財務諸表とは?財務三表(BS・PL・CF)の見方と読み方をわかりやすく解説

財務諸表とは?財務三表(BS・PL・CF)の見方と読み方をわかりやすく解説

経理更新日:2026-05-20

財務諸表とは、企業の財政状態・経営成績を示す書類の総称です。貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)・キャッシュフロー計算書(CF)の財務三表を中心に、それぞれの見方と財務分析の基本指標をわかりやすく解説します。

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財務諸表

略称

何を示すか

貸借対照表

BS

財政状態(資産・負債・純資産)

損益計算書

PL

経営成績(売上・費用・利益)

キャッシュフロー計算書

CF

現金の流れ(営業・投資・財務)

この記事では、財務三表それぞれの構造と読み方、財務諸表を使った分析の基本指標までをわかりやすく解説します。

財務諸表とは

一言で財務諸表と言っても様々な種類の帳簿が存在します。まず財務諸表とは「企業の経営活動を記録、計算、集計した結果としての経営成績や財政状態などを企業外部の利害関係者に報告するための会計情報を総称したもの」を意味します。英訳するとfinancial statementsと書き、企業の財政状況を表す帳簿の集まりと理解できます。

財務諸表は主に財務三表(貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書)と言われる書類から構成されています。この財務三表を理解することで財務諸表の全体像をつかむことができます。それぞれの帳簿の作成目的や意義を理解し、しっかりと言葉を理解しましょう。

関連記事:経理と財務の違いを徹底比較|仕事内容・向いている人・資格まで一覧で解説

貸借対照表(balance sheet)

まずは一番重要な貸借対照表です。一般的には英訳のbalance sheetを省略してBSと呼びます。経理部であれば、よく触れる資料ですが、営業の方などはなかなか見る機会は少ないかもしれません。

貸借対照表とは企業のある一定時点における財政状態を示す帳簿です。重要な部分は「ある一定時点」という部分です。ある一定時点とは決算期末を指します。決算期末に締めた段階で、各勘定科目の残高を示した帳簿が貸借対照表です。企業は継続的に商取引を行っておりますので、どこかの一定時点で区切らなければ、財政状態を判別できませんので、一般的には決算期末にて区切るとされています。

貸借対照表は主に以下の5つの区分から構成されています。それぞれの大項目の中に更に細かく勘定科目が設定されています。

区分

内容

主な勘定科目

流動資産

1 年以内に現金化される資産

現金、売掛金、棚卸資産

固定資産

1 年以上保有・使用する資産

土地、建物、減価償却資産

流動負債

1 年以内に支払義務が到来する債務

買掛金、短期借入金

固定負債

1 年を超えて支払義務が到来する債務

長期借入金、社債

純資産

資産総額から負債総額を差し引いた額

資本金、繰越利益剰余金

以上の5つが大きな分類です。勘定科目は必ず上記の5つの分類に分けることができます。

貸借対照表の大原則

貸借対照表には、どのような企業でも必ず成り立つ原則があります。

資産総額 = 負債総額 + 純資産額

左側(資産サイド)と右側(負債・純資産サイド)が常に等しくなるため、「バランスシート」と呼ばれます。貸借対照表を読む際は、このイメージを念頭に置いてください。

なぜ貸借対照表が重要か

損益計算書と比べると、貸借対照表は地味に見えるかもしれません。しかし、企業の資金の使い方や経営の方向性を長期的に見る上では、貸借対照表の方が多くの情報を持っています。上場企業の決算発表では、必ず貸借対照表が最初に提示されます。貸借対照表を読めるようになると、「この会社が何にお金をかけているか」「どれだけ借金に依存しているか」が一目でわかるようになります。

損益計算書(Profit and Loss Statement)

損益計算書とはある一定期間における会社の経営成績を示す帳簿です。「ある一定期間」とは通常前期末の翌日~当期末時点の1年間を指します。損益計算書は主に以下の5つの利益により構成されております。利益の種類が様々ありますので、それ損益計算書は、英語表記 Profit and Loss Statement の頭文字をとって「PL」と呼ばれます。ある一定期間(通常は前期末の翌日〜当期末の 1 年間)における経営成績を示す書類です。売上・費用・利益が記載されており、直感的に理解しやすい財務諸表です。ぞれの違いをしっかり理解しましょう。

損益計算書の 5 つの利益

損益計算書は、以下の 5 段階で利益を計算する構造になっています。

利益の種類

計算式

意味

売上総利益

売上 − 売上原価

本業の粗利。「粗利率」の源泉

営業利益

売上総利益 − 販売費及び一般管理費

本業での稼ぐ力

経常利益

営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用

毎期継続する収益力

税引前当期純利益

経常利益 + 特別利益 − 特別損失

一時的な損益も含めた利益

税引後当期純利益

税引前当期純利益 − 法人税等

最終的な利益

上から下へ進むにつれ、一般的には利益の金額は小さくなります。

経常利益に注目する理由

5 段階の利益の中で、特に重要視されるのが経常利益です。特別利益・特別損失は一時的な要因による損益であるため、毎期継続して発生する経常利益が企業本来の収益力を示す指標とされています。銀行や投資家が企業を評価する際も、経常利益の推移を重視します。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書(CF)とは

キャッシュフロー計算書は、英語表記 Cash flow statement の頭文字をとって「CF」と呼ばれます。貸借対照表と損益計算書だけでは把握しにくい現金の動きを、用途別に分類して示す書類です。

3 つのキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書は以下の 3 つの活動に分類されます。

1. 営業活動によるキャッシュフロー 本業の営業活動によって生み出された現金の流れを示します。「本業で稼いだキャッシュ」を表しており、プラスであれば本業でしっかりキャッシュを生み出せている状態です。マイナスが続く場合は本業での資金流出を意味し、経営上の危険信号となります。

2. 投資活動によるキャッシュフロー 設備投資・子会社取得・有価証券の売買など、会社の成長のための投資による現金の動きを示します。成長投資のための支出が多いためマイナスになるのが一般的です。大幅なプラスの場合は、保有資産の売却が進んでいる可能性があります。

3. 財務活動によるキャッシュフロー 借入・増資・返済・配当など、資金調達や返済による現金の動きを示します。借入や増資ではプラス、返済や配当支払いではマイナスになります。

財務諸表の作成目的

財務三表をまとめた財務諸表一式は、企業の利害関係者に財務状況を開示することを目的に作成されます。主な利用者と目的は以下の通りです。

  • 投資家:株式の売買判断の根拠として活用
  • 債権者(銀行など):融資審査や返済能力の確認に活用
  • 取引先:与信管理(取引相手の信用力評価)に活用
  • 国・税務当局:適正な税額の確認に活用

上場企業の財務諸表は EDINET(金融商品取引法に基づく電子開示システム)や各社の IR サイトで公開されており、誰でも閲覧できます。

財務諸表の見方

財務諸表の見方

財務諸表を読む際は、単独の数値ではなく「同業他社との比較」「前期との比較」を行うことが重要です。業界によって標準的な数値が大きく異なるため、一般的な目安はあくまで参考として、自社の業界特性を考慮した上で分析してください。

ここでは時代を問わず重要な 3 つの分析軸を紹介します。

収益性分析

収益性分析では主に損益計算書(PL)を使用します。事業が赤字であれば企業はいずれ倒産するため、黒字化は最低限の目標です。

1. 売上高総利益率(粗利率)

売上総利益 ÷ 売上高 × 100

事業の収益モデルと直結する指標です。値引きをすれば粗利率は悪化します。売上が伸びているのに粗利率が下がっている場合は、数量でカバーしている状態であり、収益構造の改善が必要です。業界によって適正値が大きく異なるため、必ず同業他社と比較してください。

2. 売上高経常利益率

経常利益 ÷ 売上高 × 100

毎期継続して計上される利益をベースにした指標で、銀行などの金融機関が重視します。この指標が改善している場合、売上の増加または経費の圧縮のどちらかが起きていることを意味します。

3. EBITDA(償却前営業利益)

営業利益 + 減価償却費

減価償却費は各国の税法によって費用化の年数が異なるため、海外子会社を持つ企業の国際比較に有効な指標です。現金支出を伴わない減価償却費を加算することで、簡易的な営業キャッシュフローとしても用いられます。銀行が融資審査の際に返済原資を確認する際もこの指標が使われます。

安全性分析

企業は倒産だけは回避しなければなりません。安全性分析では、短期・長期の支払能力を確認します。

1. 当座比率

当座資産(現預金+受取手形+売掛金)÷ 流動負債 × 100

1 年以内に支払義務がある流動負債を、すぐに現金化できる当座資産でどれだけカバーできているかを示します。100%を上回っていれば、短期債務の支払能力があると判断できます。

なお、同様の指標として「流動比率(流動資産÷流動負債×100)」もよく使われますが、流動資産には棚卸資産(在庫)が含まれます。在庫は現金化の際に簿価を下回ることも多く、「在庫はいつでも現金化できる」という前提は実務的には危険です。企業経営において在庫は「罪庫」とも言われるほど資金繰りを圧迫するリスクがあります。

2. 自己資本比率

純資産 ÷ 総資産 × 100

会社が保有する全資産のうち、自己資本(返済不要の資金)でどれだけ賄っているかを示します。この比率が高いほど、他人資本(借入金など)への依存度が低く、財務的に安定した状態といえます。

効率性分析

ROA(総資本経常利益率)

経常利益 ÷ 総資本 × 100

保有する資産を使って、どれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標です。例えば、同じ経常利益 1 億円を計上している 2 社でも、総資本が 100 億円の会社と 50 億円の会社では効率性が大きく異なります。ROA が低い企業は、資産の規模に見合った利益を出せていない状態です。

ROA を常に意識することで、「不要な固定資産を持たない」「小さな BS を目指す」という判断が自然にできるようになります。

ROIC(投下資本利益率)・ROE(自己資本利益率)

ROA に加えて、以下の 2 つの指標も収益効率の分析に使われます。

  • ROIC:事業に投じた資本に対して、どれだけの利益を生み出しているかを示します。数値が高いほど、投資したお金を効率よく利益に変換できています。
  • ROE:自己資本がどれだけの利益を生み出したかを示します。株主から見た投資効率の指標として、特に株式投資の場面で重視されます。

まとめ

財務三表の役割を改めて整理します。

  • 貸借対照表(BS):決算期末時点の財政状態を示す。資産・負債・純資産の構造を把握することで、企業の資金の使い方と安全性がわかります。
  • 損益計算書(PL):1 年間の経営成績を示す。5 段階の利益構造を理解することで、本業の収益力がどこで生まれているかがわかります。
  • キャッシュフロー計算書(CF):1 年間の現金の流れを示す。利益とキャッシュのズレを把握することで、黒字倒産リスクや投資状況を読み取れます。

財務三表はそれぞれ単独で見るのではなく、相互の連動関係を意識しながら読むことが重要です。取引先の評価、投資判断、自社の経営改善など、財務諸表を読む力はあらゆるビジネスシーンで活きます。今回の解説を出発点として、各指標の詳細や業界別の目安についても学びを深めていきましょう。

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まとめ

ここまで、財務諸表の構成及び見方に関して書いてきました。財務諸表を読めることはビジネスマンの基本です。営業マンの方でも基本の部分を理解し、取引先の判断目線として活用すると良いでしょう。

経理に関連する業務で日々財務諸表を見ている方は、分析の際に指標として既に様々な指標を使用されているかと思います。他の会社が取り入れているから等の理由で自社にも導入するのではなく、自社にあった指標とは何か、自社のビジネスモデルの中で肝となる部分はどこなのかをしっかりと社内で議論し、分析に使用する指標をある程度絞ることをオススメします。

今回説明した部分は財務諸表の一部分に過ぎません。興味を持たれた方は更に具体的に個別の部分に関しても学びを広げていきましょう。

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この記事の監修者

辻田和弘のプロフィール画像

株式会社Enigol

辻田和弘

東京大学経済学部卒業後、丸紅株式会社に入社。経理部にて事業投資案件の会計面での検討・支援を担当するほか、子会社の内部統制構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。公認会計士・税理士として長年にわたり会計・税務専門業務に携わった経験を持つ。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba(リモバ)経理・労務の総合監修を担当。スタートアップから中小企業・大企業まで、経理・労務を含むバックオフィス業務全般の支援を行っている。

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