1. アウトソーシングのメリット・デメリットを多角的に比較!
アウトソーシングのメリット・デメリットを多角的に比較!

アウトソーシングのメリット・デメリットを多角的に比較!

労務 更新日:
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企業において、生産性を担保しながら利益を上げていくことが求められ、経営のスリム化や労働生産性の向上に資する取り組みが重要となってきます。しかし、人手不足ゆえに各々の労働者が抱える業務量は多く、通常業務と並行して前述の取組を行うことは困難な場合が多いでしょう。

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目次

そこで、今回はアウトソーシングについて、メリット、デメリットを俯瞰し、自社にあった選択をできるよう確認していきましょう。

アウトソーシング(業務委託)とは

企業は企業として望む労務を提供してもらう場合、労働契約を締結し、双方の合意を確認します。その後は労働基準法を始め、各種労働法の規制の下、使用者と労働者として指揮命令関係となります。特に労働時間の管理などは厳格に管理すべき項目であり、杜撰な労務管理が慢性化してしまうと既存の従業員の帰属意識の低下や新たに求人を出したとしても有能層の採用には至らないことが容易に想像できます。

そこで、業務委託契約とは、労働契約を締結するのではなく、業務を「外部の企業や個人」に「委託」する際に取られる契約形態を指します。業務委託契約締結後は、労働時間での評価ではなく仕事の成果に応じて対価が支払われる形態となります。よって、トップダウン式の指揮命令関係が根強い企業と比較すると、労働契約関係よりも対等な立場で業務を行えるとの見方もできます。

また、労働契約関係では労働時間に応じて対価が支払われる性質上、生産性が低く、上司の期待する成果を上げなかったとしても最低賃金を下回る給与での支払いはできません。

パソコンを見る女性

アウトソーシングの種類(対面とオンライン)

業務委託契約を締結する前提で、どのような形態で成果物を提供してもらうかは重要な論点です。一般的には対面で提供してもらう形態とオンラインにて提供してもらう形態が想定されますが、確認していきましょう。

まず、対面の場合は、言うまでもなく通勤途中でのウイルスへの感染リスクが高まります

反対にオンラインでの労務の提供であれば対面と比べて感染リスクは低くなります。

企業には安全配慮義務(労働契約法第5条)が科せられ、使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働ができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定められています。最も注意しなければならない部分として、形式的には業務委託契約と称しながらも実質的には労働契約に当たると判断された場合です。安全配慮義務違反を契機とした民事損害賠償や過去に遡って残業代の清算など大きな経営問題にも発展する部分です。

話をしてる男女5人

対面/オンラインのメリット・デメリット

社会保険

原則として業務委託契約の場合、対面であってもオンラインであっても、端的には労働者と同視されないことから、社会保険への加入義務がなくその分の人件費を抑えられると言えます。しかし、実態として労働者と判断をされた場合は遡って加入することとなります。働く人目線において、新型コロナウイルスが蔓延している現在の状況において、例え終息したとしてもまた新たなウイルスが発生する可能性も否定できず、社会保険に加入できない(自身で加入し全額保険料を納める必要がある)状況はマイナスです。

尚、個人ではなく、企業を通しての業務委託の場合、委託先(実際に働く場所)の企業ではなく、委託元(雇用関係にある企業)で加入することとなります。

コミュニケーション

対面での労務の提供を受ける場合は、疑義が生じる部分については密度の濃い意思疎通が可能となります。

オンラインでのアウトソーシングの場合は意思疎通において行き違いによるミスが発生するリスクがあり、より綿密なコミュニケーションが必要です。しかし、これからの時代、リモートワークや在宅ワークと呼ばれる勤務体系が増えていくことから、コミュニケーションツールを使いこなす必要があります。これを機にコミュニケーションツールの導入を進めるのも一つの手でしょう

また、業務委託の場合は委託先の企業と労務提供者の間に指揮命令関係がなく、通常の自社で雇用する労働者や派遣労働者と同様に指揮命令を行ってしまうと違法となります。 

なお、派遣労働者の場合は、派遣元と派遣先の間で労働者派遣契約を締結し、派遣先と派遣労働者の間には指揮命令関係が存在します。よって、業務委託契約とは異なり、細かい指示や自社で雇用する労働者と同様に指揮命令を行っても違法とはなりません。

オンラインミーティング

情報漏洩

企業によって程度の差はあるものの高度情報化社会へ突入した日本では情報管理は切り離して考えることができません。特に情報漏洩が発覚した場合の実害およびレピュテーションリスクは計り知れません。

まず、対面で成果を享受する場合はオンラインに比べて安全であるようにも見えますが、必ずしも安全であるとは断言できません。それはサイバー攻撃などを始め、既に企業内のPCがウイルスに感染している場合もあるからです。アウトソーシングに限った話ではありませんが、社内のPCなどの安全性の確認はむしろ対面一択であっても省略すべきではありません。

オンラインで成果を享受する場合を確認しましょう。企業として最も不安な部分である情報漏洩問題はオンラインの場合一定以上は高まると考えます。これは、自社でサーバーを整備し、環境と整えたとしても継続的にフォローアップしていかなければサイバー攻撃への防御が破綻してしまう可能性があるからです。しかし、大手企業が整備しているクラウドサービスは定期的な保守も自社で行う必要がなく、自社でサーバーを整備するよりも安価でかつ、安全な場合が多いと言えます。

また、業務時間に限らず、通勤途中であっても情報漏洩のリスクはあります。その意味ではオンラインで成果を享受する場合は通勤が発生しないことから、通勤途中における情報漏洩のリスクは可能な限り摘めると言えます。

BCP(事業継続計画)

情報漏洩以前に、企業である以上、雇用関係にある従業員はもちろんのこと、人道的にも業務委託者を含めて安全を確保することが求められます。また、BCPの整備が曖昧な場合、有事の際の企業としての最優先事項が曖昧になり、指揮命令系統も機能せず、たまたま対応した担当者の主観での対応に頼らざるを得なくなります。そうなると一貫性のない業務運営となってしまうでしょう。

対面での労務提供の場合、休暇を取得しているような場合を除き、出社してくることが前提です。よって、有事の際に被害に遭う可能性も高くなります。反対にオンラインの場合は出社が前提でないことから、対面と比べて有事の際に被害に遭う可能性は低くなります。

また、有事の際は家族の安全確認のため、従業員を帰宅させ、その後、労務の提供方法を模索することとなります。そこで、既にオンラインで労務の提供を享受している場合はスタートの時点で新たに業務フローを構築するということも少なく、有事の際に管理者に新たに生み出される業務は少ないと言えます。

尚、過去の災害の教訓からも従業員を帰宅される場合は一斉に帰宅させてしまうと、駅で多くの人で溢れかえってしまうことから、時間を分散して帰宅させるなどの工夫は必要です。

パソコンとオーディオ

オンライン業務委託の種類

クラウドワーカー

クラウドワーカーとは、クラウドソーシングにて業務を受注し、労務を提供する労働者を指します。現在は働き方の多様がトレンドであり、クラウドソーシングはネットを介してマッチングを行い、多くの場合業務単位でアウトソーシングが行われます。

よって、履歴書を送付してもらい、面接をして決定するという選択肢が取れず、ミスマッチが起こることも想定すべきです。例えば想定している最低限のスキルが備わっていなかったというケースなどが挙げられます。他には、副業で行っているケースもあり、対面で労務の提供を受ける場合と比べて連絡が取りづらいというケースがあります。そして、自社に採用されたというわけではなく、帰属意識が低いケースもあります。

また、メリットとしては、社会保険料や雇用保険料などの負担義務がなく(労働契約を締結する場合は発生)人件費を抑えられるという面があります。 

しかし、コロナ禍によってクラウドソーシングへの登録者数は近年大きく増加しており、自社にマッチした人材を探し出すのは難しいことも多いのが難点です。よって、早急にかつ確実に一定以上のスキルが担保された労働者に労務の提供を委ねたいという場合は企業を通して業務委託を検討するなどの選択肢になろうかと考えます。 

その場合に労働者派遣も選択肢になり得ます。しかし、労働者派遣を検討する場合は業務委託契約とは異なり、名実ともに「労働者」であることから労働者派遣法や労働基準法などの労働法への精通が求められます。

パソコンとカレンダー

アウトソーシング

個人事業主や企業等を通して業務を発注することとなりますが、クラウドワーカーと異なる点はある程度打ち合わせができ、クラウドワーカー個人に比べてミスマッチが生じにくいという点です。また、自社で雇用する労働者ではないために、当然、社会保険料などの負担もありません

そして、特定の業務にミスマッチが生じにくい形で労務の提供を享受できるために、他の業務へ注力できる割合が高くなります。また、専門家と連携しているアウトソーシング先となると、一定の専門知識を吸収できることはもとより法改正情報など時代の流れをおさえることも可能となります。

日本の雇用慣行はゼネラリスト育成型が主流であり、様々な業務を同時並行して進めていくことが求められます。よって、専門家と連携しているアウトソーシング先となれば専門的な業務であっても任せられることができ、自社の突発的な業務にシフトチェンジしても業務が滞らないメリットがあります。また、専門家と連携しているアウトソーシング先であれば、イレギュラーな対応にも様々な知見を結集し、自社にとって適切な選択肢を示してくれ、リスクヘッジ策にもなります

シェアードサービス

間接部門のサービスなどの機能をシェアすることです。メリットは経営のスリム化を図ることであり、内部で学習および最適化が進み、業務改善が期待されます。例えばグループ企業内の人事、労務部門を一か所に集めて機能をシェアするため、当然コストは削減できますが、そもそもグループ企業を持たない場合等は選択できません。 

人材派遣

人材派遣の場合は、メリットとして早期にアウトソーシングが可能な点です。よって人手不足に悩まされる企業の場合は、早期に人手不足を解消することが可能です。しかし、デメリットとして、実際に働いてもらわなければどの程度のスキルを有しているのかが不透明であることがあります。特に労務の場合は細かい業務が通常業務であり、かつ、一定程度以上の知識と経験を必要とします。以上のことからミスマッチが生じるリスクがあると言えます。

英語の本

社労士法人

社労士法人へアウトソーシングするメリットとして、労務に関する専門家集団であり、イレギュラー案件であっても法人内で専門家同士の議論が可能であり、会社の実態に則した回答・対応が可能となります。この点、個人事業主の場合は、専門家であっても単体の意見であり、固定観念に苛まれている場合は、硬直的な解答・対応となる場合があります。デメリットは、必ずしも専門家が対応するとは限らない点です。社労士法人内には社労士だけでなく一般事務員の方も勤務していることから、常時専門家の対応を希望する場合は、期待に添えない場合もあるということです。

最後に

今後は労働契約だけに関わらず、業務委託や派遣労働者の活用など、多種多様な働き方が一般化してくることでしょう。しかし、関係法令の遵守はもとより、労務提供開始後のメリット、デメリットを整理し、自社にとってのベストを模索することが必要です。

また、法改正(特に労働基準法などの強行法規は注意)や実務上注意すべき点の「見える化」を進める意味でも専門家と連携したアウトソーシング先との関係構築など通常業務と並行して進めていきたい部分です。

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この記事の監修者

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社会保険労務士

蓑田真吾

社会保険労務士(社労士)独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は労務管理手法を積極的に取り入れ労務業務をサポートしています

資格
社会保険労務士
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