問い合わせ対応をAIで効率化する方法|できること・導入手順・有人対応との分担を解説

問い合わせ対応をAIで効率化する方法|できること・導入手順・有人対応との分担を解説

チャット更新日:2026-09-03

問い合わせ対応にAIを活用する方法を、FAQ一次回答や回答案作成などの任せやすい工程と、契約・苦情など人が判断する工程に分けて解説します。Webチャット・メール・電話・SNS別の使い分けや導入手順、有人対応との分担まで整理します。

問い合わせ対応の負担が増えても、人員をすぐに増やすのは簡単ではありません。同じ質問に何度も答えたり、メールやフォーム、電話、SNSなど複数の窓口を少人数で対応したりする場面は、多くの企業で起きています。

こうした状況では、問い合わせ対応の一部の工程にAIを取り入れ、人による対応と組み合わせる方法が現実的です。この記事では、問い合わせ対応という業務のどの工程にAIを使い、どの工程を人が担うのかを、チャネル別の使い分け導入手順まで含めて整理します。AIそのものの解説ではなく、日々の対応をどう改善するかに絞って説明します。

問い合わせ対応にAIを活用できる業務

問い合わせ対応にAIを活用できる業務

問い合わせ対応は、すべてをAIに任せるのではなく、定型対応・情報検索・回答作成・記録といった一部の工程から活用するのが現実的です。まずは負担が大きく、判断の少ない工程を切り出すと、無理なく取り入れられます。ここでは、活用しやすい代表的な工程を5つに分けて説明します。

FAQや定型質問への一次回答

営業時間やサービスの基本情報など、答えが決まっている質問は、AIチャットボットやAI FAQによる一次対応に向いています。

たとえば「営業時間は何時までか」「手続きの方法を知りたい」「送料はいくらか」といった、FAQに答えがある問い合わせが対象です。こうした質問に自動で一次回答を返せれば、顧客の自己解決を後押しでき、担当者が同じ回答を繰り返す負担も軽くなります。

ただし、AIが必ず正しく回答できるわけではありません。想定外の聞き方をされた質問や、FAQに載っていない内容は、人へ引き継ぐ設計にしておく必要があります。

メールや問い合わせフォームの回答作成

メールやフォームへの回答は、AIが回答案を作り、人が確認・修正してから送信する流れが基本です。

担当者がゼロから文面を書く代わりに、過去のやり取りやFAQを参照できる仕組みでは、それらの情報をもとにAIが下書きを作成できます。担当者はその案を読み、表現や事実関係を確認して仕上げます。文章を組み立てる時間を短くしつつ、送信前のチェックは人が担う運用です。

契約、料金、返金、個別の条件など、判断を伴う内容は、人が確認して最終的な回答を決めます。AIが作った回答をそのまま自動送信するのではなく、人が確認できる運用にしておくと安心です。

FAQ・マニュアルから必要な情報を探す

担当者が回答に必要な情報を探す作業も、AIで補助できます。

FAQ、マニュアル、商品・サービス情報、過去の応対履歴など、参照先が複数に分かれていると、必要な情報を見つけるだけで時間がかかります。FAQやマニュアルなどをAIが参照できる仕組みを整えれば、関連する情報を絞り込みやすくなるのが利点です。

ここでAIが担うのは、あくまで必要な情報を探す作業の補助です。その顧客に当てはまる内容かどうかは、担当者が判断します。

応対内容の要約・記録を支援する

長い問い合わせ内容や応対のやり取りを要約し、履歴を残す作業もAIで支援できます。

チャットやメールのやり取りが長くなると、要点をまとめて記録する作業そのものが負担です。AIに要約させれば、履歴作成のたたき台を用意でき、担当者は内容を確認して整えるだけで済みます。

任せてよいのは、要約や記録の下ごしらえまでです。問い合わせの原因を特定したり、顧客の感情を判断したり、クレームかどうかを仕分けたりする作業は、人が確認したうえで判断します。

音声AIで電話の一次対応を行う

電話は、音声AIやボイスボットで一次受付や定型案内を行い、必要に応じて有人対応へ引き継ぐ使い方が基本です。

電話がつながらない、折り返しが多いといった状況では、まず用件を確認し、定型的な案内を返す部分を音声AIに任せる方法があります。用件を聞き取ったうえで、担当者の対応が必要な内容は人へつなぎます。

ここで注意したいのは、IVR(自動音声応答)がすべてAIとは限らない点です。あらかじめ用意した音声を番号選択で流すIVRと、生成AIを使う仕組みは別物です。ボイスボットも生成AIを使うとは限りません。導入する製品がどの仕組みなのかは、公式情報で確認する必要があります。

問い合わせ対応のどこをAIに任せ、どこを人に残すか

問い合わせ対応は「AIか人か」の二択ではなく、AIによる一次対応・支援と、人による確認・判断を組み合わせて回します。同じ問い合わせでも、工程によってAIが向く部分と人が担う部分が分かれます。次の表は、代表的な問い合わせ・業務ごとに、AI活用の考え方と人の関与を整理したものです。

問い合わせ・業務

AI活用の考え方

人の関与

FAQで回答できる定型質問

AIチャットボット・AI FAQで一次対応する

回答できない場合に人へ引き継ぐ

商品・サービスの基本情報

決まった情報を一次回答として返す

内容の更新と例外の確認を行う

回答文の下書き

過去情報やFAQをもとに回答案を作成する

表現と事実を確認し修正・送信する

FAQ・マニュアル検索

必要な情報を探す作業を補助する

どの情報を使うかを判断する

応対履歴の要約

やり取りを要約し記録のたたき台を作る

内容を確認して整える

個別条件を伴う相談

参考情報の整理までを補助する

内容を判断し回答を決める

契約・料金・返金など

下書きや情報整理にとどめる

最終的な回答は人が判断する

苦情や感情を伴う問い合わせ

一次受付や記録を補助する

対応方針は人が判断する

例外対応

定型化しにくく補助は限定的

人が個別に判断・対応する

表からわかるのは、AI向き・人向きと単純に二分できる業務は多くない点です。多くの問い合わせは、AIが一次対応や回答案づくり、情報検索を担い、そのうえで人が確認・判断して仕上げるという段階的な役割分担になります。

役割分担を決めるときは、「判断が必要かどうか」を目安にすると整理しやすくなります。答えが決まっている質問はAIの一次対応に任せ、条件や状況によって答えが変わる相談は人が判断する、という切り分けです。契約や料金、苦情のように影響が大きい内容ほど、人が最終判断する工程を明確に残します。

どこまでをAIに任せるかは、製品・プランや自社の運用体制によって変わります。最初から線引きを固めるのではなく、運用しながら「AIが一次対応する範囲」「人へ引き継ぐ条件」を調整していく前提で設計すると、無理なく運用しやすくなります。

問い合わせチャネル別のAI活用方法

問い合わせチャネルごとに、AIを活用しやすい工程は異なります。同じ「問い合わせ対応」でも、Webチャット、メール、電話、SNSでは、顧客との接し方も対応方法も違います。チャネルごとに、AIに任せやすい部分と人が担う部分を分けて考えましょう。

Webチャット・問い合わせフォーム

Webチャットでは一次対応、問い合わせフォームでは回答案作成など、チャネルに応じてAIを活用できます。

Webチャットでは、FAQによる自己解決とAIチャットによる一次対応を組み合わせる方法があります。問い合わせフォームでは、届いた内容に対してAIが回答案を作成し、担当者が確認・修正して返信する使い方ができます。AIで対応しきれない内容は、その場で有人対応へ切り替えられるようにしておきます。

メール

メールは、回答案の作成と情報検索、長文の要約でAIを活用しやすいチャネルです。

FAQや過去のやり取りを参照できる仕組みでは、それらの情報をもとに回答案の作成を支援できます。担当者は案を確認し、必要な修正を加えてから送信します。問い合わせが長文の場合は要点を要約させ、応対履歴を残す作業も補助できます。

メールでも、AIが作った回答をそのまま自動送信する前提にはしません。送信前の確認は人が担います。

電話

電話は、音声AIやボイスボットで一次受付や定型案内を行い、有人対応へ引き継ぐのが基本です。

用件の確認や定型的な案内を音声AIに任せ、担当者の判断が必要な内容は人へつなぎます。問い合わせが集中する時間帯でも、一次受付の一部を音声AIやボイスボットと分担できます 。

ここでもIVRとAIを同じものとして扱わないよう注意します。番号選択で案内を分岐させるIVRと、生成AIを使う仕組みは別物です。

関連記事:有人チャットと電話対応の違いとは?導入メリットを徹底比較

SNSのDM

SNSのDMは、定型対応と有人対応を組み合わせて回すのが基本です。

Instagram、LINE、Facebook、XなどのSNS経由でも、問い合わせは発生します。DMは会話のトーンや個別性が強く、すべてを自動で対応する前提には向きません。定型的な質問への一次対応と、内容に応じた有人対応を組み合わせます 。SNSの問い合わせが増えて社内で追いつかない場合は、有人対応を外部と分担する選択肢もあります。

問い合わせ対応にAIを導入する手順

問い合わせ対応をAIで効率化する方法

AIの導入は、いきなり全問い合わせを対象にせず、内容の整理から始めて段階的に進めます。どこにAIを使うかは、現状の問い合わせを把握したうえで人が決めることが大切です。ここでは、無理なく進めるための手順を5つに分けて説明します。

問い合わせ内容を整理する

まず過去の問い合わせを見直し、AIを使える工程と人が担う工程を仕分けることです。

件数が多いもの、FAQで回答できるもの、対応に時間がかかるもの、個別判断が必要なもの、人による対応が必要なものに分けて整理します。どこをAI化するかは、この整理をもとに人が判断します。

FAQ・マニュアルなどの情報を整える

AIが参照する情報として、FAQやマニュアルなどを整えておきます。

FAQ、マニュアル、商品・サービス情報、回答ルール、必要に応じて過去の応対履歴を整理します。ここで注意したいのは、参照元が古いままだと、古い情報をもとに回答案が作られる可能性がある点です。情報を整えればAIが正確に答える、というわけではありません。参照元の鮮度を保つ運用もあわせて考えます。

AIと有人対応の切り替え条件を決める

AIで対応しきれない問い合わせを、どの条件で人へ引き継ぐかを決めておきます。

たとえば、AIで回答できない、個別判断が必要、契約・料金・返金に関する内容、苦情や感情を伴う内容、例外対応、顧客が人による対応を希望する、といった条件です。切り替え条件をあらかじめ決めておくと、AIと有人対応の境目で対応が止まりにくくなります。

対象を絞って試す

最初から全問い合わせを対象にせず、影響範囲を限定して試す方法が有効です。

営業時間の案内、基本的なサービスの利用方法、FAQに答えがある質問など、範囲を絞って始めます。特定のチャネルや特定のカテゴリに限定してもかまいません。狭い範囲で運用して効果を確かめてから、対象を広げていきます。

ログや指標を見ながら改善する

運用のログや指標を見ながら、AIに任せる範囲や参照情報を調整します。

確認する候補としては、問い合わせ件数、自己解決率、有人対応への引き継ぎ率、初回回答までの時間、担当者の対応時間、FAQの閲覧数、検索の状況、回答案の修正・差し戻しなどです。どの指標を追うかは、企業の目的によって異なります。数値を見ながら、FAQの更新や切り替え条件の見直しを続けましょう。

AIで問い合わせ対応を行う際の注意点

AIを取り入れるときは、人が確認・判断する工程と、情報の扱いを事前に決めておくことが大切です。運用を始めてから迷わないよう、任せてよい範囲と、人が必ず関わる範囲を切り分けておきます。

AIの回答をそのまま使わない業務を決める

契約や料金など、影響の大きい内容は人が確認・判断する前提です。

契約、料金、返金、個別条件、法的・制度的な判断、顧客への重要な説明などは、AIの回答をそのまま使わず、人が内容を確認して最終的な回答を決めます。どの業務がこれに当たるかを、あらかじめ社内で決めておきまししょう。

個人情報や機密情報の扱いを確認する

導入する製品について、事前に確認しておきたいのが入力データの扱いです。

利用規約、入力データの保存の有無、保存期間、AI学習への利用の有無、アクセス権限、管理方法などを確認します。これらは製品・プラン・契約によって異なるため、一般論で判断せず、導入予定の製品の公式情報を確認します。

FAQやマニュアルを更新する

AI導入後も、参照元となるFAQやマニュアルは人が更新し続けます。

サービス内容や手続きが変われば、参照元の情報も更新が必要です。AIが自動的に最新情報を把握するわけではないため、参照元を最新の状態に保つ運用を続けましょう。

AI導入後も有人対応が必要な理由

AIで定型対応や回答作成を支援しても、人が担う問い合わせは残ります。個別の事情がある相談、例外対応、苦情、判断を伴う内容などは、人による対応が必要な部分です 。AIが一次対応や下ごしらえを担っても、有人対応そのものがなくなるわけではありません。

人へ引き継がれる問い合わせが多ければ、AI導入後も有人対応の負担は残ります。社内の人手だけで担いきれない場合は、有人対応を外部と分担する方法もあります。

関連記事:有人チャットとチャットボットの違いとは|メリット・デメリットを解説

Remobaチャットという選択肢

AIで定型対応や回答作成を支援しても、AIだけでは対応しにくい問い合わせは残り、その部分は有人対応が必要になります。社内だけで有人対応を担いきれない場合に、外部と分担する選択肢のひとつがRemobaチャットです。

Remobaチャットは、AIツールではなく、人が問い合わせに対応する有人対応サービスです。InstagramやLINE、Facebook、TwitterなどのSNSのDM、問い合わせフォーム、Web チャットに対応し、専門オペレーターが応対します。公式サイトでは、エリア・業種を問わず対応可能と案内されています。

定型的な質問をAIで一次対応しつつ、人が対応すべき問い合わせを外部と分担したい場合に、こうした有人対応サービスを組み合わせる方法があります 。

まとめ

  • 問い合わせ対応は、定型対応・情報検索・回答作成・記録など、一部の工程からAIを活用するのが現実的です。
  • AIか人かの二択ではなく、AIの一次対応・支援と、人の確認・判断を組み合わせて回します。
  • Webチャット、メール、電話、SNSでは、AIを活用しやすい工程が異なります。
  • 契約・料金・返金や、苦情・例外対応など、判断を伴う内容は、人が最終判断します。
  • 導入は対象を絞って試し、ログや指標を見ながら任せる範囲を調整します。
  • AI導入後も有人対応は残るため、社内で担いきれない場合は外部と分担する方法もあります。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

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