経理体制を整えるときに悩みやすいのが、「経理担当者を採用すべきか」「経理アウトソーシングを活用すべきか」という判断です。
ただし、これは「業務量が多いから採用」「少ないから外注」と単純には決められません。経理業務が安定して回っているか、社内で管理・チェックできるか、採用するだけの業務量があるか、想定した業務を任せられる人材を採用できるかまで確認する必要があります。
また、選択肢は採用か全部アウトソーシングの二択だけではありません。社内担当者を置きながら一部を外部化する「採用+アウトソーシング」の併用もあります。
この記事では、経理の採用・内製化とアウトソーシングの判断基準を、4つの質問で整理して解説します。

なお、経理アウトソーシングで依頼できる業務範囲や記帳代行との違いを先に知りたい場合は、関連記事:「経理アウトソーシングとは?記帳代行との違いと向いている会社を解説」も参考にしてください。
経理は採用・内製かアウトソーシングかを4つの質問で判断する
経理を採用するか、アウトソーシングするかを考えるときは、いきなり費用や業務量だけで比較しないことが重要です。
経理は、日々の記帳や請求・支払処理だけでなく、月次決算、残高確認、税理士対応、経営数値の確認にも関わります。そのため、人を採用しても、社内で管理・チェックできなければ属人化しやすくなります。
一方で、経理業務が1名分に満たない場合や、想定した業務を任せられる人材を採用できない場合は、無理に内製化するよりも、必要な業務を外部化した方が安定しやすいこともあります。
判断するときは、次の4つの質問を順番に確認しましょう。
1. いま、経理業務は回っているか
まず確認したいのは、現在の経理業務が安定して回っているかどうかです。
次のような状態であれば、採用を検討する前に、まずは業務の安定化を優先する必要があります。
- 経理担当者の退職で業務が回っていない
- 月次決算や支払が遅れている
- 前任者しか分からない業務が多い
- 請求・入金確認・支払処理に抜け漏れがある
- 経営数字をタイムリーに確認できていない
このような状態で採用活動を始めても、採用までに時間がかかります。仮に採用できたとしても、業務整理や引き継ぎが不十分なままでは、新しい担当者がすぐに機能しない可能性があります。
このときの外部活用は、必ずしも全部任せに限りません。社内に最低限の担当者や経理事務員がいる場合は、記帳、支払処理、月次決算補助、チェック業務などを一部外部化する併用も選択肢になります。社内で抱えきれない場合は、経理アウトソーシングで外部中心に運用する方法もあります。
2. 社内で管理・チェックできるか
次に確認したいのは、社内で経理業務を管理・チェックできる体制があるかです。
経理担当者を採用しても、社内で業務を確認できなければ、結局その人に任せきりになってしまいます。仕訳、支払、請求、入金確認、月次決算、残高確認、税理士対応などは、処理内容をチェックし、必要に応じて業務フローを改善する役割が必要です。
次のような状態であれば、採用しても経理課題の解決につながらない、または属人化しやすくなります。
- 社内に経理マネージャー経験者がいない
- 経理としてのあるべきや月次決算の内容を論理的に確認できる人がいない
- 採用しても任せきりになりそう
- 業務改善や仕組み化に使えるリソースがない
- マニュアル化のルール・方針がない
この場合、採用によって一時的に人手は増えても、経理体制そのものは安定しません。一人経理化し、退職・休職時に再び業務が止まるリスクもあります。
社内で管理・チェックしきれない・ノウハウがなに場合は、アウトソーシングを検討しましょう。社内に担当者を置きながら、月次チェックや業務設計を外部に支援してもらう併用もあれば、社内で管理者を置けない場合は全部アウトソーシングが向いていることもあります。
公認会計士・税理士 辻田和弘
専門家コメント
社内で経理担当者を1人採用すると、その人に業務が集中し、一人経理化しやすくなります。業務の進め方が担当者の頭の中に残ったままだと、休職や退職時に業務が止まるリスクがあります。一方で、アウトソーシングも個人委託や一人担当制では、社外に属人化が移るだけになることがあります。外注先を選ぶ際は、チーム体制で対応しているか、レビューの仕組みがあるかを確認することが重要です。