問い合わせ対応にAIを活用する方法を、FAQ一次回答や回答案作成などの任せやすい工程と、契約・苦情など人が判断する工程に分けて解説します。Webチャット・メール・電話・SNS別の使い分けや導入手順、有人対応との分担まで整理します。

問い合わせ対応にAIを活用する方法を、FAQ一次回答や回答案作成などの任せやすい工程と、契約・苦情など人が判断する工程に分けて解説します。Webチャット・メール・電話・SNS別の使い分けや導入手順、有人対応との分担まで整理します。
問い合わせ対応の負担が増えても、人員をすぐに増やすのは簡単ではありません。同じ質問に何度も答えたり、メールやフォーム、電話、SNSなど複数の窓口を少人数で対応したりする場面は、多くの企業で起きています。
こうした状況では、問い合わせ対応の一部の工程にAIを取り入れ、人による対応と組み合わせる方法が現実的です。この記事では、問い合わせ対応という業務のどの工程にAIを使い、どの工程を人が担うのかを、チャネル別の使い分けや導入手順まで含めて整理します。AIそのものの解説ではなく、日々の対応をどう改善するかに絞って説明します。

問い合わせ対応は、すべてをAIに任せるのではなく、定型対応・情報検索・回答作成・記録といった一部の工程から活用するのが現実的です。まずは負担が大きく、判断の少ない工程を切り出すと、無理なく取り入れられます。ここでは、活用しやすい代表的な工程を5つに分けて説明します。
営業時間やサービスの基本情報など、答えが決まっている質問は、AIチャットボットやAI FAQによる一次対応に向いています。
たとえば「営業時間は何時までか」「手続きの方法を知りたい」「送料はいくらか」といった、FAQに答えがある問い合わせが対象です。こうした質問に自動で一次回答を返せれば、顧客の自己解決を後押しでき、担当者が同じ回答を繰り返す負担も軽くなります。
ただし、AIが必ず正しく回答できるわけではありません。想定外の聞き方をされた質問や、FAQに載っていない内容は、人へ引き継ぐ設計にしておく必要があります。
メールやフォームへの回答は、AIが回答案を作り、人が確認・修正してから送信する流れが基本です。
担当者がゼロから文面を書く代わりに、過去のやり取りやFAQを参照できる仕組みでは、それらの情報をもとにAIが下書きを作成できます。担当者はその案を読み、表現や事実関係を確認して仕上げます。文章を組み立てる時間を短くしつつ、送信前のチェックは人が担う運用です。
契約、料金、返金、個別の条件など、判断を伴う内容は、人が確認して最終的な回答を決めます。AIが作った回答をそのまま自動送信するのではなく、人が確認できる運用にしておくと安心です。
担当者が回答に必要な情報を探す作業も、AIで補助できます。
FAQ、マニュアル、商品・サービス情報、過去の応対履歴など、参照先が複数に分かれていると、必要な情報を見つけるだけで時間がかかります。FAQやマニュアルなどをAIが参照できる仕組みを整えれば、関連する情報を絞り込みやすくなるのが利点です。
ここでAIが担うのは、あくまで必要な情報を探す作業の補助です。その顧客に当てはまる内容かどうかは、担当者が判断します。
長い問い合わせ内容や応対のやり取りを要約し、履歴を残す作業もAIで支援できます。
チャットやメールのやり取りが長くなると、要点をまとめて記録する作業そのものが負担です。AIに要約させれば、履歴作成のたたき台を用意でき、担当者は内容を確認して整えるだけで済みます。
任せてよいのは、要約や記録の下ごしらえまでです。問い合わせの原因を特定したり、顧客の感情を判断したり、クレームかどうかを仕分けたりする作業は、人が確認したうえで判断します。
電話は、音声AIやボイスボットで一次受付や定型案内を行い、必要に応じて有人対応へ引き継ぐ使い方が基本です。
電話がつながらない、折り返しが多いといった状況では、まず用件を確認し、定型的な案内を返す部分を音声AIに任せる方法があります。用件を聞き取ったうえで、担当者の対応が必要な内容は人へつなぎます。
ここで注意したいのは、IVR(自動音声応答)がすべてAIとは限らない点です。あらかじめ用意した音声を番号選択で流すIVRと、生成AIを使う仕組みは別物です。ボイスボットも生成AIを使うとは限りません。導入する製品がどの仕組みなのかは、公式情報で確認する必要があります。
問い合わせ対応は「AIか人か」の二択ではなく、AIによる一次対応・支援と、人による確認・判断を組み合わせて回します。同じ問い合わせでも、工程によってAIが向く部分と人が担う部分が分かれます。次の表は、代表的な問い合わせ・業務ごとに、AI活用の考え方と人の関与を整理したものです。
問い合わせ・業務 | AI活用の考え方 | 人の関与 |
|---|---|---|
FAQで回答できる定型質問 | AIチャットボット・AI FAQで一次対応する | 回答できない場合に人へ引き継ぐ |
商品・サービスの基本情報 | 決まった情報を一次回答として返す | 内容の更新と例外の確認を行う |
回答文の下書き | 過去情報やFAQをもとに回答案を作成する | 表現と事実を確認し修正・送信する |
FAQ・マニュアル検索 | 必要な情報を探す作業を補助する | どの情報を使うかを判断する |
応対履歴の要約 | やり取りを要約し記録のたたき台を作る | 内容を確認して整える |
個別条件を伴う相談 | 参考情報の整理までを補助する | 内容を判断し回答を決める |
契約・料金・返金など | 下書きや情報整理にとどめる | 最終的な回答は人が判断する |
苦情や感情を伴う問い合わせ | 一次受付や記録を補助する | 対応方針は人が判断する |
例外対応 | 定型化しにくく補助は限定的 | 人が個別に判断・対応する |
表からわかるのは、AI向き・人向きと単純に二分できる業務は多くない点です。多くの問い合わせは、AIが一次対応や回答案づくり、情報検索を担い、そのうえで人が確認・判断して仕上げるという段階的な役割分担になります。
役割分担を決めるときは、「判断が必要かどうか」を目安にすると整理しやすくなります。答えが決まっている質問はAIの一次対応に任せ、条件や状況によって答えが変わる相談は人が判断する、という切り分けです。契約や料金、苦情のように影響が大きい内容ほど、人が最終判断する工程を明確に残します。
どこまでをAIに任せるかは、製品・プランや自社の運用体制によって変わります。最初から線引きを固めるのではなく、運用しながら「AIが一次対応する範囲」「人へ引き継ぐ条件」を調整していく前提で設計すると、無理なく運用しやすくなります。
問い合わせチャネルごとに、AIを活用しやすい工程は異なります。同じ「問い合わせ対応」でも、Webチャット、メール、電話、SNSでは、顧客との接し方も対応方法も違います。チャネルごとに、AIに任せやすい部分と人が担う部分を分けて考えましょう。
Webチャットでは一次対応、問い合わせフォームでは回答案作成など、チャネルに応じてAIを活用できます。
Webチャットでは、FAQによる自己解決とAIチャットによる一次対応を組み合わせる方法があります。問い合わせフォームでは、届いた内容に対してAIが回答案を作成し、担当者が確認・修正して返信する使い方ができます。AIで対応しきれない内容は、その場で有人対応へ切り替えられるようにしておきます。
メールは、回答案の作成と情報検索、長文の要約でAIを活用しやすいチャネルです。
FAQや過去のやり取りを参照できる仕組みでは、それらの情報をもとに回答案の作成を支援できます。担当者は案を確認し、必要な修正を加えてから送信します。問い合わせが長文の場合は要点を要約させ、応対履歴を残す作業も補助できます。
メールでも、AIが作った回答をそのまま自動送信する前提にはしません。送信前の確認は人が担います。
電話は、音声AIやボイスボットで一次受付や定型案内を行い、有人対応へ引き継ぐのが基本です。
用件の確認や定型的な案内を音声AIに任せ、担当者の判断が必要な内容は人へつなぎます。問い合わせが集中する時間帯でも、一次受付の一部を音声AIやボイスボットと分担できます 。
ここでもIVRとAIを同じものとして扱わないよう注意します。番号選択で案内を分岐させるIVRと、生成AIを使う仕組みは別物です。
関連記事:有人チャットと電話対応の違いとは?導入メリットを徹底比較
SNSのDMは、定型対応と有人対応を組み合わせて回すのが基本です。
Instagram、LINE、Facebook、XなどのSNS経由でも、問い合わせは発生します。DMは会話のトーンや個別性が強く、すべてを自動で対応する前提には向きません。定型的な質問への一次対応と、内容に応じた有人対応を組み合わせます 。SNSの問い合わせが増えて社内で追いつかない場合は、有人対応を外部と分担する選択肢もあります。

AIの導入は、いきなり全問い合わせを対象にせず、内容の整理から始めて段階的に進めます。どこにAIを使うかは、現状の問い合わせを把握したうえで人が決めることが大切です。ここでは、無理なく進めるための手順を5つに分けて説明します。
まず過去の問い合わせを見直し、AIを使える工程と人が担う工程を仕分けることです。
件数が多いもの、FAQで回答できるもの、対応に時間がかかるもの、個別判断が必要なもの、人による対応が必要なものに分けて整理します。どこをAI化するかは、この整理をもとに人が判断します。
AIが参照する情報として、FAQやマニュアルなどを整えておきます。
FAQ、マニュアル、商品・サービス情報、回答ルール、必要に応じて過去の応対履歴を整理します。ここで注意したいのは、参照元が古いままだと、古い情報をもとに回答案が作られる可能性がある点です。情報を整えればAIが正確に答える、というわけではありません。参照元の鮮度を保つ運用もあわせて考えます。
AIで対応しきれない問い合わせを、どの条件で人へ引き継ぐかを決めておきます。
たとえば、AIで回答できない、個別判断が必要、契約・料金・返金に関する内容、苦情や感情を伴う内容、例外対応、顧客が人による対応を希望する、といった条件です。切り替え条件をあらかじめ決めておくと、AIと有人対応の境目で対応が止まりにくくなります。
最初から全問い合わせを対象にせず、影響範囲を限定して試す方法が有効です。
営業時間の案内、基本的なサービスの利用方法、FAQに答えがある質問など、範囲を絞って始めます。特定のチャネルや特定のカテゴリに限定してもかまいません。狭い範囲で運用して効果を確かめてから、対象を広げていきます。
運用のログや指標を見ながら、AIに任せる範囲や参照情報を調整します。
確認する候補としては、問い合わせ件数、自己解決率、有人対応への引き継ぎ率、初回回答までの時間、担当者の対応時間、FAQの閲覧数、検索の状況、回答案の修正・差し戻しなどです。どの指標を追うかは、企業の目的によって異なります。数値を見ながら、FAQの更新や切り替え条件の見直しを続けましょう。
AIを取り入れるときは、人が確認・判断する工程と、情報の扱いを事前に決めておくことが大切です。運用を始めてから迷わないよう、任せてよい範囲と、人が必ず関わる範囲を切り分けておきます。
契約や料金など、影響の大きい内容は人が確認・判断する前提です。
契約、料金、返金、個別条件、法的・制度的な判断、顧客への重要な説明などは、AIの回答をそのまま使わず、人が内容を確認して最終的な回答を決めます。どの業務がこれに当たるかを、あらかじめ社内で決めておきまししょう。
導入する製品について、事前に確認しておきたいのが入力データの扱いです。
利用規約、入力データの保存の有無、保存期間、AI学習への利用の有無、アクセス権限、管理方法などを確認します。これらは製品・プラン・契約によって異なるため、一般論で判断せず、導入予定の製品の公式情報を確認します。
AI導入後も、参照元となるFAQやマニュアルは人が更新し続けます。
サービス内容や手続きが変われば、参照元の情報も更新が必要です。AIが自動的に最新情報を把握するわけではないため、参照元を最新の状態に保つ運用を続けましょう。
AIで定型対応や回答作成を支援しても、人が担う問い合わせは残ります。個別の事情がある相談、例外対応、苦情、判断を伴う内容などは、人による対応が必要な部分です 。AIが一次対応や下ごしらえを担っても、有人対応そのものがなくなるわけではありません。
人へ引き継がれる問い合わせが多ければ、AI導入後も有人対応の負担は残ります。社内の人手だけで担いきれない場合は、有人対応を外部と分担する方法もあります。
関連記事:有人チャットとチャットボットの違いとは|メリット・デメリットを解説
AIで定型対応や回答作成を支援しても、AIだけでは対応しにくい問い合わせは残り、その部分は有人対応が必要になります。社内だけで有人対応を担いきれない場合に、外部と分担する選択肢のひとつがRemobaチャットです。
Remobaチャットは、AIツールではなく、人が問い合わせに対応する有人対応サービスです。InstagramやLINE、Facebook、TwitterなどのSNSのDM、問い合わせフォーム、Web チャットに対応し、専門オペレーターが応対します。公式サイトでは、エリア・業種を問わず対応可能と案内されています。
定型的な質問をAIで一次対応しつつ、人が対応すべき問い合わせを外部と分担したい場合に、こうした有人対応サービスを組み合わせる方法があります 。