営業利益・経常利益・純利益の違いとは?計算式と具体例でわかりやすく解説【比較表つき】

営業利益・経常利益・純利益の違いとは?計算式と具体例でわかりやすく解説【比較表つき】

経理更新日:2026-07-13

営業利益・経常利益・純利益の違いを比較表と計算式で解説。損益計算書の5つの利益の関係、数値を使った計算例、利益同士の比較からわかる経営状態の読み解き方まで、経理初心者にもわかりやすく紹介します。

カテゴリバナー

決算書や業績ニュースに登場する「営業利益」「経常利益」「純利益」。いずれも会社の儲けを表す言葉ですが、意味する範囲はまったく異なります。

ひとことで言えば、営業利益は「本業の儲け」、経常利益は「本業+財務活動を含めた通常の儲け」、純利益は「税金まで払って最終的に残った儲け」です。

本記事では、損益計算書に並ぶ5つの利益の違いと計算式を、比較表と具体的な数値例でわかりやすく解説します。利益同士を比較して経営状態を読み解く方法も紹介するので、決算書を読む力を身につけたい方はぜひ参考にしてください。

営業利益と経常利益と純利益の違い

3つの利益の違いを一覧で整理すると、次のようになります。

利益

計算式

わかること

主に誰が見るか

営業利益

売上総利益 − 販管費

本業でどれだけ稼げているか

経営者・金融機関

経常利益

営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用

財務活動も含めた普段の収益力

金融機関・取引先

純利益(当期純利益)

税引前当期純利益 − 法人税等

最終的に会社に残る利益

株主・投資家

3つの利益はすべて損益計算書(PL)に記載され、上から下に向かって「含める収益・費用の範囲」が広がっていきます。営業利益は本業の損益だけを対象とし、経常利益はそこに利息など財務面の損益を加え、純利益はさらに臨時の損益と税金まで含めた最終結果です。

つまり、同じ「儲け」でも切り取っている範囲が違うだけで、3つはバラバラの数字ではなく一本の計算の流れの中にあります。この流れを押さえれば、決算書は一気に読みやすくなります。次章から、損益計算書の並び順に沿って詳しく見ていきましょう。

損益計算書の5つの利益と計算式

損益計算書(PL:Profit and Loss Statement)とは、一会計期間の収益と費用をまとめ、会社がいくら儲けたかを表す財務諸表です。上から順に売上総利益 → 営業利益 → 経常利益 → 税引前当期純利益 → 当期純利益の5つの利益が段階的に計算され、下へ行くほど「最終的に会社に残る利益」に近づいていきます。

関連記事:損益計算書(PL)とは?見方や書き方、役割をていねいに解説

それぞれの利益の意味と計算式を順番に確認しましょう。

売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・純利益の関係図

売上総利益とは

売上総利益 = 売上高 − 売上原価

売上総利益とは、売上高から売上原価を差し引いた利益で、「粗利(あらり)」とも呼ばれます。販売活動によって生じた売上成績を反映することができます。

売上原価とは、売上をあげることにかかった費用のことです。例えば、小売業の場合は仕入にかかった費用が売上原価、製造業の場合は製品を作るのにかかった材料費や加工費などの費用を売上原価と扱います。

売上総利益では、1つのビジネスとして見たときに事業の収益性を測ることができます。

関連記事:原価計算とは?原価計算の5つの目的と種類について理解しよう

営業利益とは

営業利益 = 売上総利益 − 販売費及び一般管理費(販管費)

営業利益とは、売上総利益から販管費を差し引いた利益で、本業でどれだけ稼げているかを示します。営業利益の数値は営業成績を反映しています。

販管費(販売管理費)および一般管理費は、人件費、広告宣伝費、オフィスの家賃など、営業活動を続けるために必要な費用の総称です。商品力(売上総利益)が高くても、販管費がかかりすぎていれば営業利益は残りません。本業の実力を測るなら、原価だけでなく販管費まで含めた営業利益を見る必要があります。

経常利益とは

経常利益とは、営業利益に本業以外で経常的に発生する損益(営業外損益)を加減した利益です。実務では「ケイツネ」と略して呼ばれることもあります。

区分

内容

具体例

営業外収益

本業以外で経常的に得る収益

受取利息、受取配当金、為替差益など

営業外費用

本業以外で経常的に発生する費用

支払利息、為替差損、手形売却損など

借入金の利息のように、本業ではないものの毎期発生する損益まで含めるため、経常利益は「会社が普段の活動全体でどれだけ稼げているか」を表します。突発的な損益は含まれないので、会社の平常時の収益力を測る指標として金融機関などが重視します。

税引前当期純利益とは

税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 − 特別損失

税引前当期純利益とは、経常利益に、その期だけ臨時的に発生した損益(特別損益)を加減した、税金を差し引く前の利益です。

特別利益には固定資産や有価証券の売却益など、特別損失には災害による損失、固定資産の評価損・売却損などが該当します。たとえば保有する土地を売却して大きな利益が出ても、それは毎期続く儲けではありません。こうした一時的な損益を経常利益と区別して表示することで、「平常時の実力」と「今期だけの特殊事情」を切り分けられるようになっています。

当期純利益

当期純利益 = 税引前当期純利益 − 法人税等

当期純利益(純利益)とは、税引前当期純利益から法人税・住民税・事業税などの税金を差し引いた、最終的に会社に残る利益です。損益計算書の一番下に記載されることから「ボトムライン」とも呼ばれます。

株主への配当の原資となり、残りは利益剰余金として貸借対照表の純資産に積み上がっていきます。そのため、株主や投資家が会社の成績を判断する際にもっとも注目する数字となっています。

関連記事:貸借対照表の書き方・見方を初心者向けにわかりやすく解説|損益計算書との違いも

損益計算書具体例:数字で5つの利益を計算

架空の会社を例に、売上高1億円から当期純利益までの流れを計算してみましょう。

損益計算書の項目

金額

計算

 売上高

10,000万円

 売上原価

△6,000万円

売上総利益

4,000万円

10,000 − 6,000

 販売費及び一般管理費

△2,500万円

営業利益

1,500万円

4,000 − 2,500

 営業外収益(受取利息など)

100万円

 営業外費用(支払利息など)

△300万円

経常利益

1,300万円

1,500 + 100 − 300

 特別利益(固定資産売却益)

200万円

 特別損失

△0万円

税引前当期純利益

1,500万円

1,300 + 200

 法人税等

△450万円

当期純利益

1,050万円

1,500 − 450

この会社の場合、商品を売って得た粗利4,000万円のうち、販管費で2,500万円、借入利息などの営業外費用で差し引き200万円が消え、平常時の儲けである経常利益は1,300万円でした。今期は固定資産の売却益200万円が臨時で加わり、税金を払って最終的に残ったのは1,050万円です。

このように段階を追って見ると、どの段階で利益が大きく減っているかがわかります。「原価が重いのか」「販管費が重いのか」「借入の利息負担が重いのか」を特定できることが、利益を5段階に分けて表示する損益計算書の最大のメリットです。

利益同士の比較でわかる経営状態

利益はそれぞれ単体で見るだけでなく、比較することで会社の状態がより立体的に見えてきます。代表的な3つの視点を紹介します。

営業利益と経常利益の差 → 財務体質がわかる

経常利益が営業利益より大幅に小さい場合、支払利息などの営業外費用が利益を圧迫している状態です。借入への依存度が高い可能性があるため、借換えや返済計画の見直しなど、財務戦略を再点検するサインといえます。

逆に経常利益のほうが大きい場合は、受取利息や配当金など本業以外の収益に支えられていることを意味します。それ自体は悪いことではありませんが、本業の稼ぐ力が十分かどうかは営業利益で確認しておく必要があります。

経常利益と純利益の差 → 利益の「一時要因」がわかる

経常利益が赤字なのに純利益が黒字の場合は要注意です。固定資産の売却益など、一時的な特別利益で最終黒字を確保している可能性があり、翌期以降も続く儲けではありません。

反対に、経常利益は黒字なのに純利益だけが赤字なら、災害損失などの一時的な要因によるものと読めます。この場合、平常時の収益力自体は保たれているため、過度に悲観する必要はないと判断できます。最終の純利益だけを見て一喜一憂せず、その手前の利益とセットで確認することが大切です。

最終的には純利益の黒字を目指す

そのうえで、企業経営のゴールはすべての費用と税金を負担しても純利益が黒字になることです。売上や粗利がどれだけ大きくても、固定費や利息負担がかさんで純利益が赤字になっていれば、経営がうまくいっているとはいえません。段階ごとの利益を定期的に確認し、費用構造を適切に見直していきましょう。

なお、純利益が黒字でも資金繰りが行き詰まる「黒字倒産」というケースもあります。利益とあわせてキャッシュフローの管理も欠かせません。

関連記事:黒字倒産とは?なぜ起こるのか、実例をもとに解説 キャッシュフローを理解しよう

売上高利益率で収益性を分析する

利益の金額だけでは、規模の違う会社同士を比べることはできません。そこで役立つのが、各利益を売上高で割った「売上高利益率」です。売上のうち何%が利益として残っているかを見ることで、自社の過去との比較や、同業他社との比較ができるようになります。

指標

計算式

低い場合に疑うこと

売上総利益率

売上総利益 ÷ 売上高 × 100

商品・サービス自体の収益力不足、原価高

売上高営業利益率

営業利益 ÷ 売上高 × 100

販管費のかかりすぎ

売上高経常利益率

経常利益 ÷ 売上高 × 100

支払利息など財務負担の重さ

売上高純利益率

当期純利益 ÷ 売上高 × 100

特別損失や税負担を含めた最終的な効率

使い方のポイントは、単体ではなく段階ごとに比べることです。たとえば売上総利益率は高いのに売上高営業利益率が低い会社は、販管費がかかりすぎている可能性があります。売上高営業利益率と売上高経常利益率が大きく乖離しているなら、借入金の利息負担が重いのかもしれません。

このように利益率の「落差」を見ることで、どのコストから改善に着手すべきかという経営判断の材料が得られます。

また、純利益を貸借対照表の数値と組み合わせた指標として、自己資本利益率(ROE)や総資産利益率(ROA)もあります。株主から預かった資本や会社の総資産を、どれだけ効率的に利益へつなげられたかを測る指標で、投資家や金融機関が重視します。

関連記事:財務諸表とは?財務三表(BS・PL・CF)の見方と読み方をわかりやすく解説

よくある質問

Q1. 営業利益と経常利益はどちらが大事ですか?

A. 目的によって使い分けます。本業の競争力を見るなら営業利益、借入の利息負担まで含めた平常時の収益力を見るなら経常利益が適しています。

Q2. 経常利益と純利益はどちらが大きいのが普通ですか?

A. 通常は税金が差し引かれる分、純利益のほうが小さくなります。純利益のほうが大きい場合は、固定資産売却益などの特別利益が計上されている可能性が高いため、一時的な要因かどうかを確認しましょう。

Q3. 営業利益が赤字でも純利益が黒字になることはありますか?

A. あります。本業が赤字でも、受取利息・配当金などの営業外収益や、資産売却による特別利益が大きければ、最終的な純利益は黒字になります。ただし本業の不振自体は解消されていないため、黒字の中身を見極めることが重要です。

Q4. 利益が出ていれば、資金繰りも安心ですか?

A. 必ずしも安心とはいえません。利益は会計上の計算値であり、実際の現金の動きとは一致しないためです。売掛金の回収が遅れれば、純利益が黒字でも手元資金が不足する「黒字倒産」が起こり得ます。損益計算書とあわせて、キャッシュフロー計算書や資金繰り表も確認しましょう。

最後に

営業利益・経常利益・純利益の違いを整理すると、次のとおりです。

営業利益:売上総利益から販管費を引いた「本業の儲け」

経常利益:営業利益に財務面の損益を加減した「普段の活動全体の儲け」

純利益:臨時の損益と税金まで反映した「最終的に残る儲け」

損益計算書ではこれらが上から順に段階的に計算されるため、利益同士を比べることで、費用のかかりすぎている部分や利益の一時要因を読み取ることができます。利益の数値を正しく理解して、日々の経営判断に役立ててください。

とはいえ、こうした利益分析が成り立つのは、日々の記帳や月次決算が正確に行われていてこそです。「決算書を経営に活かしたいが、経理業務まで手が回らない」という場合は、経理のプロに業務を任せられるアウトソーシングの活用もご検討ください。

Remoba経理

Remoba経理

会計ソフト導入から経理業務まで一任できる、オンライン型の経理アウトソーシングサービス。実務経験豊富なプロフェッショナルな経理チームがサポートし、業務効率化と経理体制の最適化を実現します。

サービス概要

Remoba経理は、クラウド会計ソフトを使ってプロワーカーに経理をアウトソーシングできるサービスです

売上・支払・経費管理、月次決算、確定申告補助まで、ルーティン業務をまるごと外注でき、クラウドソフト未導入のお客様には選定支援なども行います。

クラウド会計運用経験者など、実務経験豊富なアシスタントがチームとなり、日々オンラインで業務を進行。会計士や税理士が監督するため、導入済みのソフトはもちろん、部署をまたぐクラウドソフトとのSaaS連携も提案可能。運営会社は、IPaaSツール開発もしており、システム連携のノウハウが豊富です。経理を含むバックオフィスのデータを一元化し、業務効率化や経理体制の最適化を実現します。

主なポイント

  • コンサルタント主導で、最適なクラウド会計ソフトの導入・運用をサポート経理業務の外注に精通したコンサルタントが現状をヒアリングし、クラウド会計システムの選定・導入・運用までトータルでサポート。現行のクラウド会計システムを使う方法はもちろん、業務圧迫が課題なら「システム連携で効率化」を、帳簿管理の精度向上には「最適な会計ソフトを選び」など、業務内容や課題に合わせて解決策を提案します。システム設計に必要な要件定義策定や、導入までのWBS作成準備も不要なため、クラウド会計ソフトに不慣れでも安心です。運用を見据えて、業務フローやルールのマニュアル化、従業員説明会で社員教育を実施して、顧客側の社内体制づくりも支援します。
  • 専門家が監督のもと、一任した経理業務をチームで正確に遂行様々な経理プロとアシスタント達が専門チームを構築。実際の作業は、経理部門立ち上げや会計ソフト導入などの実務経験を持つ、優秀なリモートアシスタントが担当。売上やキャッシュフローなどの財務状況は、クラウド会計ソフトからいつでもチェック可能です。安心して月末・年度末の帳簿管理や確定申告の補助を任せられるため、コア業務に注力できます。実務の実行を行う上、経費申請後、内容のチェックから振込データ作成や、売上確認の消込みまで管理体制としてもご依頼いただけます。退職による業務停滞や横領などの不正会計といった、属人化に伴うリスクを防止できます。
  • 部署をまたぐクラウドソフト連携も支援し、経理を含めバックオフィス業務を効率化IPaaSサービスの開発経験をもとに、複数のクラウドソフト連携にも対応。メーカーを問わず、労務、営業支援、人事、給与管理システム連携など、部署をまたぐデータの一元化が可能です。経理を含むバックオフィス業務全体を可視化することで、業務効率化やビジネスにおける迅速な意思決定を支援します。
項目内容

サービス名

Remoba経理

会社名

(株)Enigol

公式サイト

https://remoba.biz/accountant

SaaS×BPOで経理業務を効率化

経理クラウドサービスの導入や運用を任せるならSaaS運用のプロ "Remoba"

資料バナー

この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

資格
公認会計士
税理士

\ Remobaなら経理をまるっと請け負います/

サービス一覧

Remoba経理
Remoba労務
Remoba採用
Remobaアシスタント
Remobaチャット
Remoba営業事務
Remoba医療事務
バナーを閉じるボタン