以下では、それぞれの項目について解説します。
企業価値への影響
企業価値への影響では、業務が企業の競争力・収益性・ブランド力などにどれだけ直接的に寄与するかを検討します。つまり業務が企業の成長や市場での優位性確保にどの程度関わっているかを見極める基準です。
【企業価値に強く影響する業務(コア業務)】
- 差別化要因の創出
- 商品やサービスの独自性、技術力、ブランドイメージを形成する仕事。これらが競合他社と差をつけ、市場での優位性を生む。
- 収益の源泉
- 直接的に売上や利益に結びつく業務。たとえば、新商品開発、主要顧客の営業活動、マーケティング戦略の立案など。
- 顧客満足度や信頼の向上
- 重要顧客の対応やアフターサービスなど、顧客との関係性を深める業務はリピート率向上や口コミによる新規顧客獲得に寄与する。
- 企業の将来戦略に関わる意思決定
- 経営企画や事業戦略の策定は、長期的な企業価値向上に不可欠。
【企業価値に影響しにくい業務(ノンコア業務)】
- 間接的な支援業務
- 業務を円滑に進めるためのバックオフィス的な作業。経理処理、備品管理、勤怠管理など。
- 定型的・ルーチンワーク
- 決まった手順で実施する作業で、直接的な付加価値を生みにくい。
- コスト管理の対象
- 業務効率化やコスト削減を目指す際の重点領域となる。
価値への影響が小さい業務に多くのリソースを割くことは非効率であり、競争力を落とすリスクもあるので注意しましょう。反対に、価値への影響が大きい業務には全力でリソースを割き、自社ならではの強みを活かした経営にすることが大切です。
業務の性質
業務の性質とは、仕事がどのような特徴や特性を持っているか、どんなスキルや工夫が必要かを指す指標です。業務が創造的かルーチン的か、専門知識が必要か単純作業かなどが判断ポイントとなります。
【コア業務の性質】
- 創造性・判断力が必要
- 決まりきったやり方ではなく、状況に応じた柔軟な対応や問題解決が求められます。新しいアイデアや戦略の立案も含まれます。
- 専門知識や高度なスキルを活用
- 業界知識や技術、マーケティングの洞察など、企業独自のノウハウが必要な業務です。
- 不確実性が高い
- 変化の多い環境下で、試行錯誤しながら最適解を模索する作業が多いです。
- 価値創造に直結
- 企業の競争力や差別化要因を生み出すため、より付加価値が高い仕事と言えます。
【ノンコア業務の性質】
- 定型化・マニュアル化が可能
- 手順やルールが明確で、誰でも同じように遂行できる作業が中心です。
- 繰り返しが多いルーチンワーク
- 日々の継続的な業務で、一定のフォーマットやシステムに従って行われます。
- 専門性は比較的低い
- 高度な知識やスキルはあまり必要なく、研修やマニュアルで対応可能。
- 効率化・自動化の対象
- システム化やアウトソーシング、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で代替しやすい仕事です。
決められたルールに従って行う業務であれば、ノンコア業務と判断してよいでしょう。反対に、判断や創意工夫が必要であればコア業務と判断できます。
社内保持の必要性
社内保持の必要性とは、業務・スキル・ノウハウを自社の内部で維持・管理すべきかを判断する考え方です。企業の競争力維持や成長のために重宝されます。
【コア業務における社内保持の必要性】
- ノウハウや技術の蓄積
- コア業務は企業独自の強みや差別化要素となるため、外部に流出させると競争優位が失われるリスクがあります。社内で知識や経験を蓄積し、継続的に改善・進化させることが求められます。
- 迅速な意思決定・対応
- 重要な業務は、社内で直接管理することで、変化に即応できる柔軟性やスピード感を保ちやすくなります。
- 機密情報の管理
- 戦略的に重要な情報やデータを扱う場合、外部委託に伴う情報漏洩リスクを避けるためにも社内保持が望ましいです。
- 組織文化や価値観の反映
- 企業文化や価値観を反映した仕事の進め方は、内部での管理が効果的です。
【ノンコア業務における社内保持の必要性】
- 低い場合が多い
- ノンコア業務は定型的・補助的な作業が多く、特別なノウハウを必要としないことが多いため、外部委託しても業務品質や機密性に大きな影響が出にくいです。
- 効率化やコスト削減のため外注推奨
- 社内リソースを節約し、コア業務に集中するためにも外部に任せるケースが多いです。
業務の成果やノウハウが企業の競争力にどれだけ直結か、改めて考えてみましょう。業務の性質上、外部に任せることによるリスク(情報漏洩や品質低下)があるときも注意が必要です。
リソース配分の優先度
リソース配分の優先度とは、限られた人材・時間・予算などの経営資源をどの業務にどれだけ割り当てるべきか、優先順位を決める考え方です。企業が効率的に成長・競争力を高めるために重要な判断基準となります。
【コア業務におけるリソース配分の優先度】
- 最優先でリソースを投入すべき
- コア業務は企業の収益源や競争力の核となるため、人的資源や予算、時間を重点的に割くべきです。
- 高い専門性・スキルを持つ人材を配置
- 戦略立案や商品開発、重要顧客対応など、成果が企業の成長に直結する業務には、熟練のスタッフを配置します。
- 継続的な改善・投資が必要
- コア業務は環境変化に対応し続ける必要があるため、教育研修や最新ツールの導入などの投資も優先されます。
【ノンコア業務におけるリソース配分の優先度】
- 効率化・コスト削減の対象
- ノンコア業務は社内リソースを過剰に割くことを避け、可能な限り外部委託や自動化で対応することが望ましいです。
- 専門性の低い人材やツールに任せる
- 単純作業や定型業務は、専門性が高くないスタッフやRPA(ロボットによる自動化)に任せることで、コストと時間を節約します。
- リソースの最小化を目指す
- 業務の品質や安全性を保ちつつ、リソース投入を最小限に抑え、コア業務に集中できる環境をつくります。
企業資源は有限であり、すべての業務に十分なリソースを割けるわけではありません。重要度が高い業務に資源を集中し、効率的に成果を最大化するためには優先順位の明確化が不可欠です。
コア業務が重要視されている背景
近年、企業は「コア業務」に注力する重要性を一層強く認識するようになっています。ここでは、コア業務が重要視されている背景を解説します。なぜコア業務への集中が必要なのか、チェックしていきましょう。
競争環境の激化と差別化ニーズの高まり
インターネットの普及や物流の発達により、企業は国内だけでなく海外企業とも競争する時代が到来しています。市場の競争は国境を越え、より競争も激しくなりました。競合企業が増え、似たような商品やサービスがあふれる中で、顧客に選ばれるためには他社とは異なる強みや価値を提供することが不可欠です。
差別化のための工夫や創造的な取り組みが必要な時代においては、よりコア業務にリソースを割く必要があります。他社が簡単に真似できないコア業務の強化ができれば、オリジナリティや高い付加価値を提供できます。
コア業務にリソースを集中し、独自の強みを磨くことが、激化する競争環境での生き残りと成長の鍵となっています。
働き方改革・人材不足への対応
近年、労働時間の短縮や労働環境の改善、多様な働き方の実現を目的とした「働き方改革」が進められています。社員一人ひとりの働く時間や効率を見直し、生産性の向上とワークライフバランスの両立が求められるようになりました。
働き方改革の実現には、限られた人材リソースをより付加価値の高いコア業務に集中させることが不可欠です。定型的でルーティンなノンコア業務を効率化することで、社員の時間と能力を戦略的なコア業務に割けるようになります。
実際に、働き方改革や人材不足の課題を解決したい多くの企業が「コア業務に集中し、ノンコア業務は効率化・外部委託で対応する」戦略を採用しています。持続的な成長と働きやすい環境の両立を目指しましょう。
テクノロジーの進化と業務の高度化
近年、AI(人工知能)、RPA、クラウドコンピューティング、ビッグデータ解析などの先端技術が急速に進化し、業務の自動化や効率化が可能になりました。これまで人手で行っていた単純作業やルーチンワークは大幅に削減される傾向にあり、その分コア業務にリソースを割く企業が増えています。
効率化が急速に進む時代において、自社だけノンコア業務に集中する状態が続くと、競合他社との差がどんどん開いてしまいます。人間がより付加価値の高い仕事に専念できる環境を作るためにも、コア業務を重視する施策が欠かせません。
コア業務に集中するために企業が今すべきこと
コア業務に集中するために、企業が今すべきことは主に以下の通りです。
- ノンコア業務のアウトソーシングや自動化を推進する
- 業務の見直し・分類を行う
- コア業務に必要な人材の育成と確保を進める
- 組織体制とプロセスを最適化する
- テクノロジーの活用による業務革新を取り入れる
特に、近年は「1.ノンコア業務のアウトソーシングや自動化を推進する」を実践する企業が増えています。
ノンコア業務をアウトソーシングすると、既存社員がノンコア業務から解放されます。その分より付加価値の高いコア業務に専念でき、企業の競争力向上に寄与する効果が期待できるのです。
また、複数企業の業務をまとめて対応する業者は、スケールメリットを活かして効率的に業務を処理できるのがメリットです。繁忙期に合わせてピンポイントでアウトソーシングしたり、ノンコア業務全般をアウトソーシングして省人化を図ったり、ニーズに応じてフレキシブルに使えるのもポイント。「Remobaアシスタント」などマルチにアウトソーシングできる業者であれば、その時々のニーズに合わせて依頼できるので検討してみましょう。
まとめ
企業成長を目指したいときは、「コア業務」と「ノンコア業務」を正しく区別し、戦略的に業務を整理しましょう。
コア業務は企業の競争優位性を生み出す中核的な業務であり、社内での継続的な強化が求められます。一方で、ノンコア業務は日常的な定常業務やサポート的な業務が多く、「Remobaアシスタント」などのアウトソーシングを活用して効率化を図ることが効果的です。競争環境の激化や働き方改革、人手不足の課題を踏まえた上で、業務の見極めと外部活用を進めることが、持続的な企業成長に繋がる鍵となります。