接待交際費の書き方|摘要・目的・理由の例文と1万円ルール、上限を解説

接待交際費の書き方|摘要・目的・理由の例文と1万円ルール、上限を解説

経理更新日:2026-07-25

接待交際費の摘要欄・申請書の目的や理由の書き方を例文つきで解説します。2024年4月から1人あたり1万円以下に引き上げられた飲食費の判定基準、損金算入の上限額、会議費との違い、個人事業主の取扱いまで経理担当者向けにまとめました。

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事業活動にとって取引先との交流を深めるための飲食などは日常的に発生します。こうした費用を接待交際費として計上する際に経理担当者が最も迷うのは、制度そのものよりも「摘要欄や申請書に何をどこまで書けばよいのか」という点ではないでしょうか。記載があいまいだと、税務調査でその支出が事業に関連していることを説明できず、経費として認められないおそれがあります。

また2024年(令和6年)4月1日以後に支出する飲食費については、交際費等から除外できる金額基準が1人あたり5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。判定の基準が変わっていますので、社内ルールを見直していない場合は注意が必要です。

今回は、接待交際費の摘要欄・申請書・領収書の書き方を具体例で示したうえで、接待交際費の定義や損金算入の上限額、会議費との違いについても詳しく解説していきます。最後に個人事業主の方に向けた説明もありますので、ご活用ください。

接待交際費の書き方

接待交際費は他の費目とまぎらわしいからこそ、仕訳の際には摘要欄に必要情報をもれなく記載しておくことが重要です。まずは、どの書類に何を書くのかを整理しておきましょう。

書類

記載する内容

稟議書・接待交際費申請書

接待の目的・理由、相手先、参加者、予算、日時、場所

領収書(余白・裏面)

相手先の会社名・肩書・氏名、参加人数

帳簿の摘要欄

どこで・どの会社の・誰と(他何名)・何をしたか

出金伝票

上記に加え、領収書が出ない支出の内容

このうち日常的に記載し、かつ税務調査で最も指摘を受けやすいのが摘要欄です。

摘要欄に記載する5つの要素

接待交際費の摘要欄には、次の5点を記載しておきましょう。

  • どこで(店名・施設名)
  • どの会社の(相手先の会社名)
  • 誰と(相手の氏名。複数名の場合は他何名)
  • 何名で(自社分を含めた参加人数)
  • 何をした(会食、ゴルフ、贈答などの行為の内容)

なお、後述する1人あたり1万円以下の飲食費として交際費等から除外する場合は、これに加えて年月日・相手との関係・飲食店の所在地の記載が法令上の要件となります。摘要欄を丁寧に書く習慣があれば、そのまま除外の要件を満たせる形になりますので、日ごろからしっかり準備をすすめておきましょう。

仕訳の書き方

例えば、取引先との会食代45,000円を現金で支払った場合の仕訳は次のようになります。

日付

借方

貸方

摘要

2026/○/○

接待交際費 45,000円

現金 45,000円

△△レストラン

A社○○さんと会食

他2名

日付には取引が行われた日付を記載、借方に接待交際費と金額、貸方には現金支払の場合の費目は現金と金額を記載します。ここまでは他の仕訳と同様ですが、接待交際費では摘要欄にその内容が明確に分かるよう記載しておくことが重要です。

この例では、「△△レストランで、A社の○○さん他2名と会食をした」ことが明記されています。ここでは飲食費の例を挙げましたが、もし交流目的の接待交際費であれば「ゴルフ代」や「旅行代」、贈答品であれば「お中元」や「お歳暮」と記載を残しておくとよいでしょう。

摘要欄の記入例

支出の種類ごとに、摘要欄の記載例を整理しました。自社のフォーマットづくりの参考にしていただければと思います。

ケース

摘要欄の記載例

取引先との会食

和食△△/A社 山田部長ほか2名、当社2名/会食(新規案件の受注御礼)

接待ゴルフ

○○カントリークラブ/B社 佐藤社長、当社1名/ゴルフプレー費(年間取引の御礼)

二次会・カラオケ

カラオケ□□/C社 鈴木課長ほか1名、当社2名/会食後の懇親(○月○日の会食と同一接待)

手土産・贈答品

○○百貨店/D社へお中元(菓子折)/取引継続の御礼

慶弔費

E社 田中氏 ご尊父ご葬儀 香典/取引先役員の慶弔

送迎タクシー

○○タクシー/A社 山田部長 会食後の送迎/会食(○月○日)に伴う送迎

取引先とのお茶代

カフェ○○/F社 高橋氏、当社1名/打合せ時の飲食(議事録あり・会議費で処理)

いずれの場合も、「誰と」を実名で記載しておくことが重要です。「取引先と会食」「関係先3名」といった記載では、その支出が事業に関連していることを説明できません。

相手先が多数で書ききれない場合は、参加者リストを別紙で保存し、摘要欄には「参加者名簿別添」と記載しておくとよいでしょう。

相手先分と自社分が混在する場合

1回の支払いであっても、費目が異なるものは分けて記載する必要があります。例えば、取引先の社員3名・自社の社員5名で旅行を行い、取引先分15万円・自社分25万円を普通預金から支払った場合を考えてみましょう。この場合、取引先のために支払った15万円は接待交際費、自社の社員のために支払った25万円は福利厚生費にあたるため、2行に分けて仕訳します。借方科目と貸方科目それぞれの合計金額が一致しているかも、あわせて確認しておきましょう。

関連記事:経費精算の流れと注意点、クラウド経費精算システムについて解説!

接待の目的・理由の書き方

ある一定規模以上の従業員数の会社では、接待交際費申請書に必要情報を記載する欄をもうけておくと共に、申請プロセスをマニュアル化して周知徹底することが望ましいでしょう。ここでは、稟議書や申請書に記載する「接待の目的・理由」の書き方を見ていきます。

申請書にもうけておきたい記載欄

  • 件名(例:A社接待に関する費用申請の件)
  • 接待の目的・理由
  • 相手先の会社名、参加者の役職・氏名
  • 自社の参加者
  • 実施日時、場所(店名)
  • 予算額(1人あたりの単価も併記しておくと承認がスムーズです)
  • 決裁ルート

なぜ接待が必要なのか、その理由を明確に記載することがポイントです。接待の内容や予算、参加者を明示しておくことで、決裁者も判断しやすくなり、接待交際費の透明性も確保できます。最終的な決裁者や決裁ルートは会社によって異なりますので、事前に社内ルールを確認しておきましょう。

目的・理由の記載例

申請が差し戻される理由の大半は、目的が抽象的で決裁者が判断できないことにあると思われます。避けたい書き方と望ましい書き方を比べてみましょう。

避けたい書き方

望ましい書き方

取引先との関係強化のため

A社との年間保守契約(年商○○万円)の更新交渉に先立ち、担当役員との関係構築および先方の予算方針をヒアリングするため

日頃のお礼

B社より前期○件(○○万円)の紹介案件をいただいた御礼と、次期の協業範囲について相談するため

情報交換

C社の新工場稼働に伴う物流見直しについて、当社の受託可能性を探るための情報収集のため

懇親会参加

D業界団体の懇親会に出席し、未取引の同業3社と接点を持つことで新規開拓の足がかりとするため

「相手先名」「具体的な案件や金額」「その接待によって何を得るのか」の3点を1文に含めておくと、決裁者に必要性が伝わりやすくなります。またこの形で記載しておけば、そのまま摘要欄や税務調査時の説明にも転用することができます。

文例としては、次のような形が使いやすいでしょう。

○年○月○日、○○(店名)において、[相手先]の[役職・氏名]ほか○名をお招きし、当社より○名が同席する。[案件名・取引内容]について[相手方の意向確認/御礼/条件協議]を行うことを目的とする。予算は1人あたり○円、総額○円を予定。

領収書・出金伝票の書き方

接待交際費として計上した飲食代などの領収書には、同席した取引先の会社名、肩書、名前、人数などを必ず記載するようにしましょう。金額だけでは、その支出が事業に関連していることを証明できません。

  • 同席した取引先の会社名・肩書・氏名
  • 参加人数(自社分と相手先分の内訳)
  • 接待の目的(一言でかまいません)

記載は、領収書を受け取ったその日のうちに余白または裏面へ書き込んでおくことをおすすめします。参加人数が記録されていないと、後述する1人あたり1万円以下かどうかの判定そのものができなくなる点にもご注意ください。

もし領収書を入手できなかった場合は、取引の内容をメモに残しておき、出金伝票に記載しておくことをおすすめします。出金伝票は市販されており簡単に購入することができます。割り勘の会費や自動精算機での支払い、香典などが該当しますが、香典であれば会葬礼状や訃報の案内を添付しておくと、より確実です。

接待交際費の条件とルール

ここからは、接待交際費の定義やルールを確認していきましょう。国税庁のホームページでは、接待交際費について次のように定義されています。

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。

(参考)国税庁ホームページ:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

ここでいう「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、直接の取引関係がある方はもちろん、会社の利害に関係する方、自社の役員や従業員、株主も含まれます。

例えば、以下の費用が接待交際費に該当します。

  • 取引先との飲食代
  • 取引先との旅行やゴルフなど、交流にかかる費用
  • 取引先に対する贈答品(お中元やお歳暮など)
  • 取引先を送迎する際のタクシー代
  • 事業活動で関わりある人の結婚祝金や香典

このように接待交際費として計上するためには事業活動に関係する取引であることが大前提です。取引先との飲食代は接待交際費として認められますが、個人的な付き合いの友人との飲食代は、当然ですが会社の接待交際費としては認められません。

接待交際費として認められない場合

下記に該当する場合は接待交際費から除かれるため注意が必要です。少々複雑な条件が設定されていますが、正しく実績計上するために理解しておくことをおすすめします。

① 従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

これらの費用は一般的に福利厚生費にあたります。ただし取引先が参加している場合は接待交際費に計上できます。

② 飲食等のために要する費用で1人あたりの平均支出額が1万円以下(注a)の場合で、かつ次の事項を記載した書類を保存している場合

  • 飲食等のあった年月日
  • 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
  • 飲食等に参加した者の数
  • その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称及び所在地

その他飲食等に要した費用であることを明らかにするための必要な事項

(注a)飲食等の費用が当該会社の役員もしくは従業員又はその親族に対する接待等のための費用である場合は、1万円以下であっても接待交際費となります。

(注b)この金額基準は、令和6年度税制改正により1人あたり5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。適用されるのは2024年(令和6年)4月1日以後に支出する飲食費です。

③ その他、以下に該当する費用

  • カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するための費用(注1)
  • 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するための費用(注2)
  • 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集や、放送のための取材にかかる費用

(注1)これらの費用は一般的に広告宣伝費にあたります。

(注2)これらの費用は一般的に会議費にあたります。

【2024年4月改正】1人あたり1万円以下の飲食費の取扱い

令和6年度税制改正により、交際費等の範囲から除外できる飲食費の金額基準が、1人あたり5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。適用は決算月に関係なく、2024年(令和6年)4月1日以後に支出する飲食費からとなります。クレジットカード払いなどで引落しが翌月になる場合も、判定は利用日(支出日)が基準となる点にご注意ください。

実務上おさえておきたいのは、次の3点です。

① 1万円を超えた場合は全額が交際費等になる

超えた部分だけが交際費等になるわけではありません。例えば1人あたり1万1,000円の会食であれば、超過分の1,000円ではなく、1万1,000円の全額が交際費等に該当します。

1人あたりの単価が1万円に収まるよう、お店選びの段階から意識しておくことが望ましいでしょう。

② 社内飲食費は1万円以下でも交際費等になる

自社の役員・従業員またはその親族に対する接待等のための飲食費(社内飲食費)は、1人あたり1万円以下であっても交際費等となります。除外の対象となるのは、あくまで社外の相手を伴う飲食費です。

③ 書類の保存が要件になる

除外するためには、前章②に挙げた事項を記載した書類の保存が必要です。この記載事項は、先に述べた摘要欄の書き方とほぼ一致します。摘要欄を正しく記載する運用が定着していれば、そのまま除外の要件を満たせる形になります。逆に要件を満たしていないことが税務調査で明らかとなった場合、1万円以下であっても交際費等として扱われ、損金算入額の再計算を求められるおそれがあります。

なお、この判定を税抜・税込のどちらで行うかは、自社が採用している経理方式に従い、継続して適用します。また2024年4月1日をまたぐ事業年度(3月決算以外の法人)では、同一事業年度内に「5,000円以下で判定するもの」と「1万円以下で判定するもの」が混在することになります。

損金算入できる接待交際費の上限額

ここでは、接待交際費で損金算入できる条件やその上限額を見ていきましょう。

接待交際費は財務会計上は経費として計上しますが、税法上は損金算入できないのが原則です。ただし、一定の要件を満たせば経費として認められ損金算入することが認められています。会社の規模に応じて適用されるルールが異なりますので、それぞれ見ていきましょう。なお以下の特例の適用期限は、令和6年度税制改正により令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度まで3年延長されています。

関連記事:営業利益と経常利益と純利益の違いは?損益計算書の見方を解説!

①期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である法人の場合

この場合、以下のふたつの選択肢のどちらかを選ぶことができます。

①会計年度における接待交際費のうち、800万円を上限として損金算入

②会計年度における接待交際費の中の接待飲食費の50%を損金算入

例えば、接待交際費が2,000万円でその全額が接待飲食費であった場合の損金算入額は①の場合は800万円、②の場合は1,000万円(2,000万円×50%)となり、②を選択するほうが多く損金算入することができます。

もし接待交際費が600万円でその全額が接待飲食費であった場合、①では600万円、②では300万円(600万円×50%)の損金算入額となり、①のほうが損金算入できる金額が多くなります。

まとめると、会計年度における接待飲食費が1,600万円以下の場合なら①を選んで全額損金算入するほうが節税効果が大きくなり、一方、1,600万円を超える場合なら②を選ぶほうが損金算入できる金額が大きくなる、すなわち節税効果が大きくなるということになります。

どちらを選ぶかは、申告書に添付する別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)でいずれかの方法により計算するだけで、特別な届出は必要ありません。ただし資本金1億円以下であっても、資本金5億円以上の大法人の100%子会社などは①の定額控除を適用できませんので、グループ会社の場合は親会社の資本金もあわせて確認しておきましょう。

②期末の資本金の額または出資金の額が1億円を超え100億円以下である法人の場合

会計年度における接待交際費の中の接待飲食費の50%を損金算入できます。

③期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人の場合

損金算入できません。

④個人事業主の場合

そもそも交際費等の損金不算入制度は法人税法上の規定であり、個人事業主には適用されません。したがって上限額はなく、業務上必要な接待交際費の全額を必要経費に算入することができます。

接待交際費と会議費との違い

経理担当者にとって、費用の内容が接待交際費にあたるのか会議費にあたるのかで判断に迷うケースは多いと思われます税務上、会議費が全額損金算入できるのに対して、接待交際費は先述のとおり損金算入には複雑な条件が定められており、誤って計上しないためにも正確な理解が必要です。具体例を挙げながら、接待交際費と会議費の違いについて説明していきます。

金額からの判断

飲食等の費用については、参加者1人あたりの費用から接待交際費か会議費を判断することが可能です。参加者1人あたりの費用が1万円以下の場合は会議費として計上できます。会議費は全額損金算入できるため、節税の観点からもこの基準に該当する費用は会議費での計上が望ましいでしょう。

ただし「1万円以下であれば自動的に会議費になる」わけではありません。金額基準を満たしていても、所定の事項を記載した書類を保存していなければ交際費等から除外することはできず、また会議や打合せの実態がなければ会議費として処理することもできませんので、この2点はあわせて確認しておきましょう。

費用の内容からの判断

接待交際費の定義

接待交際費の定義は、業務上の取引先に対する接待や謝礼です。取引先を接待した旅行費用は接待交際費に該当しますが、社員のみの旅行の場合は福利厚生費にあたります。カレンダーや手帳などの物品を取引先へ贈与する場合の費用は、接待交際費ではなく広告宣伝費に計上します。

また、業務に関係のない相手への接待や謝礼は接待交際費にあたらないことは言うまでもありません。

会議費の定義

会議費の定義は、業務上の取引先との打合せや社内会議の目的に要した費用です。会議費は全額損金算入できることから、税務調査での説明の観点からも注意が必要です。例えば、取引先と飲食を伴う打合せを行った場合、打合せの議事録等が残っており会議の実態を説明できる場合は会議費として処理できますが、それ以外の場合は接待交際費に計上するべきでしょう。

また、会議費が高額になる場合は特に注意が必要です。例えば、取引先と旅行を兼ねた打合せを行った場合、その旅行のうち会議に関連した範囲内での宿泊費や飲食費は会議費として計上できますが、会議費として通常要する費用の限度を超えている場合は、たとえ会議の議事録が残っていたとしても接待交際費と判断されることもあります。

接待交際費の目安

各々の会社は接待交際費として年間いくら程度計上しているのでしょうか。もちろん会社の業種によってその平均値は異なりますが、ここでは国税庁が発表している統計データから、その目安を見ていきましょう。

国税庁「令和5年度分 会社標本調査」(令和7年4月公表)によると、交際費等の支出額は4兆1,841億円で、前年度比+16.8%と2年連続の増加となっています。会食の需要が回復し、交際費は増加傾向にあるといえるでしょう。

同調査では、営業収入金額10万円あたりの交際費等支出額が公表されています。自社の売上規模から目安を逆算できますので、こちらのほうが実務では使いやすいと思われます。

区分

営業収入10万円あたりの交際費等

全体平均

238円

資本金1,000万円以下

708円

建設業

699円

不動産業

588円

料理飲食旅館業

557円

卸売業

150円

食料品製造業

144円

化学工業

134円

出典:国税庁「令和5年度分 会社標本調査

例えば年商5,000万円で資本金1,000万円以下の会社であれば、5,000万円 ÷ 10万円 × 708円 = 約35万円/年がひとつの目安となります。仮にこの規模で年間300万円を計上している場合は平均の8倍以上となりますので、税務調査でその内容を確認される可能性があると考えられます。

ただし表のとおり、建設業や不動産業のように交際費の比率が高い業種もあります。全体平均ではなく、自社の業種の数値と比較することをおすすめします。個人事業主の統計データはありませんが、資本金1,000万円以下の階級の数値がひとつの参考になると思われます。

個人事業主の接待交際費

法人と違って個人事業主の方は接待交際費の全額を必要経費に算入することができます(所得税では、法人税の「損金」ではなく「必要経費」といいます)。とはいえ、接待交際費の定義に該当しない個人的な支出まで計上することはできません。ここでは、個人事業主の方が接待交際費として経理処理する際のポイントを解説していきます。

なお「全額」とは、業務に必要な部分の全額という意味です。事業と家事の両方に関わる支出(家事関連費)については、業務上必要な部分を合理的に按分し、その部分だけを必要経費とします。法人と違って上限額がない分、事業との関連性を説明できる記録を残しておくことが、より重要になるといえるでしょう。

接待交際費として認められる費用の例

まずは、接待交際費として認められる費用の具体例を見ていきましょう。

  • 事業に関連する取引先との飲食代
  • 事業に関連する取引先との交流を目的としたゴルフ代
  • 事業に関連する取引先と懇親目的での旅行
  • 取引先へのお中元やお歳暮などの贈答品
  • 取引先の家族の結婚、出産、葬式などの慶弔金

このように接待交際費として認められるか否かの大きなポイントは、その費用が事業に関連するかどうかにあります。家族で外食した飲食費や、仕事とは関係のない個人的なお付き合いでのゴルフ代などは接待交際費として計上することはできません。一方、仕事で取引のある友人とばったり会って食事をしたという場合は、接待交際費での計上が認められる場合もあります。

確定申告での書き方

青色申告決算書では「接待交際費」の欄に年間の合計額を記載します。日々の帳簿の摘要欄を先に述べた5つの要素で記載しておけば、申告の際にあらためて内容を整理する手間もかかりません。会計ソフトを使用している場合も、摘要欄には科目名ではなく「支払先」と「具体的な内容」を入力しておきましょう。

税務調査に向けた準備

接待交際費に関して税務調査で質問を受けた際には、その費用が事業に関連していることをきちんと証明できることが重要です。誰といつ行った飲食なのかが不透明だったり、そもそも事業に関係のない内容を虚偽申告している場合、接待交際費として認められないだけではなく、財務諸表全体の信憑性が疑われてしまいます。

そのためにも、日ごろから次のような準備をすすめておくことをおすすめします。

  • 摘要欄の記載ルールを社内で統一し、フォーマット化しておく
  • 接待交際費申請書に、目的・相手先・参加者・予算の記載欄をもうけておく
  • 申請プロセスをマニュアル化して周知徹底する
  • 領収書には、その日のうちに相手先と人数を追記する
  • 1人あたり1万円以下の飲食費について、除外の要件を満たしているか毎月確認する
  • 会議費として処理する打合せでは、議事録を残す運用にしておく

関連記事:帳票とは。書類の電子化を活用し、経理業務の属人化を排除しよう!

接待交際費に関するよくある質問

Q. カラオケ代は接待交際費になりますか?

取引先を伴う接待に付随するものであれば接待交際費に該当します。ただし飲食費ではなく娯楽のための費用として扱われるため、1人あたり1万円以下の除外規定の対象にはなりません。社員のみの利用は福利厚生費(内容によっては給与)となりますので、摘要欄で相手先が同席していたかどうかが判別できるようにしておきましょう。

Q. 接待交際費に上限はありますか?

支出そのものに上限はありません。上限が定められているのは損金算入できる金額です。資本金1億円以下の法人であれば年800万円(または接待飲食費の50%)、100億円を超える法人は損金算入できず、個人事業主には上限がありません。

Q. 1人あたり9,000円の会食は会議費で処理してよいのでしょうか?

1人あたり1万円以下の飲食費は、所定の事項を記載した書類を保存していれば交際費等から除外でき、実務上は会議費などの科目で処理します。書類の保存がない場合は接待交際費として扱われます。

Q. 社内の忘年会費用は接待交際費にあたりますか?

社員のみで、全社員を対象とし社会通念上妥当な金額であれば福利厚生費にあたります。取引先が参加している場合は接待交際費、役員のみでの飲食は社内飲食費として交際費等に該当します。

Q. 領収書がもらえない香典はどう処理すればよいですか?

出金伝票に日付・金額・相手先・目的を記載して保存します。会葬礼状や訃報の案内を添付しておくと、より確実です。

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まとめ

接待交際費とは、事業に関係のある取引先に対する接待や交流を目的とした費用のことを指します。財務会計上は経費として計上しますが、税務上は損金算入できないのが原則です。ただし、一定の要件を満たせば経費として損金算入することが認められているため、経理担当者はその要件を理解しておくことが必要です。

税務調査では、接待交際費に計上した費用が、事業に関連する内容かどうかをチェックされることが多く見られます。そのため、接待交際費の仕訳の摘要欄には、「どこで」「どの会社の」「誰と(複数名の場合は他何名)」「何をした」という情報を記載しておき、内容の透明性を確保しておくことが重要です。申請書に記載する接待の目的についても、相手先と具体的な案件を明記しておけば、そのまま税務調査時の説明材料として活用できるでしょう。

また2024年4月1日以後に支出する飲食費については、1人あたり1万円以下であれば、所定の事項を記載した書類の保存を条件に交際費等から除外できます。基準が5,000円から引き上げられていますので、社内ルールを見直していない場合はこの機会に確認しておきましょう。

会議費や広告宣伝費、福利厚生費との違いがまぎらわしいケースもあるため、接待交際費として計上する際にはその定義を確認しながら帳簿付けすることが望ましいでしょう。

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

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