1. 労務の仕事内容を徹底解説!勤怠管理や給与計算の他には?
労務の仕事内容を徹底解説!勤怠管理や給与計算の他には?

労務の仕事内容を徹底解説!勤怠管理や給与計算の他には?

労務 更新日:

労務担当者の仕事は非常に幅広く、従業員の給与計算、社会保険ならびに労働保険の手続き、交通費の清算など、社内ルールで完結できる業務と、社内ルール以前に法律(法改正含む)に則った形で業務を行わなければならない場合もあり、ルーチンワーク、イレギュラー対応、アップデートをミックスさせた業務と考えます。今回は労務担当者の業務にフォーカスをあて解説してまいります。

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社会保険労務士

蓑田真吾

社会保険労務士(社労士)独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は労務管理手法を積極的に取り入れ労務業務をサポートしています

資格
社会保険労務士

目次

勤怠管理

後述する給与計算とも密接に関わる勤怠管理です。例えばある従業員のタイムカードを確認すると所定労働日であるにも関わらずタイムカードの打刻がされていない日は有給休暇として就労が免除された日なのか、欠勤なのか、または新型コロナウイルス陽性者への濃厚接触者の疑いであったための休業なのか、この時点ではいずれも可能性があります。そこを確認していくことが一つの業務です。

また、所定労働時間を超えてタイムカードが切られている日がある場合、残業申請がある日と残業申請がない日がある場合、労務担当者としての確認は極めて重要です。また、そのような日が恒常的にある場合は所属長を交えて面談を設置するなど事前の労務管理が重要です。仮に残業であったにも関わらず所属長の承認が漏れておりタイムカードに反映できていない場合もあり得ることから労務担当者にとってタイムカードの確認は重要な業務となります。

また、以前と比較して明らかに有給休暇の申請が増えた従業員については(この時点では正確な判断はつきませんが)精神疾患に罹患しており、通院のために有給休暇を申請している可能性も否定できません。実務上も、精神疾患に罹患している従業員から積極的な情報開示などは期待できず、医学的に労務の提供が不可となったタイミングで初めて正式な情報の開示があるケースも散見されます。

上記の場合、まずは、労務担当者ではなく、直属の上司が把握すべきでないかの意見もありますが、我が国の国難とも言える労働力減少社会において、管理職である所属長の業務も旧来より増えている場合も多いでしょう。よって、そこまで目が行き届かなかったという事例もあります。すなわち、主たる業務として毎月勤怠を確認する労務担当者の目が貴重な人材を大事に至らせない予防にもなり得るということです 

給与計算

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勤怠集計後は毎月発生する給与計算という非常に経験値が必要な業務に入っていきます。給与計算は年俸制を採用していたとしても毎月1回払い(労働基準法第24条)の原則により(全て欠勤などの事情を除き)毎月1回は払わなければなりません。よって、ルーチンワークとも言えますが、イレギュラーに気付ける眼力とその時の対応は一定の経験値が必要と言えます。特に不足支給があった場合は、給与という労働者の生活に非常に密着した部分であり、また、会社に対する帰属意識の低下を防ぐ意味でも責任ある対応が求められます。この部分は従業員の数と比較して労務担当者の数と経験が心もとない場合はアウトソーシングを検討するなどの選択肢もあります。特に後述する法改正が絡んだ場合の給与計算は適正か否かの判断すらつかない場合もあり、労務担当者の精神的な負担は決して小さくありません。

そして、給与計算の最重要部分は「確認」です。月給制で残業もない場合は新たに入力等することはないのでしょうが、基本給や手当額が前月から変更になっていないことの確認は必要と考えます。これは、無意識のうちに誤った箇所に入力をしていたがために附随的に本来変更する必要のない給与額が変更になってしまったということが起こり得るからです。

また、給与計算は支給だけでなく社会保険料等の控除も重要な業務です。控除については、所得税社会保険料雇用保険料住民税などがありますが、その他会社で任意に行っている旅行積立金などが想定されますが、会社で任意に設置する控除(先の例では旅行積立金)については、労使協定の締結が必要です。これは、労働基準法第24条の賃金全額払いの原則により、本来給与は直接労働者にその全額を払わなければなりません。しかし、法令で給与からの控除が認められている所得税や社会保険料、雇用保険料、住民税を除いて会社で独自に賃金控除を行う場合は労使間で協定を締結しなければならないということです。

給与支給日の遅れは労務トラブルにもなりますし、給与締め日前の業務は労務担当者としても労働密度が濃くなることから、適正な業務分担を行い、一人に業務が集中しないような体制の構築は必須と考えます

安全衛生

安全衛生については会社の規模や業種によっても左右される部分となりますが、作業環境や衛生状態(例えば照明の明るさや職場内の清掃頻度)は労働生産性に影響を与えると言っても過言ではありません。また、雇用する従業員数が常時50人以上となると業種不問で衛生管理および産業医の選任が義務付けられます。衛生管理はおよび産業医については定期的な職場内巡回義務があり、その結果をもとに然るべき部門へ助言等が行われます。劣悪な環境下では長く働く従業員ほどその環境に疑問を持たないことがあり、体調を蝕むことがあります。結果的に労働生産性が低くなるという負の連鎖が起こり得ます。 

福利厚生

福利厚生については法律で加入が義務付けられている法定福利と加入が任意である法定外福利があります。法定外福利は従業員のモチベーションアップや帰属意識の向上、労働生産性の向上などの目的があります。特に労働力が不足する現代では有能な従業員の離職は採用でカバーできるとは断言できず、企業にとってのダメージは計り知れません。よって、採用よりもまずは既存の従業員の満足度を高めるための施策に注目が集まっています。また、このような取り組みは企業外にも伝わり、結果的に求人効果にも波及することがあります。

しかし、Withコロナの時代においてはまずは雇用を守るための企業経営に主眼をおくべきであり重要度として、法定外福利は雇用維持と比較すると劣後する位置づけが望ましいでしょう。

社会保険手続き

まずは採用に当たっての社会保険(厚生年金・健康保険)の手続きです。法人の場合は従業員数に関わりなく会社として加入が義務となっており、当然従業員も加入させる必要があります。従業員の中にはパートとして扶養の範囲内で働きたいというニーズもありますが、年収要件で年収が超えることが予想される場合は加入が義務となります。

そして、産前産後休業や育児休業における社会保険料免除手続きも忘れてはなりません。これは、保険料が「免除」となりますが、従業員分も会社分も免除となり、かつ、従業員目線では免除された期間の年金額も通常通り保険料を納めた期間と同様の扱いとなります。よって、不利益にあたる部分はないと言えます。

また、育児休業における社会保険料免除申請は男性でも申請が可能です。特に女性に比べて男性の育児休業取得率は低調であり、出生率減少の一要因となっているとの指摘があります。会社としても男性が育児休業を取得した際のメリットを周知し、かつ、適正な手続きを行うことで相互の信頼関係が醸成されるものと考えます。そして、従業員が退職する場合で次の勤務先が決まっている場合は、漏れなく、かつ、早急に手続きをしなければ再就職先での手続きに遅滞が発生することとなります。よって、労務担当者として失念のないように手続きを履行していかなければなりません。

また、社会保険制度は非常に幅広い給付が整備されており、労務の提供ができなくなった場合の傷病手当金や産前産後休業期間中に労務に服していない場合の出産手当金、家族が亡くなった場合の埋葬料や遺族年金など長く働けば働くほど起こり得るライフイベントに対しても様々な給付があります。労務担当者として全てを事細かく暗記することは困難ですが、このようなライフイベントがあった場合にはこの申請ができるというフローチャートが描けておくことで申請漏れなどは回避できると考えます

労働保険手続き

業務上や通勤途上で事故に巻き込まれた場合には、事業主に代わって国が所得補償をする制度として労災保険があります。また、失業した場合に、次の就職までの間の所得の補填として失業手当を整備する雇用保険があり、労災保険と雇用保険を合わせて労働保険と呼びます。

業務災害と私傷病では対象となる保険も全く異なります。業務災害は労災保険であるのに対して私傷病は健康保険となります。よって、申請先も異なることから、労務担当者としてはおさえておくべき論点です。また、業務災害か否かの判断は難しい部分でもあり、労働基準監督署に問い合わせをするなどは必要な配慮と言えます。

交通費精算

コロナ禍により少なくなってきましたが、出張による交通費の清算も労務担当者の業務となります。また、企業によっては経理部門や人事部門の担当者が担う場合もあり、絶対的に労務担当者が行わなければならないということではありません。

給与にて定期代を支給している場合はその部分を指し引いた額で計算するなどの実態を考慮すると労務担当者の業務に入ってくることが多いと考えます。

労務トラブル対応

労務トラブルについては近年、複雑化かつ時代特有のトラブルが生じており、労務担当者としては法的な知識はあって損をするものではありません。また、法律だけで解決するとは限らず、実務上のスキルも必要な業務です。特にネット社会である現代においては必要な情報がすぐに手に入る時代ではありますが、中には古い情報や誤った情報もネットから拾えることができ、必要以上に大きなトラブルに発展する事例もあり、以下に掲載いたします。

ハラスメント問題

ハラスメントの種類は近年増えて起きており、代表例であるパワハラに限らず、リモハラ(リモートハラスメント)も問題となっています。例えばテレワークを実施する企業においてテレワーク中のビデオを常時オンにするよう命令することです。常時ビデオをオンにした状態では従業員の心理的な負担の度合いが大きく、そもそも必要性にも疑問を感じざるを得ません。また、休憩時間中にまでオンを命じてしまうと当該時間は拘束性があったと評価され労働時間と認定されるリスクもあります。(残業代として発生)

また、Withコロナの時代においては、いつ誰がどのような形でコロナウイルスに罹患するかは予想できません。そこで、コロナ陽性者に対する罵声や職場内において不特定多数の従業員の前で個人名を特定し非難するような発言は慎むべきです。会社として必要な対応(職場内の消毒やBCP対応)を進めていくことが前提ですが、陽性者が職場復帰を躊躇うような(個人を否定する)発言が飛び交う職場環境は正常とは言えません。

就業規則

常時10人以上の労働者を使用する企業は所轄労働基準監督署長に就業規則を届け出なければなりません。そこで、就業規則の作成および変更等の業務は労務担当者の重要な業務です。特に法改正(近年では年次有給休暇の5日時季指定義務等)があった場合の規定の変更は重要な業務であり、変更が抜け落ちてしまうと場合によっては法違反となってしまうリスクも孕んでいます

尚、就業規則を変更する場合、労働者の過半数を代表する者への意見聴取も必要であり、一定の時間を要します。よって、変更後の就業規則の施行日から逆算したスケジュール管理が重要です。

また、就業規則は会社の憲法とも言われます。就業規則を定めるに際しては就業規則の最低基準効を意識すべきです。これは、就業規則に定めた内容はその内容を下回ることができず、その会社で従事する労働者の労働条件としての最低基準となります。よって、会社の規模や体力からして継続的な運用が困難な規定は定めるべきではありません。

秘密保持

労務担当者の業務は多くの個人情報を扱うことが特徴です。また、そこで知った情報を漏洩させてはならないことは言うまでもありません。そこで秘密保持契約として(労務担当者に限らず)会社と労働者の間で約束をします。

最後に

労務担当者として必要なスキルとしてはコミュニケーション能力が挙げられます。これは、必要な情報を引き出すためにコミュニケーション能力は必須と言えます。そのためには欲しい情報を正確に伝える能力と、得られた情報が欲しい情報とイコールな情報であるかを聞き出す能力もコミュニケーション能力に含まれます。

 

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