1. 固定資産はどう扱う?処理方法や減価償却、固定資産税について解説
固定資産はどう扱う?処理方法や減価償却、固定資産税について解説

固定資産はどう扱う?処理方法や減価償却、固定資産税について解説

経理 更新日:
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固定資産は日常処理においては通常の経費処理と違って、資産計上をしなければなりません。その処理のため、通常の費用処理と誤認してにうっかり処理をミスしてしまうことがしばしばあります。固定資産に関わる業務は、購入、減価償却、特殊な処理、納税といったパートに大まかに区分けすることが出来ます。

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目次

ここでは購入から始まって、減価償却、減価償却の方法、特殊な処理や納税といった部分に区分けして一個ずつ見ていきましょう。

固定資産とは?

電卓とお金

そもそも固定資産とは何でしょうか?

固定資産とは金額を基準にすれば1個あたり20万円以上の金額で1年以上に渡って自社で使用し続けるような物品、あるいはサービスのことを指します。例えばパソコンでも20万円以下であれば固定資産とはなりませんが20万円以上になれば固定資産として計上して減価償却をしなければなりません。固定資産の幅は広く、建物から自動車、あるいは棚や応接室の装飾品など多岐にわたります。

1個あたり20万円以上する自社使用する物品、あるいはサービスは固定資産の可能性があるという認識でいてください。

固定資産の種類について

固定資産にはいくつもの種類があります。大別すると固定資産は3つに分けられます。1つ目は有形固定資産、2つ目は無形固定資産、3つ目は投資そのほかの資産です。

有形固定資産

有形固定資産は、建物、建物付属設備、車両、工具器具備品などが該当します。

無形固定資産

無形固定資産については、特許権、ソフトウェア、商標権、など物理的な形態を持たないものや経済的価値などが該当します。

投資そのほかの資産

投資そのほかの資産は、投資有価証券、関係会社株式、長期貸付金などが該当し、固定資産の内、有形固定資産または無形固定資産に該当しないものが分類されてきます。

パソコン

固定資産に係る処理を確認しよう

通常の定型業務

固定資産にはどういった処理が伴うのでしょうか?ここではそのステップごとに見ていきましょう。

1.固定資産を計上

まず、最初のステップとして固定資産を認識し資産計上しなければなりません。資産計上とは貸借対照表の資産の部に計上することに当たります。例えば、家屋を購入して自社使用するのであれば建物として固定資産に計上しますし、自動車を購入して自社使用するのであれば車両運搬具として固定資産に計上します。計上に当たっては購入した資産がどういった類のものか予め調査しておく必要があるでしょう。

従って、会社の回覧されてくる稟議書に紐づく購入申請などの情報をしっかりと入手しておく必要があります。また複数の固定固定資産を購入した場合は購入先から明細や請求書をもとに、各科目ごとに区分けしていくことも必要です。固定資産の購入において、取得原価に含めるのか含めてはいけないのかという費用が出てきます。例えば不動産取得税や、自動車取得税、登録免許税などの費用です。これらは税務上損金として参入することが出来る性格の費用で、固定資産の取得価格に含めなくともよいとされています。

2.減価償却費を計上

次のステップとしては、月次決算で、購入した固定資産は減価償却していかなければなりません。これは減価償却方法は建物であれば定額法、そして大体耐用年数50年ほどで減価償却をしてきます。ここのステップは、基本的に最初のステップで計上した資産科目によって処理方法が採用されますので、それほど時間がかかることはないでしょう。

3.固定資産税を納付

最後のステップとして固定資産税、あるいは償却資産を申告、納付して最初のステップに戻ります。

以降、固定資産の耐用年数が尽きるまで減価償却をし続けることになります。

設計図

特殊な業務

ただし、例外として収益性が見込めないもの、途中で固定資産の使用場所を移動したり廃棄する場合は、また別途の処理が必要となります。以下、特殊な処理についてまとめました。

1.減損

収益性が見込めなくなると減損会計を実施しなければなりません。減損をしなければいけない兆候としては二期連続で赤字になってしまうか、あるいはその固定資産が生み出す営業損益が著しく悪化する場合です。減損をする場合は、減損会計基準・同適用指針に基づいて適切に行いましょう。

2.固定資産の移動

また、固定資産を移動する場合も特別な処理が必要です。固定資産にかかる税金は地方税に該当するため固定資産台帳にかかる申告先を変更しなければなりません。ここでは特に会計処理は発生しませんが、税金に関わる部分でもあるのでしっかり抑えておきましょう。

3.メンテナンスが発生する場合

固定資産の中には、メンテナンスが発生するものがあるかもしれません。会計処理上ここもポイントとなります。そのメンテナンスが収益的支出なのか資本的支出なのかによって費用処理が異なってくるのです。収益的支出とは通常の維持管理に伴うような費用が該当します。収益的支出は費用処理が認められているのもポイントです。対して資本的支出とは、固定資産の耐用年数を増加させるようなメンテナンスが該当します。資本的支出は固定資産の取得価格に加算され、減価償却の対象となるのがポイントです。実務上、資本的支出と収益的支出を判別することが難しいケースに遭遇することがあります。

区分けのポイントとしては、20万円以上かどうか、3年以内の定期的なメンテナンスか、価値を高めることを意図したものかという、区分基準に則って区分けしていきます。

4.廃棄する場合

また、固定資産を廃棄する場合は、帳簿価格を基準に固定資産除却損を算定して、会計処理を行います。

以上、特殊な処理として、減損、固定資産の移動、除却は抑えておきましょう。

パソコンとめがね

償却方法について確認しよう

続いて償却方法について見ていきましょう。

減価償却の方法としては定額法、定率法、生産高比例法、級数法などがありますが定額法、定率法が一般的なのでこの二点は抑えておきましょう。

定額法は主に建物、建物付属設備、構築物に対して適用されます。耐用年数に応じて毎期均等償却する方法となります。計算方法がとにかくシンプルです。

対して定率法は機械装置、工具器具備品、車両などに対して適用されるのが一般的です。計算方法としては固定資産の帳簿価格に対して一定の償却率を乗じて計算するやり方です。こちらは計算が煩雑ですが、固定資産への投資初期に多くの減価償却が発生するのでその分、投下資金を早く回収することが可能です。

税金関係について確認しよう

最後に税金関係を確認しておきましょう。固定資産税とは主に土地や建物や償却資産に対して課される税金で、税率は1.4%です。ただし市町村によっては都市計画地域にあたるところもあり、その場合は都市計画税が別途0.3%課税されます。スケジュールとしては土地、建物以外については会社がその年の1月1日時点で所有している償却資産を1月31日までに申告します。ちなみに建物と土地については申告する必要はありません。

この申告が終わりますと市町村から、土地・建物の名寄帳と償却資産の申告書と照合された内容に基づいて課税通知書が送られてきます。課税通知書に基づいて固定資産税を納付するわけです。

オーディオプレーヤーとパソコン

まとめ

固定資産はどのような会社でも所有する可能性がある資産です。そのため、経理としてやっていくにあたって固定資産の知識があるとなしとでは業務効率に雲泥の差が出ることでしょう。固定資産は所有からメンテナンス、減価償却や減損など覚えるポイントも多いですが、これを抑えて業務で活用すれば頼れる経理パーソンになれること間違いなしです。

 

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この記事の監修者

辻田 和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田 和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
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