企業担当者が行う実務は「申請・配布・回収」の3つです。本記事では、入社・在籍中・退職・紛失のケース別に手順を整理し、担当者がやりがちな間違いや協会けんぽと健保組合の違いもあわせて解説します。
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企業担当者が行う実務は「申請・配布・回収」の3つです。本記事では、入社・在籍中・退職・紛失のケース別に手順を整理し、担当者がやりがちな間違いや協会けんぽと健保組合の違いもあわせて解説します。
資格確認書とは、マイナ保険証を使えない人または利用しない人が医療機関で保険診療を受けるための書類です。
具体的には、マイナンバーカードを保有していない方、マイナ保険証の利用登録をしていない方、その他オンライン資格確認を受けられない事情がある方が対象です。保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)から無償で交付されます。
2024年12月2日をもって、従来の健康保険証の新規発行が終了しました。以降、医療機関での受診には「マイナ保険証」または「資格確認書」を使用する仕組みへ移行しています。
健康保険証廃止後に登場した書類は複数あり、混同しやすいため整理しておきましょう。
書類名 | 対象者 | 医療機関単独での使用 | 有効期限 |
|---|---|---|---|
マイナ保険証 | マイナンバーカードに健康保険証利用登録をした人 | ○ | なし(電子証明書の更新は必要) |
資格確認書 | マイナ保険証を利用できない・保有していない人など | ○ | 最長5年(保険者が設定) |
資格情報のお知らせ | マイナ保険証を利用している人 | ×(マイナ保険証と一緒に使用する補助的書類) | なし |
「資格情報のお知らせ」は単独では医療機関を受診できません。企業の担当者が実務で関わるのは、主に「資格確認書」です。
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資格確認書の発行主体は保険者(協会けんぽ・健康保険組合など)です。企業はあくまでも手続きの主担当という立場になります。
企業担当者が行う実務は次の3つです。
結論:資格取得届の「資格確認書発行要否」欄にチェックを入れて申請します。
新たに従業員を採用した際、その従業員がマイナ保険証を利用しない場合は、入社時の社会保険手続きと合わせて資格確認書の発行申請を行います。
手続きの流れ
入社 → 本人よりマイナ保険証の利用状況を聴取 → 資格取得届の「発行要否」欄にチェック → 年金事務所へ提出 → 保険者から資格確認書が届く → 従業員へ配布
手順詳細
被扶養者がいる場合は「被扶養者(異動)届」にも同様の「資格確認書発行要否」欄があります。扶養に入れる家族についても忘れずに確認しましょう。
ポイント:マイナ保険証の利用状況は本人でないと確認できません。入社時のヒアリングシートや手続き案内に「マイナ保険証の利用登録をしているか」を確認する項目を加えておくと、記入漏れを防ぎやすくなります。
結論:原則として従業員の自宅に届きますが、宛先不明で事業所宛てに再送付される場合があります。届いたら速やかに本人へ配布します。
2025年12月2日以降、協会けんぽはマイナ保険証を利用していない被保険者に対して資格確認書を原則として自動的に交付する運用としています。転居等で宛先不明になった場合は事業所宛てに再送付されることがあります。
届いた場合の対応
資格確認書が届いた時点で在籍していても、その後退職した場合は別途回収と返納が必要になります(ケース③参照)。
結論:退職者が資格確認書を所持している場合は回収し、資格喪失届とあわせて保険者へ返納します。
退職手続きの流れ
退職が決まる → 資格確認書の所持確認 → 回収(所持している場合)→ 資格喪失届に添付 → 保険者へ返納
従業員が資格確認書を持っている場合
従業員がマイナ保険証のみを利用していた場合
資格確認書は発行されていないため回収物はありません。ただし通常通り資格喪失手続きは必要です。
注意点:退職手続きチェックリストに「資格確認書の有無を確認・回収」の項目を加えておくことを推奨します。
結論:保険者への再申請が必要です。協会けんぽでは2026年1月から電子申請も利用できます。
協会けんぽの場合の手順
健康保険組合に加入している場合は、組合ごとに申請方法・様式が異なります。加入している健保組合のウェブサイトまたは窓口に確認してください。
資格確認書の手続きは保険者によって細部が異なります。以下を目安にしてください。
項目 | 協会けんぽ | 健保組合 |
|---|---|---|
申請書の様式 | 全国共通(厚労省・協会けんぽ指定様式) | 組合ごとに異なる場合あり |
提出先 | 協会けんぽ都道府県支部・年金事務所など | 各健保組合 |
電子申請 | 2026年1月より対応 | 組合ごとに異なる |
発行までの日数 | 処理状況により異なる | 組合ごとに異なる |
健保組合に加入している場合は、本記事の内容を参考にしつつ、必ず組合の案内を最優先に確認してください。
記入し忘れても、当分の間は申請によらず資格確認書が交付される運用があります。ただし、通常より到着まで時間がかかることがあるため、急ぐ場合は別途「資格確認書交付申請書」を提出して早急な発行申請を検討しましょう。
本人の確認はできていても、扶養に入れた家族の利用状況を確認し忘れるケースがあります。被扶養者(異動)届にも「資格確認書発行要否」欄があります。家族の人数分、漏れなく確認するようにしましょう。
原則として、マイナ保険証を問題なく利用できる方は資格確認書の対象になりません。その場合は「資格情報のお知らせ」が発行されます。従業員から「自分の分が届かない」と問い合わせがあった場合は、まずマイナ保険証の登録状況を確認するよう案内してください。なお、個別の事情がある場合は加入先保険者に相談しましょう。
事業所宛てに届いた資格確認書を気づかずに放置してしまうと、従業員が医療機関で保険診療を受けられなくなるリスクがあります。郵便物の確認を徹底し、届いたらすぐに対象者へ配布する運用を整えておきましょう。
協会けんぽと健保組合では様式・提出先が異なります。社内で以前の担当者が用意した様式や手順書が、実は加入保険者と合っていないことがあります。新担当者になったタイミングで、加入保険者の最新案内を必ず確認しましょう。
☐ 従業員のマイナ保険証の利用登録状況を確認した
☐ 被扶養者がいる場合、その利用登録状況も確認した
☐ 資格確認書が必要な場合、資格取得届の「発行要否」欄にチェックを入れた
☐ 被扶養者(異動)届にも同様のチェックを入れた
☐ 資格確認書が届いたら、速やかに従業員へ配布した
☐ 退職者が資格確認書を所持しているか確認した
☐ 資格確認書を回収した(所持している場合)
☐ 資格喪失届と合わせて保険者へ返納手続きを行った
☐ 退職後に資格確認書が事業所に届いた場合は、返信用封筒で保険者へ返却した
A. 原則として被保険者の自宅へ送付されます。ただし、転居等で宛先不明になった場合は事業所宛てに再送付されることがあります。その場合は会社から従業員へ配布する流れになります。
A. 当分の間は申請によらず交付される運用があります。ただし、通常の申請ルートより到着まで時間がかかる場合があります。急ぎの場合は「資格確認書交付申請書」を別途提出して申請することを推奨します。
A. 同封の返信用封筒を使って、保険者(協会けんぽ等)へ返却してください。
A. 基本的な仕組みは同じですが、申請書の様式・提出先・発行までの日数は保険者ごとに異なります。健康保険組合に加入している場合は、必ず加入組合の案内に従って手続きを行ってください。
A. 社会保険の加入要件を満たしている場合は日本人と同様の手続きが必要です。マイナンバーカードを取得していない外国人従業員は、資格取得届の発行要否欄にチェックを入れることで申請できます。協会けんぽにはマイナンバー専用ダイヤルの外国語対応窓口もあります。
A. 有効期限到来時の扱いは保険者ごとに異なります。自動交付される場合もありますが、個別の案内に従う必要があります。有効期限が迫っている場合は早めに加入先保険者へ確認しましょう。
A. マイナ保険証の利用登録後の資格確認書の扱いは、加入先保険者の案内に従ってください。
資格確認書をめぐる企業担当者の実務は、次の3点に集約されます。
手続きの細部は保険者(協会けんぽ・健康保険組合)によって異なります。実際の様式・提出先・発行時期は、加入先保険者の最新案内を必ず確認してください。協会けんぽ加入企業であれば、協会けんぽ・日本年金機構のウェブサイトが確認先の基本です。
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株式会社Enigol
千葉経済大学経済学部経済学科卒業。東京都社会保険労務士会所属(登録番号 第13190545号)。 都内医療機関において、約13年間人事労務部門において労働問題の相談や社会保険に関する相談を担ってきた。対応した医療従事者の数は1,000名を超え、約800名の新規採用者、約600名の退職者にも対応してきた。社労士独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は様々な労務管理手法を積極的に取り入れ労務業務をサポートしている。また、年金・医療保険に関する問題や労働法・働き方改革に関する実務相談を多く取り扱い、書籍や雑誌への寄稿を通して、多方面で講演・執筆活動中。