経理業務を効率化する最新クラウド活用法とアウトソーシング戦略

経理業務を効率化する最新クラウド活用法とアウトソーシング戦略

経理更新日:2025-10-08

「月末になると経理業務に追われて本来の仕事が進まない」「経理担当者が急に退職して困っている」──こうした悩みを抱えている中小企業の経営者やバックオフィス担当者は少なくありません。 経理業務は企業の財務状況を正確に把握し、経営判断の基盤となる重要な仕事です。しかし、人手不足や属人化、非効率なプロセスによって、多くの企業が課題を抱えています。特にスタートアップや成長企業では、経理に十分なリソースを割けないまま事業拡大が進み、気づけば業務が逼迫しているケースも珍しくありません。 この記事では、経理業務を見直すべきサインを明確にし、クラウド会計ソフトの活用方法、アウトソーシングの選び方まで、実践的な効率化戦略を解説します。最後までお読みいただければ、自社に最適な経理体制の構築方法がわかるはずです。

経理業務を見直すべき3つのサインとは?

経理業務が非効率になっているかどうか、どのように判断すればよいのでしょうか。以下の3つのサインが当てはまる場合、業務プロセスの見直しを検討すべきタイミングです。

サイン1:月次決算に1週間以上かかっている

月次決算は、経営状況を迅速に把握するための重要な業務です。しかし、処理に1週間以上かかっている場合、手作業での仕訳入力や確認作業に時間を取られている可能性があります。
理想的には、月次決算は月末から3〜5営業日以内に完了すべきです。遅延が常態化すると、経営判断のスピードが落ち、競合との差が開いてしまいます。

サイン2:経理担当者が1人しかいない「属人化リスク」

経理業務を1人の担当者に依存している状態は、大きなリスクを抱えています。担当者の休暇や退職時に業務が止まるだけでなく、不正のチェック機能も働きません。
実際、中小企業の約60%が経理業務の属人化に課題を感じているというデータもあります。複数人でのチェック体制や、外部リソースの活用が必要な段階かもしれません。

サイン3:領収書や請求書の処理が月末に集中する

請求処理や経費精算が月末に集中し、担当者が残業せざるを得ない状況は、業務フローの改善余地があるサインです。
クラウド会計ソフトやデータ連携ツールを活用すれば、日次でリアルタイムに処理できる体制を構築できます。月末の業務集中を解消することで、担当者の負担軽減とミス防止につながります。

クラウド会計ソフトで削減できる作業と時間

クラウド会計ソフトの導入は、経理業務の効率化における第一歩です。具体的にどのような作業時間を削減できるのか、主要な機能とともに見ていきましょう。

銀行口座・クレジットカードとの自動連携

freeeやマネーフォワードクラウド会計などのクラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携し、取引データを自動で取り込みます。
従来、通帳記帳やカード明細を手入力していた作業が不要になり、月間で10〜15時間程度の削減が期待できます。入力ミスも大幅に減少するため、確認作業の時間も短縮されます。

請求書作成・送付の自動化

クラウド会計ソフトには請求書作成機能も搭載されています。テンプレートを使った作成、メール送付、入金確認までを一元管理できるため、請求処理にかかる時間を月間5〜8時間削減できます。
また、定期的な請求書は自動発行設定も可能なため、サブスクリプション型のビジネスモデルを採用している企業には特に有効です。

経費精算のペーパーレス化

スマートフォンで領収書を撮影するだけでデータ化できる機能により、紙ベースの経費精算業務が劇的に効率化します。
従業員が各自でアプリから申請でき、承認者もオンラインで確認できるため、月間で8〜12時間の削減が見込めます。リモートワークにも対応しやすくなり、働き方改革にも貢献します。

自動仕訳・データ連携でミスをゼロにする方法

経理業務において、ミスは重大な問題につながります。クラウド会計ソフトの自動仕訳機能やデータ連携を活用することで、ヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。

AI学習による自動仕訳の精度向上

最新のクラウド会計ソフトは、AI(人工知能)が過去の仕訳パターンを学習し、自動で勘定科目を提案します。使い込むほど精度が向上し、最終的には90%以上の仕訳を自動化できるケースもあります。
手入力による勘定科目の選択ミスや、金額の打ち間違いといったヒューマンエラーを防止し、経理担当者はチェック作業に集中できます。

API連携による外部システムとの統合

販売管理システムや勤怠管理システムとAPI連携することで、データの二重入力を完全に排除できます。
例えば、ECサイトの売上データを自動で会計ソフトに取り込み、売上計上から消費税処理まで自動化することが可能です。これにより、データ整合性が保たれ、決算作業も大幅にスムーズになります。

ダブルチェック体制の構築

自動化によって削減された時間を、チェック体制の強化に充てることが重要です。クラウド会計ソフトでは複数人での同時アクセスが可能なため、担当者が入力したデータを上長がリアルタイムで確認できます。
月次での定期的な照合作業を習慣化することで、ミスの早期発見と不正防止につながります。

経理業務アウトソーシングの選び方と注意点

クラウド会計の導入だけでは解決できない課題もあります。そこで検討したいのが、経理業務のアウトソーシングです。適切な外注先を選ぶポイントを解説します。

選定基準1:業務範囲の柔軟性

アウトソーシングサービスによって対応できる業務範囲は異なります。以下のような業務をどこまで依頼できるか確認しましょう。

業務カテゴリ

具体的な業務内容

日常経理

仕訳入力、請求書発行、経費精算、入出金管理

月次業務

月次決算、試算表作成、資金繰り表作成

年次業務

決算書作成、税務申告サポート

自社のニーズに合わせて、必要な業務だけを選べる柔軟なサービスが理想的です。

選定基準2:担当者の経験とスキル

経理代行サービスの品質は、担当者のスキルに大きく左右されます。以下の点を確認しましょう。

  • 実務経験年数:最低でも3年以上の経理実務経験があるか
  • 業界知識:自社の業界に精通しているか
  • 資格保有:日商簿記2級以上、税理士資格などを持っているか
  • 教育体制:継続的な研修やスキルアップの機会があるか

採用済みで教育不要な経験者が担当してくれるサービスを選べば、スムーズに業務を依頼できます。

選定基準3:コミュニケーション手段

オンライン完結型のアウトソーシングでは、コミュニケーションツールの使いやすさが重要です。

  • SlackやChatworkなどのビジネスチャットツール対応
  • Zoomなどでの定期ミーティング
  • クラウドストレージでの資料共有

リアルタイムで質問や相談ができる体制があれば、遠隔でも安心して業務を任せられます。

選定基準4:契約の柔軟性

事業の成長に合わせて、必要な業務量は変動します。以下のような柔軟な契約ができるかチェックしましょう。

  • 月間稼働時間:30時間〜など、小規模から依頼できるか
  • 契約期間:6ヶ月、12ヶ月など選択できるか
  • 工数調整:60h、65h、70hなど状況に応じて変更できるか

繁忙期だけスポット的に依頼したい場合もあるため、柔軟に対応してくれるサービスが望ましいです。

注意点:顧問税理士との連携

経理代行サービスを利用する際は、既存の顧問税理士との連携も重要です。税務申告は税理士の専門領域なので、経理代行会社と税理士がスムーズに情報共有できる体制を構築しましょう。
多くの経理代行サービスは税理士との連携に慣れており、必要なデータを適切な形式で提供してくれます。

Remoba経理を活用した中小企業の効率化事例

ここでは、株式会社Remobaが提供する「Remoba経理」を活用した企業の事例をご紹介します。

事例1:IT系スタートアップ企業(従業員数20名)

課題
創業3年目で急成長中だったが、経理担当者を採用できず、代表自らが経理業務を兼務していた。月末は深夜まで請求書発行や仕訳入力に追われ、本業に支障が出ていた。
導入内容
Remoba経理を月60時間の契約で導入。日常的な仕訳入力、請求書発行、経費精算、月次決算までを依頼。
効果

  • 代表の経理業務時間が月40時間削減され、営業活動に集中できるように
  • 月次決算が月末から3営業日以内に完了し、経営判断が迅速化
  • 経理経験者が担当するため、正確性が向上し税理士とのやり取りもスムーズに

事例2:製造業(従業員数50名)

課題
経理担当者が1名のみで、急な休暇や退職リスクに不安を感じていた。また、業務が属人化しており、他のメンバーが引き継げない状態だった。
導入内容
Remoba経理を月30時間の契約で、既存の経理担当者のサポート要員として導入。Slackを使ったコミュニケーションで、業務の標準化とマニュアル作成も並行して実施。
効果

  • 2人体制になり、相互チェック機能が働きミスが減少
  • 担当者の休暇取得が容易になり、ワークライフバランスが改善
  • 業務が可視化され、引き継ぎやすい体制が構築された

事例3:小売業(従業員数30名)

課題
複数店舗を展開しており、各店舗からの売上データや経費精算の処理に時間がかかっていた。freeeを導入していたが、使いこなせず手入力が多く残っていた。
導入内容
Remoba経理を月65時間の契約で導入。freeeの設定最適化から始め、POSシステムとの連携、自動仕訳のルール設定までサポート。
効果

  • データ入力作業が80%削減され、月次決算が5日早く完了
  • クラウド会計の機能を最大限活用でき、リアルタイムで各店舗の収支を把握
  • 担当者がデータ分析や改善提案など、より付加価値の高い業務にシフト


Remoba経理

Remoba経理

会計ソフト導入から経理業務まで一任できる、オンライン型の経理アウトソーシングサービス。実務経験豊富なプロフェッショナルな経理チームがサポートし、業務効率化と経理体制の最適化を実現します。

サービス概要

Remoba経理は、クラウド会計ソフトを使ってプロワーカーに経理をアウトソーシングできるサービスです

売上・支払・経費管理、月次決算、確定申告補助まで、ルーティン業務をまるごと外注でき、クラウドソフト未導入のお客様には選定支援なども行います。

クラウド会計運用経験者など、実務経験豊富なアシスタントがチームとなり、日々オンラインで業務を進行。会計士や税理士が監督するため、導入済みのソフトはもちろん、部署をまたぐクラウドソフトとのSaaS連携も提案可能。運営会社は、IPaaSツール開発もしており、システム連携のノウハウが豊富です。経理を含むバックオフィスのデータを一元化し、業務効率化や経理体制の最適化を実現します。

主なポイント

  • コンサルタント主導で、最適なクラウド会計ソフトの導入・運用をサポート経理業務の外注に精通したコンサルタントが現状をヒアリングし、クラウド会計システムの選定・導入・運用までトータルでサポート。現行のクラウド会計システムを使う方法はもちろん、業務圧迫が課題なら「システム連携で効率化」を、帳簿管理の精度向上には「最適な会計ソフトを選び」など、業務内容や課題に合わせて解決策を提案します。システム設計に必要な要件定義策定や、導入までのWBS作成準備も不要なため、クラウド会計ソフトに不慣れでも安心です。運用を見据えて、業務フローやルールのマニュアル化、従業員説明会で社員教育を実施して、顧客側の社内体制づくりも支援します。
  • 専門家が監督のもと、一任した経理業務をチームで正確に遂行様々な経理プロとアシスタント達が専門チームを構築。実際の作業は、経理部門立ち上げや会計ソフト導入などの実務経験を持つ、優秀なリモートアシスタントが担当。売上やキャッシュフローなどの財務状況は、クラウド会計ソフトからいつでもチェック可能です。安心して月末・年度末の帳簿管理や確定申告の補助を任せられるため、コア業務に注力できます。実務の実行を行う上、経費申請後、内容のチェックから振込データ作成や、売上確認の消込みまで管理体制としてもご依頼いただけます。退職による業務停滞や横領などの不正会計といった、属人化に伴うリスクを防止できます。
  • 部署をまたぐクラウドソフト連携も支援し、経理を含めバックオフィス業務を効率化IPaaSサービスの開発経験をもとに、複数のクラウドソフト連携にも対応。メーカーを問わず、労務、営業支援、人事、給与管理システム連携など、部署をまたぐデータの一元化が可能です。経理を含むバックオフィス業務全体を可視化することで、業務効率化やビジネスにおける迅速な意思決定を支援します。
項目内容

サービス名

Remoba経理

会社名

(株)Enigol

公式サイト

https://remoba.biz/accountant

経理担当者が知っておくべき税務・法務の落とし穴

経理業務を効率化する際、税務や法務の観点で注意すべきポイントがあります。知らないと後で大きな問題になる可能性があるため、押さえておきましょう。

電子帳簿保存法への対応

2022年の法改正により、電子取引データは電子保存が義務化されました。メールで受け取った請求書や領収書をプリントアウトして保管するだけでは、法律要件を満たさなくなっています。
クラウド会計ソフトの多くは電子帳簿保存法に対応していますが、保存要件(検索機能、タイムスタンプなど)を満たしているか確認が必要です。

インボイス制度における適格請求書の管理

2023年10月から開始したインボイス制度では、適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除の要件となっています。
取引先が適格請求書発行事業者かどうかの確認、登録番号の記載チェックなど、新たな業務が発生しています。これらをクラウド会計ソフトで自動チェックできる設定にしておくと安心です。

勘定科目の変更による比較可能性の低下

業務効率化のために勘定科目を変更する際は、過去のデータとの比較可能性に配慮しましょう。
特に金融機関からの融資を受けている場合、勘定科目が大きく変わると財務分析がしづらくなり、追加の説明を求められることがあります。変更する場合は、顧問税理士と相談の上、適切な対応を取りましょう。

内部統制の維持

業務を外部に委託する場合でも、内部統制の責任は自社にあります。以下のような統制活動を継続しましょう。

  • 定期的な残高照合(銀行口座、売掛金、買掛金など)
  • 月次でのレビューと承認プロセス
  • アクセス権限の適切な管理
  • 外部委託先との定期的なミーティング

アウトソーシング先がどのような業務を行っているか、定期的に確認する体制を構築することが重要です。

DX化による経理キャリア向上のメリット

経理業務のDX化は、単なる効率化だけでなく、経理担当者のキャリア向上にもつながります。

ルーティン業務から戦略業務へのシフト

自動化によって削減された時間を、以下のような付加価値の高い業務に充てられます。

  • 予算管理と分析:売上予測、コスト分析、投資判断のサポート
  • 経営レポート作成:経営者が求める KPI のダッシュボード化
  • 業務改善提案:全社的なコスト削減や業務効率化の企画立案
  • 資金調達サポート:融資資料の作成、投資家向け資料の準備

こうした業務は経営に直結するため、社内での評価も高まりやすくなります。

データ分析スキルの習得

クラウド会計ソフトで蓄積されたデータを活用し、BIツールやExcelを使った分析スキルを磨けます。
財務データから経営課題を発見し、改善策を提案できる人材は、どの企業でも求められています。経理担当者から、財務企画や経営企画へのキャリアパスも開けるでしょう。

リモートワーク対応のスキル

クラウドツールやビジネスチャットを使いこなせるようになると、場所にとらわれない働き方が可能になります。
特に育児や介護と両立したい方、地方在住でも都市部の企業で働きたい方にとって、オンライン完結型の経理スキルは大きな武器になります。

市場価値の向上

経理のDX化を推進した経験は、転職市場でも高く評価されます。「クラウド会計の導入・運用経験」「業務フロー改善の実績」「アウトソーシングのマネジメント経験」などは、履歴書や職務経歴書でアピールできる強みです。
今後、多くの企業が経理のDX化を進める中で、その知見を持つ人材のニーズは高まり続けるでしょう。

まとめ:効率化とアウトソーシングで経理業務を最適化しよう

経理業務の効率化は、クラウド会計ソフトの活用とアウトソーシングの組み合わせが最も効果的です。
この記事のポイントを振り返ります。

  1. 業務見直しのサイン:月次決算の遅延、属人化リスク、月末の業務集中があれば改善のタイミング
  2. クラウド会計の活用:自動連携、請求書作成、経費精算のデジタル化で月間20〜35時間の削減が可能
  3. 自動仕訳の精度向上:AIとAPI連携でヒューマンエラーを最小化
  4. アウトソーシングの選び方:業務範囲の柔軟性、担当者のスキル、コミュニケーション手段、契約の柔軟性をチェック
  5. 税務・法務の注意点:電子帳簿保存法、インボイス制度、内部統制の維持が重要
  6. キャリア向上:ルーティン業務の削減により、戦略的な業務やデータ分析にシフトできる

特に、Remoba経理のようなサービスは、月30時間から依頼でき、経理経験者のみが担当するため、採用や教育の手間が不要です。SlackやChatworkでのオンライン完結型なので、リモートワークにも対応しています。契約期間や工数も柔軟に選べるため、事業の成長フェーズに合わせて調整できます。
経理業務の課題を放置すると、経営判断の遅れや法令違反のリスクにつながります。今すぐできることから始めて、自社に最適な経理体制を構築していきましょう。
まずはクラウド会計ソフトの無料トライアルや、アウトソーシングサービスの相談窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士

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