1. 預金出納帳の書き方や記入例を確認!作成するメリットは?
預金出納帳の書き方や記入例を確認!作成するメリットは?

預金出納帳とは銀行預金のお金の動きを表した帳簿です。お金の流れと残高を把握するという目的があります。また、預金出納帳を作ることで最大65万円の青色申告特別控除を受けられるというメリットもあります。今回は預金出納帳の詳しい使い方や預金出納帳の作成意義に関して解説していきます。

目次

預金出納帳とは

預金出納帳とは銀行預金のお金の動きを表した帳簿です。イメージとしては通帳のようなものです。何の目的でいくら引き出ししたのか、もしくはどのようなお金が入金になったのかを時系列で示したものです。また、入出金後の残高に関して記載されています。

預金出納帳を作成する目的

私たちは日々銀行を利用し、手持ちの現金を入金したり、取引先様へ支払い行ったりします。預金出納帳とはその銀行口座のお金の流れを記録するものです。預金出納帳は日々の現預金の残高推移を記録し、常に現金の流れを把握できる目的で作成されます。自分が小さい時お小遣い帳をつけていた人もいるかもしれません。イメージとしては同じようなものですが、お小遣い帳がいつどんなことに使用したのかを記録するという目的があるのに対して、預金出納帳はお金の流れと残高を正確に把握することを主目的としています(もちろんいつどんなことに使用したのかも記録されます)。

預金出納帳を作成する流れ

預金出納帳は基本的に複式簿記を使用して作成されます。複式簿記とは、企業経理の大原則のようなもので必ず一つの仕訳を2方向から見ていきます。例えばお金を取引先に支払いした際は、預金が減少するという事実と取引先対する債務が消滅したという事実を記録します。これに対して単式簿記は1方向からしか記録しませんので、預金が減少した事実したことしか記録しません。(この単式簿記で作成されているのがお小遣い帳です。)

複式簿記を使用した預金出納帳では、預金増えたのか減ったのかを記録し、その後必ず相手科目を決定します。相手科目が決まったら仕訳を入力し、集計していきます。一般的な事業会社では通常会計システムを導入されているかと思いますので、そのシステムに仕訳を入力すれば自動的に預金出納帳が作成されるはずです。まずはご自身の会社が使用している会計システムを確認し、預金出納帳がどのように出力されるのか確認しましょう。 

預金出納帳の作成方法

預金出納帳には以下のような記載すべき要件があります。

・日付
・相手科目
・摘要
・入金額/出金額
・残高

ここではその要件に関して一つずつ見ていきたいと思います。

日付

まずは日付です。日付は仕訳の中で非常に重要な意味を持ちます。日付が期をまたいで一日違えば、全く違う決算が出来上がってしまいますし、常に現金残高を把握する目的で作成されている預金出納帳が本来の意味を持たなくなってしまいます。日付の異なる預金出納帳を信じて会社運営を行っていれば、不要な資金調達をしてしまったり、預金不足で不渡りを出し会社を倒産させてしまうことだって考えられます。そのような意味でも日付は必ず通帳と同じ日付で入力する必要があります。会計システムでは仕訳画面を立ち上げると大体起動した日が自動でセットされている場合が多いので、必ず通帳の入出金日に変更して仕訳を入力しましょう。

相手科目

続いて相手科目です。こちらは先程述べたように複式簿記特有の項目になります。預金の入出金に合わせて相手科目を入力しますので、この項目には必ず預金以外の勘定科目が入力されます。相手科目を見れば、どのような取引でその預金の増減が発生したのかを推測することが可能です。

摘要

摘要とは自由記述欄です。預金の入出金の際にどのような理由で発生したのかどの取引先への支払いなのかを備忘として記録します。摘要欄を可能な限り細かく記載しておくことで、後日取引内容を振り返る時に詳細に辿りやすいので、面倒かもしれませんが、摘要欄はできるだけ細かく内容を記載しましょう。摘要欄は個人毎に記載方法がバラバラになってしまうことが多いので、社内で記載すべき事項を統一しておくと預金出納帳を一括で出力した際などは非常に見やすくなります。

入金額・出金額

入出金額は預金出納帳の中で最も大事な項目です。通帳と同じように入金額と出金額を記録していきます。金額が相違していれば、通帳と預金出納帳がずれていくので、最低でも月に1回は預金出納帳の入出金と通帳の入出金が相違していないか確認しましょう。また、注意点としては複数の取引内容を一括して精算した際は、分割して記帳するのではなく、仕訳の際は預金科目を一つにして相手科目を複数にして仕訳を入力しましょう。具体的には例えば、300円の債務Aと500円の債務Bを合算した800円を取引先に振り込みしたとします。この場合は以下のように仕訳しましょう。

【通帳の記帳】

800円の出金

【おすすめの仕訳】

買掛金 300円/ 預金 800円  債務A支払

買掛金 500円/         債務B支払

【ありがちな仕訳①】

買掛金 300円 / 預金 300円  債務A支払

買掛金 500円 / 預金 500円  債務B支払

 【ありがちな仕訳②】

買掛金 800円 / 預金 800円  債務支払

おすすめの仕訳とありがちな仕訳は何が違うのでしょうか。まずありがちな仕訳①をみてみます。①では債務AとBが区分されているので、良いように見えますが、このまま仕訳を入力すると預金出納帳では預金が300円と500円に分かれて記載されます。間違いではないのですが、後で見返したときに通帳と金額が異なる為、チェックに時間がかかります。預金出納帳は見てすぐに流れを理解できる必要があるので、可能な限り通帳と同じ金額で記載していくことが望ましいのです。②に関しては、預金サイドは通帳と同じ800円となっておりますが、買掛金が1本に集約されています。これでは、後日債務のつぶしこみを行う際にどの債務は支払いをしてどの債務は支払いをしていないのかが、わかりづらくなってしまいます。社内管理のことも考えて預金の相手科目は実態に合わせて記載するべきなのです。

ありがちな仕訳①とありがちな仕訳②と統合したのがおすすめの仕訳になります。預金サイドは800円とすることで、預金出納帳にも800円と記載されますので、後日見返す時も確認しやすいです。また、買掛金は2明細に分けて記帳しているので、買掛金のつぶしこみの際も用意に管理することができます。

このように預金出納帳の入出金明細は後日見返すことを意識して、仕訳を入力していくことをおすすめ致します。

残高

最後は残高です。実務上一番目にするのは残高かと思います。残高は会計システムを使用していれば、複合仕訳を入力すれば自動的に計算されます。この残高=会社内のお金です。経営者もこの残高を常に気にしておりますので、残高に関して聞かれたときはすぐに答えられるように常に意識しておきましょう。PLが意識され経営されていた時代と違い、現在は会社のキャッシュフローが重視される時代です。会社に今現在いくら預金残高があるのかという情報は非常に重要な情報になっているのです。

また、決算作業の時などはこの残高が通帳残高と一致しているかを必ず確認します。可能であれば、毎月月末残高を突き合わせて通帳と残高が相違していないか確認しましょう。決算時に1年間分をまとめて振り返るのは非常にハードな作業となりますので、毎月こまめに確認することで決算スピードを速めることもできます。

具体的な作成方法

上記5点が預金出納帳を作成する際に最低限必要となってくる項目です。最後に補足として現在どのような形式で預金に関する仕訳入力を行っている会社が多いのかを記載いたします。主に預金に関わる仕訳入力には以下の3パターンがあります。

  通帳を見ながら手で仕訳入力を行う
  銀行の入出金データをCSV出力し、加工を施し会計システムに取り込みを行う
  会計システムと銀行口座データが連携されており、自動取り込み自動仕訳を行う

導入している会計システムにより、使用できる方法は異なりますが、これからの時代は③の自動連携が主流になっていくでしょう。③であれば、経理を知らない方でもある程度預金出納帳を作成できるからです。ただし、経理を知らない人が担当すると実態にそぐわない勘定科目を選択してしまったりする場合もありますので、注意が必要です。

一方で①に関しては旧来型の方法により時間がかかりますのが、経理を理解している人が仕訳を行うので、科目等も実態に合わせて適宜修正することも可能です。

②は③の自動連携には対応していないシステムに対して仕訳の多い企業が一括して取り込みを行うと大きな時間削減になります。あらかじめ通帳内の入出金パターン(通帳に記載される摘要から勘定科目を特定)を登録しておくことで、仕訳をCSV形式で取り込むことになります。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に合った作成方法を選択しましょう。 

預金出納帳を作成することで得られるメリット

それでは預金出納帳を作成することで得られるメリットは何でしょうか。ここでは大きく2つを取り上げていきます。

最大65万円の青色申告特別控除を受けられる

まずは税金に関するメリットです。日本の税制では正規の簿記の原則に基づき、経理処理を行えば最大65万円の青色申告特別控除を受けられるという制度があります。この制度を利用するにあたり作成が義務付けられている書類の中の一つに預金出納帳があります。ここでいう正規の簿記の原則とは冒頭でも述べた複式簿記に基づいて作成された帳簿を指します。複式簿記を利用して作成しているので、貸借対照表と損益計算書が作成されることを意味します。このメリットは節税につながる為、利用している会社が非常に多いです。現時点で普通の白色申告で申告を行っている人がいれば、すぐにでも預金出納帳を作成し最大65万円の青色申告特別控除を申告しましょう。

ここで参考ですが、同じ青色申告特別控除を申請しても最大10万円の特別控除の場合もあります。これは簡易帳簿しか作成していない場合です。この簡易帳簿の中に預金出納帳は含まれません。預金出納帳は最大65万円の控除を受けるために必要な提出書類の中に含まれています。つまり預金出納帳を作成するように社内の経理体制を変更することは、65万円の特別控除を受ける為に必要なことと言えます。

最後になりますが、最大65万円の青色申告特別控除を利用した場合、申告の際に利用した預金出納帳などは7年間自社内で保管する義務があります。一度作成した預金出納帳は破棄することなくしっかりと社内で保管し、税務調査で検査が入った場合はすぐに資料を出せるように準備しておきましょう。

複式簿記での記帳を活用し、よりお金の流れを正確に把握できる

上記で述べた最大65万円の青色申告特別控除も大きなメリットですが、さらに大きなメリットといえるのが、複式簿記での記帳方法です。複式簿記を利用すれば貸借対照表と損益計算書を作成することができます。この貸借対照表と損益計算書は会社経営においての両輪であり、お金の流れを把握するためには不可欠なのです。単式簿記では収支と費用しか集計することができず、会社の中にいくらお金が残っているのかをすぐに把握することはできません。この複式簿記での記帳方法を活用して、お金の残高の全体のお金の流れを把握しましょう。 

まとめ

預金出納帳は、経理担当者以外普段目にすることは少ないかもしれません。ここまで預金出納帳の作成目的や作成方法そして作成することで得られるメリットを解説してきました。

経理担当者でも普段意識することの少ない預金出納帳ですが、一方で経営者の立場からすれば会社のお金に直結する部分なので非常に意識を向けている方が多いです。特にオーナー会社などでは、自分が出資したお金であるという意識が強い為、預金残高に関しても日々気にされている印象があります。

今後会計ソフトの発達に伴い銀行口座との自動連携が一般的になる世の中が想定されます。自動連携では口座に入出金が発生した都度、自動で仕訳を取り込み、勘定科目をAIが自動で予測して会計ソフトに入力されます。経理がわからない人でもボタン一つで預金出納帳を作成できてしまいますが、そのような場合でも出力された資料の意味(預金の流れや勘定科目等)を理解できなければ、資料を作成する意味がありません。預金出納帳に関してはなかなか学習するタイミングもないかと思いますので、改めて知識を整理し、日々の業務に活用しましょう。

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

辻田 和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士
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