経理職への転職を成功させるコツ
有利な転職時期を見極める
経理職への転職をスムーズに進めるためには、転職に有利な時期を狙って転職活動を行うことが大切です。経理職の特徴を理解して、適切な転職時期を把握しておきましょう。
たとえば、日本企業では多くの場合3月末を決算期としています。税務申告の期限は5月末となるため、4月と5月は通常、決算業務に追われる繁忙期となります。そのため、企業は経理職の求人募集のタイミングを繁忙期の2〜3か月前、つまり1〜2月に設定することが一般的です。
また、国税庁のデータによると、12月を決算月にしている企業も多いとされていますので、逆算して9月も求人募集のタイミングとしては適していると言えます。
自分の属性を分析する
経理職への転職を成功させる上で大切なのは、転職先の条件だけではなく自分自身の属性を把握しておくことです。
自分が未経験なのか、経験者なのか、また経験者でも何年の実績があるのか、年齢はどのくらいでいつまで働けるのかなどの属性情報は転職市場において非常に重要視される項目です。たとえば経理職の場合は特に経験者の需要が高く、未経験者の転職は困難な傾向にあります。
そのため、転職を成功させる上で自分の属性をしっかり把握し、自分の属性に向いている転職支援実績がある転職エージェントを選んだり、自分に合った戦略を練ることが重要です。経験者はより待遇や質のいい転職先が多い転職エージェントを選んだり、未経験者はベンチャーや派遣社員からの転職を狙うなど、それぞれに合った転職活動が大切なのです。
複数の転職エージェントを活用する
経理職への転職活動をスムーズに進めるためには、複数の転職エージェントを活用することが大切です。
複数と言っても、同じようなサービスを選ぶのではなく、それぞれの転職エージェントごとの特徴を補完し合うようなサービス同士を組み合わせることが重要です。たとえば、「スカウト機能」で質の高い転職先を紹介してくれるサービスと、面接対策や履歴書添削に特化しているサービスを組み合わせることで転職活動のスピードと質を同時に上げることができるのです。
経理職に強い転職エージェントを利用する
経理職というのは非常に専門性の高い職業です。そのため経理職に強い転職エージェントを選ぶことは非常に重要になってきます。
経理職への転職支援実績が多いことや、たとえば経理職に就く人にとって快適な環境にある転職先を提案してくれたり、経理職の採用に関する適切なアドバイスがもらえたりと、転職をする上で大切な要素はその職に強いエージェント選びが握っていることが多いのです。
最新の経理転職事情
経理職の需要
現在は、業務のアウトソーシング化・IT化が経理業務においても進んできているため、以前ほど経理職の需要は少なくなっています。
しかし、減少傾向にあると言っても経理業務は企業にとって必要不可欠であり、まだまだ需要は多いです。しっかりと対策をすることで十分な転職の機会が期待できるでしょう。
経理職の平均年収
2021年度の賃金構造基本統計調査によれば、会計事務従事者の年収は企業規模10名以上で約453万円になります。日本人の平均年収が443万円(国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」)なので、それよりも少し多い額になっています。
経理職の平均年収別のスキルは以下のようになります。
300万円台 役職なしの担当者レベル。未経験者も多い。簿記3級以上。
400~500万円台 ほとんどが経験者。経理財務、IRなどで3年以上の経験。簿記2級以上。
600~700万円台 経理財務・IRなどの経験3年以上。上場企業での経験、管理職経験など。簿記2級以上。
800~900万円台 経理経験5年以上。上場企業での経理財務経験、決算経験、IR経験、管理職経験など。公認会計士・簿記2級以上。
1000万円以上 経理経験10年以上。公認会計士資格・経験、上場支援など高度な財務業務の経験、上場企業での決算経験、管理職経験、監査法人・会計コンサル企業での会計関連業務経験など。
参照:一般財団法人 人材サービス産業協議会
600万円台以上になると同業種からの転職や2回以上の転職経験がある場合が多くなります。また、経験の豊富さや持っている資格などで年収はかなり変わってくる傾向にあるため、経理職で高収入を狙いたい場合は資格の取得などを進めていくことが重要です。
経理職の平均転職回数
経理職の転職回数は、20代だと1回の方が多い傾向にありますが、30代以上になると2,3回の転職経験を経ることが多くなってきます。しかし、転職回数が多くなりすぎると人事に警戒され、それ以上の転職は難しくなってしまいます。年齢にもよりますが、転職はなるべく3回程度に抑えるといいでしょう。そのためにも一回一回の転職を慎重に選ぶことが大切です。
経理転職で活躍する資格・スキル
経理職で活躍する資格には以下のものが挙げられます。
・日商簿記検定
・公認会計士試験
・税理士試験
・ファイナンシャルプランニング技能検定(FP技能検定)
・BATIC(国際会計検定)
・TOEIC
まず経理職に必須なのは日商簿記検定です。現在未経験で経理職を目指す方はまずこの資格を取得しましょう。2級以上の資格を保有していると転職において評価されやすいでしょう。
その他の資格も保有していると有利に転職を進められるでしょう。また、英語力は経理職で高収入を狙いたい場合は必要になってくる場合が多いです。グローバル企業へと範囲を広げる際にも必須です。
経理職に強い転職エージェントの活用法
転職エージェントの特徴を把握する
転職エージェントにはそれぞれサービスの特徴があり、何が得意なのかが違います。
・面接対策・履歴書添削
・ヘッドハンティング・スカウト型
・面接日程調整・年収交渉等の代理サポート
・業界に詳しいエージェントによるサポート
主に以上のようなサービスが挙げられますが、自分自身の目指す転職ビジョンやスタイルに合ったサービス内容を把握して、そこから転職エージェントサービスを選ぶと良いでしょう。しかし、実際に利用してみないと何が自分に合うのかはわからないことが多いのが実情です。そこで以下のような方法を試してみるといいでしょう。
サービスを使い分ける
転職エージェントサービスを選ぶとき、自分自身に合うサービスが何なのかわからない、それぞれに特化したサービスとさまざまな機能があるサービスどちらがいいのかわからない、などの葛藤があると思います。
しかし転職エージェントサービスは一つに絞らなくてはいけないということはありません。むしろ特性の違う2つのサービスを組み合わせることがより効率的な転職活動を実現することにつながります。
例えば良質な企業を紹介してくれるヘッドハンティング・スカウト型のサービスと、面接・履歴書対策に力を入れているサービスを組み合わせるとより良い成果が出やすいです。そのほかにもその転職サービスにしかない独占求人なども存在するため、複数のサービスを活用することで選択肢が広がります。
経理転職で失敗しないための注意点
転職先の経営状況を確認する
せっかく転職が成功しても転職先の経営が悪ければ再び転職活動を行うことになってしまうかもしれません。求職情報のみで判断せず、その会社の業績や事業内容などを確認しておきましょう。業績が伸びそうな会社であれば転職した後でもより自身の成長や収入の向上につながる可能性もあるでしょう。
また、会社の規模などによって業務内容が変わってくる場合があります。経理の場合、大企業だと経理部署が独立している場合が多いですが、中小やベンチャー企業だと経理・人事・総務が一体となっている場合があります。自分自身のスキルやキャリアデザインに応じてそのような情報も確認してくといいでしょう。
転職先の人間関係を把握しておく
どの業種でもそうですが、職場の人間関係は働く上で大切な要素です。特に経理は会社を支える重要なポジションであり、会社のお金の流れを正確に把握する必要があるため、会社内でのコミュニケーションは良好である必要があります。
また、経営陣との距離も近いため、優秀な仕事を評価されれば出世にもつながります。人間関係が良好だとそのチャンスも多く、悪いとまた転職を繰り返しキャリアを築きにくくなってしまいます。なるべく入社前に短期の職場体験ができるようなサポートを受けられる転職サービスを選ぶといいでしょう。
まとめ
経理職は専門性の高い職種です。そのため経理職に特化したエージェントを探すことは転職成功への近道となります。他にも経理職への転職を成功させるには経験やスキルなど、自分の市場価値を理解し、それに合った転職エージェントや方法を見つけることも重要です。
ぜひ今回まとめた中から自分に合った転職エージェントを見つけて、経理職への転職に活かしてください。