AIで経理担当者の仕事はどこまで減らせる?自動化できる業務と残る確認業務

AIで経理担当者の仕事はどこまで減らせる?自動化できる業務と残る確認業務

経理更新日:2026-05-21

経理業務はAIでどこまで自動化できるのでしょうか。仕訳入力、経費精算、請求書処理、入金消込、証憑管理、月次レポートなど、AI・システムに任せやすい業務と、人が承認・レビューすべき業務、自動化前に整理すべきポイントを解説します。

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経理業務の自動化とは

経理業務の自動化とは、これまで人の手で行っていた入力、転記、照合、通知、集計などの作業を、システムやツールを使って効率化する取り組みです。

たとえば、以下のような処理が経理自動化の対象になります。

  • 銀行明細を会計ソフトへ取り込み、会計仕訳を作成する
  • 領収書をAI-OCRで読み取る
  • 請求書データから振込データを作成する
  • 承認依頼を自動通知する
  • 入金データと請求データを照合する

経理自動化は入力・転記・照合を減らす取り組み

経理業務では、同じ情報を複数のシステムやExcelに入力する場面が少なくありません。

  • 請求書の内容を見て支払一覧を作る
  • 銀行明細を確認して仕訳を入力する
  • 経費精算の内容を会計ソフトへ転記する
  • 入金額と請求額を照合する
  • 承認漏れを担当者に催促する

こうした作業は、ルールが決まっていればシステムで処理しやすい領域です。経理自動化の目的は、経理担当者の仕事をなくすことではありません。毎月繰り返している定型作業を減らし、確認や判断に時間を使える状態を作ることです。

AIに任せる範囲と、人が承認・レビューする範囲を分ける

経理自動化におけるAI・システムに任せやすい業務と、人が承認・レビューすべき業務の違いを示した図

これまでの経理自動化は、入力、転記、照合、通知、データ連携などの定型作業を減らすことが中心でした。

一方で、AI-OCRやAIエージェント、MCPのような仕組みが広がることで、従来は人が行っていた確認や処理の一部もシステムに任せやすくなっています。仕訳候補の作成、請求書情報の確認、試算表の確認、レポート作成などは、AIが支援できる範囲が広がっている領域です。

ただし、現時点では、特に経理領域において、承認・レビュー・最終判断まで完全にAIへ任せるのは現実的ではありません。一定金額以上の支払い、例外的な取引、税務判断が必要な処理、資金繰りに影響する支払いなどは、人が確認すべき領域として残ります。

そのため、これからの経理自動化では、「AIでできるか、できないか」だけで考えるのではなく、どこまでをAIに任せ、どこで人が承認・レビューするかを設計することが重要です。

少額かつ定型的な取引はAIやシステムの処理を前提にし、リスクが高い取引や例外処理は人が確認する。このように、金額・リスク・例外性に応じて役割を分けることが、実務上は現実的です。


経理業務で自動化できること一覧

経理業務の自動化を考えるときは、まず「どの業務をAI・システムに任せやすいか」を把握することから始めます。

自動化しやすいのは、ルール化しやすい業務です。一方で、金額が大きい、例外が多い、税務や資金繰りに影響する業務は、承認・レビューが残りやすくなります。

以下に、主な経理業務ごとの自動化できること・人が確認すべきことを整理します。

業務

AI・システムで任せやすいこと

承認・レビューが必要になりやすいこと

仕訳入力・明細取込

銀行・カード明細の取込、仕訳候補の作成

科目・税区分・部門コードの妥当性、仕訳の最終確認

経費精算

領収書読取、交通費計算、承認通知

例外支出、規程外申請、不自然な申請の判断

請求書発行

請求書作成、送付、入金状況管理

請求内容の確定、契約条件、イレギュラー対応

請求書受領・支払処理

AI-OCR読取、支払データ化、承認依頼、登録番号突合

税区分の確認、支払可否、資金繰り

入金消込

入金データと請求データの照合

差額解明、関係者確認、名義違い、未入金対応

証憑保存・取引データとの紐づけ

電子保存、検索、取引データとの紐づけ

保存要件、証憑の妥当性、紐づけ結果の確認

月次レポート作成の一部

定型レポート出力、異常値候補の抽出

数字の解釈、原因分析、経営判断

仕訳入力、経費精算、請求書処理、入金消込などの経理業務ごとに、自動化しやすい範囲と承認・レビューが必要な範囲を整理した図

仕訳入力・明細取込

仕訳入力は、経理業務の中でも自動化しやすい領域です。

クラウド会計ソフトを使うと、銀行口座やクレジットカード明細を取り込み、取引内容に応じて仕訳候補を作成できます。毎月同じ取引が発生する場合は、ルール設定によって処理を効率化しやすくなります。

freee会計やマネーフォワード クラウド会計などのクラウド会計ソフトでは、会計に関わるデータを自動取得し、仕訳入力作業の負担を減らすことができます。

ただし、仕訳候補が自動で作られても、その内容が正しいとは限りません。勘定科目、税区分、部門コード、取引先の紐づけなどはレビューが残ります。

つまり、明細取込は「経理確認をなくす機能」ではなく、「確認対象を絞る機能」と考えるほうが実務に合います。

経費精算

経費精算も、自動化の効果が出やすい業務です。

経費精算システムを使うと、領収書やレシートの読み取り、交通費の自動計算、法人カード明細の取込、承認通知、会計ソフト連携などを行えます。

毎月の領収書確認や承認漏れの催促に時間がかかっている会社では、自動化によって負担を減らしやすいです。

一方で、経費として認めるかどうか、例外的な支出をどう扱うか、不自然な申請がないかといったレビューは残ります。システムを入れる前に、経費規程、承認フロー、差し戻し基準を整理しておきましょう。

関連記事:レシートや領収書の管理方法

請求書発行

請求書発行は、取引先、契約内容、請求金額、請求日、支払期限などの情報が整理されていれば、自動化しやすい業務です。

請求書発行システムを使うと、請求書の作成、メール送付、送付履歴の管理、入金状況の確認などを効率化できます。紙の印刷や郵送での手作業と比較すると、作業時間だけでなく印刷費や郵送費も削減できます。

一方で、請求内容が契約条件と合っているか、請求漏れがないか、特殊な請求条件がないかは確認が必要です。請求書発行の自動化は、販売管理や契約管理との接続まで考えると効果が出やすくなります。

請求書受領・支払処理

請求書受領と支払処理は、近年特に自動化が進んでいる領域です。

請求書受領システムを使うと、受け取った請求書をAI-OCRで読み取り、取引先名、金額、支払期限、登録番号、税率、消費税額などをデータ化できます。読み取った情報をもとに、支払一覧や会計データを作成することもできます。

読み取りやデータ化はシステムで効率化できます。ただし、税区分の正確性、支払可否、資金繰りへの影響、請求内容の妥当性はレビューが残ります。

請求書受領は、読み取り精度だけでなく、どの項目を、どこまで、誰が、いつ確認するかまで決めて初めて運用に乗ります。

入金消込

入金消込とは、請求データと実際の入金データを照合し、売掛金を消し込む作業です。

取引件数が多い会社では、入金消込に大きな時間がかかります。銀行明細を取り込み、請求データと金額や取引先名を照合できれば、手作業の確認を減らせます。

ただし、完全に自動処理しにくいケースもあります。振込名義が請求先名と異なる、複数請求分がまとめて入金される、手数料が差し引かれている、金額差異がある、といった場合です。

入金消込の自動化は、一致するものを早く処理し、差額や名義違いなど確認が必要なものを絞り込む仕組みです。それだけでも、経理担当者の負担を大きく減らせます。

関連記事:売掛金とは?買掛金、未収金との違いや一連の流れ、仕訳例も紹介

証憑の取引データへの自動紐づけ

証憑とは、領収書、請求書、契約書など、取引の事実を確認するための書類です。証憑処理において自動化しやすいのは、読み取った証憑を対応する取引データに紐づける部分です。

AI-OCRが証憑を読み取り、取引先名、金額、日付などを抽出すると、会計ソフトや証憑管理システムが該当する仕訳や請求データと照合し、紐づけを行えます。担当者が一枚ずつ目視で対応関係を確認する手間が減り、証憑の検索や参照もしやすくなります。

なお、証憑を紙からデータに変えること自体は「電子化」であり、自動化とは分けて考えるほうが実態に近いです。電子帳簿保存法への対応は電子化の前提として必要ですが、それ自体が経理作業を自動化するわけではありません。

自動紐づけ後も、紐づけが正しいか、保存要件を満たしているかの確認は残ります。特に初めての取引先や例外的な証憑は、自動照合が外れるケースもあるため、確認の仕組みを設けておく必要があります。

月次レポート作成の一部

月次レポートの作成も、一部は自動化できます。

会計ソフトやBIツールを活用すれば、試算表、部門別損益、売上推移、費用推移、キャッシュフローなどの定型レポートを出力できます。毎月同じ形式で集計している資料は、自動化しやすい領域です。

ただし、レポートを出すことと、数字を解釈することは別です。異常値の原因、予算との差異、部門ごとの課題、資金繰りへの影響などは、人が読み解く必要があります。

レポート作成の自動化は、数字を出す時間を減らし、数字を読む時間を増やすためのものです。


経理自動化で承認・レビューが残りやすい業務

経理業務には、AIやシステムに任せやすい業務と、承認・レビューが残りやすい業務があります。

特に、金額が大きい業務、例外が多い業務、税務・資金繰り・経営判断に影響する業務は、人が関与する前提で設計したほうが現実的です。

経理自動化においても承認・レビュー設計が必要な領域として、例外処理、科目・税区分、支払い可否、数字の解釈、部門間調整を整理した図

例外処理・イレギュラー対応

経理業務では、毎月のように例外処理が発生します。

  • 請求書の金額が契約と違う
  • 領収書を紛失した
  • 通常と異なる支払条件になっている
  • 取引先名義と振込名義が一致しない
  • 月をまたいで費用計上する必要がある

こうしたケースは、ルール通りに処理できません。システムでアラートを出すことはできても、どう処理するかは人が判断する場面が残ります。

よくある例外は、例外のまま放置せず、対応ルールとして整理しておくと運用が軽くなります。

勘定科目・税区分の最終確認

勘定科目や税区分の判断も、レビューが残りやすい領域です。

同じ支出でも、目的や取引内容によって科目が変わることがあります。消費税区分やインボイス対応の有無によって、会計処理が変わる場合もあります。また、明確に一つの処理に決めきれず、会計上・税務上の判断が必要になるケースもあります。

AIや会計ソフトが候補を出すことはできます。しかし、最終的にその処理が自社の経理処理ルールや税務判断に照らして妥当かどうかは、経理担当者や税理士が確認する場面が残ります。

自動化を進めるほど、判断基準をマニュアル化し、よくある取引の処理ルールを整えておく必要があります。

支払い可否・資金繰りへの影響判断

支払業務は、振込データの作成や承認フローの自動化ができます。

一方で、支払いをいつ行うか、どの支払いを優先するか、資金繰りに問題がないかといった判断は、人が行います。

たとえば月末に大口の支払いが複数重なる場合、その月の入金予定と手元資金を照らし合わせて、支払い順序を決める必要があります。給与支払い、税金の納付、借入返済、重要取引先への支払いなどが重なる場合は、単に支払予定一覧を作るだけでは足りません。

システムは支払予定を見える化できますが、資金判断そのものを丸投げすることはできません。最終的な実行可否は、人が承認・レビューする前提で設計するのが現実的です。

管理資料の解釈と経営判断への活用

経理自動化によって、試算表やレポートの作成は早くなります。しかし、数字をどう解釈するかは人の役割です。

  • 売上総利益率が下がっている理由は何か
  • 特定部門の費用が増えている原因は何か
  • キャッシュフローに問題はないか
  • どのコストを見直すべきか

AIが分析を支援できる範囲は広がっています。異常値の候補を示したり、過去データとの比較を補助したりすることは、今後さらに進むはずです。

一方で、AIは社内事情や経営者が何を重視しているか、部門ごとの背景、取引先との関係性まで十分に理解しているとは限りません。経理担当者には、単に数字を作るだけでなく、数字を読み解き、経営に活かす役割が求められます。

部門間調整・社内ルールの運用

経理業務は、経理部門だけで完結しません。請求書の確認、経費精算の承認、支払依頼、部門コードの入力、予算管理など、他部門との連携が必要です。

システムを導入しても、現場が正しく入力しなければ、経理側の確認は減りません。承認者が役割を理解していなければ、承認フローも形だけになります。

自動化を成功させるには、社内ルールを整え、関係者に運用してもらうための調整が欠かせません。


経理業務を自動化する主な方法・ツール

経理業務を自動化する方法は、一つではありません。クラウド会計ソフト、経費精算システム、請求書受領システム、請求書発行システム、RPA、スクリプト、AIエージェントなどを、業務内容に応じて組み合わせます。

クラウド会計ソフト、経費精算システム、請求書システム、AI-OCR、API、RPA、AIエージェント、BPOなどを組み合わせて経理自動化を進める全体像を示した図

クラウド会計ソフトを活用する

クラウド会計ソフトは、経理自動化の中心になるツールです。

銀行口座やクレジットカード明細を取り込み、仕訳候補を作成したり、取引先や勘定科目のルールを設定したりできます。試算表やレポートの出力、経費精算システムや請求書関連システムとの連携も進めやすくなります。

銀行・カード明細連携は、独立したツールというより、クラウド会計ソフトの主要機能として考えるのが自然です。

ただし、明細を取り込めば終わりではありません。どの科目で処理するか、どの部門に紐づけるか、例外取引をどう扱うかまで決めておくと、導入後の修正を減らせます。

関連記事:クラウド会計ソフト比較7選

経費精算・請求書システムを導入する

経費精算システムでは、領収書読み取り、交通費計算、法人カード連携、承認ワークフロー、会計ソフト連携などを行えます。

請求書受領・支払管理システムでは、請求書情報の読み取り、支払予定の作成、承認フロー、振込データ作成、会計ソフト連携などを効率化できます。

請求書発行システムでは、請求書の作成、送付、入金状況の管理を効率化できます。

AI-OCRやワークフローは、独立したツールとして見るより、経費精算・請求書受領・支払管理システムの機能として考えると分かりやすいです。ただし、システムを入れるだけでは、経費判断、支払可否、税区分、例外処理までは整理されません。導入前に、申請ルールや承認ルールを整えておく必要があります。

関連記事:経費精算システムの比較ポイント

RPA・スクリプト・マクロで個別業務を自動化する

SaaSの標準機能だけでは対応しきれない業務は、RPAやスクリプト、マクロで補完する方法もあります。

Googleスプレッドシート上のデータをGASで整形する、コーディングによりCSVを加工して会計ソフトに取り込む、API連携を行う、Excelマクロで定型レポートを作成する、といった方法です。

RPAは、画面操作でしか自動化できないシステムの定型操作に向いています。一方で、画面変更に弱かったり、シナリオの保守が属人化したりすることがあります。

スクリプトやマクロも便利ですが、作成者しか直せない状態になるとリスクがあります。処理内容をドキュメント化し、誰が保守するかを決めておきましょう。

AIエージェント / MCPを活用する

最新の動きとして、AIエージェントやMCPを活用した経理自動化も出てきています。

freeeやマネーフォワードは、AIエージェントと会計ソフトを接続するためのMCPサーバーを公開・提供しています。AIエージェントがユーザーに代わって会計ソフト上の操作を代行する仕組みが整いつつあり、仕訳入力、帳簿検索、データ確認、レポート作成などが対象として挙げられています。

MCPは、AIエージェントと会計ソフトなどの外部システムをつなぐ仕組みです。将来的には、AIエージェントが会計データを取得し、仕訳候補を作成し、試算表を確認し、レポート作成を支援するような使い方が広がる可能性があります。

ただし、現時点では実務導入にあたって慎重な設計が必要です。権限管理、操作ログ、レビュー体制、誤処理時の対応、外部ツールとの接続範囲を決めずに使うと、かえってリスクが高まります。

そのため、AIエージェントやMCPを活用する場合も、すべてを自動実行させるのではなく、人が承認・レビューすべき範囲を決めたうえで段階的に取り入れることが現実的です。


経理業務を自動化する前に整理すべきこと

経理自動化でよくある失敗は、ツールを先に決めてしまうことです。業務の流れやルールが曖昧なまま導入しても、思ったほど効果は出ません。

まずは、自社の経理業務を棚卸しし、どの作業を減らしたいのかを明確にしましょう。

経理自動化を進める前に必要な業務棚卸し、自動化対象の特定、マスタ整備、例外処理ルール、確認担当の設計を示した図

現在の業務を棚卸しする

最初にやるべきことは、現在の経理業務を洗い出すことです。

  • 日次、月次、年次でどのような業務があるか
  • 誰が担当しているか
  • どのツールを使っているか
  • どの作業に時間がかかっているか
  • どこで確認や差し戻しが発生しているか

これを可視化しないままツールを導入すると、効果が出にくい業務から手をつけてしまうことがあります。

自動化したい作業を特定する

次に、自動化したい作業を特定します。自動化の対象は、「経理業務全体」ではなく、具体的な作業単位で考えたほうが進めやすいです。

  • 請求書の転記を減らしたい
  • 経費精算の差し戻しを減らしたい
  • 入金消込の照合作業を減らしたい
  • 月次レポート作成を早めたい
  • 承認漏れの催促を減らしたい

作業単位で整理すると、必要なツールや改善方法が見えやすくなります。

マスタ・ルールを整える

経理自動化では、マスタやルールの整備が欠かせません。

取引先マスタ、勘定科目、補助科目、税区分、部門コード、プロジェクトコード、承認者、支払条件などが整理されていないと、システム連携後に修正が増えます。

同じ取引先が複数の名称で登録されている、部門コードが古い、勘定科目の判断が担当者によって違う。こうした状態では、自動化しても経理担当者の手直しが残ります。

例外処理と承認ルールを決める

自動化しても、例外処理は残ります。請求書の金額差異、領収書紛失、期限後申請、規程外支出、支払条件の変更など、よくある例外については対応ルールを決めておきましょう。

また、誰が何を承認するかも整理しておく必要があります。

  • 経費の承認は部門長が見る
  • 支払いの可否は経営者または責任者が見る
  • 会計処理は経理が確認する
  • 例外処理は一定金額以上で責任者承認にする

このように役割を分けておくと、システム上の承認フローも設計しやすくなります。

自動化後の確認担当とチェックポイントを決める

自動化後も、確認業務は残ります。AI-OCRの読み取り結果、会計ソフトへの連携結果、仕訳候補、アラート、入金消込の差異、月次レポートの異常値などは、誰かが確認する必要があります。

「システムがやってくれるはず」と考えて確認担当を決めないまま導入すると、結局経理担当者に負担が戻ってきます。誰が、どの頻度で、何を確認するのか。ここまで決めておくと、導入後の運用が安定します。


経理業務を自動化しても失敗するケース

経理自動化は便利ですが、導入すれば必ずうまくいくわけではありません。ここでは、自動化しても効果が出にくいケースを整理します。

ツールだけ導入して業務フローを変えていない

最も多いのは、ツールを入れたのに業務フローが変わっていないケースです。

  • 紙の申請書を残したまま経費精算システムを入れる
  • Excel管理を残したまま会計ソフトへ転記する
  • メール承認を残したままワークフローを導入する

これでは、システムが増えただけで、作業はあまり減りません。ツール導入と同時に、不要な作業や二重管理をなくす必要があります。

マスタやルールが整っていない

マスタやルールが乱れていると、自動化後に修正作業が増えます。

  • 取引先名が統一されていない
  • 勘定科目の判断が人によって違う
  • 税区分のルールが決まっていない
  • 部門コードが実態と合っていない

この状態で自動連携しても、経理担当者が後で直すことになります。自動化の前に、マスタやルールの整理を進めましょう。

例外処理が多く手作業が残る

例外処理が多い会社では、自動化の効果が出にくいです。毎月同じような例外が発生しているのに、都度判断している場合は、まずルール化が必要です。

例外が多いこと自体が問題なのではありません。よくある例外をいつまでも例外として扱っていることが問題です。

システム間連携がうまくいかない

経理自動化では、複数のシステムを連携させることがあります。会計ソフト、経費精算システム、請求書受領システム、請求書発行システム、販売管理システム、銀行口座、法人カードなどです。

それぞれのデータ項目や連携タイミングが合っていないと、手作業の修正が残ります。導入前に、どのデータをどこからどこへ流すのかを整理しておくと、導入後の手戻りを減らせます。

導入後の運用改善とメンテナンスが止まっている

システムは導入して終わりではありません。ビジネスフローの変更、組織変更、承認者変更、部門コード変更、法改正、取引先増加、使用システムの変化、管理会計の変更などに合わせて、設定を見直す必要があります。

導入時の設定のまま放置していると、実態と合わなくなり、確認や差し戻しが増えます。月次や四半期ごとに、差し戻し件数、修正件数、承認遅延、連携エラーなどを確認し、改善を続けましょう。


自動化後に残る経理業務をどう運用するか

経理自動化では、すべての業務をシステムに任せるのではなく、役割を分けることが重要です。定型処理はシステムに任せる。判断や例外処理は社内で基準を決める。確認や運用業務は、必要に応じて外部パートナーも活用する。この切り分けができると、自動化の効果を出しやすくなります。

関連記事:経理アウトソーシングで委託できる業務

定型処理はシステムに任せる

入力、転記、照合、通知、定型レポート作成などは、システムに任せやすい業務です。人が毎月同じ作業を繰り返しているなら、まず自動化できないか検討する価値があります。

ただし、システムに任せるには、処理ルールが必要です。ルールが曖昧な業務は、自動化しても確認や修正が残りやすくなります。

判断・例外処理は社内で基準を決める

経費として認めるか、支払いを行うか、例外処理をどう扱うかといった判断は、社内で基準を決める必要があります。判断基準が曖昧なまま外部化・自動化すると、確認の往復が増えます。

自動化の前に、どこまでをシステムやAIに任せるか、どこから人が承認・レビューするかを決めておきましょう。

確認・運用業務は外注・BPOも選択肢になる

自動化しても、確認業務は残ります。AI-OCRの読み取り結果確認、証憑確認、不備連絡、会計ソフト連携後のチェック、月次締め前の確認などは、一定の運用負荷があります。

これらのうち、ルール化できる業務は外注・BPOの対象になります。外注・BPOは自動化ツールではありませんが、自動化後に残る確認・運用業務を補完する手段として有効です。社内の経理担当者が判断や月次決算、管理資料作成に集中できるよう、定型的な確認業務を切り出す考え方です。

関連記事:経理代行サービス・経理アウトソーシングの比較


AI時代に経理担当者に求められる役割

AIや自動化ツールが進化しても、経理担当者の役割はなくなりません。ただし、求められる役割は変わっていきます。

定型業務を処理する人から、業務を設計する人へ

これからの経理担当者に求められるのは、単に処理を行うことだけではありません。どの業務をAIやシステムに任せるか、どのルールを整えるか、どのツールを使うか、どこに承認・レビューを残すかを設計する力が必要になります。

自動化ツールに関する基本的なリテラシーと、業務全体を俯瞰して改善できる視点が、新しいスキルセットになります。

数字を作るだけでなく、数字を活用する役割へ

入力や転記に使う時間が減れば、数字の解釈や経営への提案に時間を使いやすくなります。月次の数字から異常値を見つける、部門別損益の変化を確認する、資金繰りへの影響を把握するなど、数字を活用する役割がより重要になります。

システムと外部パートナーを使いこなす役割へ

経理業務は、会計ソフトだけで完結しなくなっています。経費精算、請求書受領、請求書発行、販売管理、銀行、カード、証憑保存、AIエージェント、BPOなど、複数の仕組みを組み合わせて運用する必要があります。

すべてを自分で処理するのではなく、システムと外部パートナーを使いこなすことが、AI時代の経理担当者に求められる役割です。

Remoba経理

Remoba経理

会計ソフト導入から経理業務まで一任できる、オンライン型の経理アウトソーシングサービス。実務経験豊富なプロフェッショナルな経理チームがサポートし、業務効率化と経理体制の最適化を実現します。

サービス概要

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主なポイント

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  • 部署をまたぐクラウドソフト連携も支援し、経理を含めバックオフィス業務を効率化IPaaSサービスの開発経験をもとに、複数のクラウドソフト連携にも対応。メーカーを問わず、労務、営業支援、人事、給与管理システム連携など、部署をまたぐデータの一元化が可能です。経理を含むバックオフィス業務全体を可視化することで、業務効率化やビジネスにおける迅速な意思決定を支援します。
項目内容

サービス名

Remoba経理

会社名

(株)Enigol

公式サイト

https://remoba.biz/accountant

まとめ

経理業務は、すべてを自動化できるわけではありません。しかし、入力、転記、照合、通知、データ連携などの定型作業は、クラウド会計ソフトや経費精算システム、請求書受領システム、AI-OCRなどを活用することで大きく効率化できます。一方で、例外処理、勘定科目や税区分の最終確認、資金繰りへの影響判断、管理資料の解釈、部門間調整などは、現状では承認・レビューの設計が欠かせません。

経理自動化を進める際は、まず自社の業務を棚卸しし、どの作業を減らしたいのかを明確にしましょう。そのうえで、マスタやルール、承認フロー、例外処理を整理し、ツールを導入することが大切です。自社だけで業務整理や運用設計を進めるのが難しい場合は、経理業務の棚卸しからシステム運用、外注・BPO活用まで含めて相談できるパートナーを活用するのも一つの方法です。

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

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