ここでは、部門別に定常業務の代表的な種類を紹介します。
経理・財務部門
経理・財務部門における代表的な定常業務は、以下の通りです。
- 仕訳入力
- 請求書の発行・処理
- 支払処理・振込業務
- 経費精算の確認
- 月次・年次決算対応
- 会計ソフトへのデータ入力
経理・財務部門は、会社のお金の流れを正確に管理・記録する役割を担う部署です。日々発生する取引を帳簿に記録し、支払い・請求業務・資金繰り・決算対応などを通じて企業の財務状態を明確にすることが求められます。
経理・財務部門には毎日・毎月繰り返される定常業務が多く、ルールや手順が決まっていることがほとんどです。業務の標準化や外注で効率化できる業務でもあります。
人事・労務部門
人事・労務部門における代表的な定常業務は、以下の通りです。
- 勤怠データの集計・確認
- 給与計算・明細配布
- 社会保険・雇用保険の手続き
- 採用応募者の管理・連絡対応
- 年末調整業務
- 入退社手続き
人事・労務部門は、社員の採用から退職までの人材管理や労務対応を担う部署です。具体的には、勤怠管理、給与計算、社会保険の手続き、入退社対応、労務トラブルの防止などが主な業務となります。
人事・労務部門では毎月決まったスケジュールで発生する定常業務が多く、法令遵守や正確性が求められる反面、反復的な作業が中心となります。アウトソーシングによる効率化を実現している企業も多いのが特徴です。
総務・庶務部門
総務・庶務部門における代表的な定常業務は、以下の通りです。
- 備品の発注・在庫管理
- 来客対応・電話対応
- 郵便物の仕分け・配布
- 社内文書の作成・配布
- 会議室や設備の管理
総務・庶務部門は、会社全体の業務が円滑に回るようにサポートする「縁の下の力持ち」のような存在です。備品の発注管理、来客・電話対応、郵便物の仕分け、社内設備の管理など、日々発生する細かな業務を幅広くカバーしています。
定型的かつルール化されている業務が多く、ほとんどが定常的に繰り返される作業です。負担は大きいものの、業務の難易度は比較的低いこともあります。
営業部門
営業部門における代表的な定常業務は、以下の通りです。
- 顧客データの更新・管理
- 見積書・契約書の作成
- 営業報告書(日報・週報)の作成
- 売上実績の集計・レポート作成
- アポイント調整・日程管理
営業部門は、自社の商品やサービスを顧客に提案・販売し、売上を生み出す中核的な部門です。顧客との商談や契約などの対外的な活動だけでなく、社内ではさまざまな定常業務(ルーティンワーク)を日々こなしています。
具体的には、営業日報の作成、見積書や契約書の作成、顧客情報の管理、売上データの集計などが挙げられます。手間がかかる反面、営業担当者の専門性を必要としない作業も多いです。
カスタマーサポート部門
カスタマーサポート部門における代表的な定常業務は、以下の通りです。
- 問い合わせ対応(電話・メール・チャット)
- 対応履歴の入力・記録管理
- FAQやマニュアルの更新
- クレーム対応の一次対応
- 定型メールの送信
カスタマーサポート部門は、顧客からの問い合わせや要望に対応し、満足度や信頼感を維持・向上させる部門です。電話・メール・チャットなどの手段でやり取りを行い、問題解決や案内を行います。
日々の業務は、問い合わせ対応、対応履歴の入力、定型文メールの送信、FAQの更新など繰り返し発生する定常業務が中心です。業務フローが標準化しやすく、マニュアル化しやすいのも特徴です。対応件数の多い企業では外注やチャットボットやAIの導入により効率化を図るケースも多く、コスト削減と対応品質の両立が求められています。
IT・システム部門
IT・システム部門における代表的な定常業務は、以下の通りです。
- システムの定期メンテナンス
- 社内アカウント・アクセス管理
- セキュリティパッチの適用
- バックアップの定期実施
- ヘルプデスク対応
IT・システム部門は、社内の情報システムやネットワークを安定的に運用し、業務の効率化と情報セキュリティの確保を支える部署です。システムの構築・保守・運用だけでなく、トラブル対応やユーザーサポートも担います。
定常業務としては、システムの定期メンテナンス、アカウント管理、セキュリティパッチの適用、バックアップ作業、ヘルプデスク対応などがあります。専門的なスキルが必要な反面、作業自体は繰り返し発生するため外注や自動化の対象となりやすい業務です。
定常業務を効率化する手法
定常業務は日々繰り返し発生するからこそ、効率化できると大きな省人化につながります。ここでは、定常業務を効率化する代表的な手法を解説します。
RPAの導入
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ルール化されて繰り返し行われる定常業務を自動化する仕組みです。
定常業務は、例えばデータ入力やファイルの整理、メールの送信など、決まった手順を繰り返す単純作業が多く含まれます。RPAは定常業務を人間の代わりに正確かつ高速に実行するため、業務時間を大幅に短縮できます。
また、人間が行う単純作業では入力ミスや操作ミスが発生しやすく、修正に余分な時間と手間がかかります。RPAは同じ作業を一貫して正確に実行するためミスによる手戻り作業が減り、結果的に効率が向上します。
クラウドサービスの導入
クラウドサービスは、インターネット経由でソフトウェアやデータを利用できるソフトウェアやツールを指す言葉です。
多くのクラウドサービスはAPIや連携機能が充実しており、異なるシステム間でデータ連携や自動処理ができます。ネット環境さえあればアクセスできるため、テレワークや外出先からでも業務を進められます。クラウド上に情報が集約されているため、複数の社員がリアルタイムでデータを共有・更新できるのもポイントです。
クラウドサービスの導入は定常業務の効率化だけでなく、働き方改革やコスト管理、システムの安定運用にも寄与する重要な手段となっています。
AIツールの導入
AI(人工知能)ツールは、大量のデータ処理・パターン認識・判断支援などを自動で行う技術です。AIを直接使うというよりは、AIを搭載したソリューションやツールを使うことをイメージするとよいでしょう。代表的な活用法として、AIを搭載したチャットボットによる顧客対応の自動化や、AI搭載のクリエイティブツールを使って文章や画像を自動生成したりする工夫が挙げられます。
AIはルールだけでなく過去のデータからパターンを学習し、ある程度は自分で判断を下します。作業時間の短縮とミスの削減が実現し、社員はより高度で創造的な仕事に集中できるようになるのがメリットです。
外注(アウトソーシング)の活用
外注(アウトソーシング)は、企業が自社の業務の一部を外部の専門業者やサービスに委託することを指します。外注先は特定の業務に特化したプロフェッショナルが多く、定常業務を効率的にこなすノウハウや設備を持っています。自社で対応するよりも短時間かつ高品質で処理できることが多く、自社の社員はコア業務や戦略的な業務に集中することが可能です。
また、外注は必要な分だけ発注できるため、人件費など固定費の圧縮や無駄な投資を抑えられることもメリットです。「Remobaアシスタント」など、最新のシステムや効率的な業務手法を導入している外注先も多いので注目してみましょう。