固定資産とは?いくらから計上する?減価償却・仕訳・固定資産税まで経理向けにわかりやすく解説

固定資産とは?いくらから計上する?減価償却・仕訳・固定資産税まで経理向けにわかりやすく解説

経理更新日:2026-07-17

固定資産とは、事業のために1年以上使う取得価額10万円以上の資産です。10万・20万・30万円(2026年改正で40万円)の金額基準の早見表、定額法・定率法の計算例、仕訳、固定資産税の勘定科目まで経理担当者向けにわかりやすく解説します。

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固定資産は、通常の経費とは違って「資産計上」が必要な、経理でつまずきやすい論点です。うっかり経費(消耗品費)と同じ処理をしてしまうミスも少なくありません。

この記事では、「固定資産とは何か」「いくらから固定資産になるのか」という基礎から、種類・具体例、減価償却の計算方法(定額法・定率法)、仕訳、固定資産税、減損・除却などの特殊処理まで、経理担当者が実務で迷わないよう一通り解説します。

この記事でわかること

  • 固定資産の定義と「いくらから」計上するかの金額基準(10万円・20万円・30万円/2026年改正で40万円)
  • 有形・無形・投資その他の3分類と具体例、勘定科目
  • 定額法・定率法の計算方法(数値例つき)
  • 固定資産税の仕組みと仕訳、償却資産の申告スケジュール
  • 減損・移動・除却など特殊な処理

固定資産とは?

固定資産とは、事業のために1年以上にわたって使用する、取得価額が原則10万円以上の資産のことです。 建物や車両、機械、パソコンといった「形のあるもの」だけでなく、ソフトウェアや特許権などの「形のないもの」も含まれます。

ポイントは2つです。

  1. 1年以上使うこと(すぐ使い切る消耗品ではない)
  2. 取得価額が原則10万円以上であること

たとえば同じパソコンでも、8万円のものは「消耗品費」として買った期に全額経費にできますが、15万円や30万円のものは固定資産として計上し、使う期間にわたって少しずつ費用化(=減価償却)していきます。

高額な資産を買った年に全額を経費にできないのは、その資産が何年にもわたって収益を生むためです。「使う期間に合わせて費用を配分する」という考え方が、固定資産と減価償却の基本になります。

固定資産はいくらから?金額別の処理【早見表】

「固定資産はいくらから?」という疑問は、実は取得価額によって選べる処理が変わるため、金額の区分で整理するのが近道です。判断の分かれ目になるのが 10万円・20万円・30万円(2026年の改正で40万円) です。

取得価額

選べる処理

償却資産税

10万円未満

全額経費(消耗品費など)※資産計上不要

対象外

10万円以上 20万円未満

①一括償却資産(3年均等)/②少額特例※/③通常の減価償却

①は対象外/②③は対象

20万円以上 30万円未満
(2026/4/1以後は40万円未満)

②少額特例※/③通常の減価償却

対象

30万円以上
(2026/4/1以後は40万円以上)

③通常の減価償却

対象

少額減価償却資産の特例は、青色申告を行う中小企業者等が対象。年間合計300万円までを取得年度に全額損金算入できます。

用語の整理

  • 一括償却資産:取得価額10万円以上20万円未満の資産を、耐用年数にかかわらず3年間で均等に(毎年1/3ずつ)費用化できる制度。償却資産税がかからないのが実務上の大きなメリットです。ただし途中で除却しても除却損は計上できず、3年間の償却を続ける点に注意します。
  • 少額減価償却資産の特例:青色申告の中小企業者等が、一定額未満の資産を取得年度に全額即時償却できる特例。上限額は 2026年3月31日までの取得は30万円未満、2026年4月1日以後の取得は40万円未満 に引き上げられます。あわせて対象となる従業員数の要件も 500人以下から400人以下 に変更されます。償却資産税は対象になる点が一括償却資産との違いです。

判定は「税込」か「税抜」かで変わる

金額の判定は、会社が採用する経理方式によって変わります。税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で判定します。たとえば税抜9万8,000円のものは、税抜経理なら10万円未満で経費にできますが、税込経理では消費税を加えて10万円以上になり固定資産になる、といった差が生じます。社内でルールを統一しておきましょう。

関連記事:少額減価償却資産の特例の改正内容と経理部門の対応を解説

固定資産の種類と具体例【一覧表】

固定資産は大きく 有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産 の3つに分類されます。それぞれの具体例と代表的な勘定科目は次の通りです。

分類

特徴

具体例(勘定科目)

有形固定資産

形のある資産

建物、建物附属設備、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品、土地※

無形固定資産

形のない資産・権利

ソフトウェア、特許権、商標権、実用新案権、のれん、借地権※

投資その他の資産

上記以外の長期保有資産

投資有価証券、関係会社株式、長期貸付金、長期前払費用、差入保証金

土地・借地権は減価償却しません(時の経過で価値が減らないため)。同様に、稼働していない建設仮勘定や電話加入権なども非償却です。

このように「固定資産=すべて減価償却する」わけではない点も、実務では押さえておきたいポイントです。

関連記事:消耗品と備品の違いは?適切な勘定科目も分かりやすく解説

固定資産の会計処理の流れ(仕訳つき)

通常の定型業務

固定資産にはどういった処理が伴うのでしょうか?ここではそのステップごとに見ていきましょう。

関連記事:減価償却は何故必要か?減価償却の基本と会計処理をわかりやすく解説

1.固定資産を計上

まず、最初のステップとして固定資産を認識し資産計上しなければなりません。資産計上とは貸借対照表の資産の部に計上することに当たります。例えば、家屋を購入して自社使用するのであれば建物として固定資産に計上しますし、自動車を購入して自社使用するのであれば車両運搬具として固定資産に計上します。計上に当たっては購入した資産がどういった類のものか予め調査しておく必要があるでしょう。

例)事務所用の建物を2,000万円で購入(普通預金から支払い)

(借)建物 20,000,000 / (貸)普通預金 20,000,000

従って、会社の回覧されてくる稟議書に紐づく購入申請などの情報をしっかりと入手しておく必要があります。また複数の固定固定資産を購入した場合は購入先から明細や請求書をもとに、各科目ごとに区分けしていくことも必要です。固定資産の購入において、取得原価に含めるのか含めてはいけないのかという費用が出てきます。例えば不動産取得税や、自動車取得税、登録免許税などの費用です。これらは税務上損金として参入することが出来る性格の費用で、固定資産の取得価格に含めなくともよいとされています。

関連記事:財務諸表とは?財務三表(BS・PL・CF)の見方をわかりやすく解説

2.減価償却費を計上

次のステップとしては、月次決算で、購入した固定資産は減価償却していかなければなりません。これは減価償却方法は建物であれば定額法、そして大体耐用年数50年ほどで減価償却をしてきます。ここのステップは、仕訳には、資産から直接減らす直接法と、累計額を別建てにする間接法があります。

例)減価償却費が年20万円の場合

【直接法】(借)減価償却費 200,000 / (貸)建物 200,000

【間接法】(借)減価償却費 200,000 / (貸)減価償却累計額 200,000

3.固定資産税を納付

土地・家屋以外の事業用資産(=償却資産)は、毎年1月1日時点の所有分を1月31日までに申告します(詳細は後述)。納付時は「租税公課」で処理します。

減価償却の計算方法(定額法・定率法)

減価償却の方法には定額法・定率法などがあり、実務では中心となるこの2つを押さえておけば十分です。なお、税務上(法人税法上)は資産の種類ごとに耐用年数と償却方法が法定されており(建物・建物附属設備・構築物は定額法のみ、機械装置・車両・器具備品などは原則定率法)、中小企業の実務では会計処理もこの法定の年数・方法に合わせるのが一般的です。

定額法:毎年同じ額を償却

取得価額 × 定額法償却率 で計算し、毎期均等に償却します。計算がシンプルなのが特徴です。建物・建物附属設備・構築物は、定額法しか選べません(強制)。

例)取得価額100万円、耐用年数5年(償却率0.200)

償却費

期末帳簿価額

1年目

200,000

800,000

2年目

200,000

600,000

3年目

200,000

400,000

4年目

200,000

200,000

5年目

199,999

1(備忘価額)

※最終年度は残存簿価1円(備忘価額)を残します。

定率法:初期に多く償却

期首帳簿価額 × 定率法償却率 で計算します。初期に償却費が大きく、投下資金を早く回収できるのが特徴です。機械装置・工具器具備品・車両運搬具などで選択できます。

例)取得価額100万円、耐用年数5年(200%定率法・償却率0.400)

償却費

期末帳簿価額

1年目

400,000

600,000

2年目

240,000

360,000

3年目

144,000

216,000

4年目

108,000(改定償却率適用)

108,000

5年目

107,999

1(備忘価額)

※定率法では、通常の計算額が「償却保証額」を下回った年以降、改定取得価額 × 改定償却率で均等に償却します。上表4年目以降がこれに当たります。

償却率は耐用年数ごとに定められています(国税庁「減価償却資産の償却率表」を参照)。

耐用年数の主な例

資産

耐用年数

建物(鉄筋コンクリート造・事務所用)

50年

建物(木造・事務所用)

24年

普通自動車

6年

軽自動車

4年

パソコン(サーバー用以外)

4年

事務机・椅子(金属製)

15年

ソフトウェア(自社利用)

5年

※耐用年数は構造・用途で細かく分かれます。正確には国税庁「耐用年数表」で確認してください。

関連記事:減価償却は何故必要か?減価償却の基本と会計処理をわかりやすく解説

特殊な業務

ただし、例外として収益性が見込めないもの、途中で固定資産の使用場所を移動したり廃棄する場合は、また別途の処理が必要となります。以下、特殊な処理についてまとめました。

1.減損

収益性が見込めなくなると減損会計を実施しなければなりません。減損をしなければいけない兆候としては二期連続で赤字になってしまうか、あるいはその固定資産が生み出す営業損益が著しく悪化する場合です。減損をする場合は、減損会計基準・同適用指針に基づいて適切に行いましょう。

2.固定資産の移動(異動)

また、固定資産を移動する場合も特別な処理が必要です。固定資産にかかる税金は地方税に該当するため固定資産台帳にかかる申告先を変更しなければなりません。ここでは特に会計処理は発生しませんが、税金に関わる部分でもあるのでしっかり抑えておきましょう。

(参考)「移動」と「異動」どっち? 物理的に置き場所を変えることを「移動」、取得・売却・除却・所属変更などの変動全般を「異動」と呼び分けるのが一般的です。固定資産台帳の管理では「異動」がよく使われます。

3.メンテナンスが発生する場合(資本的支出と収益的支出)

固定資産の修理・改良にかかった費用は、収益的支出(修繕費)か資本的支出かで処理が変わります。

  • 収益的支出:通常の維持・原状回復のための費用 → 修繕費として全額経費
  • 資本的支出:耐用年数を延ばす・価値を高める支出 → 取得価額に加算して減価償却

判別に迷ったときの形式基準としては、①おおむね20万円未満か、②約3年以内の周期的なメンテナンスか、③価値を高める意図か、さらに60万円未満か・前期末取得価額の10%以下か、などがあります。基本は「資産の価値が上がったかどうか」で判断します。

【収益的支出】(借)修繕費 ××× / (貸)現金預金 ×××

【資本的支出】(借)建物など ××× / (貸)現金預金 ×××

4.除却・廃棄

また、固定資産を廃棄する場合は、帳簿価格を基準に固定資産除却損を算定して、会計処理を行います。

(借)減価償却累計額 ××× (貸)建物(取得価額)×××

   固定資産除却損 ×××

※前述の通り、税務上、一括償却資産は除却しても除却損を計上できず、3年間の均等償却を継続します。

参考:国税庁 一括償却資産を除却した場合の取扱い

よくある質問(FAQ)

Q. 固定資産はいくらから?

A. 原則として取得価額10万円以上・使用可能期間1年以上の資産が固定資産です。10万円未満は消耗品費などで全額経費にできます。

Q. 10万円以上20万円未満の資産はどう処理する?

A. ①一括償却資産(3年均等償却)、②少額減価償却資産の特例、③通常の減価償却、から選べます。償却資産税を避けたいなら①、その年の節税効果を最大化したいなら②が有力です。

Q. 固定資産と経費(消耗品費)の違いは?

A. 買った期に全額を費用にできるのが経費、資産計上して複数年に分けて費用化するのが固定資産です。10万円が原則的な分かれ目です。

Q. 固定資産税の勘定科目は?

A. 「租税公課」で処理します。

Q. 無形固定資産も減価償却する?

A. ソフトウェアや特許権などは償却します(例:自社利用ソフトは5年)。一方、借地権や電話加入権のように償却しないものもあります。

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まとめ

固定資産は、業種を問わずどんな会社でも保有しうる資産です。「10万円・20万円・30万円(2026年改正で40万円)」という金額基準、有形・無形・投資その他の分類、定額法・定率法の計算、固定資産税の仕訳、そして減損・除却などの特殊処理まで押さえておけば、日々の処理で迷うことは大きく減ります。

とはいえ、金額判定・耐用年数・税制特例は改正も多く、実務での判断に迷う場面もあります。処理の抜け漏れや属人化が心配な場合は、経理のプロに任せてしまうのも有効な選択肢です。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

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