借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
仮払金 | 70,000 | 現金 | 70,000 |
経費精算は、ほぼ全社員が関わるため、作業工程が多く煩雑になりやすい業務です。経費精算に時間をかけすぎることは、立て替えた社員にとっても、経理担当者にとっても、あまり好ましいことではありません。そのため、最近はクラウド経費精算システムを導入したり、経費精算業務のアウトソースによる業務効率化が進んでいます。
経費精算は、ほぼ全社員が関わるため、作業工程が多く煩雑になりやすい業務です。経費精算に時間をかけすぎることは、立て替えた社員にとっても、経理担当者にとっても、あまり好ましいことではありません。そのため、最近はクラウド経費精算システムを導入したり、経費精算業務のアウトソースによる業務効率化が進んでいます。
本記事では、経費精算の流れと注意点、クラウド経費精算システム導入のメリット、加えて経費精算をアウトソースするメリットをお伝えします。
経費精算には、社員が会社の業務遂行の為に立て替えた経費を精算する「立替経費精算」と、社員に事前に仮払いし金額確定した後に精算を行う「仮払経費精算」があります。また、法人クレジットカードで支払った際の領収書とカード明細との突合を行うことも経費精算に含まれます。
社内規定にもよりますが、立替を行った社員が経費精算の申請書を作成し、領収書を添付して経理部に提出、経理部が毎月決められた精算日に一括で振込による精算処理を行っている、というケースが一般的です。
①〜③(立替社員側の処理)
④〜⑧(経理側の処理)
立替を行った社員は、領収書に基づき経費精算申請書に必要事項を記載し、所属長の承認をもらいます。
経費精算申請書には以下の事項を記入します。
・申請日付
・申請者の所属部署
・申請者の氏名
・領収書の日付
・購入内容
・購入先
・購入金額
【経費精算の申請書テンプレート】 画像引用:マネーフォワード
所属長は経費精算申請書を確認の上承認を行い、申請した社員へ返却します。
申請した社員は、所属長承認後の経費精算申請書を経理担当者へ経費精算締め日までに提出します。
経理担当者は、提出された申請書と領収書の突合作業を行います。また、問題がありそうな支出内容はないかなども確認します。問題がなければ、承認後、最終承認者へ経費精算申請書を提出します。
経理部の最終承認者は経費精算申請書を確認の上承認を行い、経理担当者へ返却します。
経理担当者は、経費精算申請書に基づき、会計システムに仕訳登録を行います。
経理担当者は、経費精算申請書に基づき、従業員の口座に精算金額を振り込みます。
立て替えた社員の口座に、精算金額が振り込まれます。
出張等を行う場合や、立て替え額が高額になることが予想される場合は、あらかじめ仮払を行い、後日金額が確定してから仮払金を精算します。出張旅費の仮払精算を例に業務フローを見ていきましょう。
①〜③(立替社員側の処理)
④〜⑦(経理側の処理)
出張を行う社員は、出張申請書に必要事項を記載し、所属長の承認をもらいます。
出張申請書には、以下の事項などを記入します。
・申請日付
・申請者の所属部署
・出張予定日
・出張地、訪問先、用件
・チケット手配の有無
・必要となる旅費の概算
【出張申請書テンプレート】 画像引用・マネーフォワード
所属長は出張申請書を確認の上承認を行い、申請した社員へ返却します。
申請した社員は、所属長承認後の経出張申請書を経理担当者に提出します。
経理担当者は、提出された申請書を確認し、問題がなければ、承認後、最終承認者へ提出します。
経理部の最終承認者は出張申請書を確認の上承認を行い、経理担当者へ返却します。
経理担当者は、出張申請書に基づき、会計システムに仕訳登録を行います。
仕訳例:7万円の出張申請書に基づき、小口現金から7万円を仮払した。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
仮払金 | 70,000 | 現金 | 70,000 |
経理担当者は、経費精算申請書に基づき、従業員に仮払金額を支払います。
①〜③(立替社員側の処理)
④〜⑦(経理側の処理)
出張社員は、領収書を添付した出張旅費精算書を作成し、精算金額とともに所属長に提出し承認をもらいます。
所属長は出張旅費精算書と精算金額を確認の上承認を行い、申請した社員へ返却します。
申請した社員は、所属長承認後の出張旅費精算書と精算金額を経理担当者へ提出します。
【経理側の処理】
経理担当者は、提出された出張旅費精算書と領収書、精算金額の突合作業を行います。また、問題がありそうな支出内容はないかなども確認します。問題がなければ、承認後、最終承認者へ出張旅費精算書を提出します。
経理部の最終承認者は出張旅費精算書と精算金額を確認の上承認を行い、経理担当者へ返却します。
経理担当者は、出張旅費精算書に基づき、会計システムに仕訳登録を行います。
仕訳例:出張旅費精算書により、旅費金額が6万5千円、余剰金額が5千円と確定した。
借方 | 借方金額 | 貸方 | 貸方金額 |
旅費交通費 | 65,000 | 仮払金 | 70,000 |
現金 | 5,000 |
|
|
経理担当者は、余剰金額を小口現金または口座に返金します。
経費精算実務にあたり、実際に発生した不正事例から注意点を洗い出し、不正を回避する運用ルールを作成しましょう。
飲食にまつわる不正として、
・手書きで作成された領収書に一桁多く数字を書き込み、経費を水増しさせる
・個人経営の常連店から白紙の領収書をもらって適当な数字を記入する
・個人経営の常連店から水増しした領収書をもらう
などがあります。
個人経営のお店は税務調査が入りにくいことから、一旦「ずぶずぶの関係」になってしまえば、店側は常連客から頼まれれば安易に不正な依頼でも引き受けてしまい、社員は水増し請求を発行することに悪びれることなく、不正に手を出しやすい精神状態に陥ります。
対応策としては、
・役職ごとの経費利用上限額を設ける
・飲食を行うためには、事前申請承認が必要となるルールにする
・飲食の平均単価を会社が把握できるよう接待で利用できる店を複数店ピックアップしてリスト化し、原則そこから選んでもらう
などがあげられます。
suicaなどのICカードを使って電車やバスなど公共交通機関を利用する場合は領収書がありません。そのため、定期券区間との重複払いが発生する可能性があります。また、領収書がないため、ICカードを使って個人的に使った費用を経費として申請する可能性もありえます。領収書がない場合は、経費精算申請書には、日付、利用区間(移動方法や乗り換えの地)、金額、訪問先などを具体的かつ細かく書いてもらいましょう。
経費精算の基本的な運用ルールとして、
・経費精算の頻度
・経費精算申請書の提出期限
の2つがあげられます。
月初から月末までの一カ月分をまとめて申請する、というやり方は立替金額が多ければ多いほど、立替を行った社員の側に抜け漏れが発生したり、経理担当者のチェックにおいてもミスが発生しやすくなります。そのため、1週間に1度など経費精算の頻度を増やすことで、立て替えた社員にとっても漏れがなくなり、経理担当者にとってもチェックの効率が上がります。
経費精算申請書の提出期限についても、厳格に運用することが重要です。何カ月も前に使用した領収書の精算を許可するようでは月次決算の数字に影響します。提出期限を過ぎた領収書の精算を依頼する場合は、別途遅延理由書を提出するなど、遅延発生の抑止力をもたせる運用を行いましょう。
仕訳に関して特に注意する点は、以下の2点です。
・交際費
・仮払金
贈答品やゴルフなど色々な接待がありますが、飲食については、一人当たり5,000円以下であれば会議費として処理が認められます。
交際費とするか会議費とするかは法人税の計算に影響します。会議費等であれば法人税算定にあたり損金算入が認められています。交際費か会議費等かで法人税の金額に影響があるため仕訳を正確に行いましょう。
特に決算月近くに発生する出張申請において仮払金が発生しているときは注意が必要です。仮払金はあくまでも一時的に使用する勘定科目です。そして仮払金は資産勘定です。決算書に仮払金が未精算のまま残っていると、本来決算に反映すべき経費が反映されずにいるのではないか?という見方をされ、金融機関や税務署の心象に影響を与えます。年次決算においては、かならず仮払金未精算分が発生していないかチェックを行いましょう。
以上、経費精算の注意点をお伝えしました。全体を通して言える事ですが、不正やミスを起こりにくくするためには、社内ルールの設計が不可欠です。ルールの設計後に運用を回し改善を行うことも重要です。
経費精算をしっかりと行うためには、ルールの設計が不可欠であるとお伝えしました。しかし、ただ厳格にルールを作っただけでは、かえって作業に手間と時間がかかってしまい非効率になる可能性は否めません。そこでおすすめする効率化の手法として、システム導入とアウトソース化があげられます。
クラウドの経費精算システムを導入することで経費精算業務の効率化が図れます。
スマホ撮影による領収書が原本と同じように扱えるようになった(※)ことで、精算業務がオンラインで完結できるようになりました。
※ 撮影した領収書の電子データに、受領後3日以内にタイムスタンプが付保されている必要があります。タイムスタンプの付保されて始めて原本と同等と見なされます。
クラウド経費精算システムの申請の流れは、以下の①から⑤になります。
①領収書を受け取ったらすぐに自分の名前を書き込み、
↓
②スマホの専用アプリで撮影、画像がクラウドにアップ
↓
③「タイムスタンプ」が自動的に付与されたら
↓
④クラウド上で申請
↓
⑤承認者がクラウド上で承認
これにより、従来の「申請書を作成し、印刷、領収書を糊付けして添付する」という作業が不要になります。
承認フローもオンライン完結でスムーズです。紙の申請書を承認者へ回覧し、承認印を受領する必要がありましたが、クラウド経費精算システムであればオンライン上で申請承認ができるので、作業効率が飛躍的にあがります。
経理担当者にとっても大きなメリットがあります。クラウド経費精算システムと会計システムとの連携でデータの自動取り込みができ、仕訳時間の短縮効果も得られます。
経費精算システムには、交通費の自動計算機能があります。事前に定期区間の登録を行っておくことで、申請された経路に定期区間が含まれていた場合は自動で差引計算をしてくれます。また、交通系ICカードと連携することで、交通費の水増し申請を防ぐことができます。法人クレジットカードと経費精算システムを紐づけることもでき、事前申請のない日付の飲食代をピックアップしてくれるなど、不正防止効果にも優れています。
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IPaaSサービスの開発経験をもとに、複数のクラウドソフト連携にも対応。メーカーを問わず、労務、営業支援、人事、給与管理システム連携など、部署をまたぐデータの一元化が可能です。
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項目 | 内容 |
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サービス名 | Remoba経理 |
会社名 | (株)Enigol |
公式サイト | https://remoba.biz/accountant |
以上、経理における経費精算について
・経費精算の基本的な業務フロー
・経費精算の注意点
・経費精算を効率よく行うには
をお伝えしました。
経費精算業務は、ほとんど全社員が関わるため、ともすれば煩雑となってしまう業務です。
そのため、経費精算業務の効率化を図ることは、会社全体にとってよい影響をもたらします。2020年10月1日に改正された電子帳簿保存法によって、クラウド経費精算システムの需要は高まっています。