1. 【保存版】社労士が教える労務運営における効率化の方法12選
【保存版】社労士が教える労務運営における効率化の方法12選

【保存版】社労士が教える労務運営における効率化の方法12選

労務 更新日:
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現在、コロナにより旧来までの働き方から変革を余儀なくされています。当然、旧来の常識が非常識へと変わり、それぞれの業界での新常態(ニューノーマル)の模索は必須です。労務担当者は効率的な労務運営の方法を知っておくべきです。本記事では労務に関する効率化がどのようなものかを解説してまいります。

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目次

人材における効率化

パソコン作業する女性

突発的な引継ぎに対応

働き方改革の1施策として雇用の流動化があります。戦後の日本の歴史上、今後も語り継がれる「高度経済成長期」から日本を支えてきた三種の神器(終身雇用年功序列企業内労組)について、特に終身雇用・年功序列については今後も終身に渡って保証し続けることは難しくなってきました。統計上も15歳から64歳の生産年齢人口は今後も減少していくことが予想されているものの旧来から同じ労務管理で推し進める企業も散見されます。

また、年齢の上昇に比例して病気に罹患するリスクも相関しています。ゆえに、常に業務の透明化(属人化を防ぐ)を意識した労務管理は時代背景的にも無視することができません。

また、先に示した三種の神器への懐疑的な風潮に憂慮し有能な若年層労働者の雇用の流動化が活発になりつつあります。旧来までは転職回数の多さは企業の人事担当者目線では「我慢強さが足りない」とのマイナスの見解が一般的でした。しかし、現代では以前にも増して増えてきた「キャリアアップの為の転職」であるにも関わらず、マイナスの見解を持つことは有能労働者の獲得から脱線することとなります。

そこで、活況を帯びてきた雇用の流動化も考慮すると突発的に退職が生じた場合でも、先の高年齢労働者の場合と同様に常に属人化を防ぐ効率的かつ透明性のある労務管理が今の時代に親和性が高いのです。

属人化を回避する

属人化とはその人でなければできない業務があることを指します。これは雇用の流動化が顕著になった時代背景や外見だけでは判断し難い精神疾患が増えてきたこと、年次有給休暇の5日取得義務により休暇が増えていることを鑑みても複数の従業員で業務を把握できている状態が望ましいのは言うまでもありません。

紙に書き込む男性

ジョブ型雇用

日本の労働市場は高度経済成長期から続くメンバーシップ型雇用が主流です。しかし、メンバーシップ型雇用は年齢や勤続年数により賃金が決まる賃金制度であり、より高いスキルを身につけてキャリアアップを望む有能労働者からは懐疑的な意見が漏れています。メンバーシップ型雇用の場合は年齢や勤続年数が昇給のタイミングとなり、新たなスキルを身に着けても昇給に結びつくとは言えない為に、離職の誘因となることがあります。日本の労働力人口は減少の一途を辿ることは想像に難くありません。その中で効率的な人事施策の導入は非常に重要な意味を持ちます。

しかし、効率化のためだけにジョブ型雇用を導入するとの決断は本質的とは言えません。それは、ジョブ型雇用を導入するには職務記述書の導入や賃金制度の説明など越えなければならないハードルが複数あるからです。特に有能労働者とは真逆の性質を持つ「窓際族」などは、ジョブ型雇用を導入するとなると賃金の低下が予見でき、反発があるでしょう。

結論としては、欧米のような真のジョブ型雇用を導入するのは困難でるため、メンバーシップ型雇用と一部ジョブ型雇用を入れたハイブリッド型の人事施策の導入が現実的でしょう。

コミュニケーションの効率化

パソコン作業をしている男性

リモート化

コロナ禍により有無を言わさず見切り発車的に在宅勤務が始まりました。規定の整備が追いつかないなどの理由はあるものの、エッセンシャルワーカーを除き多くの企業でリモート化が促進されました。ゆえに現在も対面一択の労働環境はBCP上も危険な場合が多く従業員目線でも疑問具がつくことでしょう。

また、リモート化は時代のトレンドでもあり、企業としても効率化の観点から模索しない理由は乏しいと考えます。しかし、できないことが前提の議論となると道筋は見えてきません。どうやったらできるのか、また、何ならできるのかという視点に立って推し進めていくことが求められます。

尚、リモート化のメリットとしては労務を提供する為に必然的に発生していた(感染リスクにも晒される)通勤を減らすことができます。従業員目線では通勤減に伴う通勤手当分の給与減額は甘受せざるを得ませんが、時間的な余裕は何事にも代えがたい貴重な資源と言えます。

また、他のメリットとして、感覚に頼らない本質的な情報共有が必要になるということです。例えば対面であればその場の空気やジャスチャーによって、相手へ職務上必要な意思の伝達が可能となりますが、リモートの場合より、その場の空気やジェスチャーにも限界があり、対面より密度の濃いコミュニケーションをしなければ相手に真意を伝えることができなくなります。移動を伴わなくても本質的なコミュニケーションが可能になればより効率的に業務を推し進めていくことが可能となります。当然このメリットを享受するには一定の時間が必要ですが、今後もリモート化促進の動きが止まるとは想定し難いことからメリットとして言えるでしょう。

ノートとパソコン

会議の方式

コロナ禍以前は一部の業種を除き対面での会議が一般的でした。しかし、三密回避の観点からもWeb会議の導入は避けるべきではありません。そして、会議参加者の適正化も重要な論点です。これまでのように対面一択の会議で、少しでも関係があればとりあえず出席させるという考え方はWithコロナ時代では非常識と揶揄されても致し方ありません。長時間かつ大人数での会議開催は万が一コロナ感染者が発覚した場合、その場にいた全員が濃厚接触者となり、部署自体の機能が停止するリスクを孕んでいます。特に発言の機会すら付与されない若年層の従業員目線では会議参加者の適正化は、効率的な労務提供が可能となり、プラスに働くことが多いでしょう。

ここまで述べた内容は対面一択には懐疑的な見解ばかりですが、Web一択も望ましいとは断言できません。それは、対面では雑談から派生するクリエイティブな意見が生まれることや、Web会議の場合は特定の機能を使いこなせなければ雑談が全員に聞かれてしまうことで躊躇うことが予想できます。これは、逆に対面であれば組織として享受できたクリエイティブなアイデアを享受できない可能性もあり、結論としては、Webと対面でのハイブリッド型を模索していくことが双方のメリットを享受できるものと考えます。

業務の効率化

時計

マニュアルの作成

創造的な発想が必要な業務を除き、いわゆる単純作業についてはマニュアルを整備し、漏れなく、速やかに完結させるべきです。本来、単純作業には多くの時間を費やすことは本質的ではありません。しかし、省略するわけにもいかず、何らかの手段を講じる必要があります。よって、効率的に完結できる仕組みを作り上げるためにはチェックリストは非常に有効です。複数名の経験者から意見を聴取し、多角的視点が担保されたチェックリスが完成すれば、あとは活用し、適宜修正を重ねれば労務提供の効率化に寄与する貴重な戦力となります。

マルチタスクを避ける

効率的でない職場環境に共通する部分として何かをやりながら他の作業にも手をつけるというマルチタスクに陥っていることが挙げられます。マルチタスクは外部からは仕事をやっているように見えます。しかし、実際は作業を変えるたびに脳は疲弊し、トータルではほとんど業務が進んでいないといったことも少なくありません。 

また、マルチタスクは集中力だけでなく、認知能力、幸福度も下げるとの指摘があり、シングルタスクで進めていくことが妥当と考えます。

電卓とファイル

データベース化との差

労務管理を紙ベースで進めていく場合とデータベース化した場合を検証してみましょう。露骨に差が生じる部分として検索スピードです。前述の監査対応でも検索スピードは備えておいて損はありません。データベース化することにより、類似情報の紐づけや編集が自由自在に行うことができます。必要な情報を瞬時に取り出せる環境は対従業員に留まらず対顧客目線でも高い付加価値となるでしょう。

また、情報化社会の特徴として年々保存すべき情報が増えてきています。そこで、永続的に紙で管理していくとなると従業員数が増えるにつれ場所的に限界が近づいてきます。データベース化へ転換することで場所的なコストの削減が可能となり、データベース化によって生じた先行投資も時間の経過とともに回収が可能となります。

監査対応

特に労働基準法を始めとした労働関連法が適用される企業では所轄労働基準監督署の臨検対応や(子会社であれば)親会社を通じての内部監査も踏まえた労務管理は不可避です。特に臨検対応では複数の帳票の提出が求められ、記載内容について質問されます。どこにどんな帳票が収納されているのか把握できていなければ監査時間も間延びしてしまいます。監査全般に言えることですが、経験値が足りていない場合の臨検・監査対応は一定の緊張感があり、身体的にも時間的にも一定以上の負担を強いられます。よって、効率的に労務関連の帳票を管理できている体制は担当者自身を守る意味でも非常に意味のある取り組みということです。 

パソコンの画面

脱ハンコ

内閣では新体制が発足し、脱ハンコについて近年まれに見ぬほど、大きな目標が掲げられています。特に脱ハンコは行政機関での煩雑な手続きに対して多くの意見が寄せられており、企業内に留まらず国民の関心が高い論点と言えるでしょう。言うまでもなく、押印文化はテレワークとの親和性が低く、見方によっては押印のために感染リスクに晒されながら出勤する場合もあるということです。

また、露骨に効率化の阻害となる部分として多くの決裁者の押印を必要とする企業の場合、決済を得るまでに2週間近くかかってしまう場合もあります。そこで、意思決定の遅さゆえにチャンスを逃してしまうこともあるということです。そして、多くの場合押印された書類を上層部の決裁者に順次持ち運ぶ従業員も必要となり、これが電子で済むのであれば決裁までの迅速性が生まれること、人材の適正活用が可能となり、大きなメリットがあります。

また、大量の書類を持ち運びするなどの押印文化を画一的に黙認する企業風土は「スタンプラリー」と揶揄されることもあり、有能労働者の離職の誘因となってしまいます。

しかし、全ての押印を辞めるべきということではなく、一度「本当に今後も継続して必要なのか?」という視点で峻別をすべきでしょう。現在の行政の取り組みでも婚姻届は押印省略の動きを見せているものの商業登記は旧来の押印を踏襲するなど企業内でも一定の峻別はあって然るべきです。

時間的な効率化

たくさんの時計

時間帯を分ける

労務の効率化の観点から、特に疲れが少ない午前中に集中力を要する業務を組み込み、疲れが出始める午後に集中力を要しない業務を組み入れるなどのタスクの適正配置は生産性も大きく左右します。 

また、集中力が発揮される時間帯は従業員によっても異なります。よって、今は「集中タイム」であることを部署のメンバーが可視化できる工夫(例えばデスクに立札を置く)ができればチーム単位でも効率的かつ生産性の高い労務の提供が可能となるでしょう。

休憩時間

人間の集中力は長時間持続しません。しかし、日本の法定労働時間は8時間であり、8時間労働の場合は最低でも労働時間の途中に少なくとも45分の休憩が必要となります。企業によっては休憩中に電話対応をせざるを得ない勤務体制が敷かれている場合も散見されます。しかし、法的にも生産性の観点からも黙認すべきではありません。休憩時間とは従業員が権利として労働からの解放が保障された時間であり、労務の効率化以前に健康確保の観点からも重要な部分です

最後に

効率化とは明確な基準がなく、また、業種によっては自社のみでは進められない業務も複数存在します。結論としては、自社(個人を含む)でコントロールが可能な部分については効率化を追求することがビジネスパーソンの務めであり、企業の上長はそのような風土を形成していく努力が必要です。

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この記事の監修者

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社会保険労務士

蓑田真吾

社会保険労務士(社労士)独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は労務管理手法を積極的に取り入れ労務業務をサポートしています

資格
社会保険労務士
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