1. 労働分野の行政機関の構造とは?労務担当者が押さえるべき行政対応
労働分野の行政機関の構造とは?労務担当者が押さえるべき行政対応

労働分野の行政機関の構造とは?労務担当者が押さえるべき行政対応

労務更新日:2024-09-23

労働分野における行政機関とは3つの部門に分類されています。時代の移り変わりが激しくなった現代において、国として労働分野が適正に機能することは非常に重要であり、また、企業目線においても概要をおさえておいて損はない分野です。これを契機として「労働行政」について確認していきましょう。

労働分野における行政機関

労働分野において、行政機関は以下の3つの部門に分かれています。それぞれの機関についてこれから詳しく説明していきます。

(1)労働基準行政

(2)職業安定行政

(3)雇用環境・均等行政 

(1)労働基準行政

労働基準法を始めとして、最低賃金法などの法律を扱っている部門となります。労働者が健康で安心して働ける職場づくりに主眼を置き、長時間労働対策はもとより、労働者の健康確保や労災補償も範囲に含まれています。

(2)職業安定行政

職業安定法労働者派遣法などの法律を扱っている部門となります。雇用の安定や再就職の促進を図ること、時代の移り変わりの激しい現代において問題視される労働力需給のミスマッチの解消、高齢者や障害者などの雇用の促進に主眼を置いています。

(3)雇用環境・均等行政

男女雇用機会均等法育児介護休業法などの法律を扱う部門となります。ジェンダーギャップ指数の低い日本において、労働者が性別により差別されることなく能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することは重要です。性別を問わず、労働者が働きながら育児や介護を行いやすくすること、最高裁判例によって注目されている「パートタイム労働者」が自身の能力を有効に発揮できる環境づくりに主眼を置いています。

労働行政とは

労働行政の特徴

まず、労働行政の前に日本国憲法第25条1項として、国民の生存権を保障しています。当然、労働者も国民であり、当然に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有しています。そこで、(1)労働基準行政で主管する労働基準法第1条では「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない」と規定しています。労働基準法は企業に「最低基準」として罰則を設けてその義務の履行を図っています。ゆえに、最低基準未満の労務管理は原則として違法という判断がされます。

労働行政の取扱機関

労働行政については厚生労働省の管轄となりますが、厚生労働省は言うまでもなく、国に一つしかない機関であるために、全ての事業所を把握するのには無理があります。そこで、厚生労働省設置法第17条では地方厚生局と都道府県労働局を置くことを定めており、そして都道府県労働局の事務の一部を労働基準監督署、公共職業安定所に置くこととされています。

よって、都道府県労働局労働基準監督署公共職業安定所も労働行政を行うということです。

労働行政の実効性確保の手段

労働行政ではそれぞれの法律の目的等に応じて実効性を確保する為にいくつかの手段が講じられます。

・懲役又は罰金

・行政処分(改善命令など)

・行政指導(助言、指導、勧告)

・企業名公表

などが挙げられます。

例えば労働基準法を例にとると最も重い罰則として労働基準法第5条(強制労働の禁止)に違反した場合には、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金が課せられます。 

また、労働基準監督官は労働基準法第102条に労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うことが明記されています。よって、程度の差はあるものの、企業内の不適切な労務管理はレピュテーションリスクに留まらず経営問題にも発展するということです。

企業が押さえるべき対応

企業の労務担当者は抑えておくべき対応が多いです。その中でも大事だと思われる対応を2つ紹介します。1つ目は臨検のような行政対応です。2つ目は法改正対応です。

行政対応

企業に最も近いと言っても過言ではない行政機関の一つに労働基準監督署があります。企業としては労働基準監督署の臨検(労基法違反の有無を調査することを目的に事業所内への立ち入り調査)が気になるところであります。そこでの調査内容のいかんによっては、是正指導、是正勧告など、企業としても何らかの対応が求められます。問題は知識がないゆえに既に労基法違反が起こっていた場合、その是正対応する期間も遡って対応する必要があるということです。

例えば残業代の計算方法が誤っていた場合に2020年4月1日以降は民法改正に併せて労働基準法も改正され、残業代などの賃金の時効が2年から3年に延長となりました。よって、旧来よりも遡って是正する期間が延長したということです。これは、当然経営問題にも発展する恐れがあり、看過できません。

法改正対応

次に近年の労働法改正の数は目まぐるしく、働き方改革を契機として様々な法改正が行われており、かつ、今後も予定されています。例えば先に挙げた残業代時効の2年から3年への延長について、同じ労働基準法で規定される年次有給休暇の時効は改正後も2年のままです。(3年に延長することを逆手に取り、企業側から年次有給休暇の不適切運用の恐れがあるためとされています)また、年次有給休暇は2019年4月1日より年10日以上付与される労働者へは当該付与日から1年以内に5日を取得させなければなりません。万が一違反した場合は1人につき30万円以下の罰金となります。例えば4日しか付与できなかった者、3日しか付与できなかった者が一人ずついた場合、不足日数分に応じて罰金が倍になるということではありませんが(一人一罪として)それぞれ罰金の対象となるという理解です。

法改正対応は履行開始前から行政機関からパンフレットなどを通じて告知はあるものの、企業としては通常業務を行うことも無視できず、見落としてしまうこともあるでしょう。そこで、労務分野のアウトソーシングを活用することで、本業に最大限のリソースを注ぐことが可能になるということです。

判例

2020年10月13日、15日に出されたパート労働者との同一労働同一賃金について、今後は先の最高裁判例を踏まえた対応が必須となります。判例を踏まえた対応を行う際の留意点として事件の背景がそもそも自社と異なっている場合があるということです。よって、同じ論点でのトラブルであったとしても全く同じ対応をとることが正解になるとは限りません。

参考にすべき部分とそうではない部分の峻別が極めて重要です。また、判例は司法判断であり、行政とは当然異なりますが、言うまでもなく、労働行政機関としても司法判断を無視することは考え難いです。しかし、自社で従事する人事労務担当者は(特に従事した年数が長いほど)自社の労務管理を基準と考え、既にバイアスに苛まれている場合も多くあります。その場合は、アウトソーシングを始めとした外部の意見を参考にすることで一度フラットな状態で適性は判断ができ得るのです。

労働分野アウトソーシングのメリット

自社で全ての労務管理を行うこと自体が悪いことではありません。しかし、多くの企業では労務管理が主たる業務ということではないでしょう。その場合、頻発する法改正に対応しながら労働行政対応を意識し、かつ、適正な労務管理を行うことは極めて難しいと言えます。

企業内に弁護士や社会保険労務士などの専門家を有する場合はまだしも、決してそのような環境で業務を進められる企業ばかりとは言えません。そこで、労働分野のアウトソーシングをすることで自社の負担を軽くすることが可能となります。 

最後に

労働行政対応は、まずは、最低限の法的知識とそれを踏まえた適正な労務管理が履行されていることが前提となります。しかし、それを主たる業務とできるのは大企業に限った話になることが多いでしょう。そこで、アウトソーシングを活用することで自社の業務に最大限のリソースを注ぎながら労働行政対応にも自信を持って対応できる状態が形成されるということです。また、そのような企業側の「本気度」は労働者も感じ取ることができ、離職者の少ない職場環境の形成にも寄与するものです。 

Remoba労務

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項目内容

サービス名

Remoba労務

会社名

(株)Enigol

公式サイト

https://remoba.biz/hr

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

柳沢智紀

株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。

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