経理アウトソーシングか採用か?内製・外注の判断基準と併用パターンを解説

経理アウトソーシングか採用か?内製・外注の判断基準と併用パターンを解説

経理更新日:2026-05-16

経理担当者を採用すべきか、経理アウトソーシングを利用して外部委託すべきかで迷う会社向けに、判断チャートに沿って両者の違い、費用や体制の比較、向いている会社、判断基準を整理して解説します。

経理体制を整えるときに悩みやすいのが、「経理担当者を採用すべきか」「経理アウトソーシングを活用すべきか」という判断です。

ただし、これは「業務量が多いから採用」「少ないから外注」と単純には決められません。経理業務が安定して回っているか、社内で管理・チェックできるか、採用するだけの業務量があるか、想定した業務を任せられる人材を採用できるかまで確認する必要があります。

また、選択肢は採用か全部アウトソーシングの二択だけではありません。社内担当者を置きながら一部を外部化する「採用+アウトソーシング」の併用もあります。

この記事では、経理の採用・内製化とアウトソーシングの判断基準を、4つの質問で整理して解説します。

経理体制の判断チャート|採用かアウトソーシングか4つの質問で確認

なお、経理アウトソーシングで依頼できる業務範囲や記帳代行との違いを先に知りたい場合は、関連記事:「経理アウトソーシングとは?記帳代行との違いと向いている会社を解説」も参考にしてください。

経理は採用・内製かアウトソーシングかを4つの質問で判断する

経理を採用するか、アウトソーシングするかを考えるときは、いきなり費用や業務量だけで比較しないことが重要です。

経理は、日々の記帳や請求・支払処理だけでなく、月次決算、残高確認、税理士対応、経営数値の確認にも関わります。そのため、人を採用しても、社内で管理・チェックできなければ属人化しやすくなります。

一方で、経理業務が1名分に満たない場合や、想定した業務を任せられる人材を採用できない場合は、無理に内製化するよりも、必要な業務を外部化した方が安定しやすいこともあります。

判断するときは、次の4つの質問を順番に確認しましょう。

1. いま、経理業務は回っているか

まず確認したいのは、現在の経理業務が安定して回っているかどうかです。

次のような状態であれば、採用を検討する前に、まずは業務の安定化を優先する必要があります。

  • 経理担当者の退職で業務が回っていない
  • 月次決算や支払が遅れている
  • 前任者しか分からない業務が多い
  • 請求・入金確認・支払処理に抜け漏れがある
  • 経営数字をタイムリーに確認できていない

このような状態で採用活動を始めても、採用までに時間がかかります。仮に採用できたとしても、業務整理や引き継ぎが不十分なままでは、新しい担当者がすぐに機能しない可能性があります。

このときの外部活用は、必ずしも全部任せに限りません。社内に最低限の担当者や経理事務員がいる場合は、記帳、支払処理、月次決算補助、チェック業務などを一部外部化する併用も選択肢になります。社内で抱えきれない場合は、経理アウトソーシングで外部中心に運用する方法もあります。

2. 社内で管理・チェックできるか

次に確認したいのは、社内で経理業務を管理・チェックできる体制があるかです。

経理担当者を採用しても、社内で業務を確認できなければ、結局その人に任せきりになってしまいます。仕訳、支払、請求、入金確認、月次決算、残高確認、税理士対応などは、処理内容をチェックし、必要に応じて業務フローを改善する役割が必要です。

次のような状態であれば、採用しても経理課題の解決につながらない、または属人化しやすくなります。

  • 社内に経理マネージャー経験者がいない
  • 経理としてのあるべきや月次決算の内容を論理的に確認できる人がいない
  • 採用しても任せきりになりそう
  • 業務改善や仕組み化に使えるリソースがない
  • マニュアル化のルール・方針がない

この場合、採用によって一時的に人手は増えても、経理体制そのものは安定しません。一人経理化し、退職・休職時に再び業務が止まるリスクもあります。

社内で管理・チェックしきれない・ノウハウがなに場合は、アウトソーシングを検討しましょう。社内に担当者を置きながら、月次チェックや業務設計を外部に支援してもらう併用もあれば、社内で管理者を置けない場合は全部アウトソーシングが向いていることもあります。

コメント:公認会計士・税理士 辻田和弘

公認会計士・税理士 辻田和弘

専門家コメント
社内で経理担当者を1人採用すると、その人に業務が集中し、一人経理化しやすくなります。業務の進め方が担当者の頭の中に残ったままだと、休職や退職時に業務が止まるリスクがあります。一方で、アウトソーシングも個人委託や一人担当制では、社外に属人化が移るだけになることがあります。外注先を選ぶ際は、チーム体制で対応しているか、レビューの仕組みがあるかを確認することが重要です。

3. 採用するだけの業務量があるか

経理業務が安定しており、社内で管理・チェックできる体制もある場合は、次に採用するだけの業務量があるかを確認します。

採用が向いているのは、次のようなケースです。

  • 経理専任でフルタイム分の業務がある
  • または、労務・総務・営業事務などを含めてバックオフィス全体で1名分の業務がある

たとえば、日々の仕訳、請求書発行、入金確認、支払処理、月次決算、管理資料作成などを継続的に回す必要がある場合は、経理担当者の採用が選択肢になります。

一方で、経理業務だけでは1名分に満たない場合は、正社員を採用するよりも、必要な業務だけをアウトソーシングした方が合いやすいことがあります。

また、バックオフィス全体で1名分になる場合も注意が必要です。経理・労務・総務をすべて1人に集約すると、その担当者に業務が集中し、別の形で属人化する可能性があります。またバックオフィスを一人で高いレベルでこなすことができる人材も市場には少なくなります。

この場合は、社内担当者を置きながら、経理の一部やチェック業務を外部化する併用も検討するとよいでしょう。

採用とアウトソーシングを比較する場合は、給与だけでなく、採用費、教育工数、退職リスク、管理工数まで含めて考える必要があります。費用面を詳しく比較したい場合は、関連記事「経理アウトソーシングの費用・相場は?自社雇用との比較と見積もりの注意点を解説」も参考にしてください。

4. 想定した業務ができる人材を採用できるか

最後に、想定している経理業務を任せられる人材を採用できるかを確認します。

ここで重要なのは、単に「応募があるか」ではありません。任せたい業務レベルに合う人材が、予算内で、必要な時期に採れるかまで見る必要があります

判断の目安は次の通りです。

  • 任せたい業務レベルに合う応募がある
  • 給与・採用予算が合っている
  • 入社時期が遅すぎない
  • 採用後の教育・引き継ぎに対応できる

反対に、次のような場合は採用が難しい可能性があります。

  • 応募はあるが、任せたい業務レベルに合わない
  • 月次決算や支払管理まで任せられる人が見つからない
  • 採用予算が市場感と合っていない
  • 採用活動が長期化している
  • 入社時期が遅く、足元の業務に間に合わない

このような場合は、採用にこだわりすぎるより、外部活用を検討した方が現実的です。社内で一部を持てるなら採用+アウトソーシング、社内で抱えるのが難しいなら全部アウトソーシングが向いています。

コメント:公認会計士・税理士 辻田和弘

公認会計士・税理士 辻田和弘

専門家コメント
経理人材の採用では、「経理経験者」として応募してくる人材の経験範囲を丁寧に確認する必要があります。実務上は、特定の会社の特定のシステム上で、請求書発行や入力などの定型業務を担当していたケースも多く、月次決算、残高確認、業務改善、社内調整まで自走できる人材とは限りません。
経理事務の人手を補いたい場合は、定型業務の経験でも十分なことがあります。しかし、経理の遅れや属人化、チェック体制の不足を解消したい場合は、単なる作業経験ではミスマッチになる可能性があります。
採用時は、候補者が「言われた作業を正確に処理できる人」なのか、「経理課題を整理し、周囲と調整しながら改善できる人」なのかを見極めることが重要です。

経理アウトソーシングで外部化しやすい業務・社内に残す業務

経理アウトソーシングを活用する場合でも、すべての業務を外部に任せる必要はありません。外部化しやすい業務と、社内で判断すべき業務を分けて考えることが重要です。

区分

業務例

考え方

外部化しやすい業務

記帳、証憑整理、請求書発行補助、入金確認、支払データ作成、月次資料作成補助

ルール化しやすく、定型業務として任せやすい

併用しやすい業務

月次決算補助、残高確認、経費精算チェック、支払チェック、税理士対応補助

社内確認と外部処理を分けると運用しやすい

社内に残すべき業務

支払承認、資金繰り判断、重要な取引先対応、経営判断、予算決定

最終判断や経営判断に関わるため社内で持つ

特に、支払承認や資金繰り判断などは、外部に作業を依頼する場合でも、最終判断は社内で行う必要があります。

一方で、記帳、証憑整理、支払データ作成、月次決算補助などは、ルールや確認フローを整えれば外部化しやすい業務です。

採用かアウトソーシングかを考えるときは、「どの業務を外部化できるか」だけでなく、「どの判断を社内に残すべきか」まで整理しておくと、導入後のズレを防ぎやすくなります。自社で整理できない場合は一緒に整理をしてくれる会社に相談するのも一つです

採用が向いているケース

経理担当者の採用が向いているのは、社内で経理業務を回し切れる会社です。

具体的には、次のような条件を満たす場合です。

  • 経理業務が安定して回っている
  • 社内で管理・チェックできる体制がある
  • 採用するだけの業務量がある
  • 想定した業務を任せられる人材を採用できる
  • 採用後の教育・引き継ぎ・業務改善にリソースを割ける

このような会社では、経理担当者を社内に置くことで、自社の事情に合わせた経理体制を作りやすくなります。

ただし、採用した担当者にすべてを任せきりにすると、属人化のリスクは残ります。採用する場合でも、業務フロー、チェック体制、引き継ぎ方法を整えておくことが重要です。

採用+アウトソーシングの併用が向いているケース

採用とアウトソーシングの併用が向いているのは、社内担当者を置きたいものの、すべてを社内だけで完結させると負担やリスクが大きい会社です。

たとえば、次のようなケースです。

  • 経理担当者はいるが、月次決算やチェックまで任せるには不安がある
  • 採用はできるが、一部業務は外部の方が安定する
  • 社内に承認者はいるが、経理マネージャー経験者はいない
  • 一人経理になりやすく、退職・休職時のバックアップがない
  • 繁忙期だけ工数が足りない
  • 記帳、証憑整理、支払データ作成、月次チェックなどを外部に任せたい

併用の場合は、社内と外部の役割分担を明確にすることが重要です。

たとえば、社内では請求内容の確認、支払承認、資金繰り判断、経営数値の確認を行い、外部には記帳、証憑整理、支払データ作成、月次決算補助、チェック業務などを任せる分担が考えられます。

採用+アウトソーシングにすると、社内に経理機能を残しながら、属人化や業務遅延のリスクを抑えやすくなります。

コメント:公認会計士・税理士 辻田和弘

公認会計士・税理士 辻田和弘

専門家コメント
将来的に経理を内製化したい場合でも、いきなり採用するより、先にアウトソーシングで業務フローを整える方法があります。月次スケジュール、請求・支払フロー、証憑回収ルール、税理士との連携方法を整理しておくと、採用後の引き継ぎが大幅にしやすくなります。外部化は『採用できるまでのつなぎ』だけでなく、『採用しやすい環境を作る手段』として活用できます。

全部アウトソーシングが向いているケース

全部アウトソーシングが向いているのは、社内で経理を抱えるよりも、外部中心で運用した方が安定しやすい会社です。

具体的には、次のようなケースです。

  • 経理担当者の退職で業務が回っていない
  • 月次決算や支払が遅れている
  • 前任者しか分からない業務が多い
  • 社内に経理を管理・チェックできる人がいない
  • 採用しても任せきりになりそう
  • 経理だけでは1名分の業務量がない
  • 想定業務を任せられる人材を採用できない
  • 採用が長期化している

全部アウトソーシングを選ぶ場合でも、社内側の役割がゼロになるわけではありません。支払承認、請求内容の確認、資金繰り判断、経営数値の確認など、最終判断は社内に残ります。

経理の採用かアウトソーシングかで迷ったときの考え方

経理の採用かアウトソーシングかで迷ったときは、「全部社内で回し切れるか」を基準に考えると整理しやすくなります。

  • 全部社内で回し切れる
    → 採用
  • 社内担当者は置きたいが、一部は外部に任せた方がよい
    → 採用+アウトソーシング
  • 社内で抱えるのが難しい
    → 全部アウトソーシング

判断するときに重要なのは、業務量だけを見るのではなく、次の3点まで確認することです。

  • 今すぐ安定化が必要な状態か
  • 採用後に社内で管理・チェックできるか
  • 想定した業務を任せられる人材を予算内で採れるか

この3点を確認することで、自社に合わない採用や無理な内製化を避けやすくなります。

また、経理アウトソーシングは「全部任せ」だけではありません。社内担当者と外部を組み合わせる併用もあるため、自社の体制やリソースに合わせて設計することが重要です。

まとめ

経理体制を考えるときは、「採用」か「アウトソーシング」かの二択で考えないことが重要です。

実際には、次の3つの選択肢があります。

  • 社内で回し切れるなら 採用
  • 社内担当者を置きつつ一部外部化するなら 採用+アウトソーシング
  • 社内で抱えず外部中心で運用するなら 全部アウトソーシング

判断するときは、次の4つを順番に確認しましょう。

  1. いま、経理業務は回っているか
  2. 社内で管理・チェックできるか
  3. 採用するだけの業務量があるか
  4. 想定した業務を任せられる人材を採用できるか

経理は、人を採用すれば自動的に安定する業務ではありません。業務の安定性、社内の管理体制、業務量、採用可能性まで確認したうえで、自社に合う形を選ぶことが大切です。

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この記事の監修者

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辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

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