怠管理とは?メリット・注意点・導入前の確認ポイントを解説

顔認証による勤怠管理とは?メリット・注意点・導入前の確認ポイントを解説

労務更新日:2026-07-07

顔認証による勤怠管理の仕組みやメリット、導入時の注意点を実務目線で解説します。なりすまし・代理打刻対策や打刻の手間削減といった利点に加え、認証精度や顔情報の取り扱い、他の打刻方法との比較・選び方、導入後も社内に残る労務業務まで紹介します。

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タイムカードの打刻漏れや、ICカードの貸し借りによる代理打刻に悩む職場は少なくありません。こうした課題への対策として、顔をカメラに向けるだけで打刻できる顔認証の勤怠管理が注目されています。

顔認証は、なりすましや代理打刻を防ぎやすく、打刻の手間を減らしやすい方法です。一方で、認証精度が環境に左右される点や、顔情報という個人を識別できる情報を扱う点には注意が必要です。

本記事では、顔認証で勤怠管理を行う仕組み、メリット、導入時の注意点を実務目線で整理します。あわせて、他の打刻方法との比較や選び方、導入後も社内に残る確認業務についても取り上げます。

顔認証勤怠管理とは

顔認証勤怠管理とは、事前に登録した顔情報とカメラの映像を照合して、出退勤を打刻する仕組みです。カードやボタン操作を使わずに打刻できます。

従業員は、タブレットやスマートフォン、専用端末のカメラに顔を向けるだけで打刻が可能です。打刻した時刻はシステムへ自動で記録され、勤怠データの集計にもつなげられます。

顔認証で出退勤を打刻する仕組み

顔認証打刻は、顔の事前登録カメラでの撮影登録データとの照合という流れで動きます。本人と確認できれば打刻が完了する仕組みです。

まず従業員の顔をシステムに登録します。打刻時はカメラが顔を撮影し、登録済みのデータと照合して本人かどうかを判定します。判定が済むと、出退勤の時刻がシステムに記録されるという流れです。

タイムカードやICカード打刻との違い

顔認証は、カードや打刻機に触れずに本人確認まで行える点が、タイムカードやICカードと異なります。持ち物や接触が要りません。

タイムカードやICカードは、本人以外でも打刻でき、紛失や置き忘れも起こります。顔認証は本人の顔で打刻するため、なりすましや代理打刻を防ぎやすくなります。カードの貸し借りによる打刻を避けやすい点も特徴です。

顔認証を勤怠管理に使うメリット

顔認証には、なりすまし対策、打刻の手間の削減、非接触、集計の自動化といったメリットがあります。ここでは代表的な4つを整理します。

なりすまし・代理打刻を防ぎやすい

顔認証は本人の顔で打刻するため、なりすましや代理打刻を防ぎやすくなります。本人確認と打刻を同時に行える点が特徴です。

ICカードやタイムカードでは、他人が代わりに打刻できてしまう場面があります。顔認証は個人の顔をもとに認証するため、代理打刻が起きにくく、勤怠データの正確さを保ちやすくなります。

打刻の手間や打刻漏れを減らせる

カメラに顔を向けるだけで打刻できるため、打刻の手間や打刻漏れを減らせます。カードを探す動作も要りません。

出退勤エリアに端末を置けば、通り際に打刻できます。打刻の動作が簡単になるほど、打刻漏れそのものが起きにくくなります。ただし、打刻漏れが完全になくなるわけではないため、確認の運用は残しておきましょう。

非接触で衛生的・カードの紛失や再発行の手間がない

顔認証は非接触で打刻でき、カードの紛失や再発行にともなう手間もなくなります。端末の共有もしやすいのが特徴です。

機器に触れずに打刻できるため、接触を減らした運用にしやすくなります。カードを持たないため、紛失や再発行への対応、仮カードの貸し出しといった総務側の手間もかかりません。

打刻データが自動で集計され手作業を減らせる

打刻データはシステム上で自動集計されるため、紙のタイムカードを回収したり、Excelへ手入力したりする作業を減らせます。集計にかかる手間が軽くなり、転記ミスの防止にもつながります。

また打刻や集計を含めて勤怠管理の工程全体を見直すことで、顔認証の効果も引き出しやすくなります。

関連記事:勤怠管理を効率化する方法7選|打刻・集計・給与連携の自動化ポイント

顔認証勤怠管理が向いている職場

顔認証勤怠管理は、共有端末で複数の従業員が打刻する職場と相性があります。たとえば、店舗、工場、介護施設、医療現場、飲食店、塾などです。

これらの職場では、シフト勤務や交代制勤務が多く、出退勤のタイミングも従業員ごとに分かれます。顔認証を使うと、本人確認をしながら打刻できるため、ICカードの貸し借りや代理打刻を防ぎやすくなります。

一方で、外出やテレワークが多い職場では、顔認証だけでなくスマホ打刻やPC打刻との併用も検討した方がよいでしょう。全社で一律に導入するのではなく、職場ごとの勤務形態に合わせて選ぶことが重要です。

顔認証勤怠管理を導入するときの注意点

顔認証の導入では、認証精度、顔情報の取り扱い、コストと設置環境、社内ルールの整備に注意します。メリットだけでなく、前提の確認が欠かせません。

ここでは、導入前に確かめておきたい4点を整理します。

認証精度は照明・マスク・角度などの環境に左右される

顔認証の精度は、照明やマスク、顔の角度、登録人数などの環境に左右されます。製品によって差があります。

マスクや眼鏡に対応した製品もありますが、暗い場所や逆光では認証しにくくなる場合があります。登録人数が増えると、似た顔での誤認が起きることもあります。認証の速度や精度は、デモや無料トライアルで実際に確かめておくと安心です。

顔情報は個人を識別できる情報として取り扱う

顔情報は、個人を識別できる情報にあたるため、漏洩した場合の影響も大きく、慎重な取り扱いが必要です。取得・保存・利用範囲や削除ルールを明確にしておきましょう。

顔データの保存方法、利用目的、管理体制を決め、従業員へ説明したうえで運用します。データの暗号化やアクセス権限の管理が行われているかも確認します。個人情報の取り扱いは、自社の規程や個人情報保護のルールに沿って進め、判断に迷う場合は社内の管理部門や専門家に確認してください。

導入・運用コストと設置環境を確認する

顔認証は、端末の台数や設置環境によって、導入・運用コストが変わります。事前の見積もりと環境確認が必要です。

出社人数が多いと、混雑を避けるために端末を複数用意することがあります。クラウド型かオンプレミス型か、回線や電源の工事が必要かによっても費用は変わります。設置場所以外では打刻できない端末型では、テレワークへの対応も見ておきましょう。

就業規則や社内ルールの整備が必要

顔認証を導入する際は、打刻方法や勤怠のルールを就業規則や社内ルールへ反映します。ルールの整備とセットで進めます。

どの場面でどの端末を使って打刻するか、認証できないときにどう対応するかを決めておきます。制度に関わる部分は、自社の就業規則や社会保険労務士に確認してください。

顔認証勤怠管理システムを選ぶポイント

顔認証勤怠管理システムを選ぶ際は、認証精度だけでなく、打刻漏れへの対応や給与計算ソフトとの連携、セキュリティ、サポート体制まで確認することが重要です。

認証精度と使いやすさ

顔認証は、照明や端末の位置、マスク、眼鏡などの影響を受けることがあります。導入前にデモや無料トライアルを使い、自社の職場環境で問題なく認証できるか確認しておきましょう。

スマホ・タブレット・PCなど対応端末

顔認証をどの端末で使えるかも確認が必要です。出入口にタブレットを置くのか、従業員のスマホで打刻するのかによって、導入方法や運用負担が変わります。

打刻漏れアラートや申請・承認フロー

顔認証を導入しても、打刻漏れや修正申請は発生します。未打刻のアラート、修正申請、上長承認、認証エラー時の対応をシステム上で管理できるか確認しておくと、締め前の確認作業を減らしやすくなります。

給与計算ソフトとの連携

勤怠データを給与計算ソフトと連携できれば、転記や二重入力の負担を減らせます。ただし、元の打刻データに誤りがあれば給与計算にも影響するため、連携後も最終確認は必要です。

セキュリティとアクセス権限

顔情報を扱うため、データの保存方法暗号化アクセス権限退職時の削除ルールなどを確認しておきます。誰がどの情報を見られるのかを明確にすることも大切です。

顔認証と他の打刻方法の比較

顔認証が万能というわけではなく、使用環境や働き方に合わせて打刻方法を選ぶことが大切です。他の方法と特徴を比べて検討します。

顔認証に対応した製品を比較する際は、認証精度や打刻方法、自社の勤務形態に合うか確認すると迷いにくくなります。主な打刻方法の特徴は次のとおりです。

打刻方法

特徴

向いている環境・働き方

顔認証

カメラに顔を向けて打刻。非接触でカード不要、代理打刻を防ぎやすい

出社型・製造・店舗・多拠点、衛生面を重視する職場

ICカード

社員証などをかざして打刻。操作が簡単で導入しやすい

出社型のオフィス・店舗(カードの貸し借りには注意)

スマホ・PC打刻

アプリやブラウザから打刻。位置情報の併用も可能

直行直帰・外出・テレワーク

指紋・静脈認証

指をかざして打刻。本人確認の精度を高めやすい

室内常設で精度を重視する職場(手荒れや環境の影響に注意)

関連記事:勤怠管理システムおすすめ17選|人事労務BPO視点で選び方を解説

使用環境と従業員数に合わせて選ぶ

打刻方法は、使用環境と従業員数に合わせて選ぶと運用に乗せやすくなります。職場の条件によって向き不向きが分かれる点に注意しましょう。

屋外や衛生面を重視する現場では顔認証が向いています。外出やテレワークが多い職場では、スマホ打刻を組み合わせると記録の抜けを防ぎやすくなります。

顔認証だけに絞らず複数の打刻方法を併用する

顔認証だけに絞らず、複数の打刻方法を併用すると、認証できない場面にも備えられるでしょう。働き方の違いを吸収しやすくなります。

在宅勤務や、認証がうまくいかないときのために、スマホ打刻や手動申請などの代替手段を残しておきます。複数の手段があると、打刻の抜けを減らせます。

顔認証勤怠管理を導入しても残る労務業務

顔認証を導入しても、打刻漏れの確認や給与計算前の照合、従業員対応といった労務業務は社内に残ります。システムだけでは完結しません。

顔認証は打刻の入り口を整える仕組みです。その後の確認や判断は、引き続き人が担います。

打刻漏れやイレギュラーの確認は残る

端末に立てなかった日や認証エラーなど、イレギュラーの確認は人が行います。例外への対応は自動化しきれません。

外出や出張、認証がうまくいかなかった場合には、手動での申請や修正が必要になります。これらの内容を確認し、正しい記録に直す作業は社内で対応しなければなりません。

給与計算前の照合・最終確認は必要

給与計算の前に、勤怠データが正しく確定しているかを照合します。打刻の誤りは給与に影響するため、残業時間や有休の取得状況などを、締めの前に見直すことが大切です。システムを導入しても、元の打刻に誤りがあれば給与計算にも影響するため、最終確認はなくなりません。

関連記事:勤怠管理システムと給与計算の連携方法|自動化で二重入力・ミスをなくす

従業員からの問い合わせ・修正対応

打刻や勤怠に関する従業員からの問い合わせ・修正対応は、引き続き人が担います。やり取りは自動では終わりません。

「認証されなかった」「打刻を修正したい」といった連絡への対応は残ります。担当者が少ない職場では、こうした対応が特定の人に集中します。

社内だけで勤怠・労務が回らない場合の選択肢

社内だけで勤怠の確認や給与計算前の作業が回らない場合は、労務業務を外部に任せる選択肢があります。特定の担当者への集中を和らげられます。

顔認証で打刻を整えても、確認・修正・問い合わせ対応といった運用は残ります。担当者が1〜2名の職場では、締めの時期にこれらの対応が一人に集中しがちです。

勤怠確認や給与計算を外部に任せる方法

打刻漏れの確認や給与計算前の作業は、外部の労務支援に任せることもできます。社内の負担が偏る状態を見直せるでしょう。

勤怠データの確認、修正依頼のやり取り、給与計算前の照合などを、社外の担当者と分担する方法があります。締めの時期に業務が集中する職場ほど、負担を分散しやすくなります。

Remoba労務という選択肢

Remoba労務は、勤怠データの確認や給与計算、社会保険手続きなどの労務業務をオンラインで支援します。社内に残る運用業務を社外と分担できます。

打刻内容の確認や申請のチェック、給与計算前の照合作業といった運用を、社外の担当者と分けられます。社内の担当者が少ない場合や、締めの時期に業務が集中している場合の選択肢になります。

まとめ

顔認証勤怠管理は、なりすまし対策や打刻の手間の削減に役立つ一方、認証精度、個人情報の取り扱い、運用設計が導入のカギになります。最後に要点を整理します。

  • 顔認証勤怠管理は、事前登録した顔とカメラの映像を照合して打刻する仕組み
  • なりすましや代理打刻を防ぎやすく、打刻の手間や打刻漏れ、集計の手作業を減らせる
  • 認証精度は照明やマスクなどの環境に左右されるため、導入前の確認が必要
  • 顔情報は個人を識別できる情報にあたるため、取得・保存・利用範囲を明確にしたうえで慎重に取り扱う必要がある
  • 顔認証だけに絞らず、使用環境や働き方に合わせて複数の打刻方法を併用すると運用に乗せやすい
  • 制度に関わる部分は就業規則や社会保険労務士に確認し、個人情報の取り扱いは社内規程や個人情報保護のルールに沿って進める
  • 導入後も打刻漏れの確認や給与計算前の照合は残るため、社内で回らない場合は労務アウトソーシングも選択肢になる

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

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