医療事務の人手不足の現状とその原因とは?改善するための方法を解説

医療事務の人手不足の現状とその原因とは?改善するための方法を解説

アシスタント更新日:2025-04-18

医療事務は、現在深刻な人手不足になっており、年々医療事務の人口は減少傾向にあります。 さらに、医療事務の人手不足に対して医療事務の需要は年々増加傾向にあるため、改善することが重要です。 しかし、医療事務の人手不足を解消するための対策を十分に実施できておらず、悩んでいる医療機関やクリニックは多く存在しています。 人手不足を解決するためには、しっかりと原因を理解した上で正しく解決するための方法を検討して実施することが大切です。 今回は、医療事務の人手不足の減少や原因、改善するための方法を解説します。

医療事務の人手不足の現状

医療事務の就業者数は、全国で約373万人(令和2年時点)です。
東京都内だけでも60万人以上いるため、数字として見ると人手不足を感じる方は少ないですが、実際には全国的に人手不足が深刻化しています。
さらに、令和5年時点での医療・福祉業界の離職率は14.6%と決して低い水準ではありません(※参考:令和2年度の離職率は14.2%であり、増加傾向にあります)このことから、医療事務に従事する人材の離職が増加していることもわかります。

ただ、医療事務は特別な資格や経験がなくても採用できるため、医師や看護師と比較しても確保しやすい職種です。
しかし、近年では人手不足が深刻化しており、自院の人員のみでは補いきれない場合も増えていきます。
そのため、改善させるためにさまざまな取り組みを実施している医療機関やクリニックも多いです。
参考:医療事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト
参考:令和2年 産業別の入職と離職
参考:令和5年 雇用動向調査結果の概況

医療事務が人手不足になっている主な原因

医療事務が人手不足になっている原因は数多く存在していますが、その中でも大きな原因は、主に以下の通りです。

  • 少子高齢化による影響
  • 労働環境が悪い
  • 給与や待遇に不満を持つ方が多い
  • 職場内での人間関係が悪い
  • 患者からのクレームが多い
  • 離職する方が多い
  • 医療事務の採用が難しい

ここでは、医療事務が人手不足になっている主な原因をそれぞれ解説します。

少子高齢化による影響

医療事務が人手不足になっている原因の1つは、少子高齢化による影響です。
少子高齢化による影響を受けているのは、日本全国の業界全てで医療事務に限った話ではありません。
しかし、医療業界を含む医療業界は、中でも特に深刻な影響を受けている業界の1つです。
熟練の医療事務が引退し新人の医療事務があまり入ってこないことで、医療事務スタッフの高齢化は進んでいます。
特に、地方の医療機関やクリニックでは医療事務の人手不足が深刻化している状況です。

労働環境が悪い


労働環境が悪いことも医療事務が人手不足になってしまう原因の1つです。
医療事務をはじめとした医療業界では、日々さまざまな業務を進める必要があり、休日がとれないほど激務になる時期も少なくありません。
さらに、感染症などにかかってしまうリスクもあるため、医療事務などの医療業界で働きたいと考える方が少ないことも原因の1つです。
最近では、医療業務のIT化などの影響で業務負担が減少している医療機関やクリニックもありますが、ほとんどの現場では十分に対応できていません。
そのため、労働環境の改善が進んでいない医療現場では、医療事務の人手不足が課題になっています。

給与や待遇に不満を持つ方が多い

医療事務の給与や待遇に対して不満を持つ方が多いことで、人手不足になっていることもあります。
医療事務の平均年収は352万円で、日本全体の平均給与461万円よりも100万円ほど低いです。
医療事務では日々多くの業務を行う必要があり、感染症による命の危険も伴う仕事でもあるため、業務内容と給与が見合ってないと感じる方も少なくありません。
さらに、繁忙期ではなかなか休みを取ることができないことも多いため、ライフワークバランスが悪いと感じて医療事務を避ける方が多くなります。
また、人材不足によって医療事務一人当たりの業務負担が多くなっていることも、人手不足を深刻化させる原因になっています。
そのため、人材不足が進むことでより不満を持つ方が多くなるリスクが高いです。
参考:医療事務の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)求人ボックスhttps://求人ボックス.com › 医療事務の年収・時給

職場内での人間関係が悪い


職場内での人間関係が悪いことが原因で、医療事務を離職する方が多いことも原因の1つです。
医療事務は、同じ医療事務の方や医師、看護師など病院内にいるさまざまな方と連携して業務を進める必要があります。
そのため、その職場内での人間関係に問題があると、業務をスムーズに進めることが難しくなってしまいストレスが増大します。
その結果、職場に居にくいと感じて離職してしまう方が増え、人手不足に繋がってしまうのです。

患者からのクレームが多い

医療事務は、日々来院するさまざまな患者とコミュニケーションを取り、受付業務や会計業務を行います。
中には、病院や受付に対してクレームを言う患者や患者の親族などもいるため、医療事務はクレームの対応にも当たらなければいけません。
進めなければいけない業務が多くある状態で、患者からのクレーム対応をしているとなかなか業務を終わらせることができなくなるため、ストレスになりやすいです。
さらに、クレーム対応が続くことで精神的なダメージが蓄積してしまい、休職や退職してしまう方も少なくありません。

離職する方が多い

医療事務は、離職する方が多いことから採用を積極的に行わなければ人手不足になりやすい仕事でもあります。
医療事務として従事している方の中には、子育ての合間に働くパートタイムの主婦なども多いです。
さらに、正社員雇用のスタッフの多くも女性のため、結婚や出産、夫の転勤などのライフイベントの変化で離職することが多くあります。
また、人間関係やクレームなどの原因で離職する方もいるため、職場全体での離職率が高くなってしまい、人手不足になることが多いです。
そのため、積極的に採用活動を進めていく必要があります。

医療事務の採用が難しい

医療事務は、離職率が高いため、採用を積極的に進めていく必要がありますが、採用が難しいという課題もあります。
医療事務は、給与や待遇が比較的高くないことや業務が忙しく休日が取りにくい、クレームや感染症のリスクがあるなどネガティブなイメージを持つ方が多いです。
さらに、採用のためのリソースを十分に確保できていない医療機関やクリニックも多いことから、採用が難しくなっていることがあります。
そのため、離職するスタッフに対して十分に人材を確保することができずに人手不足が深刻になってしまうのが多くの現場での現状です。

医療事務の人手不足を解決するための方法

医療事務が人手不足になっている主な原因については理解したと思いますが、その原因をどのようにして解決するのか気になる方も多いと思います。
医療事務の人手不足を解説していくことで、業務効率化や生産性の向上、医療サービスの充実などを期待することが可能です。
ここでは、医療事務の人手不足を解決するための方法を主に6つ解説します。
医療事務の人手不足を解決したい方はぜひ参考にしてみてください。

業務の自動化・DX化を推進する

医療事務の人手不足を解消するためには、業務の自動化・DX化を推進することが大切です。
人材不足によってスタッフ1人あたりにかかる業務負担が多くなることで、労働環境が悪くなってしまいますが、業務を自動化できれば業務負担は軽減されます。
さらに、これまでアナログで処理していた業務なども自動化してシステムなどで処理することで、管理コストなども削減されます。
限られた人員のみでこれまで通りの業務を進めるためには、業務の一部を自動化させていく必要があるため、DX化に積極的に取り組むことが大切です。
そのため、人手不足で悩んでいる医療機関やクリニックは、業務の自動化・DX化のための施策の立案や実施を進めていくようにしましょう。

労働環境を改善する


労働環境を改善することで、医療事務の人手不足を解決させることが期待できます。
例えば、徹底したシフト管理によって時間外労働や賃金未払いなどの問題を解消することで、給与や待遇に対する不満を持つ方を削減できます。
また、業務内容を明確化させて医療事務が対応すべき業務範囲を決めて、必要以上に業務を行わなくてもいい環境に改善することも大切です。
必要以上に業務を任されてしまうと長時間労働などの原因になってしまうため、労働環境の悪さから離職する方が増えてしまいます。
そのため、労働環境を改善するための仕組み化や改善のためのシステム導入などを進めることも重要です。

患者からのクレーム対応の見直しをする

クレーム対応の見直しをすることも医療事務の人手不足を解決させるために大切な方法の1つです。
例えば、クレームの対応マニュアルを策定しそれに従って対応する方法や専用の担当者を設けたり院長が対応するなどの方法が望ましいです。
また、過度なクレームを言う場合は院内出入り禁止などを実施し、従業員を守る仕組みにするなどの取り組みも大切になります。
クレーム対応の見直しをすることで、医療事務はスムーズに重要な業務に専念できるため、職場内でのストレスが削減されます。
そのため、クレーム対応に関するマニュアルなどを策定していない場合は、見直してみることが大切です。

職場内の人間関係によるトラブル対策をする


職場内での人間関係を良好に保つことは、医療事務に限らずとても重要なことです。
人間関係が悪くなることで職場に居にくくなり退職してしまう方も多くいるため、優先的に改善していきます。
例えば、職場内チャットやSNSを設置してコミュニケーションの活発化を促す施策やいじめや嫌がらせに対する処分の設定などを行うことが大切です。
適切に人間関係を構築し過ごしやすい職場にするためには、管理職や院長などが率先してこれらの対策を行う必要があります。
良好な人間関係を保つことができれば、医療事務の業務効率や生産性の向上も期待することが可能です。

採用戦略を立てて積極的に人手を確保する

医療事務の採用が難しいことで、人手不足になっている場合は、採用戦略を立てて積極的に人手を確保することが大切です。
例えば、採用媒体の選定や自社の強みや魅力のアピール、競合他社を分析して差別化を図るなどの取り組みが効果的な方法になります。
自院の医療事務として働くメリットをしっかりとアピールすることができれば、医療事務に対するイメージを払拭して応募してくれる方も多くなる可能性があります。
特に、最近ではSNSなどを活用した採用やプロモーションが盛んになっているため、取り組んでみることもおすすめです。
また、正社員雇用だけでなくパート・アルバイトの採用を増やすことも効果的な採用戦略の1つです。

医療事務代行サービスを利用する

人手不足で医療事務の業務が十分に行えない場合は、医療事務代行サービスを利用することで、解決させることが可能です。
近年では、さまざまな医療事務代行サービスが誕生しており、実際に利用している医療機関やクリニックも増加し続けています。
代行サービスを利用することで、人手不足の業務を一部代行してもらったり、システム導入のサポートを受けることが可能です。
さらに、新人を採用した際の研修制度や勉強会などを依頼して、知識やノウハウを蓄積することもできるため、熟練者が退職した後の穴埋めをすることもできます。
ただ、依頼する業務範囲や業者、病院の規模などに応じて費用が変わってくるため、予算を考慮して慎重に検討することが大切です。

まとめ

医療事務の人手不足は、全国の医療機関やクリニックで課題になっており、改善のためにさまざまな取り組みを進めていることが多いです。
しかし、人手不足になる原因をしっかりと突き止めた上で改善しなければ、人手不足の解決に繋がりにくくなります。
そのため、しっかりと原因を突き止めた上で、適切な解決方法を実施することが大切です。
また、医療事務は医療現場においてとても大切な役割を果たしている仕事の1つなため、人手不足を解消させることは優先的に行うようにしましょう。
現在、医療事務の人手不足の解決に向けて検討している方は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。

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この記事の監修者

柳沢智紀のプロフィール画像

株式会社Enigol

柳沢智紀

株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。

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