1. 新卒採用と中途採用、どう違う?
新卒採用と中途採用、どう違う?

新卒採用と中途採用、どう違う?

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人材の採用は会社の運命を左右する重要な仕事のひとつです。新卒採用と中途採用に分かれますが、それぞれどんな特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか?また、中途採用をうまく機能させるには、どんなことに注意すればよいのでしょうか。

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人材の採用は会社の運命を左右する重要な仕事のひとつです。新卒採用と中途採用に分かれますが、それぞれどんな特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか?また、中途採用をうまく機能させるには、どんなことに注意すればよいのでしょうか。

新卒採用中心の企業と中途採用中心の企業の両方に勤務した経験をもとに、両者の違いについてまとめました。

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1.HRM(人材マネジメント)の概要

一般的に、企業の周りには日々変化する社会や鵜の目鷹の眼で市場を獲らんとする競合企業がいる「外部環境」があり、それに対応すべく企業はそれぞれ独自の「戦略」を構築します企業は戦略が当たれば成長し、外れれば失速するのですから、外部環境に適応し競合をかいくぐる戦略を立てることは企業の生き残りにとって非常に重要です。かくして会社の経営陣はスタッフと必死で戦略を考えるのですが、努力して作り上げた戦略も実行されなければ意味がありません。戦略を動かすのは社員。彼らになんとかして戦略を動かしてもらわなければなりません。このように、戦略を動かすための社員の獲得や社員への働きかけをHRM(Human Resource Management)と呼んでいます。HRMには人事制度、組織やリーダーシップのあり方などが含まれます。また、その会社全体の「らしさ」たる「企業文化・風土」といった背景の力も非常に重要な要素となります。

2.最近の新卒・中途採用動向

2022年の大卒求人は1.5倍と、2021年に引き続き減少傾向が見られた。2023年も企業調査で採用を増やしたと答えた企業は全体の22.1%と前年を比べ増加したものの、7割の会社は前年並みと2023年の大卒採用もコロナの影響が根強く残っています。

以前は、「日本の企業は新卒採用、終身雇用。会社単位の労働組合があり、組合と企業は協力して成長を目指す運命共同体。転職すると処遇は落ちるのだから、頑張って最初に就職した企業で成果を出したほうがよい」などといった社内教育があったものでした。最近は転職サービスも増加し、転職で給与額向上に成功するなど、以前と比べれば転職のハードルは低くなったように感じます。

よく対比されるのは米国の労働市場で、かの国では業界横断型の労働組合があり、転職はキャリアアップととらえる文化があるため、平均してみると数年で転職が行われていると言われています。

3.新卒・中途採用のちがい

3-1 目的

採用活動とは、企業の戦略を動かすに足る人材を獲得する活動に他なりません。

会社では毎年、定年退職者が一定数出るので、その補充と事業成長に合わせた人員確保のため、定期的に新卒採用が行われます。新卒者は一般的に社会人としてはまだまだ未熟で、採用時点では必ずしも戦略を動かせる人材とは限りませんが、長期的に育成して後に大きな成果を期待する「投資」の側面があります。かつての日本の終身雇用環境では、スキルの高い定年退職者を直下の年齢層の従業員が代替し、更にその後釜を新卒採用者から時間をかけて作っていく、という構図でした。

それに対して中途採用は、戦略実行にあたって欠けている能力を補うため、既にスキルのある人材を即戦力として獲得することが主な目的です。近年のように外部環境や技術が急速に変化する状況では、古参の社員は必ずしもハイスキル人材とは言えず、またプラットフォームビジネスのように先に一定の規模に達したほうがその後数年の競争を支配するといった競争環境となると、人材育成を待っている時間はありません。スピーディに戦略を立て、それを実行できる人材を新たに獲得して事業に入れ込み、短期間で成果を出すようにしなければ、なかなか成長できない、ということになります。日本もこのような流れの中にあり、中途採用の増加は当然の傾向かもしれません。

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3-2 採用時期

新卒採用は日本経済団体連合(経団連)が採用活動の開始時期に関するルールを決めています。入社時期は卒業翌月の4月になることが多く、多くの会社で新入社員を集めて入社式を行い、同期の繋がりを深める活動を行います。その後一定期間研修を行い、決まった時期に配属が行われます。その時期には「どこの部署が何人新人を獲得した」といった話題で盛り上がる会社も多いのではないでしょうか。

一方、中途採用は空席さえあれば随時行われます。社内ではいつともなく「〇〇さんが退職します」という情報と「△△さんが入社します」という情報が交互に流れていきます。新卒採用はほとんど行わないという企業では、いわゆる同期の繋がりといった意識は芽生えにくいかもしれません。

3-3 採用方法

新卒獲得は基本的に強化したい分野の学生がいる大学へのアプローチがメインとなります。中途採用は転職サービスを活用するほか、ビジネスの中で他社にいる「これは!」と思う人材により良い条件で個人的にアプローチ(ヘッドハンティング)したり、社員からの紹介を募ったり、SNSの繋がりから探したりします。そのほか、あるポジションを社内・子会社・関連会社に開示し、その中から希望者を募ることもあります。

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4.各採用方式のメリット・デメリット

4-1 各採用方式の戦略的意図

こうした採用方式の違いは、「どこにお金を投資するか」という戦略の違いに他なりません。

つまり、新卒採用とは「教育に投資し自前で人材育成を行う戦略」であり、中途採用とは「採用活動に投資し人材育成コストを抑えスピードを獲得する戦略」であると考えられます。

4-2 新卒採用のメリット

新卒採用のメリットは、同世代の団結力、社員の帰属意識を生み出しやすいということです。また、同時期に一度に迎えることができるので、内部研修は比較的効率的に行うことができます。社員は定期的に教育訓練業務が発生すると分かっているので、教育に協力する意識を持ちやすくなります。教育の仕組みが蓄積されるので、会社として事業に必要なスキルが蓄積されやすくなります。また、新卒採用活動そのものは、一般的に比較的低コストです。

4-3 新卒採用のデメリット

新卒採用のデメリットは、2点挙げられます。第1に、教育コストがかかることです。しっかり教育を施さなければならないのですが、教育しても将来役立つスキルフルな人材に育つかどうかは分かりません。特に昨今は、仕事を覚えた途端、処遇の良い他社に移籍していった、ということはよくあります。また、時間をかけて技術を身につけたとしても、その時にはその技術は陳腐化している可能性があります。第2に、1社だけの経験しか持たない人材を抱え込むことは、自社のありようを客観的に見ることが困難になるという点が挙げられます

4-4 中途採用のメリット

中途採用のメリットは、既にスキルを持った人を獲得するのですから、教育コストを削減でき、かつ教育が成功するかどうかという不確実性を下げられるというところにあります。事業が素早く展開できることになるので、スピード勝負の競争に勝ちやすくなると考えられます。また、社員のバックグラウンドが多様化することで、それらの組み合わせにより新たな価値の創造が期待できます。

4-5 中途採用のデメリット

中途採用のデメリットは4点あり、第1に一般的に採用コストが高いこと、第2に望むような人材は必ずしもすぐには見つからず、空席期間が続くと組織が疲弊すること、第3に一体感・団結力・組織への帰属意識といった力を生み出しにくいこと、第4に事業に必要なスキル確保を外部からの人材に依存する性質上、会社としてスキルが蓄積されていきにくいといったことが挙げられます。これらのデメリットは社内の人材を大切にする文化の醸成を妨げ、社員の離職率上昇、人がいなくなった後のフォロー困難といった悪影響を及ぼすことにつながります

4-6 戦略の優劣について

結局どちらが優れているというわけではありません。大事なことは、戦略全体を見たときに整合性がとれているかどうかが重要です。例えば、スタートアップ企業で迅速な成長が必要であれば新卒を取っている余裕はなく、中途採用戦略がベターと言えるかもしれません。一方、将来例えば支店を設ける構想があって、そこで働く自社らしさをしっかり叩き込まれた若手人材を作る必要があるとすれば新卒~若手採用を計画的に、といった具合です。それぞれデメリットがあるので、中途採用であれば社内にノウハウが蓄積されるシステムや多様性を尊重する企業文化を作る。

新卒採用であれば、育成の確実性を高めるシステムや組織構造の構築、社会情勢から取り残されない仕組み作りといったフォロー策を用意します

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5.中途採用をうまく活かすには

最後に、中途採用戦略を順調に動かすためのポイントをご紹介します。中途採用は当たり前になってきたとはいえ、依然リスクはつきものです。私は基本的に中途採用のみを行った企業で、せっかく採用した人材が定着せず、自転車操業のように採用活動を繰り返す様を目の当たりにしてきました。受入れがうまくいかなければ、せっかく有望な人材を獲得したのにすぐに離職されてしまったということが起こりかねません。そこで、下の6点、個人的に「CCOOMM」と呼んでいる検討項目を紹介します。

 5-1 文化醸成(Culture):人を受け入れる文化・風土を醸成する

中途採用に限らず、新たな仲間を温かく迎え、長期的に育てるという意識が社員に行き渡っている状態が理想的です。一方、異文化背景を持つ人材に排他的・攻撃的だったり、社内の業務フローが複雑化していたり、出世争いで足の引っ張り合いをしていたりして社内が混乱していると、新しい人材は定着しません。新しく来た人とより良いチームを作るのだと、社員が自然に行動できるようであれば、それは会社の文化と言えます。こうした文化的基盤があるかどうか、ご確認してみてはいかがでしょうか。

 5-2 明確化(Clarify):どんな人をバスに乗せるか明確にする

よもや「人が足りないから採用する。人間ならだれでもいい」という企業は無いでしょう。しかし、〇〇の経験がある人、資格を持っている人、などとある程度スキルレベルは特定できても、その周りの何を重視するかは明確になっていないことがあります。社長と事業部長の考えが異なっていて、採りたい人のイメージが固まらない。社長から早く採用しろと急かされ、紹介された人がなんだかとても理想的な人に見え、助かったとばかりに採用してみたら期待外れだった。…採用あるあるです。採用担当者は、どんな人を会社というバスに乗せるのか、非常に重い決断をしなければなりません。戦略上、どんなスキルを持ち、どんなパーソナリティを持つ人が必要なのか、どれかが欠けているならどうやってそれを補っていくかを関係者間ですり合わせ、明確にしていくことが必要です

 5-3 観察(Observation):インターンで実採用前にクッションを置く

中途採用は、採用する側にもされる側も博打のような側面があります。少しでもお互いに納得して就職できるようにする方法として、インターンが挙げられます。数日間インターンをすれば、企業側は候補者の人柄や能力を、候補者側は会社の雰囲気などを観察することができます。このステップをはさむことで、お互いに「こんなはずじゃなかった」と思う悲劇を減らすことが期待できます。

 5-4 戦力化(On boarding):戦力として配置されるまでの手順を明確にする

意外とシステム化されていないものですが、新卒中途にかかわらず新入社員が配属されてから戦力になるまでのステップを明確にしておきましょう。一度作ってしまえばあとはいくらでも応用が利きます。また、どこまでできるようになったかチェックシートを作っておくことをお勧めします。マネージャー職として採用した方に対しても、関連法規に関する知識や社内ルール、システムの把握状況は、定期的にチェックするようにした方が良いでしょう。

 5-5 マニュアル化(Manualization):内部システムを採用者が即日扱えるようにする&個人のノウハウの一般化を図る

社内のITツール、精算システム、情報インフラなどは誰の目にも分かりやすくなっているでしょうか?M&Aで大きくなった会社などでは様々なシステムが交錯し、内部手続きが非常に複雑になっていることがあります。社員の中には、「自分が入社した時はサポートなんて全くなかった。でも私は自分で能動的に調べて乗り越えた。だから、あなたもそうあるべきだ」という人がいるものです。ご自身で乗り越えたことは賞賛されるべきですが、自分で考えるべきクリエイティブな仕事と、社内手続きのようなそれ自体は何も生産しないような仕事は分けて考えたほうが良いでしょう。後者のような仕事は何も考えなくても完了できるよう、初めて扱う人にもすぐに実行できるようなマニュアルを作りましょう。

その時間さえもったいないというベンチャー企業などでは、「いかに社内手続きを簡素化しそれを保つか」ということを、オペレーション戦略のひとつとしてしっかりと考えたほうが良いと思います。また、個人が持つ貴重なノウハウは、確実に社内に蓄積され、別のメンバーにも再現できる状態(=社内で一般化された状態)にしましょう。

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 5-6 メンター(Mentor):中途採用者にも相談役をつける

 中途採用者にとって新しい会社はまさに異文化環境です。そこで働くことに不安はつきものでしょう。「前職ではこうやっていたのに…」と戸惑われることも多いと思います。仕事や社内事情に通じた人をメンターとし、早く新しい環境に馴染むように相談相手になってもらいましょう。

まとめ

人材の採用は会社の資源です。会社の運命を左右する重要な仕事のひとつは人採用と採用後のマネージメントです。会社の状況や戦略に応じ、採用に臨む前に会社として人事戦略を掲げ、挑む必要があります。

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この記事の監修者

柳沢 智紀のプロフィール画像

株式会社Enigol

柳沢 智紀

株式会社リクルートホールディングスにIT人材として新卒入社し、集客戦略やマーケティング業務を経験後、SaaS事業部で事業開発を経験。その後、PayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。SaaSサービスやAPI連携について、日々調査している。

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