項目 | 内容 |
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サービス名 | Remoba経理 |
会社名 | (株)Enigol |
公式サイト | https://remoba.biz/accountant |
経理という職業は、技術革新がもたらす自動化により、数年後にはなくなってしまうのでしょうか?今回は、RPAを始めとする最新の自動化ツールの動向を調査し、そこから見えてくる実態から、今後経理としてどのような方向を目指していくべきなのかについて考察しました。
経理という職業は、技術革新がもたらす自動化により、数年後にはなくなってしまうのでしょうか?今回は、RPAを始めとする最新の自動化ツールの動向を調査し、そこから見えてくる実態から、今後経理としてどのような方向を目指していくべきなのかについて考察しました。
数年前から、インターネット上では「経理の自動化」という言葉が目につくようになってきました。その理由は「AI」、特に「RPA(Robotic Process Automation)」を始めとする業務自動化ツールの台頭です。
経理を中心とするバックオフィス周りをターゲットとした自動化ツールの開発が盛んです。似たようなツールがどんどん開発されており、開発会社の戦国時代に突入しています。各社が、こぞって自動化による業務効率化を謳い、そのため「自動化」という言葉が実態以上に独り歩きしています。
2015年、株式会社野村総合研究所とオズボーン准教授及びフレイ博士との共同研究は、日本の労働人口の約49%が就いている職業が機械に代替可能との衝撃の試算結果を発表しています。資料の中で「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」として具体的な職業名を公表していますが、そのなかに「経理事務員」が含まれています。
参考:野村総合研究所
わずか数年で、ITツールによって驚くほど業務効率化が図られたと肌身で感じている経理職の方は多いと思います。
しかし、実際に経理業務がすべて自動化されているか?というと、そんなことは全くなく、今も忙しく業務対応に追われている経理職の方は多いのではないでしょうか。
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」の集計結果から、経理職の雇用に関するデータを確認することができます。
一般職業紹介状況とは、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ求人倍率などの指標を作成し、毎月公表しているものです。
まずは、2012年から2019年までの「新規求職申込件数」です。
参照データ:雇用関係指標(年度)|厚生労働省
全体の求職申込件数に占める会計事務員を希望する求職数の割合は、2012年が1.6%で、2019年は1.42%です。申し込み数は徐々に減少してきています。
次に、「新規求人数」です。
参照データ:雇用関係指標(年度)|厚生労働省
全体の新規求人数に占める会計事務員を求める求人数の割合は、2012年が0.8%で、2019年は0.9%です。微増ですが、ほぼ横這いの状況といえるでしょう。
最後に、「新規求人数」を「新規求職申込件数」で除した「新規求人倍率」を確認しましょう。
参照データ:雇用関係指標(年度)|厚生労働省
注目したいのは、2012年から2019年にかけて、会計事務員の新規求人倍率は増加傾向にあるということです。自動化により経理業務がなくなるというのは、現時点ではまだ難しい状況にあるといえるでしょう。
現時点での経理業務は、自動化できる部分と人が介在しなければ進まない部分の2極化が進行しています。今後、2極化の割合がどうなっていくかは、RPA市場の動向を調べることである程度予測することができるでしょう。
経理の自動化といえばRPAが代表的なツールでしょう。株式会社矢野経済研究所によると、RPA市場は2016年移行右肩上がりで伸びており、今後も拡大が予測されています。このことから、経理業務も今後はますます自動化できる範囲が増えていくのではないでしょうか。
RPA市場規模推移・予測
経理業務に関しては、どんな自動化ツールの開発が盛況なのでしょうか。自動化需要の参考になる資料として、総務省発表の「平成30年版 情報通信白書」があります。
情報通信白書では「AI導入によって自動化してほしいと思う業務」に関する有職者アンケートが行われています。日本、アメリカ、ドイツ、イギリス各国でのアンケート結果を確認できます。
人工知能(AI)導入によって自動化してほしいと思う業務(有職者)
画像引用:人工知能(AI)導入によって自動化してほしいと思う業務(有職者) 『総務省』
アンケート結果から、定型的なルーティン業務、具体的には
・伝票入力
・請求書作成
・経費処理
に関して自動化の要望が強いという事がわかります。
経理は定型のルーティン業務が多く、定型業務を得意とするRPAによる自動化ツールと相性がいいです。現在は、一度取り込んだ仕訳はAIが学習し、2回目以降は自動仕訳を行ってくれる会計ソフトも登場しています。
経理はデータのハブ的な存在であり、取引発生部署と連携をとり円滑にデータ収集を進めていく役割でもあります。会計ソフトには、この業務を効率化する自動仕訳機能が搭載されています。自動仕訳とは、インターネットバンキングやクレジットカード、各種クラウドサービスから取り込んだ明細を、自動で勘定科目を分類してくれる機能のことです。
この機能を使用することで、一つ一つ手入力で仕訳を行う必要はなくなり、かなりの部分を自動化することができます。
ただし、どの会計システムであっても、機能を使用するにあたり、事前に仕訳ルールを設定しておく必要があります。
ルールの設定には、社内の業務フローの把握は不可欠です。取引発生の部署が業務システムを使用しているか、そのシステムと会計システムは、そもそも連携が可能なのかを調査すべく、関係部署との調整能力が求められます。連携が難しい業務フローであった場合、関係部署と折衝を行い、業務フローを変えていく(場合によってはシステムそのものを変える)必要が生じます。自動化を行うための前段階で、かなり人的作業が発生します。
また、インターネットバンキングやクレジットカードからの自動取込仕訳であっても、新規で発生した取引については、都度、顧問税理士と協力しながら取込ルールを作成していく必要があります。
請求書発行や、入金消込を自動化できるツールの開発も盛んです。
参考:「RPAを活用し、請求書作成を自動化したい」|株式会社NTTデータビジネスシステムズ
上記の例ですと、人が担う役割は、緑色の部分(請求書の確認、押印、郵送)のみです。請求書作成に関しては、ほとんどが自動化処理できていることになります。今後、押印、郵送なども省略し、請求書のやり取りがデータでの授受だけで可能になれば、人が担う役割を0にすることができるでしょう。このように業務の一部分だけに特化すれば完全自動化が可能になります。
ただし、業務全体から俯瞰して見た場合、上記の自動化は本当に効率的かと考えるとそうとも限らないでしょう。請求書データを会計システムから抽出するより、販売系システムから請求書を作成した方が請求書発行までの時間短縮ができるかもしれません。このような全体設計から俯瞰して効率化を考えることには人の介在が必要でしょう。
請求書の発送後は、売掛金の入金管理が発生します。入金管理の消込においてもRPAツールが開発されています。従来、消込作業において、入金情報と請求情報の突合作業に時間がかかっていました。銀行データの振込人情報と請求書の会社名の完全一致が難しく、検索に時間がかかることや、振込手数料が差し引いて入金されるなどが突合を難しくする原因でした。
画像引用:入金消込を自動化・効率化し、経理部の生産性を向上させたい
この作業にRPAツールを活用することで、作業時間を大幅に削減することが可能となります。既存の業務フローに変更を加えずに自動化する事も可能となっています。定型業務を行うRPAにAIを組み合わせることで、データの正規化、金額の誤差などの判断も自動化できています。
ただし、やはり新たな入金消込ルールの発生においては、人が介在して新しいルールを反映させる必要があります。オペレーション担当は外せません。
経費精算は全従業員に関係する業務であることから、自動化すれば、全従業員がメリットを感じられます。
経費精算システム導入前と導入後の業務フロー比較
画像引用:レシートポスト
会社全体においての作業時間削減効果が高く、導入のインパクトは大きいです。それゆえ経理業務において、最もシステム開発が盛んに行われています。会計システムの変更導入に比べると、経費精算システムの導入ハードルは低く、まずは経費精算システムを取り入れて自動化を試みる会社も多いです。
各システム開発会社がしのぎを削って新規参入しているため、経費精算システムの自動化機能も進化しています。
>>経費精算の流れと注意点、クラウド経費精算システムについて解説!
以上、経理の自動化が進んでいる業務についてお伝えしました。経理業務全般の自動化が進んでいるわけではなく、業務の一部に特化したシステムが開発されていることが特徴としてあげられます。
現時点で自動化できている経理業務は、定型業務の一部です。そして自動化といっても、現状オペレーションは必要です。また、システム間の連携設計など、全体設計のデザインにおいても人の介在は欠かせません。RPAの導入を誤ってしまうと、かえって業務が非効率となってしまうでしょう。導入検討には、費用対効果の視点も欠かせません。
また、RPAが得意とするのは定型業務であり、現状はイレギュラーな業務に対応はできず、人の判断を必要とします。
RPAそのもののオペレーションと、イレギュラーな業務パターンの対応に関しては、現時点では人の介在が必要です。しかし、今後AIがさらに進展してくると、人がオペレーションの役割を担う事も不要となってくるかもしれません。
経理業務の自動化の流れは、RPA市場の盛り上がりから考えても、ますます加速していくでしょう。RPAが得意とする定型業務の多い経理職としては、今後どのようなビジョンをもって働いていけばいいのでしょうか?
総務省発表の「平成30年版情報通信白書」にて、AIの導入による職業の変化予想が確認できます。
AIの導入によって業務効率や生産性が向上する結果、定型的な業務などの機械化が進むであろう職業についてはタスク量が減少する。
他方で、AIを導入・運用するために必要なシステム開発やシステム運用などの業務量の増加や、AIを活用したサービスなどの新たな職業の登場によりタスク量が増加する。このようにAIの導入が進んだ結果、機械化可能性の高い職業に就く人が減る一方で、AIを導入・運用する職業や、AIの登場により新しく生まれる職業などに就く人が増加すると考えられる。
引用:職業の変化『総務省』
経理業務においては、新規求人倍率の推移から見ても経理職の求人が減少しておらず、自動化も業務の一部に特化していることから、急激なAIによる代替えはおこらないと予想されますが、それでも徐々に自動化の割合は進んでいくでしょう。
しばらくはAIが不得意とするイレギュラーな業務に関しては、人の介在が必要と思われます。また、自動化が進んでも、AIを使いこなせるIT知識に長けたオペレーター的な役割は残ると思われます。
自動化ツール導入前の、部署間のコミュニケーションと、全体のシステム設計を担う役割も不可欠でしょう。そして、自動化が進行すればするほど、AIが導き出した数字を活用し、事業に対する戦略立案を行うコンサルティング的な役割を経理が担う事も考えられます。
経理職は、高度なコンサルティングを行う役割と、AIの下請け的な役割に2極化するかもしれません。今後の経理職は、経理の専門知識だけでなく、IT知識も必要となってくることが必然と言えるでしょう。
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