1. 経費とは?「経費で落とす」と何がいいの?経費勘定科目一覧
経費とは?「経費で落とす」と何がいいの?経費勘定科目一覧

経費とは?「経費で落とす」と何がいいの?経費勘定科目一覧

経理更新日:2024-09-22

「経費で落とす」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。しかし、「経費で落とすってどういうこと?」「経費で落とすと、どんないいことがあるの?」「経費で落とせる費用の種類は?」というように、経費について正しい知識がない人も多いはずです。そんな悩みを持つ人のために、経費について詳しく解説していきます。

経費とは

まず始めに、経費とは何かということについて話していきます。ざっくり言うと、経費とは「売り上げを得るために必要とした費用」のことです。

例えば、出張に行った時の交通費や宿泊費、取引先との打ち合わせに使ったカフェでの代金、事業所の家賃、電気代やインターネット代などの通信費、のような費用が経費として計上することができます。従業員が先に立て替えたお金を審査を通して、支払います。

経理で落とすといいことがあるとよく聞きます。のちに説明しますが、メリットとして経費が増えると支払わなければいけない税金が減ることが挙げられます。つまり、経費で落とすと節税につながるのです。

しかし、節税のためだと言って何でもかんでも経費としてしまうと、ペナルティを受けてしまうことがあるため注意が必要です。正しい知識を持った上で適切に経費計上することが大切です。

経費で落とせる費用

経費で落とすことができる費用には様々なものがあります。以下に主な経費をあげました。

人件費

人件費は人を雇う際に生じる費用のことです。人件費の代表格として、給与があります。給与には基本給に加え、通勤定期代や、残業をした際の残業手当家族手当なども含まれます。

人件費は給与だけでなく、年に何回か支払われる賞与(ボーナス)や取締役や監査役などの役員に対して支払われる役員報酬、従業員が退職する際に支払われる退職金という費用があります。

租税公課

租税公課とは、国税や地方税である租税国や地方公共団体から課せられる組合費や会費である公課を合わせたものです。

租税公課には経費として認められるものと認められないものがあります。認められる租税としては印紙税や固定資産税、事業税が、公課としては商工会議所や協同組合の会費、印鑑証明書や住民票を発行する際にかかる手数料が挙げられるでしょう。

減価償却費

減価償却とは高額な固定資産を買った時に、その代金を分割して費用として計上することです。

例えば、20万円のパソコンを10台購入したとします。この代金200万円を購入した年に全て計上するのではなく、1年で50万円ずつ4年をかけて経費に計上するのです。これが減価償却です。減価償却をせずに一度に計上してしまうと、商品を購入した年だけ赤字になってしまう可能性があります。そうなってしまうと、正確な経営状況がわからなくなってしまします。

外注工賃

外注工賃とは、外部の業者に仕事を発注した際にかかる費用のことです。

例えば、システムエンジニアにホームページの制作を依頼した時に支払う費用のようなものです。外部への仕事の依頼にかかる費用はほとんど経費で落とすことができます。

修繕費

仕事をしている上で、使っている道具が壊れてしまった際に修繕をする機会は多くあります。これらの修繕費は経費として計上することができます。

経費にできる修繕費は、”修繕”して現状が回復したものに限ります。修繕という名目で、新たな機能を追加するために取り付けた場合は修繕費として認められていません。

通信費

通信費は電話やインターネット、切手などの通信に要した費用のことを言います。

あくまで、会社の利益のために業務上で使った分だけが経費で落とすことができ、個人の携帯電話などの通信費は含みません。また、ファックス用紙やコピー用紙、ハガキや便箋は通信費ではなく、消耗品費に分類されるので注意が必要です。

消耗品費

金額が10万円未満、もしくは使用可能な年数が1年未満の備品や消耗品は消耗品費として経費に計上することができます。

文具やコピー用紙、クリアファイルなどの備品が消耗品費になります。また、パソコンやタブレット端末も10万円未満であるなら、消耗品に分類されます。

旅費交通費

従業員が営業や出張に行く際にかかる費用は旅費交通費として、経費で落とせます。

出張の交通費や宿泊費だけでなく、食事代や出張手当も旅費として計上できることがあります。出張手当は、いつもと違う環境で業務を行う従業に対する労いのための費用という意味です。

交際費

交際費とは取引先や得意先などの事業に関係する人を接待する時や贈り物をする時にかかる費用のことです。

しかし、どこまでが交際費に入るかは曖昧なため、税務局から厳しいチェックが入る可能性があります。仕分けの際には注意しましょう。

福利厚生費

福利厚生費とはすべての社員が使用可能で、常識の範囲内の金額である場合に、社宅の賃料や慰安旅行費、忘年会、新年会のようなことにかかる費用です。

また、会社側が支払うべき健康保険や厚生年金などの保険料も福利厚生費として計上することが可能です。

水道光熱費

水道代や電気代、ガス代といった費用は経費で落とすことができます。

新聞図書費

業務に関係があり、利益につながる本や雑誌は新聞図書費として経費に計上できます。

しかし、個人の資格取得のためだったり、業務に関係なかったりすると、経費に含めることができないので注意が必要です。

広告宣伝費

広告宣伝費は商品やサービスを宣伝する際にかかった費用です。

主に、新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、折込チラシなどで宣伝するために用いられます。交際費のように贈答品に使われたものは含まずに、不特定多数の人に対して広告・宣伝した時に、広告宣伝費として経費に計上します。

地代家賃

地代家賃は店舗や工場、駐車場などを借りているときにかかる地代や家賃の費用のことです。

注意点として、敷金・保証金のようにあとで返ってくるお金は、経費に計上できません。

繰越資産

開業費や創立費などの未償却分の繰越資産については経費として計上することができます。

しかし、消化薬してしまった分については、計上できないので注意が必要です。

荷造運賃

荷造運賃とは、販売する商品を梱包するための段ボールやガムテープ、また荷造運送費や荷造発送費にかかる費用のことです。

主に運送会社に支払う送料であることが多いです。

 

損害保険料

損害保険は、生命保険のように人に対してかける保険ではなく、物にかける保険です。

万が一の火災や地震による損害から守るためにかけるこの保険は、経費で落とすことができます。主に、火災保険や地震保険、自動車保険などがあります。注意点に生命保険や国民健康保険などの個人にかける保険は経費に計上できません。

雑費

他の経費に分類されない費用のことを言います。

一時的・臨時的な費用のことが多いです。雑費は、支出の傾向が曖昧になってしまうため、多すぎないようにすることが大切です。

経費で落とせない費用

経費で落とせない費用についても確認しておく必要があります。

法人税・法人住民税

法人税や法人住民税は経費として落とすことができません

これらは、支出ではなく、納税という義務でことから経費ではないという判断になります。

また、個人事業主の場合、所得税や住民税を納税しなければいけませんが、これらも経費で落とすことはできません。

事業とは関係のない費用

私生活で使う日用品や、遊びに使った費用などの事業とは関係のない費用は費用として落とすことができません。

経費は「売り上げを得るために必要とした費用」であることからこれらは当てはまりません。

売れていない在庫品・使われていない消耗品

商品を仕入れる際にかかった費用は、経費として落とすことができるとされていますが、まだ売れていない分の商品については経費として落とすことができません

また、まだ使われていない分の消耗品についても経費として落とすことができません

これらは、まだ売り上げに関わっていないことからそのように判断されます。

経費で落とすメリット

ここまで経費で落とせる費用と落とせない費用を確認してきました。さて、ここで経費で落とすとどんないいことがあるのかを確認していきましょう。

節税になる

経費で落とすと、節税をすることができるのです。どんな事業も利益があれば、納税をしなければいけません。この納税する額は利益によって変わってきます。基本的に利益が上がれば、納める税金の額は増えていきます。簡単にいうと、利益は事業で得た売り上げから経費を引くことで求められます。例を挙げてみていきましょう。

利益が100万円で、法人税が20%の会社があったとします。この会社が何も経費として計上しなかった場合は、利益100万円に対して税金がかかります。

利益100万円✖️税率20%=法人税20万円

以上の計算式から、納める税金は20万円になります。

一方、10万円のパソコン代を経費として落とした場合は、利益90万円に対して税金がかかります。

利益90万円✖️税率20%=法人税18万円

以上の計算式から、納める税金は18万円になります。

このように、費用を経費で落とすと、節税になるのです。

経費で落とす時の注意点

経費で落とすと節税になるからと言って、何でもかんでも経費計上してしまうと、ペナルティを受けてしまうことがあります。

事業とは関係のない私的な趣味や遊びで使った費用を経費として申告すると、税務調査の対象となる可能性があります。この調査により、不正が発覚すると、脱税と判断され、余分に税を納めなければいけなくなってしまいます。

いくつかのペナルティを紹介します。

過少申告加算税

本来、納税しなければいけない税額より、少ない額で申告した場合に課せられるペナルティです。

過少申告加算税は新たに納める税金の10%〜15%になります。

しかし、税務署の調査の前に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。

無申告可算税

本来、納税しなければいけない税を期限までに申告しなかった場合に課せられるペナルティです。

無申告加算税は新たに納める税金の15%〜20%になります。

しかし、災害や通信の途絶などの正当な理由が認められる場合もあります。

不納付加算税

従業員に支払う給料について、会社が代わりに納税する源泉徴収等が期限までに完納されなかった場合に課せられるペナルティです。

不納加算税は正しい税額のうち未納分の10%になります。

重加算税

領収書の偽装や帳簿の改ざんなど、偽装や隠蔽などの不正が行われた場合に課せられるペナルティです。

重加算税は35%〜40%が加算されます。

まとめ

よく聞く、「経費で落とす」ということについて確認してきました。

経費で落とせる費用と落とせない費用について、理解できたでしょうか。経費で落とすと節税対策になるため、なんでも経費計上してしまいがちですが、不正行為としてペナルティを課せられてしまう場合もありますので、注意していきましょう。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士

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