1. 与信とは?与信管理の方法や重要性をわかりやすく説明
与信とは?与信管理の方法や重要性をわかりやすく説明

与信とは?与信管理の方法や重要性をわかりやすく説明

経理 更新日:
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与信とは、会社が取引のある取引会社に信用を供与することです。会社は商品を販売した際すぐにお金の受け渡しを行なわず、商品の受け渡しやサービスの業務提供から実際のお金のやり取りが発生するまでタイムラグが生じます。このタイムラグは会社同士の信用で成り立ちます。与信管理とはこの「与信」をコントロールすることです。

目次

企業の倒産件数は毎年約8,000件~9,000件と言われています。倒産はなぜ起きるのでしょうか。倒産を避けるために必要不可欠なのが、与信管理です。

会社間の日々の活動であまり意識することの少ない与信管理。売上はお金を回収して初めて完結します。財務諸表を読むことができ、日々取引先の入金状況を把握できる経理がその与信管理を担うことでより正確な与信管理を行うことができます。

与信とは

与信とは、会社が取引のある取引会社毎に信用を供与することです。会社は個人と違い一般的に商品を販売した際すぐにお金の受け渡しを行いません。法人同士の反復した取引の場合、毎回代金を精算していては煩雑になるため、締め日を設けてその締め日までに発生した債権債務を一括して精算する手続きとなります。そうなると商品の受け渡しやサービスの業務提供から実際のお金のやり取りが発生するまでの間、タイムラグが生じることになります。このタイムラグは何か法律で定められている訳ではなく、会社同士の信用で成り立っています。この信用のことを「与信」と言います。

仮に自社に与信がなければ、商品を購入した都度代金を精算しなければならず、非常に煩雑になります。おそらく会社運営そのものに支障が出ることになりますので、会社存続自体が難しくなります。

コインとお札

信用リスク

信用リスクとは、会社が商品を販売した取引先が債務を履行できなくなるリスクを言います。別名デフォルトリスクと言います。取引先がデフォルトを起こすと債権を回収できない状況になりますので、取引先がデフォルトを起こす前に資金を回収するか、取引を事前に絞っておく必要があります。会社間取引においては必ず相手先の信用リスクに注意を払う必要があります。

与信管理とは

与信管理とは上記で述べた「与信」をコントロールすることです。

具体的には倒産の予兆がある先や業績が傾いている先に対しては、与信を絞って債権額を少なくしていきます。一方で業績が好調な先や財務上全く問題のない先に対しては、与信を大きくして取引拡大を狙います。このように取引先ごとに与信の金額を調整し、仮に一つの取引先がデフォルトに陥っても資金繰りに影響を与えないようにコントールします。

一般的に「与信管理」とは、与信の限度額を設定してその金額が近づけば取引額を絞っていくというマイナスのイメージが先行しておりますが、取引先の業績をしっかりと判断して回収に問題なしと判断すれば毎月の取引量を増やすのも立派な与信管理と言えます。つまり、社内で一律の与信限度額ではなく、取引先毎の財務状態や規模に合わせて個社毎の適切な与信限度を設定することが大切になってきます。

また、与信管理では経理だけではなく、現場の営業の意見も重要になってきます。経理が見る財務諸表だけでは確認できない社長の正確や社風等は直接営業マンからヒアリングするしかありません。不思議なことに日々取引先と接している現場の営業マンの肌感覚は意外に当たっているものです。社内がきちんと清掃されているのか、在庫が整然と並べられているのか、社長の金銭感覚がおかしくないかなど非常に有益な情報を営業マンは持っている場合が多いです。与信管理の際は、営業にもコメントを付与してもらう仕組みを整えることをおススメ致します。

窓際の机に置かれたパソコン

与信管理の重要性

ここまで与信管理の概要に関して説明して参りましたが、ここからはなぜそこまで与信管理が重要なのかを考えていきたいと思います。与信管理は会社運営の肝にもなりますが、主に以下3つの理由が考えられます。

連鎖倒産防止

最も注意したいのが、連鎖倒産です。連鎖倒産とは1社が倒産するとその会社に対して大きな債権を保有している会社の資金繰りが行き詰まり連鎖して倒産することです。特定の1社に対して大きな債権がある会社は要注意です。売上先を分散するなどして特定の1社の影響を薄めましょう。連鎖倒産を防止する為にも与信管理をしっかりと行い、特定の1社に対する与信限度額をコントロールしましょう。

PEITION TO FILE FOR BANKRUPTCY

資金繰り対策

先ほどの連鎖倒産も広義の意味で言えば、資金繰り対策です。資金繰りは会社の命です。損益が赤字になろうが会社は倒産しませんが、会社の預金残高がゼロになれば会社は倒産します。取引先に対する与信をしっかりと行い、債権を確実に回収することが資金繰りの基本です。取引先に対する売上は代金を回収した時に完了するのだという認識を社内で共有しましょう。

貸し倒れ損失回避による利益確保

与信管理は会社の業績には影響を及ぼさないと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違いです。仮に与信管理を誤り、債権を回収できず不良債権としてしまった場合、会社はその債権に対して貸し倒れ損失という損失を計上します。代金が回収できないため、売上ではなく損として認識されます。

このようなことが頻発すれば、会社はいくら売上を計上しても貸し倒れ損失による損で赤字になってしまう可能性もあります。営業担当者にも貸し倒れ損失を出さないように注意を呼びかけ、安定した経営に向けて全社員一丸となってしっかりと債権を回収しましょう。

会社の業績拡大ルートの道標

与信管理をしっかりと行っていれば、取引先の業績を頻繁に目にすることになります。仮に右肩上がりの業績の会社には与信限度額の引き上げ等を検討し、積極的に営業活動を仕掛けることができます。このように与信管理はうまく活用すれば、社内の有効なデータとして営業戦略にも活用できるのです。取引先の財務をきちんと分析できる経理ならではの仕事と言えるのではないでしょうか。

また、1社1社の与信管理ももちろん大事ですが、業界全体の方向性も合わせて確認している会社があれば、次はどの業界に攻勢をかけるべきかを考える際の有効な情報になります。是非前向きに与信管理と向き合いましょう。

業績上昇の図

与信管理の方法

与信管理の方法ですが、会社によって様々かと思います。信用情報機関のレポートを利用したり、公告の数値を利用したり、営業マンの話をもとに基準を作成したりと方法はいくつかあります。ここでは全ての方法の基礎となる与信管理方法を紹介します。これから社内で与信管理を実施しようと考えてらっしゃる方がいれば是非参考にしてみてください。

取引先の選定

まずは取引先の選定です。おそらくこれは既存の債権がある取引先一覧から抽出するかと思います。既存の取引先を一度全て並べてみて金額の多い順に取り掛かるのが一般的です。また、ある会社では新規でこれから取引を開始しようとしている会社に対しても与信を行っています。新規の取引先は情報も少なく判断しにくい部分もありますが、だからこそ経理が入手できる財務情報を元に基礎となる与信管理を行うべきなのです。この取引先の選定を定期的に行うことで、常に最新の情報で与信管理を行うことができます。最低でも年1回は自社の取引先を全て抽出して並べてみましょう。

具体的な与信調査方法

最も大事なのが、取引先の情報収集です。取引先の情報収集にはいくつかやり方がありますが、最も一般的なのが信用情報機関に取引先の信用情報を照会することです。信用情報とはその会社が過去に不渡り等の事件を起こしていないか、業績が良いのか悪いのか等の情報等がまとめられた与信管理の為の情報です。日本にはいくつかの信用情報機関がありますので、気になる取引先があれば一度利用してみましょう。但し、信用情報を取得するにはコストがかかります。信用情報機関が発行しているレポート等は1社数万円するところもあります。コストのことも考えて利用する取引先はルールを決めましょう。

続いて自社で調べるという方法もあります。上場会社であれば、決算書を公開しておりますし、非上場でも地銀等が発行している会社要覧にはある程度の数値を開示している会社も多くあります。また会社のHPを見てみるだけでも資本金や売上等を開示している先が大半ですので、債権額が大きくない取引先に対しては簡単な社内調査を行うことで事足りるかと思います。

最後に営業マンの意見及びコメントです。これはどの方法でも必ず参考にすることと良いでしょう。営業マンは日々取引先と接しています。公開されている数値情報では掴むことのできない生のデータを取ることができます。また、社長の性格や趣味なども与信管理上は有効な情報になりますので、是非数値のデータと合わせて情報を蓄積していきましょう。

与信管理の方法は様々ありますのが、社内で債権額に合わせて個社毎にどの程度の与信管理を必要とするのか変わってきます。売上の比重が大きい1社があれば、迷わず信用情報機関に信用情報を照会しましょう。信用情報機関は与信管理のプロですので、多少コストが発生しても貸し倒れを避けられることを考えれば、必要経費と見なしましょう。

ハイタッチする男女

与信限度額(与信枠)の設定

与信調査が完了したら、与信レベルに合わせて個社毎に与信限度額(与信枠)を設定しましょう。与信限度額とはその設定した金額の範囲内であれば、現場の決済で債権を発生させても良いという基準額です。当然限度額が大きい会社に対しては一度に多くの商品を販売できますし、限度額の小さな会社に対してはこまめにお金を回収して保有する債権額を減らす必要があります。例えば与信限度額1,000万円の会社の場合、以下のような例になります。

(例)与信限度額1,000万円 
   毎月の取引額300万円
   債権回収期間3カ月
   平均保有債権額900万円

このような会社との取引の場合、毎月の取引額が現状と同額であれば問題ありませんが、現状より毎月の取引額が34万円程度増加すれば与信限度額を超過する可能性があります。また、仮に社内で与信限度額を600万円に減らすことになれば、営業担当からお客様に取引量を減らしてもらうようにお願いしなければなりません。この例を参考にすると営業サイドから見れば、限度額は大きい方が良いに決まっています。経理サイドは営業側の意見に流されることなく、あくまで公平な目線で取引債の与信判断を行いましょう。

また、与信限度額は今後その取引先とどの程度取引を行っていくべきかを示す社内指標と言えます。社内に対して会社方針を示すことになりますので、アクセルとブレーキを使い分け実態に即した与信限度額設定を心がけましょう。現在は時代の流れが早いので、1年もあれば業績は大きく変動します。与信限度額を設定したら、毎年その限度額を見直し、常に最新の情報に基づいて判断することが肝要です。

机の上のパソコンやノート

債権管理

与信限度額の設定が完了すれば、あとはその限度額を現場に伝え常にその限度額枠内で債権管理を行ってもらいましょう。営業は常に売上を追いかけておりますので、与信限度は目の上のコブとも言えます。経理は営業側と利益相反の状態にあることを理解し、常に営業が権限無く限度額を超過できないように債権管理の仕組みを行いましょう。

ここまで一般的な与信管理の流れを説明してきましたが、与信管理において重要なことは会社が一丸となることです。経理だけでは取引先の本当の姿を把握することはできませんし、営業だけでは限度額設定が甘くなり与信管理が意味を為さなくなります。一方で経理にしかわからない入金状況等の情報や営業にしかわからない取引先の社風や社長の考え方等もあるはずです。重要なことは与信管理を何のために行っているのかを全社でしっかりと共有し、会社を守る為に会社全体で与信管理の仕組みを整えることです

まとめ

与信管理は利益に直結しないので、後回しになっているという会社は意外と多いのではないでしょうか。与信管理は確かにすぐには利益には直結しませんが、会社を守るという側面では必要不可欠な仕事です。不景気になると「連鎖倒産」をする企業が後を絶ちません。しっかりと与信管理を行っておけば、避けられるものをあったかもしれません。コロナ禍の中、連鎖倒産のリスクはますます高まっております。コロナ禍の今だからこそ今一度自社の与信管理システムを見直し、連鎖倒産いう悲劇を起こさない為にも、社内で時間をかけて与信管理の方法を仕組み化していきましょう。

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この記事の監修者

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株式会社Enigol

辻田 和弘

東京大学経済学部を卒業後、丸紅株式会社に入社し経理部にて事業投資案件の会計面での検討、支援を行う。また子会社の内部統制の構築、IFRS導入プロジェクト、全社連結会計システム導入プロジェクトに従事。現在は株式会社Enigolを創業し、Remoba経理全体の監修を行い、スタートアップから中小企業および大企業の経理業務の最適化オペレーションの構築を担う。

資格
公認会計士
税理士
Remoba経理トップ

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